欠陥とは

欠陥とは

欠陥とは、理想状態を想定できる物事における理想状態との違いです。
つまり、このブログにおいては欠陥を法律用語で言うと瑕疵ということです。
法律用語である瑕疵を、一般的な日本語で表現すると欠陥ということです。

因みに下記が消費者庁の欠陥の定義です。
(1) 欠陥概念
[1] 定義
「欠陥」とは,製品に起因する事故が発生した場合に,製造者が責任を負う場合の,当該製造物に係る責任要件である。EC指令第6条第1項では,「製品の表示,製品の合理的に予見できる用途,製品が流通に置かれた時期を含むすべての事情を考慮した上で,人が正当に期待できる安全性を欠く場合」を欠陥と定義しているが,本報告においても,一応,以下この定義を前提として検討を行うこととする。
EC指令の「合理的に予見できる用途」については,製造者は当該製品の使用目的に違反した非常識な使用方法を考慮する必要はないが,使用目的と完全には合致しないような使用方法についても通常人が合理的に予見しうる範囲のものである限り,それを考慮して安全性を確保しなければならないと考えられている。
欠陥の判断基準時は,製品を流通に置いた時であり,製造者は流通に置いた時点で欠陥があると判断された製品についてのみ責任を負う。
安全性の期待の主体である「人」は,過失概念と同様の「通常人」であり,製造者,消費者も含めた社会にあるべき期待の内容を具現するという意味で,社会において合理的に行動する者を指している。
なお,米国では,欠陥について,連邦レベルで統一的に定めた法典はないが,一般に「製品が売主の手元を離れた時点で,最終消費者によって予期されていなかった状態で,それが最終消費者に不合理に危険である場合」(第2次不法行為リステイトメント第402条Aにおける注釈。リステイトメントは,アメリカ法律協会が連邦各州の判例法を分析して条文の体裁に編集したもの)が欠陥と解されている。
[2] 過失概念との相違点
民法709条における不法行為制度においては,帰責根拠として「故意又は過失」があげられている。故意については,行為者が責任を負うのは当然であるが,過失については,行為者が予見可能であるにもかかわらず,結果回避義務を果たさなかった場合に責任ありとされる。
このため,製造者の責任を問う際,過失を要件とする場合には,被害者は,結果の発生が予見可能であり,損害を回避できたにもかかわらず,製造者がそれを防止すべき措置をとらなかったことを証明しなければならない。他方,欠陥を要件とする場合には,製品に,「人が正当に期待できる安全性」が客観的に欠けていることを帰責事由とするため,製造者の予見可能性や結果回避義務及びそれに対応する具体的行為といった行為者にかかわる要素を特定し証明する必要がない。すなわち,被害者は,被害者にとって比較的情報が収集しやすい損害の発生,製品における欠陥の存在,当該欠陥と損害との因果関係を証明したときには,当該欠陥の作出について製造者の過失の存在を証明しなくても,賠償を受けることが可能になる。
[3] 欠陥の類型
欠陥の判断に当たっては,製品が「人が正当に期待できる安全性」を備えているかどうかを判断することになる。この判断では,製品がどのような性質・状態であったのかという事実の認定だけでなく,「人が正当に期待できる安全性」とはどのような状態なのかという規範的な判断及びそれに基づいて当該製品の状態が要求される安全性を満たしているか否かについての評価を行うことになると考えられる。
一般に,欠陥は次の3つに分類されている。
第一は,製品の製造過程で粗悪な材料が混入したり,製品の組立に誤りがあったなどの原因により,製品が設計・仕様どおりに作られず安全性を欠く場合,すなわち製造上の欠陥である。
第二は,製品の設計段階で十分に安全性に配慮しなかったために,製造される製品全体が安全性に欠ける結果となった場合,すなわち設計上の欠陥である。
第三は,有用性ないし効用との関係で除去しえない危険性が存在する製品について,その危険性の発現による事故を消費者側で防止・回避するに適切な情報を製造者が与えなかった場合,すなわち指示・警告上の欠陥である。
このうち,製造上の欠陥については,安全措置について設計どおり作られた製品とそれに欠ける当該製品との間の相違という事実の認定が欠陥の判断に当たって重要となるのに対して,設計上の欠陥及び指示・警告上の欠陥については,製造される製品の効用,安全性,経済性,消費者の嗜好などさまざまな要素を勘案しながら多数の選択肢の中から製造者が一定の安全性に関わる選択をした結果が具体的な設計や指示・警告となっているために,製造者の安全性に関する選択の適否という評価が欠陥の判断に当たって重要となると考えられる。
欠陥の有無の判断において,製造上の欠陥では,原因のいかんを問わず,結果的に製品が安全性にかかわって設計仕様どおり製造されていなければ,欠陥があると強く推認されることに問題はない。これに対して,設計上の欠陥及び指示・警告上の欠陥では,最終的には裁判官が「通常人」の立場に立って安全性の期待基準を探究し,当該設計や指示・警告がこの基準に適合しているかどうかを規範的に評価することになる。したがって,規範的な判断のプロセスをみる限りにおいては,欠陥の判断は過失の判断と大きな相違はないと考えられる。
[4] 国の製品安全規制と欠陥との関係
行政上の安全基準は,一般的に,製品が製造・販売に際して充足すべき安全性に関する最低基準を定めた行政上の取締規定であって,製品の欠陥により損害が発生した際に,当該損害を誰が負担するかを定める民事上の製造物責任とは目的を異にするものである。この点に関しては,自動車の座席の背もたれの前倒れ防止装置を施すことが保安基準上義務付けられていなかった当時において,当該装置の欠如を原因とする事故について,メーカー側が保安基準に違反していないこと等を理由に過失の不存在を争ったのに対して,「保安基準は,取締規定に過ぎず,保安基準に違反しないことをもって製造上の過失なしとすることはできない」とした控訴審判決を支持した最高裁の判断(昭53.7.25)が参考となろう。
行政上の安全基準の充足と製造物責任の有無の関係については,過失概念に代わり欠陥概念が導入されても同様であると考えられる。欧州においても,一般に政府や公権力の規制は最低限の基準を定めたものとみなされており,基準を守ることは必要であるが,それだけでは欠陥の不存在を示す十分な抗弁にはならないと考えられている。
安全基準を設定したり製品の製造承認をした国の責任は,国家賠償法第1条の要件(国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたとき)を満たした場合にのみ認められるものであり,国の基準に合致した製品について欠陥ありと判断されたとしても,このことにより直ちに国の責任が認められるものではないと考えられている。
[5] 欠陥概念における諸論点
欠陥を定義する際に論点となり得る点について,委員会の審議を踏まえ整理すると次のようになる。
a 品質
製造物責任の考え方の基本が,製品関連事故による被害者の生命,身体,財産に生じた損害(拡大損害)を救済しようとすることにあること,拡大損害を生じないような単なる品質の瑕疵については,新品との交換や代金の返却等多様な形態の解決方法があり,契約当事者間で既存の法制度により解決可能な問題であることから,品質の瑕疵については,欠陥に含めないでよいと考えられる。
b 使用者の誤用との関係
通常予期される使用により損害が生じた場合は欠陥となるが,過大な製造者の責任を避けるためにも,通常人が合理的に予見できない非常識な使用は安全性の判断から除外することが望ましいと考えられる。
c 廃棄
廃棄された製品を使用することによって生じた損害については,これを欠陥概念に取り込むと製造者に予想もつかない責任を負担させることになり,適切ではないと考えられる。
d 安全性の期待の主体
個別の,あるいは特殊な主体ではなく,製造者,消費者も含めた社会にあるべき期待の内容を具現するという意味で,一般の規範的概念を判断する際に措定されるのと同様の「通常人」でよいと考えられる。
e 行政上の安全基準と製造物責任との関係
一般的に,行政上の安全基準というものは,行政上の公益の確保のために定められるもので,民事責任である製造物責任とは制度の趣旨が異なり,製造物責任の帰責根拠である欠陥を判断する最終的な決め手にならないことから,これを満たしたからといって製造者が免責されるものではないと考えられる。
f 欠陥の判断の諸要素
(a)
いかなる製品においても,有用性・効用の観点から除去しえない危険性が存在しており,また,製品によっては,極めて大きい有用性のために高い危険性を許容しなければならないものもある。製品に内在する社会的に許容される不可避な危険性は,それが既知のものであろうと未知のものであろうとその存在のみから欠陥であると評価されてはならない。このような危険性のうち,既知のものについては,製造者による適切な指示・警告がなされることで,使用者・消費者の側でその現実化としての事故を回避すべきであると考えられる。
(b)
製造者の責任範囲を画し,新製品開発意欲を阻害しないためにも,製品の上市後に改良された製品が流通に置かれたという理由だけをもって改良前の製品に欠陥があったと評価されないことが必要である。このためにも,欠陥の判断基準時は,製造者が製品を流通に置いた時点でよい。
[6] まとめ
以上,欠陥概念についてEC指令の定義を用いてその諸論点について考察した。
欠陥概念については,過失概念と同様,事前に結論が出せず,その導入によって具体的に何がどう変わるのか必ずしも明確でないという意見や製品事故救済の実情にかんがみ,その必要性に疑問があるという意見がある。
他方,こうした意見に対しては,欠陥概念も過失概念同様に規範的法概念であり,具体的には裁判例の蓄積によって明らかにされるものであることは当然であり,主張されているような製品事故救済の実情も少なくとも現在までのところ十分に明らかにされていないなどの指摘がなされており,こうした見方からは,欠陥概念については,さらに次のような評価が可能であるとされる。
a
製造者の責任の有無の認定を製品という客体について行うことにより,製造者といった個々の主体の行為における義務違反の有無を認定する場合に比べ,認定がより容易になる。
b
欠陥の発生の原因となった主体に過失があるか否かについての攻撃・防御といったプロセスを省くことができることから,被害者及び社会全体の紛争解決に要するコストが低下する。
c
米国やヨーロッパ諸国など既に同一の責任要件を採用している先進工業国と製造物責任の面で国際的な調和を図ることが可能になる。
本報告を受けて,今後とも欠陥概念についてより明確化・客観化する等の努力を続けることにより,製造物責任についての正しい理解が世間一般になされることが必要である。
(2) 開発危険の抗弁
[1] 定義
「開発危険」とは,製品を流通に置いた時点における科学・技術の知識の水準によっては,そこに内在する欠陥を発見することが不可能な危険をいう。一般に,「開発危険の抗弁」とは,製造者の免責事由の一つで,EC指令第7条(e)にあるように,「製造者が,その製品を流通に置いた時点における科学・技術の知識の水準によっては,その欠陥の存在を認識できなかったことを証明した場合には,当該製造者が責任を問われないこと」をいう。
なお,以上の点から明らかなように,EC指令における「開発危険の抗弁」は,欠陥を判断する際の問題ではなく,欠陥の存在が認定された後の問題であることに留意する必要がある。この場合の「科学・技術の知識の水準」は,製造者の居住する国に限定されることなく,世界的な水準で考えられねばならず,科学技術の領域で利用可能な専門知識の総体を意味することから,個々の製造者の認識可能性は基準とはならないと解されている。
[2] 開発危険の抗弁の採否の根拠
開発危険の抗弁については,製造者側からは次のような主張がなされている。すなわち,これを認めない場合は,予見し得ない欠陥について製造者に責任を負わせると企業に予想外の損害をもたらす,産業界の新製品開発意欲が失われ有用な製品が市場に出なくなることから,結局,消費者,産業界双方にとって損失になる,賠償額が膨大になる可能性があることから,保険付保が容易ではなくなることが考えられる,というものである。
他方,消費者側からは,次のような主張がなされている。すなわち,この抗弁を認めた場合には製造物責任を無過失責任化する意義が大きく削がれる,この抗弁を許容して新製品の持つ未知の危険による事故損害を消費者側が負担することは,開発段階で安全性の確認されていない製品の上市を認めることにつながり,ときに消費者が安全性を確認するモルモットの役割を担わされるおそれがある,すなわち,開発危険から生じる被害の救済策なしに開発危険の抗弁を認める場合は科学・技術の未発達から生ずる危険を被害者だけが負担することになるというものである。
もっとも,EC指令で規定されている開発危険の抗弁では,
a
過失概念と異なり,製品を流通に置いた時点における科学・技術の知識の水準によっては,その欠陥の存在を認識できなかったことの証明責任は製造者にある,
b
基準となる科学・技術の知識の水準が極めて高度である,
c
結果回避可能性の有無は抗弁事由となっていない
と解されている。なお,流通に置いた後に認識可能となった欠陥については,過失責任の下でも,認識可能となった時点以降に発生した損害に対しては,製造者の責任を問うことも可能である。
これらの点を考慮すると,開発危険の抗弁を認めることにより欠陥を要件とする製造物責任の意義が大きく減殺されてしまうこともないのではないかと考えられる。
また,ECでは,この抗弁が主張されるのは,主として医薬品,化学製品といった分野であると考えられている。このような分野では,製造当時は判明していなかったが当初から内在していた副作用その他人体への有害性が,その後の科学・技術の発達や消費者の使用を通じて徐々に明らかになるといった事態が製品の性質上予想される。これに比べれば,これ以外の製品分野では,一般的に開発危険が問題となる事例は少ないものと考えられている。
ちなみに,EC指令では,技術革新の問題については,欠陥の判定は流通開始時を基準として行い,また,製品の上市後により良い製品が流通に置かれたという理由だけでは欠陥があるとはされない(EC指令第6条)とされている。
[3] まとめ
以上で述べたように,ECにおいては,開発危険の抗弁が認められる可能性及びこれが妥当する製品分野は限られたものになると考えられており,同様の抗弁を認めることによって,消費者保護が大きく減退することはないとも考えられている。また,この抗弁を認めないことによる先端的な研究開発や技術革新が阻害される可能性,製造者に対する心理的な悪影響,保険付保が困難になるといった事態の発生が懸念されるとの指摘がある。これに対して,この抗弁を認めた場合には,仮にその抗弁の適用される分野が限られたものになるにしても,製造物責任を無過失責任化する意義が削がれるとの指摘もなされている。
(3) 証明責任
[1] 証明責任と推定
我が国の立法諸提案及び法案は,「欠陥の存在」,「欠陥の発生時期」,「欠陥と損害との間の因果関係」につき,ある事実(前提事実)の証明によって他の事実(要件事実)を推定し,その法律効果の発生を導きだす,いわゆる推定規定を設けている。
我が国の立法諸提案等で推定規定が設けられている理由として,次のような点が挙げられている。
第一に,我が国の民事訴訟法における証明の程度は,客観的には高度な蓋然性が,主観的には裁判官の確信が要求され,英国,米国では原則的に「証拠の優越」で足りるとされているのと比べて,原告の証明における負担が重くなっているという点である。
第二に,我が国ではドイツ等と比べると証明責任に関して裁判官による法形成が活発でないという点である。
第三に,我が国には米国に存在するような開示制度がなく,また,民事訴訟法における文書提出命令も限定されたものであることから,製品関連事故が発生した際の被害者の証拠に対するアクセスが十分に確保されていないという点である。
このような問題点を解決するために提案されているのが,いわゆる推定規定であり,およそ次のようなものとなっている。
a 欠陥の存在
「製造物を適正に使用したにもかかわらずその使用により損害が生じたこと」及び「その損害が適正な使用により通常生じ得べき性質のものでないこと」を証明した場合は,「その製造物に欠陥があったものと推定する」としている。
また,「損害発生の当時存在していた製造物の欠陥」を前提として,この欠陥は「相当な使用期間内においては,製造物が製造者の手を離れた当時すでに存在していたものと推定する」としている。
b 欠陥と損害との因果関係
「製造物に欠陥が存する場合において,その欠陥によって生じ得べき損害と同一の損害が発生」し,これを証明した場合は,「その損害は,その製造物の欠陥によって生じたものと推定する」としている。
なお,欠陥と損害との因果関係について,このような限定的な推定ではなく,欠陥の存在と欠陥と損害との因果関係の同時推定を行うものもある。
[2] 証明責任の在り方
a 欠陥の存在
欠陥の存在の証明については,現在の訴訟実務の大勢においては製品の特定の欠陥部位まで消費者が証明する責任を負っているが,欠陥の推定を取り入れると,欠陥部位を具体的に特定して主張するという作業が不要になり,消費者の証明責任が軽減される,といわれる。
しかし,このような意見に対しては,次のような問題点が指摘されている。
第一に,権利の発生を主張する者に,具体的な権利発生事実の主張・立証が要求されるのが民事訴訟において一般にとられている原則である点である。
第二に,一般の不法行為訴訟においては,権利の発生の根拠となる事実について法律上の推定は行われておらず,不法行為の体系に混乱を持ち込む可能性がある点である。
第三に,推定規定は,前提事実の証明によって要件事実を推定するという構造をとっているが,証明すべき前提事実の置き方によっては,それと要件事実である欠陥とがほとんど同義になったり,前提事実の証明の方が厳格になったりして,消費者の証明負担が軽減されなかったり,逆に要件を緩やかなものにすると製造者の反証の負担が重くなるといった問題が生ずる点である。
b 欠陥と損害との因果関係
欠陥と損害との因果関係の証明については,製造工程における情報は製造者側に偏在しており,因果関係の証明を消費者側が行うのは非常に困難であることから,推定規定があれば,証明できなかった場合の不利益を相手方に負わせることができるといわれる。しかし,このような意見については,個別被害における因果関係の推定は他の損害賠償訴訟においては認められておらず均衡を欠く,因果関係のないものについてまで因果関係を肯定されるおそれがある,製品によっては製造者が因果関係のないことを立証することが困難になる可能性があるといった問題点が指摘されている。
また,そもそも欠陥の存在自体が証明されなければこの規定は働かない。
c 流通開始時における欠陥の存在
EC指令においては,製品の欠陥を消費者が証明した場合には,製造者は,その損害を生じた欠陥は製造者がその製品を流通に置いた時には存在せず,またはその後に生じた蓋然性があることを証明しない限り免責されないと解されており,このような考え方を我が国も導入してもよいのではないかという意見がある。
この意見は,消費者が流通開始時に欠陥が存在していたことを証明するのは困難な場合が多いと考えられることから,製造者,消費者が持っているそれぞれの情報に基づき,可能な範囲で証明を行うという,証明責任の現実的な分配の観点からは,社会的公平にかなっているという考え方をその背景としている。この場合,欠陥の真の作出者が製造者と消費者の中間の流通過程に位置する者(特に販売者)である場合に,免責立証を製造者に課すことが適当であるか否かが問題になるが,製造者はどこで欠陥が作出されたかを証明する必要はなく,その製品が自己の支配下から離れる時に当該欠陥が存在しなかったことを証明すれば足りること,業種等にもよるが製造者は製品を流通に置く際に検査をすることができ,その文書を保存しておくことができることに留意する必要がある。
一方,製品の購入後は,製品は消費者の支配下に入るのであり,損害発生時の欠陥が立証されたからといって,流通開始時に欠陥ありとするのは経験則に反するのではないかとする意見もあった。
[3] 推定以外での証明の困難性を軽減する方法
推定規定を設ける以外に証明の困難性を軽減する方法として,文書提出命令,検証物提示命令,証拠保全といった証拠収集制度の拡充や第三者機関による調査・鑑定体制の整備といった方法が考えられる。前者については民事訴訟手続全体にかかわる問題であり,後者については行政のかかわり方が問題となることから,いずれについても,その妥当性や実行可能性等につき,専門的機関や行政庁での十分な検討が必要である。
[4] まとめ
製品関連事故による被害の救済について,公平の見地から,消費者と製造者それぞれの証明能力に応じ証明責任のバランスをとること及び被害の迅速な救済という観点から消費者の証明に係る負担の軽減を何らかの形で図ることが必要であると考えられる。このため,消費者が証明すべき欠陥の発生時期については,製造者,消費者の領域に属するそれぞれの情報を活用して,可能な範囲でそれぞれが証明責任を負担するという証明責任の現実的な分配が望ましい。
しかしながら,欠陥の存在や欠陥と損害の因果関係について法律上の推定を行うことは,他の民事訴訟とのバランス上問題があり,推定の要件の定め方も容易ではない。また,真の原因が他にある場合でも製品に欠陥があるとされたり,それが損害の原因であるとされるおそれがあることから,産業界からもその影響につき強い懸念が示されている。
このため,推定規定については,更にその問題点等につき論点を詰めるとともに,製品関連事故に関する情報収集・公開の充実,第三者的な専門機関による調査・鑑定体制の整備,証拠収集制度の拡充などについても,更に検討を進める必要があると考えられる。
(4) 立法形式
立法形式については,特に問題となる製品に限って民法の過失責任の例外を認めるべきであり,また,個別立法の方が被害救済の実態,製品特性に応じて,責任原則,責任主体などにおいてきめ細かな対応が可能であるという考え方がある。
一方,欠陥事故について責任を負わないでよい製品をあらかじめ想定できず,また個別立法では製品により法規制の差が生じたり,その差が合理的でないといった問題が生ずる懸念があり,さらに,個別立法の適用を受ける製品と,そうでない製品とを明確に区別しなければならないという法技術的な問題もあって,製品一般を網羅することが可能な包括立法の方が好ましいとし,製品特性については,解釈によって製品ごとに欠陥類型を考えていけば対応できるとの考え方がある。欧州各国等では,包括立法を基本とした立法が行われており,その背景には,こうした考え方があるといわれている。
(5) 製造物の範囲
[1] 製造物の定義
EC指令においては,第一次農産物及び狩猟物を除くほか,すべての動産及び電気を製造物としている。ただし,第一次農産物等についてはオプションとし,加盟各国の判断により製造物に含めるか否かを決定することができる。
我が国においては,製造物責任法要綱試案における製造物の定義が,その後の立法諸提案や法案に影響を与えている。要綱試案では,「この法律において『製造物』とは,完成品たると否とを問わず,自然産物たると否とを問わず,流通過程におかれたすべての物をいう」と定めている。また,未加工農林水産物や不動産については,要綱試案では,これらも製造物に含めているが,この点については,その後に発表された我が国の立法諸提案の中で,製造物に含めるか否かの扱いが分かれている。
[2] 個別的検討
製造物の範囲については,製品特性を踏まえた精緻な検討が必要であるが,製造物責任が,歴史的に主として動産である工業製品について問題とされてきたことも踏まえると,次のように考えることができる。

未加工農林水産物については,これを製造物に含める立場からは,現在の農林水産業は一般的には農薬,化学肥料等といった各種の高度技術を応用した製品の利用の上に成り立っている,生産者の保護については真の原因者に対する求償を広く認める形で行うべきである,といわれる。
しかしながら,製造物責任は元来工業製品を対象に形成されてきたものであること,例えば,農林水産物に有害化学物質が含有されている場合に,農林漁業者が欠陥の作出者とは必ずしもいえないこと,EC指令のように欠陥を作出した真の原因者が不明の場合は供給者が責任を負うとすると,例えば,農林水産物の場合に,どの農林漁業者が欠陥農林水産物を供給したかはしばしば不明であり,販売業者の責任が重くなりすぎることなどから,これを製造物に含めることについては慎重な判断を要すると考えられる。

不動産については,これを製造物に含める立場からは,現状では,売主でも所有者でもない製造者の責任を問うのは困難であり,不動産流通が活発になってきていることから製造物に含めたほうがよいといわれるが,構造的にも原因の解明は必ずしも困難ではなく,現行の契約責任や土地工作物責任の規定により消費者保護が図られ得ること,耐用年数が長く,その間の劣化や維持・補修を十分に考慮する必要があることから,これを製造物責任の対象とすることについては,慎重な判断を要すると考えられる。

医薬品については,ドイツでは,製造物責任法の対象から除外し,別に薬事法で無過失責任を定め,製薬業者等に対し保険の付保を強制している。また,ノルウェーでは,製造物責任法に医薬品に関する特別規定を置き,製薬業者等は,医薬品責任協会(保険会社と医薬品責任保険を締結)の会員になることが義務付けられている。これに関連して,医薬品の副作用については,製造物責任の対象から除外し,医薬品副作用被害救済制度の拡充等で対応することも考えられるとの意見があった。
(6) 責任主体
[1] 責任主体に係る一般論
EC指令では動産としての完成品・部品・原材料の製造者が製造物責任の責任主体とされている。また,実際には他の者が製造したにもかかわらず,自己が製造者であるかのように欠陥製品に表示した者(表示製造者)及び売却・賃貸・リースその他の配布の目的で営業活動として製品を第三国からEC域内に輸入する業者は,製造者と同一の責任を負い,製造者が確認できない場合には,欠陥製品の供給者が製造者と同様に扱われるとしている。また,我が国の立法諸提案や法案においては,いずれも製造者,表示製造者,輸入業者が責任を負うこととされている。
なお,責任者が複数いる場合には,被害者に対する関係では,一般に各責任主体は被害者に対してはそれぞれ全額の賠償責任を負うという不真正連帯債務を負うが,責任主体相互の関係では,実際に賠償をした責任主体には,他の責任主体に対する求償権が認められることになる。
[2] 個別的検討
現代社会における高度の技術を持った製品の大量生産・大量流通といった現象が製造物責任の前提となっていることから,業として反復継続して完成品,部品,原材料といった製品を製造する者を責任主体とすることはもちろんであるが,製品の欠陥が,その製品を構成する部品や原材料に起因している場合は,部品・原材料の製造者は完成品の製造者とともに不真正連帯債務を負うと考えられる。
また,表示製造者は,自己に対する信頼を消費者に惹起しており,この信頼を保護する必要があること等から,責任主体に含まれ,表示製造者と真の製造者は,不真正連帯債務の関係にあると考えられる。
輸入業者については,自己の意思に基づき製品を流通に置いたこと及び一般の消費者は外国の製造者に対する責任追及が困難であること,さらに,輸入の際の契約において外国の製造者ないし販売者に対する求償権を確保しておけば,輸入業者自体が最終的な損害負担者にはならないことなどから,消費者保護の観点からみても,輸入業者に製造者と同一の責任を負わすのが適当であると考えられる。
製造者等が確認できない場合の供給者については,被害者救済のため供給者に責任を追及できる余地を開いておく必要性があること,このような供給者を責任主体に含めることによって製造者ないし製品の前供給者を被害者に通告させる誘因を供給者に働かせることができることから,責任主体に含めることが適当であると考えられる。
(7) 賠償されるべき損害の範囲
[1] 損害の範囲
賠償されるべき損害の種類として,人損,物損,純粋経済損害が考えられる。
人損は,生命・身体に対する侵害によって生じる損害であり,治療費や死亡・傷害による逸失利益などの財産的損害と,性質上金銭で計量しにくい精神的損害(慰謝料)から構成される。
物損は,欠陥製品自体の損害と欠陥製品以外の物損がある。
純粋経済損害は,生命・身体への損傷や有体物の物理的な損壊の形態が現れないで被害者の財産状態に生じる損害をいう。したがって,生命・身体への損傷や有体物の物理的な損壊を救済の対象とする製造物責任においては,損害賠償の対象とはならない。
なお,損害の範囲に関連して,製造者に故意又は重大な過失があった場合には,通常の損害金のほかに附加金を課すという考え方があるが,附加金については,一般の民事責任にはない制度であり,他の事故の責任に係る損害賠償制度における被害者救済,加害者の負担との公平性を考えると問題があると考えられる。
[2] 個別的検討
人損のうち,財産的損害の部分を損害の範囲に含めるということについては,問題はない。また,慰謝料についても,無過失責任において慰謝料に特別の扱いを行う伝統のない我が国では生命・身体に対する損害賠償の額を調整する役割も果たしており,財産的損害と慰謝料の双方を製造物責任の賠償範囲に含めるということについて,ほとんど異論がないと考えられる。
欠陥製品自体の損害については,損害が人身損害や他の物の損害とならないで製品自体にとどまる場合には,単なる品質上の瑕疵と安全性の欠如という意味での欠陥を区別することは実際上困難であり,また,このような損害は契約責任や瑕疵担保責任に基づく代金減額請求,代物請求,修繕請求により解決が可能で,その方がより適切な救済方法ではないかと考えられる。
欠陥製品以外の物損の場合,消費者保護の観点から,個人用の物の損害ないし個人に生じた物損が賠償の中核となることについては,問題がないと考えられるが,営業用の物の損害や法人に生じた物損については,加害者と被害者がともに事業者であり,損害補償について事前に契約で取り決めることが可能な場合が多いと考えられることから,製造物責任の賠償範囲に含めなくてよいと考えられる。したがって,営業用のものに生じた物損から生じる経済的損害についても,賠償の範囲に含めなくてよいと考えられる。
(8) その他
製造物責任に関するその他の論点としては,責任限度額,免責額,過失相殺がある。
[1] 責任限度額及び免責額
a 責任限度額
総体的責任制限を設ける根拠は,製造物責任を負う主体に自分の負うリスクの上限を把握できるようにし,保険等によりリスクを効率的にカバーすることを可能にさせるところにあるといわれる。
しかしながら,このような責任制限については,同じ被害を受けながら,早い時期に賠償請求した人は賠償されるが,限度額に達した後に請求した人は賠償されないという不公平な結果を招くことになり,またすべての被害者が申し出た段階で初めて分配しようとすると,すべての被害者が申し出るまで被害者は救済されないことになり,しかも被害総額が限度額を上回った場合には,被害者全員が被害額以下の救済しか得られなくなり公正さを欠くという問題がある。したがって,責任限度額を適正に設定することができ,かつ,責任賠償額を公平に分配する手続きを併せて設けることができるのであれば,責任限度額の設定も考えられるが,このような仕組みが考えられない場合は,消費者保護の観点からは適当ではないと考えられる。
b 免責額
免責額の設定については,現行の過失責任の下では免責額といった考え方は設けられておらず,仮に製造物責任について免責額を設ければ,その部分は過失責任で救済を求めることになる。このため,免責額に相当する少額被害の簡易・迅速な救済を図る手段がほかに用意されている場合は別であるが,そうでなければ,公平な被害救済の観点から,免責額を設定することは好ましくないと考えられる。
[2] 過失相殺
過失相殺を認めるということについては,一般に異論がない。しかし,過失相殺を制限することについては,過失相殺自体が現在の司法制度における裁判官の裁量に基づくものであること,過失相殺を重過失に制限すると重過失かそうでないかが新たな争点になって紛争の長期化をもたらす可能性があり,結局,裁判官の裁量に委ねざるを得ないことから,過失相殺を重過失に制限する実益はないのではないかと考えられる。

欠陥(けっかん、 Defect)とは:理想状態を想定できる物事における理想状態との違いである。
自動車、建築物などの製品においては、設計時の設計ミスや製造時の組み立てミスなどによって組み込まれた不具合・問題点。
参照:リコール (自動車)、リコール (一般製品)、バグ
材料工学、材料力学、材料強度学においてはボイド、気孔、き裂(クラック)など。
結晶学、物性物理学、固体物理学においては格子欠陥。
製造物責任法(PL法)第2条・2項の欠陥の定義では、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」とされている。
ここまでja.wikipedia.orgより引用

欠陥とは:欠けて足りないこと。不備な点。「論理上の欠陥を衝(つ)く」「欠陥商品」デジタル大辞泉の解説

欠陥とは:必要なものが欠けていること。不備・不足のあるもの。住宅でいう欠陥とは設計や施工段階のミス、手抜き工事等で、あるべき住宅性能がなくなったり、そのために危険が生じている住宅のこと。具体的には、雨漏り、壁等の亀裂、建物や床の傾斜、振動など。かんたん不動産用語解説の解説

欠陥とは:必要なものが欠けていること。不備・不足のあるもの。欠点。 「 -車の修理を無償で行う」 「方法論の-を衝く」大辞林 第三版の解説
ここまでkotobank.jpより引用

ソフトウェア開発は、建築の建設システムとかなり似通った部分があるので、あえて記載します。

欠陥とは:品質向上のために重要なのは、欠陥を作らないことである。ソフトウェアは論理的なものであるため、欠陥が目に見える形になるのは開発したプログラムを動作させてからである。しかし、それ以前のプロセスから生まれた欠陥が、後のプロセスにおいて徐々に顕在化していくことは事実であり、欠陥を作らないように意識して開発することが重要であるのはいうまでもない。

欠陥を作らないためには、システム開発における欠陥とは何かをあらかじめ認識しておかなければならない。欠陥は、以下のようなパターンに分類される。

1-欠落の誤り
2-規定の誤り
3-あいまい性の誤り

1-欠落の誤りとは、必要な機能が欠落していたということである。これは、要件定義や設計、テストにおいて発生する。要件定義や設計では、ユーザから明示的に要求されなかったものが欠落することが多い。テストにおいては「テストケースの漏れ」として発生する。
2-規定の誤りとは、仕様としたものが誤っていたということである。もうひとつのパターンとしては、欠陥が発見され修正を行ったが、それが誤修正であったということである。
3-あいまい性の誤りとは、記述に対する明確性の欠如による誤りである。これらは、作成者本人から第三者に情報が引き継がれた後で、第三者の解釈によって誤りとして発生する。

これらの誤りを作り込まないために、どのように開発していくか、ということが品質向上のポイントである。

A=設計における欠陥
設計における欠陥は、以下の4つに分類することができる。

①―実行機能の欠落
②―機能設定、起動、終了、管理
③―データの欠陥
④―アプリケーション構造と処理方式

①-実行機能が欠落する原因の多くは、要件定義されていない場合に頻繁に発生している。つまり、要件定義プロセスの成果物品質が高まれば、その多くは解消されるはずである。前述したように、ユーザからの明示的な要求事項でないものは、機能として欠落してしまう場合が多い。実行機能の欠落を防止するには、「業務の常識」を知っていて、「行間が読める」人間がSIベンダや開発者にはいないという前提で、要件定義プロセスを見直すことが必要である。

②―システムの機能設定・起動・終了や、それらの管理という面での欠陥も非常に多い。最近ではフィールドテストが省略されるプロジェクトが多く、初期のシステムトラブルにおけるシステムの再起動などで発覚する場合が多い。必然的に、トラブルからのシステム復旧に必要な時間が増えてしまう。本来は、いくら遅くとも、システムテストにおいて発見されるべきことである。個々の分割された機能を開発し、システムテストにおいては疑似的な環境で段階的にテストされるため気がつかず、基盤構築時においても、段階的なテストを行った状態でシステムをリリースしてしまう。

これらを根本的に解決するには、システムの実行環境や運用設計を十分に行った上で、それらをアプリケーション開発に的確に反映させていくプロセスが重要である。

③―データの欠陥については、厄介な問題が内在している。テストデータと本番データの想定の差異によって、システムの運用が開始されてからのトラブルと改修という結果を生んでいる。システム開発者は、常に本番データの想定が不十分である。
  例えば、データの記述という問題がある。電話番号の市外局番・局番・番号を分解するため
のスペースやハイフンなどの区切り文字への想定、あるいは移行するデータに多くのゴミやメモが含まれている場合など、「ありがちな想定」を怠っている場合が多い。

 しかし、その半面で、システム開発者にデータの想定を期待するのが難しいものもある。実際の業務において、どのようなデータが入力され、利用されているかを想定することは難しい。ユーザ企業のシステム担当者も、自社のセキュリティポリシをふまえた上で、本番データを適切にマスクして提供し、データ設計とシステムテストの精度を向上させる工夫が必要だろう。

 データの関連性は非常に重要である。システムのトラブルは改修によりどうにかできるが、重要なデータは半永久的に利用され、さらに間違ったデータは業務の障害になる。邪魔なだけではなく、業務にミスを生みかねない。

 運用に入ってから問題になるのは、マスタとなるデータを変更した場合である。マスタとなるデータが変更された場合に、そのマスタを参照しているデータ自体を変更しなければならないのか、あるいは過去のデータのまま保存しておかなければならないのかを十分に考慮することが重要である。

 また、データの重複は、システムの性能に影響を与えるばかりでなく、データが変更された場合には、システムが正しいデータと間違ったデータの2つを持ってしまうことにもつながる。

 データベースもプログラムと同様に、「作れば動く」ものではあるが、データのライフサイクルは、プログラムのライフサイクルよりもはるかに長く、プログラムの改修のように簡単には直せないという前提で十分な考慮が必要である。

④―アプリケーション構造は、プログラムの欠陥を生む原因となる。つまり、設計の正しさは、単に「システムが動作すればよい」という前提に立つものではないことを意味する。システムの設計が簡潔であればあるほど、プログラム構造や個々のプログラムが単純になり、欠陥が含まれる可能性が低くなる。システム設計者には、複雑な機能を持つシステムをどれだけ簡潔に設計するかという課題が与えられている。

 処理方式も、設計者に与えられた課題のひとつである。日本のシステムにおける例は、システムが持つバッチ処理の多さに代表される。バッチ処理で、個々の機能は単純化されるが、それぞれのバッチ処理をどのように制御するかが非常に複雑になる。保守の面でも、大規模なシステムのバッチ処理はかなり厄介である。さらに、少しずつ並行処理すれば、短時間で終了するものが、システムのユーザ運用が終了した時間から、大量のデータを一気に処理することになり、夜間のバッチ処理時間が問題になってくる。バッチ処理の
性能を簡単に改善するには、より高速に処理できるハードウェアの導入を余儀なくされる場合が多い。

 さらに、バッチ処理は他システムとの連携処理を実現するうえで実装される場合がほとんどである。古くからの温泉旅館が渡り廊下で巡らされ、迷路のような状態になるのと同様に、個々のシステムがどのように依存関係を持っているかが不明確になる。ひとつのシステム障害が与える影響が、多数のシステムに及んでいく。

 「4.6.速い、安い、うまい」の「 部品化、再利用」に記載したように、個々のシステムの依存性を低下させていくための取り組みと合わせ、個々のシステムの依存性や処理能力を考慮した処理方式を採用することが、設計における重要なポイントである。

B=プログラム開発における欠陥

 プログラム開発における欠陥は、「バグ」である。バグを生む要素の多くは、以下の3つに分類される。

1-上流プロセスでの成果物の欠陥
2-プログラム設計の省略
3-誤修正

1-きちんとプログラム設計を行い、レビューすることで防げる問題は多い。特に、仕様にマッチしないプログラムを生み、それを修正するコストは大幅に減少させられる。これを防止するには、チームリーダが見た目だけの進捗を計上するために、「書類はいいから着手しろ」とか、仕様が決まっていない機能を「わかっている範囲でいいから作り始めろ」という指示をしないことである。さらには、開発者自身が「時間がないから」という理由でプログラム設計の省略を求めた場合に、それを容認しないことである。

2-プログラム設計をきちんとしていれば、コーディング時に考える要素が大幅に減り、コーディング自体が「作業的なもの」に近づくのである。「作業的なもの」になっていれば、必然的に開発に必要な時間は省略される。プログラミングにおいて、作って、動かして、直して、を繰り返し、作られた機能が正しいものかを検証できないようなやり方は、リーダ・開発者ともに容認しないことだ。

3-もうひとつの頭の痛い問題は、誤修正である。プログラムの改修において、5~20%は誤修正となるといわれている。バグを修正しようとして、新しいバグを作り込んでしまう。これをすべて防止することは困難だが、プログラムの構造を単純にすることで、かなりの誤修正を防止できる。

 開発したプログラムのサイクロマティック複雑度を取得し、評価しながら開発を進めていくやり方は、プログラム構造を単純にするために有効である。なぜなら、サイクロマティック複雑度を計測するフリーソフトウェアは数多くあり、また評価が簡単だからである。

 サイクロマティック複雑度は、その数値が増えるほどプログラムの欠陥が増えていくという統計的な相関関係を持つ。一般的な指標として、複雑度が10以下のものは保守可能な許容範囲として認められている。しかし、複雑度があまりにも高いものは、欠陥が潜在している可能性が高い上に、保守が限りなく困難である。つまり、開発コストを増やすばかりでなく、保守におけるリスクを高める結果となるのである。

 複雑度の高いプログラムの保守においては、無理にプログラムを改修するよりも、プログラム構造を見直して最初から作り直したほうが、工数が少なくて済む場合が多い。ただし、複雑度の高いソースプログラムのリバースエンジニアリングが困難であることを考慮すれば、最初から作り直すことができるのも、正確に記載された設計書が残っている場合に限られる。
ここまでhappyengineering.orgより引用

これも、他分野の欠陥の捉え方ですが、参考になるのであえて掲載します。

欠陥と不良とは:顧客は、製品やサービスが規格を満たしていることを期待します。規格が満たされていないとき、欠陥または不良が存在していると言います。

欠陥とは:規格からの逸脱を呈す項目またはサービスを指します。欠陥があっても、必ずしも製品またはサービスが使用できないとは限りません。単に製品が意図どおりに生産(または提供)されなかったことを意味します。

たとえば、レストランでのサービスが評価されているとします。席に着いてから最初にウェイターが来るまで5分かかった場合、お客は注文をして食事を楽しむことができますが、迅速な接客に対する期待は満たされていません。したがって、これはサービスの欠陥(「接客が遅い」)と見なされる可能性があります。

不良
不良とは、完全に使用不可と見なされる項目またはサービスを指します。各項目またはサービス経験は不良か不良でないかのいずれかであり、2つの選択肢しかありません。

使用不能な部品が出荷されないように、品質検査者が最終出荷前に自動車部品を評価し、各項目を「合格」または「不合格」として評定します。

欠陥と不良の比較

不良品には1つ以上の欠陥があります。ただし、欠陥がある項目がすべて不良というわけではありません。不良かどうかは欠陥の重大度によって左右されます。新車には、欠陥がいくつか含まれている可能性があり、顧客が気付かないような欠陥がある場合もあります。ただし、測定および報告された欠陥が含まれている車(または車の部品)は、不良と見なされることがあります。

ローン申し込みの処理について考えてみます。この場合、処理を行うのは顧客です。欠陥がいくつあったかを調べることにしました。申し込み書には、36の項目があります。50の申し込み書をサンプル抽出して欠陥率を推定します。あるサンプルには不正確な項目が7つありました。つまり、この申込み書には7つの欠陥があります。別のサンプルには不正確な項目が4つありました。つまり、この申込み書には4つの欠陥があります。

全体では、18の申込み書に少なくとも1つの欠陥があったので、50のうち18の申込み書に欠陥があったことになります。全体で機会数1800(申込み書あたり36の機会*50の申込み書)に対して合計62の欠陥が見つかりました。

欠陥および不良データの分析

使用する統計分析の種類は、評価するのが欠陥なのか、不良なのかによって異なります。
不良を評価するには、1サンプルの比率検定、2サンプルの比率検定、P管理図、NP管理図、二項分布の工程能力分析など、二項分布確率モデルに基づく分析を使用します。これらの分析では、工程の不良率が評価されます。
欠陥を評価するには、1サンプルポアソン率検定、2サンプルポアソン率検定、C管理図、U管理図、ポアソン工程能力分析など、ポアソン確率モデルに基づく分析を使用します。これらの分析では、工程の欠陥率が評価されます。

注:「不適合性」という用語は欠陥を指すために使用され、「不適合」という用語は不良を指すために使用されることがあります。
ここまでsupport.minitab.comより引用

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