東京地裁 平成25年3月11日判決(確定)

東京地裁 平成25年3月11日判決(確定)

共用部分の瑕疵担保責任

概要:購入住戸のルーフバルコニーに、上階からバルコニーの 手摺の一部が落下したことは、ルーフバルコニーの瑕疵に当たるとして、損害賠償請求の一部が認められた事例

新築マンションの買主が、住戸に付随する ルーフバルコニーに上階バルコニーの手摺の 一部が落下し、また、落下するおそれがあっ たため、ルーフバルコニーが使用できなかっ たと主張し、主位的に売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を、予備的には債務不履行に 基づく損害賠償を求めた事案において、その請求の一部が認容された事例(東京地裁 平 成25年3月11日判決(確定)

1-事案の概要
9階建て全15戸の本件マンションは平成21 年10月に完成した。訴外分譲業者は、6階 701号室(以下「本件建物」という。)を宅建業者Y(被告)に平成22年3月31日に売却した。なお、701号室には東西両側に同程度の 広さのルーフバルコニー(東西の合計面積 28.56㎡)がついていた。 平成22年5月頃、X(原告)が、Yの担当者Aの案内で本件建物を内覧した際、東側ルーフバルコニーに長さ145cm、幅3.5cmの棒 が落ちているのを発見したが、X、Aとも、それが上階901号室のバルコニーの手摺から落下したものとはわからなかった。平成22年 6月15日、XとYは、本件建物の売買契約を 代金1億2300万円で締結し、Xは、同月18日に引渡しを受けた。 同年12月24日、Xは本件建物の東側ルーフバルコニーに長さ145cmの棒が落ちているのを見つけ、同月28日、施工会社の社員に調査してもらったところ、901号室のバルコニーのアルミ手摺の縦格子部材(以下「本件部材」という。)であることが判明した。更に、本件部材の落下により、ルーフバルコニーに設置したエアコン室外機の一部がへこみ、また、本件部材が、801号室又は701号室のサッシ上 部の小庇又は下部の面台のコンクリート面にいったん落下したため、コンクリートの破片が落下していた。施工会社は、バルコニーのアルミ手摺の点検を行い、901号室および801 号室については、平成23年1月18日までに、動く縦格子は取り外し、動かないものは一部下部補強アングルを取り付けた上、テープで 固定した。(以下「本件応急措置」という)。それ以外の住戸のアルミ手摺には、力を加えて動く縦格子はなかった。本件応急措置以降 は本件部材の落下は発生していない。その後、同年12月17日開催の管理組合臨時総会にて補修案が承認され、補修工事は平成 24年3月19日に完了した。Ⅹは、Yに対し、主位的に、瑕疵担保責任による損害賠償として、予備的には、Yの担当者Aが、Xの内覧時、本件部材が落下する事実を発見することができず、安全な部屋を引き渡す義務に違反したという債務不履行による損害賠償として、1230万円及び同額に対する年5分の割合の遅延損害金の支払を求め提訴した。
2-判決の要旨 裁判所は、次のとおり判示して、Xの瑕疵担保責任に基づく請求を一部認容した。 ⑴ 隠れた瑕疵の存否 本件部材は長さ145cm、幅3.5cmのアルミ 製の棒であり、落下の際にはコンクリート破 片の落下も伴っており、ルーフバルコニーに 人がいた場合には身体への危険が及ぶものと認められ、また、上階バルコニーのアルミ手摺の部材には他にも一部緩み又はずれがあっ て落下する危険があったと認められるのであるから、本件建物に付属するルーフバルコニーは、通常備えるべき品質・性能を欠いていたものというべきである(以下「本件瑕疵」 という。)。 そして、ルーフバルコニーは、本件マンシ ョンの共用部分であり、本件建物そのものではないが、規約上、玄関扉、窓ガラス等と同様に、区分所有者である本件建物所有者がその専用使用権を有することが承認されていることに照らせば、本件建物に付随するものとして、本件売買の目的物に含まれるというべ きである。したがって、本件瑕疵があったこ とについて、本件建物の売主Yは、Xに対し、売買の目的物に隠れた瑕疵があったものとして、瑕疵担保責任を負うというべきである。 ⑵ 損害の額 本件瑕疵は、引渡日(平成22年6月18日 から本件応急措置日(平成23年1月18日)ま での約7か月間存在したものであり、Xは、この間、ルーフバルコニーを安心して使用できない状態にあったというべきである。そして、本件マンション分譲当時の販売価格表によれば、上層階ほど価格が高くなっており、一階上は900万円ないし1000万円高く 設定されているのに対し、6階701号室(109. 39㎡)は1億9800万円、ルーフバルコニーの ない7階801号室(109.39平方㎡)は1億 9500万円とされ、1階上の方が300万円安く設定されていたことが認められることから、本件建物の価格は、ルーフバルコニーがない場合と比較して1300万円程度すなわち約6. 6%ほど高く設定されていたものと認めるのが相当である。そして、上記期間において本 件建物を賃貸した場合の賃料は月額50万円であったとするのが相当であると認められるから、6.6%に当たる月額3万3000円が、Xが ルーフバルコニーを使用することができないために被った損害月額と認めるのが相当であるというべきである。よって、Xの本件瑕疵による請求は、月額 3万3000円の7か月分に当たる23万1000円及び同額に対する年5分の割合の遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余は棄却する。
3―まとめ 本件は、共用部分であるルーフバルコニー も、本件建物所有者が専用使用権を有することから、本件建物に付随するものとして売買の目的物に含まれると判断され、売主の瑕疵担保責任が認められたケースであり、区分所 有建物の共用部分、殊に、専用使用権を有する共用部分も売買目的物に含まれるとする参考例である。また、専用使用権を有していない、共用部分も売買目的物に含まれ、瑕疵担保責任を負うとした判例もあるので、参考とされたい。(東京地裁 平成20年3月27日 判決 平16(ワ)14779)

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