建築業界に物申すまとめ-2

建築業界に物申すまとめ-2

前回までのこのブログの内容を、私の頭の整理を含めて行いたいとおもます。

避難安全検証法の主観的瑕疵

避難安全検証法とは、地下5階、地上50階を超えるビルの場合でも、避難安全検証法で言うところの、ルートC(全館避難安全検証法)の計算式の結果が、健常者である最終避難者が避難するのに要する時間が、3時間以上掛かかり、且つ、避難通路の扉に健常者の大人が、自身の体重をかけてでないと開けることが出来ないような扉(防火区画の自動扉の場合)があっても、建築基準法上安全であると判定する法律のことです。ましてや、上層階にホテル等がある建物では、消防署から丸適マーク迄が頂ける根拠となる法律なのです。

こんな馬鹿な法律がありますか!元々、避難安全検証法は病院、診療所、児童福祉施設というような、自力で避難することが困難な施設には、避難安全検証法は適用できない法律であるとは言え、このような複合建築物には、店舗、会議場、展示場、フードコートやホテル等の他に、集合住宅(マンションの法律用語)等も含まれることも在り得るのです。そうした場合を考えてみてください。一住居となれば、お年寄りや自力避難の困難な障害者等々も、居住されことが容易に想定されます。

このブログの読者の皆さんは、ご存じないかもしれませんが、高い建物から避難する場合、その避難に使うことが許されるのは、階段(直通階段、若しくは特別避難階段)だけです。エレベーターやエスカレーター(非常用エレベーターを除いて)は非常時には全ての電源が落とされ使用できません。一部虎ノ門ヒルズが、2014年12月02日付けの、森ビル株式会社のニュースリリースで、非常用エレベーター(基本的には消防隊の消防活動用のもの)を活用した、避難計画の運用を開始(超高層複合タワーで初めて、東京消防庁より認定を取得)したとの報道がありましたが、それ以外は、私は本日いま現在まで、聞いたことがありません。

お年寄りや、障害者が階段を使って、30数階から降りてくる様を、想像してみてください。ましてや、健常者の大人が、自身の体重をかけてでないと開けることが出来ないような扉(防火区画の自動扉の場合)や、避難するのに3時間以上も掛かるような状況の中で、お年寄りや、障害者を背負うなり、抱きかかえて避難させるのは、余程の訓練と、介助するためのグループが、チームワークを良くして行動しない限りは、この避難は不可能です。健常者であっても、避難に3時間以上も掛かれば、普通の精神状態ではいられません。パニックを引き起こします。このような建物を設計すること自体に私は、耐えられません。

では何故、このようなことになってしまうのかを考えてみます。建築基準法では,階数や建物規模に応じて避難施設を要求する規定は、15階までとなっています。(建築基準法施行令第122条第3項)例えば、15階建て事務所ビルと同じ基準階プランで50階建て,100階建ての超高層建築物を計画することは可能であり,そのことに対して直通階段を増やすなどの更なる追加的な法的制約は設けられておりません。

そして、このような課題に対して,任意ですが、2000年から避難安全検証法という諸外国には無い、性能規定を施行することとなり、この避難安全検証法により多くの高層建築物が誕生したのです。

ですが、避難安全検証法を端的に説明すると、避難経路における煙降下時間と、避難者が住居や執務室から避難するのに要する時間との差を、数値化して安全か安全でないかを、判断しているだけです。当然に、避難者は階段を目がけて集中します。その集中を制御するため、住居や執務室との間に、人が溜まることが出来るような、バッファー空間を設けたり、階段室や住居・執務室の扉幅を広げたり締めたりして、避難時間を遅らせたり、早めさせたりして、在館者全員が避難できる時間を割り出し、これが煙の降下時間より早くなる様に計画する考え方なのです。

では何故このような、考え方に至ったのでしょうか。答えは、高層ビルや超高層マンション・超高層複合ビルが、どんどん作られていく中で、火災の発生による事故があったり、どう考えても、いま現在の法の中では、解決の出来ない事象が多数発生したからです。ですが、片や発注者側では、貸室面積(レンタブル比)や分譲可能面積(事業計画における資金)の減少は、即ち利益の減少となるため、不動産団体等からの圧力もあったため(この部分は、私の憶測です)、上記のような制度を、編み出したということではないかと推測します。

その証拠に、この避難安全検証法の適用によって、排煙設備や避難階段等の防火避難規定が、適用除外できるため, その結果として,建設コストと避難安全性能のトレードオフが可能となり,従来の仕様設計方法よりも却って、安全性が劣る建築計画を誘発しているケースが多く見られるようになりました。
このように、避難安全検証法による性能規定化は,一意的な仕様規定から自由で合理的な性能設計への新たな道を開いたものであるが,一方で建築設計者の矜持に期待するだけでは解決できない新たな難問を生じさせることとなったのです。

尚、上記のような高層マンションや超高層複合施設ビル等は、その殆どが、第一種ないしは第二種再開発事業であり、その申請等で厳しい面がある反面、容積率の緩和や、床面積の除外規定、補助金・助成金制度の活用などが可能となり、立上げ当初に必要となる資金さえ確保できれば、後は、再開発事業を数多く手掛けている設計事務所に依頼できてさえしてしまえば、再開発事業者は、色々な意味でのメリットを享受することが出来、且つ、利益も大きいという、幸運に恵まれることになるのです。

しかし、私のような武骨者にとっては、冒頭に記したような欠陥のある建築物を、設計する設計者に対して、木を見て森を見ない大馬鹿者だと、声を大にして叫びたくなるのです。
本来、設計者とは正しくこのような制度の間違えに対して、建築の専門家として立ち向かうことが出来る者こそが、本来社会から求められる、設計者なのではないでしょうか。
正しく、これ間違った制度こそが主観的瑕疵でなくて、何なのでしょうか。

追記:この避難安全検証法の避難時間等に関しては、私の調べた限りでは、不動産の重要事項説明の要件には、入っていないように見受けられます。このような事も含め、この制度の在り方には、問題があると考えます。このような事も、制度上の瑕疵なのではないでしょうか。

住宅瑕疵担保履行法の概説

特定住宅瑕疵担保履行法の概要説明です。

建築基準法関係法令+地震・事件・社会状況

建築基準法関連法令の改正と地震・エポックメーキングな事件・社会状勢・消防法の改正と、特定住宅瑕疵担保履行法の立法事実の違法性(瑕疵)についての考察の為の資料です。

特定住宅瑕疵担保履行法の制度瑕疵-1

前回の年表で私が示したかったのは、表題の「特定住宅瑕疵担保履行法」の考え方は、姉歯事件による一連の流れの中で、自然発生的に生まれた産物では無いのだと言うことです。
上記の内容をご覧になっていただければ、お解り頂けますように、そう1982年には今回の「特定住宅瑕疵担保履行法」は、数字や手続き上のほんの少しの違いはあるにせよ、その骨格はほぼ完成していたのです。ですが、官僚の思惑とは異なり、その契約件数が民間法人を含めて、年間の完成引渡し物件数の12.8%にしか満たなかったことから、この財団の迷走が始まるのです。
その迷走の結果としての、矢継ぎ早の官僚、行政マン総出の制度設計や補助金・助成金等々の施策と、外殻団体(住宅金曜公庫等)等による援護策等々です。
そうしている間の30年後に、この制度に係わった官僚や行政マンが待ち望んでいた、社会状況が到来したのです。そう姉歯耐震偽装事件によるデベロッパーの倒産によって引き起こされた、被害者の救済問題です。

この機を逃がしてなるものかと動いたのが、国土交通省の官僚組織です。元々、この制度の保険には、損害保険会社への再保険が前提であることから、財務省も金融庁も異論を唱えることがありません。この制度が法律によって、義務化されることで財務省も金融庁の天下り先である、損害保険会社への恩恵が少なからずあるからです。
国土交通省の高級官僚や、地方の行政マン&財務省や金融庁の官僚も、この制度の立法化によって利権の増大に資することはあっても、障害になることは一つもありません。
確かに、今回の姉歯耐震偽装事件のような例に遭遇してしまうと、一見この制度がまともな制度のように感じてしまいますが、チョット冷静に考えてみれば誰でもが気が付くのではないかと思われるのです。この矛盾、制度瑕疵を。

住宅瑕疵担保履行法の制度瑕疵-2

この制度に関する4つの何故について、考えたいと思います。
一、何故、保険制度でなければならないのか?
二、他の制度、例えば共済金制度等ではだめなのか?
三、デベロッパーの倒産により、損害賠償の補填が出来なかったということであれば、倒産保険なり共済では、駄目だったのか?
四、というよりもこの制度以前に、何故、このような偽装が見破ることが出来なかったのか?行政庁の役割である、建築確認申請とはどのようなもので、どこに問題があってこのような、事態を招来させてしまったのか?どうすれば、このような事態を引き起こさせないことが、可能なのか?

四の問題は後日として、今回は一、二を同時に考えたいと思います。元来、保険・共済共に「万民は一人のために、一人は万民のために」の相互扶助(互助)の考え方から生まれたものです。ですが、保険は民間保険会社が営利目的で不特定多数の人に保険を販売するのに対して、共済は、生協等に加入している組合員の福利厚生を図るために普及推進がなされるといった違いがあります。また共済は、非営利の生協により運営されているため、共済金の支払いが予測より少なかったなどして剰余金が生じた場合には、それを契約者に還元する「割戻金」の制度があるという違いがあるということです。

1.支払保険金―保険金の支払いが+1/3
2.責任準備金―支払い保険金の準備金-1/3
3.付加保険料―保険会社の運営にかかるコスト(予定維持費、予定契約費、予定集金費)が保険料に乗せられた部分をいいます。1/3
純保険料(支払保険金+責任準備金)+付加保険料=我々が支払う保険料
という計算式が成立つように、生命保険では死亡率、損害保険では事故率と、資産運用で見込める利率を表す「予定利率」をもとに、保険料を算出するのが大原則です。

hokensc.jp/yougo/sekininjunbikinより引用

この計算式を見て思い出すのが、私が二十歳のころ同窓会で聞いた話でビックリしたのが、同学年の女友達の年間の賞与が3.3×3=9.9か月(大手損害保険会社)と言う話です。つまり、年収=21.9か月×約8万円/月=175.2万円です。
つまりこんなことも、先の計算式の付加保険料と言う考えが、まかり通っている業界だから出来る事なのでしょう。監督官庁は金融庁で民間法人が、不特定多数の人に営利を目的に保険を販売するもので、根拠法は保険業法です。

それに引換え共済はどうかと言えば、共済制度は「相互扶助の精神に則った組合員の助け合い」で成り立つ非営利事業で、監督官庁はJA共済であれば農林水産省、生活協同組合であれば厚生労働省となります。またその根拠法は、CO-OP共済では消費生活協同組合法で、JA共済であれば農業協同組合法になります。尚、消費生活協同組合法に基づく組織については、法人税優遇があり(協同組合等指定)、組合員は出資義務を負う (第16条)、議決権は出資割合によらず平等である(第2条,17条)等の特典や制限があるため、共済事業では利益を得ることを目的としないという事が、保険との大きな違いです。

つまり、消費者や生産者(建設業者)の立場で考えれば、このような共済制度の活用が望ましのですが、この「住宅瑕疵担保履行保険」は、その目的が先に見た付加保険料による、天下り先の確保や、現場検査費用の徴収を目的としたものであり、要は天下りの天下りによる天下りのための保険制度だという事です。まさしく、制度瑕疵でなくて何でしょうか?

住宅瑕疵担保履行法の制度瑕疵-3

表を参照ください。検査料+保険料(付加保険料+純保険料)=保険料等
となっています。

ここで話を統一させるために、条件整理をさせていただきます。
建物は、木造二階建て延べ床面積は80.3㎡(この国の平均延床面積/戸)で、中小工務店の施工とします。住宅瑕疵担保責任保険法人は株式会社 日本住宅保証検査機構とします。
この場合の、検査料等は下記となります。

申請手数料7,560円+検査手数料・基礎配筋検査11,500円+躯体検査14,400円=31,460円です。ただし、階数が4以上の場合は、これに防水検査11,500円が加算されます。
では次に保険料はどうでしょうか。

上記の条件で検索を掛けますと、保障額が2,000万円の基本プランですと39,900円となります。

つまりこれを計算式にしますと。
申請手数料7,560円+検査手数料25,900円+保険料39,900円=73,360円が掛かる事になります。

因みに、建築確認申請費用は別途かかりますのでこれも、下記に計算式にします。
申請料19,000円+中間検査25,000円(上記の躯体検査のこと)+完了検査25,000円=69,000円です。

総合計=73,360円+69,000円=142,360円となります。
これに、若し住宅性能評価をインターネット申請で加えたとすると
申請手数料44,930円+設計検査37,800円+施工検査63,000円=145,730円
施工検査はこの規模で、3~4回です。
この総合計は=142,360円+145,730円=288,090円となります。

ここで、論点を二つに絞りたいと思います。
一つは、検査料に関して、もう一つは保険料に関してです。

では、検査料に関して検証していきます。

去年の我が国の新築住宅の引渡し件数は約90万戸です。
単純に引渡し件数90万戸×25,900円=2331億円です。

検査員一人当たりの報酬を600万円/年・人とし約2割が何らかの手数料として差し引かれたとして、
23,310,000万円×0.8÷600万円=31,080人の検査員が難なく暮らしていけることになります。

国家公務員平成25年任官修了者(専門職)12人+地方公務員約25,000人×約0.1=2,512人です。

31,080人/年÷2,512人/年=12.37年間分の仕事が発生したという事です。

日本で一番新築住宅の着工件数が少ないのが、鳥取県でその数は3,148戸です。
この条件で計算しますと、3,148戸×25,900円=81,533,200円となります。
2割は途中で経費として抜かれたとして、81,533,200円×0.8=65,226,560円となります。これは、50歳定年の役人が10人楽に暮らしていける数字です。

3,148戸/10人=314.8戸/220日=1.43戸/日となり、一日約1.5戸の検査をしていれば、至極安泰な暮らしが可能になるという事です。ましてや、ここが味噌なのですがこの検査は、建築確認申請の検査と兼ねることが可能なのです。ですので、何時でも兼ねられるとは限りませんが、それが可能であれば略1戸/日のペースで充分というカラクリです。且つ、これに住宅性能評価の検査が加われば、もう笑が止まらないくらいの生活が待っていることになるのです。つまり、半日労働で約800万円/年の報酬が保証されたと言う事です。
これは、全てお役人の采配で世の中が動いているという事を示しているのです。いかがですか?これでも、制度瑕疵だとは思いませんか?

最後に、付加保険料です。
付加保険料(55~60%)+純保険料(40~45%)=保険料90万戸×39,900円×0.5(供託割合)となり、付加保険料は約98.75~107.73億円です。
各県の代理店の手数料を7~15%、平均を11%だとすると、約100億円の11%で11億円。
この経費を除いた残りが、純粋な指定保険法人の収益だとすると、100億円-11億円=89億円です。これを独占企業5社で平均従業員数200名として1,000名、一人当たりの売上が890万円/人です。いま、現実の企業の中で従業員一人で約900万円稼げる企業がどれ程あるでしょうか?空前絶後とはこの事かなと思う、今日この頃です。これに、先の登録手数料等微々たるものだとは故、プラスαを考えると、情けないやら何やらも~何も考えたくなくなります。

住宅瑕疵担保履行法の制度瑕疵-4

次は、保険料です。
d.hatena.ne.jp/boogierock/20090802/1249216899、このブログに下記のようなコメントがありましたので、それを参考にさせていただきます。

財団法人住宅保証機構(指定保険法人)は、120㎡の建物で、現場検査費用23,320円+保険費用45,650円=68,970円と発表した。過去10年間の瑕疵の発生データがある。発生率は0.6%、発生費用金は1件180万円と調査会の報告である。つまり1,000件の内6件に瑕疵が発生し、瑕疵の総金額は1,080万円。1件当たりの負担金は1万800円となる。還元率は23%である。競馬の還元率は70%、パチンコの還元率は80%、やくざの賭け事だって還元率は70%なのに、あまりに高すぎる保険料。
ここまで引用。

冒頭の表をご覧ください。付加保険料+純保険料=保険料となっています。ここで、上記のブログの著者は、還元率が10,800円/45,650円=23%で、ボッタくりではないかと言っているのですが、賭け事等と比較した場合は確かに言われる通りですが、保険として考えた場合には、損害保険としては、チョット低いのかなと思いますが、まぁ~まぁ~妥当な線だと思われます。もっと追及しなければならないのは、この中身です。

上記のブログの還元率23%であれば、多分純保険料は40~45%となります。
この制度の面白いところは、ちゃんと監督官庁毎に棲み分けがなされているという事です。
要は、金融庁の管轄の再保険として損害保険会社に支払われる保険料は、
・・・過去5年間(2010~2014年迄)の新築住宅着工件数は、819,020+841,246+893,002+987,254+892,261=4,432,783戸、着工件数と引渡し件数は、異なるのですがそこは丸めた数字という事で、そのまま使用しますと・・・

再保険料金額は4,432,783戸×0.5(供託が半数故)×39,900円×0.4~0.45=353億7361万円~397億9531万円・・・
これから実際に支払われた保険金は、1,844件(過去5年間の保険事故件数)×180万円(どこを探しても数字が無いので最大を取りました)=33.912億円となり・・・

損害保険会社の粗利は、再保険料-支払い保険金となり、353億7361万円~397億9531万円-33.912億円=319億8241万円~364億411万円です。

つまり、実際の還元率は33億912万円/4,432,783戸×0.5(供託が半数故)×39,900円=33億912万円/884億3402万円=3.834%で、約4%となります。
事故率はと言えば、住宅瑕疵担保履行保険の実際の事故率は、1,844/4,432,783戸/2(供託が半数故)=0.0832%です。供託も含めて計算すると0.0416%、何れにしても財団法人住宅保証機構が言っている事故率0.6というのは、どこから出てきた数字のだという事です。
どんなに少なく見積もったとしても、過去5年間で340億円/5年が、損害保険会社の懐に苦も無く入っているのです。寝ぼけているというか、恍けているというか、最初の事故率データは誰かの捏造ですね!完全なる詐欺です。やはり、官僚を抱え込んでいる企業は、強いですね!

ここまでmlit.go.jp/common/001041519.pdfより引用。

皆さんが、汗水流して一生懸命働いて稼いで支払った保険金の僅か4%で事故率は0.083%です。この僅かの数字の分だけ、皆さんの内の誰かの役に立ったという事です。これで、納得されますか?これが、民の公僕のすることなのでしょうか?私は、許せませんね!やはり、誰かが声を挙げないとこの国は、とんでも方向に向かってしまいます。まさしく、制度瑕疵です。

住宅瑕疵担保履行法の制度瑕疵-5

倒産保険について、ここで、問題にしなければならないのが、下記に示す経営者のモラルハザードではないでしょうか?

不動産会社などの場合に、社会状況が悪化して販売不可能な在庫を抱えてしまい、資金繰りに行き詰ったときなどに、保険会社から一時的に「保険金」という形でお金が支払われるのである。ここで気をつけなければならないのが、保険金の支払対象となる事象をきっちりと定義しておくことであろう。ともすれば、保険が甘えにつながり、放漫経営にもなりかねない。保険金支払いの際には、保険会社から監査が入り、経営に問題がなかったかどうかを審査される仕組みを作っておく必要がある。

そうつまり、経営者のモラルハザードを誘引させないか?計画倒産を考慮しなければならない等、チョットハードルが高そうな気がして、私の知人の保険ブローカーに聞いてみましたが、やはり同じ解答でした。

この保険は、可能性ゼロではないとは思いますが、余程制度設計を上手く組み上げないと、設計上の瑕疵が発生し実現性は乏しい様に感じられます。
やはり、落ち着き先は、物理的瑕疵の共済保険という事ではないでしょうか?

評価し判定を下す主観的・客観的基準とは-1

検査とはつまり、測定(目視等を含む)や試験から評価し判定を下すことです。

ここで先の品質に戻ります。つまり品質とは「何かに使用する、形のあるものの良否・粗密・傾向などを決めることになる性質。実際の内容」と概念規定します。

評価し判定をするのには何が必要なのでしょうか?

つまり、評価し判定を下すための基準(=要求事項を満たす程度)が、必要なのではないでしょうか。

その基準には、大きく分けて主観的基準と客観的基準があると思います。

客観的基準とは、例えば技術的な基準や法的な基準等です。
又、主観的基準とは、あなたやあなたの家族の趣味・趣向、設計者の感性や施工管理者の趣向等が考えられます。

客観的基準における技術的な基準とは、如何なるものでしょうか。

ここで客観的基準はチョット後にさせて頂いて、客観的基準を表現する手段としては、何か?について考えてみてください。

答えを先に言ってしまいますと、それは設計図書です。注:設計図だけではありません。設計図+仕様書等です。

建築基準法の第2条12項には、設計図書について「建築物、その敷地またはこの法規で規定されている工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう」
建築士法の第2条1項には、「設計図書とは建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書」とあります。

説明をしますと、これは、優先順位を言っているのです。
例えば、現場説明書と特記仕様書及び図面(設計図)が異なっていた場合に、施工管理者(実際には施工図作成者+各専門工事業者が多いと思います)は工事監理者ないしは設計者に、質疑書を提出し、その回答を得ます。これをありとあらゆる部分について、行っていきます。ですので、ここで想定している分譲マンション12階建て50戸程度の規模の場合でも、大体数千項目になると思われます。

話を本題に戻します。要するに、判断に困った時にはこのルールに従って、物事を決め施工図の作成、施工計画書の作成と施工管理を進めていくという事になります。
因みに、ここで想定している分譲マンション12階建て50戸程度の規模の場合での適用範囲を示しますと、下記の様になります。
(1) 質疑応答書
(2) 現場説明書(見積要綱書、工事区分表等を含む)
(3) 特記仕様書
(4) 開発会社独自の工事標準仕様書
(5) 設計図
(6) 建築工事標準仕様書(公共建築工事標準仕様書(建築工事編) 国土交通大臣官房官庁営繕部監修 最新版)
(7) 建築工事標準詳細図(開発会社独自のもの、若しくは国土交通大臣官房官庁営繕部監修 最新版)
(8) その他、適宜ケースバイケースで追加されます。
となります。因みに、この他に建築確認申請書副本、緑化計画書、防災計画書、駐車場及び駐輪場等付置義務等関係書類等の各行政庁との協議書類一式、及び建築工事請負契約書(工事費詳細見積書、工事区分表、見積要綱書等を含む)は、上記設計図書等の上位書類となります。

つまり、我が国の法律で言えば、建築確認申請書等以下が憲法にあたり、質疑応答書以下が民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の5法に当たるという事になります。

このような、基準などを丹念に確認していくという、地道な業務の積み重ねこそが欠陥瑕疵を生みださない最良の方法なのです。

このブログ迷走の言い訳

私の感覚では、何となくこのブログの言わんとすることを記事にしおわるのが、あと120記事程度で、少なくとも今年いっぱい掛かるのかなと思っています。そして、私自身がこのブログで、本当にこのブログの読者の皆さんにお伝えすることが、もうほぼ無くなったなと思えるようになるのが、多分ですが来年いっぱい掛かるのではないかと考えています。

ですので、育てるつもりになっていただいて、少し長い目で見てやって下さい。

なので、お急ぎの方は他のページを参照いただき、ご相談等をすることをお勧めします。私のこのブログは、あくまでもその相談をする為の、参考程度にお考えいただきたくお願いいたします。

如何せん、建築業界と言うのは広大な原野のようなものなので、どこからどう踏み込んで、どう説明するか、また、何処までをどの時期に説明するか?も、大事な要素なので、そんなことも考えながら、一項目毎に記事にしているとどうしても、この程度の記事数になってしまいます。こんな荒野に立ち向かう私を、カッコよく言いますと、荒野の狼=Steppenwolfなのですね!チョットかっこ良すぎますか?ヘルマン・ヘッセです。

客観的基準とは123

ごく日常的に使用する客観的基準の羅列です。これだけ、膨大な基準があります。
この1/5程度は、常日頃使用するのものです。この程度が、難なくこなせて初めて設計者としては一人前です。

客観的基準とは-4

客観的基準とはいっても、その記述には異なる部分があり、それを読み解く知識と理解力が無ければならない。それを制御する仕組みが必要。その様な事を蔑ろにする事が、即ち欠陥瑕疵を生み出す原因なのです。

客観的基準とは-5

それでも、先入観が判断を狂わせます。即ち、瑕疵欠陥となります。

建築とは

日本の辞書若しくは辞典、事典と呼ばれるものに、「Architecture」を正確に翻訳したものは皆無です。

建築とは-2

建築」をめぐる言葉の訳し方の問題、ひいては「文化の翻訳」ということの困難さについてである。

日本語の『建築』という言葉は『アーキテクチュア』という意味にも用いられるが、一般的には むしろ「ビルディング」の意味で、あるいは動詞の「コンストラクト」(建設する)の意味で用いられている。にもかかわらず、英語の “Architecture”の訳語は『建築』ということになっているので、われわれが英作文を行うときには、ついArchitecture をも「建物」の意味に使ってしまいがちなのである。

では、『アーキテクチュア』と『建築』とのこのような違いはなぜ生じたのであろうか。『建築』という言葉は、「古語辞典」を引いてもそこに載っていないことから解るように、古くから日本にあった言葉ではない。江戸時代末期から明治時代の初めに新しく作られた言葉である。

わが国がそれまでの鎖国を解いて、西洋の文物を受け入れ始めたときに、時の指導者や学者たちが最も頭を悩ませたのは、それまでの日本にはなかった概念を輸入するときの、訳語の問題ではなかったろうか。それは単に言葉の問題であるばかりでなく、言葉をとおして、文化の制度を輸入するということだったからである。手持ちの和語や漢語をむりやり当てはめるだけではとても対応しきれずに、しばしば新しい言葉を造語する必要にもかられた。言ってみれば、これは単なる「言葉の翻訳」を越えた、「文化の翻訳」という問題でもあった。

一方英語では、 “Architecture” がおもに組合わされる相手は “Art” であって、 “Art and Architecture” という句には ひんぱんにお目にかかる。絵画や彫刻などの美術と建築とをくくる言葉だから、これは「美術、建築」と訳すよりも「造形芸術」という訳語が適当かもしれない。

『アーキテクチュア』は、明治の初めには 主に「造家学」と訳されていた。それに異議を唱えて『建築』という訳語を確立したのが、大建築家であり、優れた建築史家でもあった伊東忠太である、ということは よく知られている。多くの場合、それは彼の名誉として語られるのであるが、ここでは、それを 彼の大いなる失敗であった、と言わねばならない。それを詳しくみる前にまず、『アーキテクチュア』という言葉が 本来どんな意味であるのかを確かめておこう。

アリストテレスの『形而上学』第5巻は「哲学用語辞典」となっていて、その第1章では「アルケー」という言葉が解説されている。アルケーとは、《ものごとの始まり、原理、始動因 》のことである。( 『 形而上学 』、岩波文庫、上巻)
「事物のアルケーというは....(五)動かされるものどもがそのように動かされ、転化するものどもがそのように転化するのは 或る者の意志によってであるとき、この或る者がまたアルケーと呼ばれる。 ...諸々の技術(テクネー)においても、ことに 建築関係の諸技術を指図する 建築家(アルキテクトーン)の術が、アルキテクトニケーと呼ばれるのは そのためである。」
この「アルキテクトニケー・テクネー」(諸芸を統轄する原理)が、ラテン語の「アルキテクトゥーラ」を経て、フランス語の「アルシテクチュール」や、英語の「アーキテクチュア」その他の 語源となっているのである。

伊東忠太は、「『アーキテクチュ-ル』の本義を論じて其の訳字を選定し我が造家学会の改名を望む」という有名な論文において、次のように書いている。( 『 伊東忠太建築文献 』 第6巻、龍吟社、1937 より、現代仮名づかいとする )
「『アーキテクチュ-ル』の語原は ギリシャに在り、正しくは大匠道と訳すべく、高等芸術と訳すも可なり。しかれどもギリシャ人は自らこの語を用いしことあらず、ローマ人これをもって宮殿、寺院等を設計築造するの芸術に命名せしより、伝えて今日に至り、その本邦に伝来するや、あるいはこれを訳して建築術といい建築学といい、もしくは造家学というに至り、ついにこれを攻究するの造家学会を現出するに至りたり。」
この書き出しをもって、彼は「造家学会」を「建築学会」と改名するよう主張し、3年後にそれは実現する運びとなった。その論旨はこうである。『アーキテクチュール』が一科の美術であるか、あるいは一科の工学であるかは様々に議論されているが、自分としては、『アーキテクチュール』は世のいわゆるFine Art に属すべきものにして、Industrial Art に属すべきものではないと思う。また『アーキテクチュール』の訳語についても二通りあり、「一はこれを造家学といい、我が帝国大学これを唱う。一はこれを建築術といい、美術家の一派これに従う」。しかし、「『アーキテクチュール』の本義は単に「家屋を築造するの術」にはないのだから、「造家学会」という名前はまずい。 ではどうするか。

「『アーキテクチュ-ル』の語は、これを我が国語に翻訳することあたわざるも、強いてこれを付会すれば、則ちこれを建築術と訳するの 尤も近きに如くはなし。」
『アーキテクチュア』という言葉は 初めから「建物に関する芸術、文化」という意味を含んでいるのだから、「建築文化」の訳語は ” Architecture ” の一語で十分なのである。
『アーキテクチュア』がアリストテレスのいう「諸芸の原理」であるのなら、私ならば『原術』と訳したことだろう。『建築』という訳語に慣れすぎているので、『原術』などという言葉は奇妙に感じられもしようし、「芸術」や「幻術」とまぎらわしいと思われもしよう。しかし原語の意味自体は かなり正しく伝えているし、物理的な「建物」と取り違えることはありえない。

そしてまた『原術』ならば、建物の原理ばかりでなく、造船の原理 ( Naval Architecture) や、造園の原理( Landscape Architecture) 、そしてコンピュータの原理をも『アーキテクチュア』と呼ぶことに納得が行くのである。

つまりarchitecture というのは、物理的な建物をさす言葉ではなく、建物に込められた方法や表現をさしているのである。

この文化を蔑ろにした結果が、現代の建造物の欠陥瑕疵を生む遠因になっているのです。

文責 釈迦牟尼仏(ニクルベ) 建太

次回に続く年表-2

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