杭データ偽装事件151019

杭データ偽装事件151019

三井住友建など地盤再調査 傾いたマンション
巨額の改修費用、分担が難題

2015/10/18 23:06 日本経済新聞 電子版

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施工不良で建物の傾きが判明したマンション(横浜市都筑区)
横浜市都筑区の傾斜したマンションの問題で、三井住友建設と三井不動産レジデンシャルは19日から地盤を再調査する。これまでに傾いた西棟の南側半分で建物を固定する杭(くい)8本の施工が不十分だったことが判明。固い地盤に届いているかどうかなど北側の杭24本も調べる。建て替えや大規模改修には巨額の費用が発生するため、各社の間での費用分担を巡る調整には時間がかかりそうだ。
傾いた西棟に使った杭52本のうち、これまでに南側の28本を調べた結果、8本の不具合が発覚した。6本は地下十数メートルにある「支持層」と呼ばれる固い地盤に届いておらず、別の2本は支持層への届き方が不十分だった。今回の再調査では北側の杭について月末まで調べ、来月中旬にも結果をまとめる。

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杭打ち工事は下請け業者の旭化成建材(東京・千代田)が担当した。本来なら杭を打つ穴を空ける際、ドリルにかかる土の抵抗値をみて支持層まで届いたかどうかを確認する。だがデータ管理の担当者が別の杭のデータを転用したり加筆したりしたため、支持層まで届かない杭があったとみられる。
同社によると担当者は機器のスイッチの押し忘れやデータの取り忘れなどと主張しているが、データ改ざんは全4棟で合計38本見つかった。
西棟の北側の杭については、こうしたデータ改ざんの対象となってはいないが、改めて地盤を調べる。建物の構造的な安全性を再検証して11月中旬をメドにまとめ、住民に説明する。傾いた西棟以外でも11月以降に調査し、12月半ばをメドに地盤調査の結果をまとめる予定だ。
このマンションを巡っては杭の先端を地盤に固定するセメント量のデータ改ざんも明らかになった。旭化成建材の社内調査の結果では、同じ担当者が手がけたとみられる。仮にセメント量が足りなければ、本来の杭の強度を発揮できない恐れもある。
一連のデータ改ざんの発覚で住民の不安は増している。補修や調査については旭化成建材が「費用を全額負担する」との考えを表明している。
ただ、三井不動産レジデンシャルは住民に対し、全4棟の建て替えを提案した。仮に全約700戸を買い上げると少なくとも200億円、建て替え工事は3年以上かかるとの見方がある。SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリストは「住民の引っ越し代など様々な費用がかかり、負担は大きい」と指摘する。
住民への賠償については旭化成建材の前田富弘社長が「今後、各社と協議していく」との考えを示した。三井不動産レジデンシャルや三井住友建設、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材の4社の間でまだ合意点は見いだせておらず、費用分担の調整が課題となる。
ここまでhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18H5O_Y5A011C1NN1000/より引用

マンション傾斜問題、多層下請けの死角 甘いチェック体制
2015/10/17 23:13 日本経済新聞 電子版
三井不動産グループが横浜市で販売したマンションが傾いた問題で、建物と地盤を固定する杭(くい)打ち工事のデータ改ざんが明らかになった。なぜ虚偽データの使用が見過ごされたのか。下請けへ段階的に仕事を発注し、業務が細分化された業界特有の多層構造が、チェック体制を甘くした可能性がある。

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「最近は玄関のドアできしむ音が聞こえた。(騒動によって)目減りする資産価値をどう補償してもらえるのか気がかりだ」。傾いた棟に住む男性は不安を隠さない。
2007年12月に完成した問題のマンションは4棟で構成し、計705戸ある。このうち傾いたのは1棟。建物の両端を比べると最大2.4センチメートルの差がある。昨年11月、住民らが廊下の手すりの高さに差があることに気付いた。
問題は杭の工事にあったとされる。マンションを販売した三井不動産レジデンシャルなどによると、一部の杭は地下十数メートルの「支持層」と呼ばれる固い地盤に届いていなかった。なぜこうした事態が起きたのか。
杭の工事はまず、敷地の複数箇所を掘削調査して地盤を調べる。今回は、全体の工事をとりまとめる「元請け」の三井住友建設が専門業者に頼んだ。この結果を基に、三井住友建設が打ち込む場所や数、長さや太さを決めて473本の杭を手配した。そして、下請けの旭化成建材(東京・千代田)が杭打ち工事をした。
杭を打つ全ての場所で掘削調査をするわけではないため、実際に工事を始めてみると想定より支持層が深くにある場所もある。「掘ってみなければわからない」(三井住友建設)のが実態だ。準備した杭の長さが足りない事態は十分あり得る。
旭化成建材の担当者がその事実に気がついたとみられるのは、杭を打ち込むために、ドリルで地面に穴を開けた際だった。このドリルにかかる土の抵抗値を見ると、実際に支持層に届いているかどうかが分かる。抵抗値は波形のデータで記録する。
杭が短すぎるとわかったのに、長い杭を手当てするのではなく、別の杭のデータを転用したり、加筆したりしてしのいだもよう。38本について虚偽データを使い、支持層に届かない杭が発生した。
さらに16日、新たなデータの不正利用が発覚した。ドリルで開けた穴には杭の先端と地盤を固定するため、セメントを流し込む。このセメント量のデータも改ざんしていた。つじつまを合わせるため偽装の連鎖が広がった可能性がある。セメントが足りなければ、本来の強度を得られない。
一連の杭打ちは2人1組で作業する。一人は杭を打ち込む建機を操縦し、もう一人はデータを管理する。この管理者がデータを改ざんしたもよう。16日夜に会見した旭化成建材の前田富弘社長は「断定はできないが改ざんはミスではなく悪意を持って施工不良を隠そうとした」と説明した。
マンションの工事は大まかに、杭を打ち込むなどの基礎工事、柱やはりなど骨組みを造るく体工事、内外装を造る仕上げ工事に分けられる。関連する会社は数十社にのぼることも珍しくない。
今回の杭打ち工事は、1次下請けが半導体製造装置を主力とする日立ハイテクノロジーズ。2次下請けが旭化成建材だった。三井住友建設は、日立ハイテクノロジーズに工事の進捗状況の確認や、安全の確保を任せていた。同社が間に入ったことも、三井住友建設の旭化成建材に対するチェックの目を甘くした可能性がある。
同じような問題は繰り返されてきた。14年1月、鹿島が元請けとなり完成直前まで工事が進んでいた東京都港区のマンションで、下請けが工事を手掛けた配管や配線用の壁の穴が設計通りに開いていなかったことが発覚。建て直しになった。
20年の東京五輪を前にマンションやビルの建設は活発だ。人手が不足し、下請け工事の品質や元請けの管理機能の低下を懸念する声もある。不正やミスをチェックする体制を構築し直せるのか。再び信頼を失えば、厳しい選別にさらされるだろう。(藤野逸郎)
ここまでhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17H1L_X11C15A0TJC000/より引用

マンション傾斜:担当者「記録取り忘れ」 知りつつ隠蔽か
毎日新聞 2015年10月17日 22時24分(最終更新 10月18日 00時33分)

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傾いていることが判明した大型マンション=横浜市都筑区で2015年10月16日

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横浜市都筑区の大型マンションが施工不良で傾いている問題で、基礎のくい打ち工事で偽装データを使った旭化成建材の現場担当者が社内調査に「工事データを記録する機械のスイッチを入れ忘れ、データを取り忘れた」と話していることが、同社への取材でわかった。その一方で偽装理由については「覚えていない」と説明するなど、話に不自然な点が多く、旭化成建材は第三者を交えて詳しい調査を始める。

不自然な説明
傾いたマンションを支えるくいのうち、6本は強固な地盤(支持層)に達せず、2本も支持層に十分差し込まれていなかった。旭化成建材は、くいが支持層に達していないことを現場担当者が知りながら、それを隠蔽(いんぺい)するためデータを偽装した可能性もあるとの見方を強めている。
マンションは4棟あり、西棟が約2センチ傾いている。施工会社は三井住友建設で、旭化成建材が2次下請けとして2005年12月〜06年2月に基礎工事を実施した。2チーム(各3人)がそれぞれ掘削機を使って4棟のくい計473本を打った。
しかし、くいが支持層に届いたか確認するデータに他のデータが転用されたり、加筆されていたりしたのが中央棟で18本、南、西両棟で各10本あった。くいを補強するためのセメント量のデータが偽装されていたのは中央棟で36本▽南棟で5本▽西棟で4本−−だった。13本は二つの不正が重複しており、データが偽装されていたくいは計70本になる。
旭化成建材は社内調査を踏まえ、データ偽装をしていたのは1チームで、その現場担当者が主に偽装したとの見方を強めている。不十分だった西棟のくい8本について、現場担当者は「くいは支持層まで達していた」と話す一方、偽装の理由を尋ねても「覚えていない」などと不自然な説明をしているという。こうした点について、同社は「説明がつかない。意図的な、何らかの操作があったのではないか」とみている。
一方、現場担当者が工期の間に2日間、インフルエンザで休み、この間データを取得していなかった。旭化成建材は「(現場担当者は)最初は整理できていたが、工期終盤に整理がずさんになった可能性がある」と説明。データの管理とチェック体制に不備がなければ今回の問題を防げた可能性が高く、同社は「チェックや管理のあり方に不備があった」と組織上の問題も認めた。
現場担当者は職場経験が15年程度のベテランという。旭化成建材は今後、過去にくい打ちを担当した全国の約3000棟に不正がなかったか調べる方針で、この現場担当者が携わった物件についても詳しく調査する。【岸達也、山田奈緒、水戸健一】

検査では発見は困難
建築基準法施行令は、マンションなどの建築物について、構造上安全なものとするよう定めている。違反の場合、設計者や施工者に対する罰則規定もある。
問題のマンションは横浜市が2005年11月、着工を認める建築確認済証を交付し、くいを打ち込む工事は翌12月から06年2月にかけて実施された。直後の06年3〜4月、東京都内の民間検査機関が建築基準法に基づく中間検査をしている。
中間検査は、建築確認の申請通りに施工され、安全に基礎が作られたかを、現地で書類や図面を見ながら調べる。しかし、くい打ちなど地中の工事は終わっており、業者の施工結果報告書の記載内容を信じるしかないのが実情だ。問題のマンションはこの報告書の記載内容の一部が虚偽だった。
横浜市の担当者は「不正を見つけ出す検査ではなく、性善説で運用している制度だ。くいの深さをわざわざ抜き打ちしてまで確認しない」と話す。「市内では1年間に約1万5000件の建築確認が申請されており、今回のような不正を見抜くことは不可能に近い」と苦渋の表情を浮かべる。【水戸健一、国本愛、内橋寿明】
ここまでhttps://newspicks.com/news/1208145?block=side-news-similarより引用

マンション傾斜:住み慣れた部屋、転居検討…揺れる住民
毎日新聞 2015年10月16日 22時43分(最終更新 10月17日 09時51分)
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マンションの住民説明会に参加するため集まる住民ら=横浜市都筑区で2015年10月16日午後7時17分、望月亮一撮影

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マンションの施工への不信が深まっている。不十分なくい打ちが原因で傾いた横浜市都筑区の大型マンション。工事をした旭化成建材が、くいのデータだけでなく、補強するセメント量のデータも改ざんしていたことが明らかになった。「なぜ問題が次々と出てくるのか」。16日夜、同社の説明を聞いた住民から怒りの声が上がる。事業主の三井不動産レジデンシャルが示した建て替え案にも、転居や工事中の仮住まいを巡って住民の思いは揺れる。【水戸健一、山田奈緒、内橋寿明】
傾きのあった棟に住む40代の男性は、住民説明会の会場から出てきた後も、怒りが収まらない様子だった。「次から次と改ざんの事実が出てきて、言葉がない。これでは、まだあるのではないかと信用できない」
住民説明会は、マンション敷地の共有スペースで行われ、午後7時ごろから深夜に及んだ。会場を出た旭化成建材の前田富弘社長は報道陣に囲まれ、「責任を痛感している」と何度も深く頭を下げた。「内部の調査では信用できない」との説明会での指摘を受け、第三者機関で調査する考えを明らかにした。
傾いていない3棟も含めた4棟すべての建て替えを基本に、住民と協議するという三井不動産レジデンシャルの提案は、一定数の住民の意見がまとまることが条件だ。
国土交通省によると、複数の棟がある団地型のマンションで全棟を建て替える場合は、区分所有法に基づき、「全棟の区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成」と、「各棟の区分所有者および議決権の3分の2以上の賛成」が必要とされる。このマンションは4棟に約700世帯が暮らす。
60代の男性の住民は「くいに不良があると思うと、住んでいて気持ちが落ち着かない。きちんと直してほしい」と建て替えに前向きだ。ただ家族の考えは一致していない。「ここが気に入って購入した妻は、建て替え期間中、住み慣れた部屋を出なければならないことが不安なようだ」
小学校への入学を控えた子供がいるという30代の女性は、傾いていない棟の部屋を4000万円弱で購入した。「工事中、仮住まいで生活するとなると、子供の小学校のことが心配。しっかりと事業者に確認したい」。懸念はそれにとどまらない。「いろいろな考え方の人がいるので、話が簡単にまとまるとは思えない」
夫と小学生の子供2人と暮らす主婦(41)は「子供たちは今の学校や習い事に通い続けられるのか。かといってこのまま住み続けるのは不安で、子供たちも『倒れるんじゃないの』と怖がっている。既に引っ越しを検討している友人もいる」と話した。
ここまでhttp://mainichi.jp/より引用

傾斜マンション騒動 湾岸タワーに飛び火していく可能性も
2015.10.18 07:00
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【マンションには多くの報道陣が押し寄せて物物しい警備態勢に】

三井不動産グループである三井不動産レジデンシャル(ほか1社)が2006年に分譲したマンション、「パークシティLaLa横浜」のいわゆる「傾き」問題が大きな話題となっている。
現在、詳しい原因究明や補償・建て替えも視野に入れた協議が続けられているが、施工を請け負った旭化成建材による杭工事の“データ偽装”が次々と発覚。業界最大手が犯した過ちの代償は計り知れない。
『2020年マンション大崩壊』などの著書がある不動産コンサルタントの牧野知弘氏(オラガHSC代表)が、問題が起きた背景と今後の影響について解説する。

今回のマンションと同じ横浜市内では、住友不動産が分譲した「パークスクエア三ツ沢公園」でも施工ミスによる建物の傾きが話題となったが、今回は建物の規模、杭打ちの際の施工側の「データ偽装」の疑いなどの問題を含め、社会に及ぼした影響ははるかに大きなものとなっている。
マンション分譲事業は「利幅の薄い」ビジネスである。デベロッパーにとって一棟のマンションを分譲しても純利益は5%から10%程度。したがって少しでも利益を捻出しようと建設費を極限まで圧縮するために徹底したコスト管理を行う。
コスト削減要求を受けたゼネコンは、下請け業者にその負担をかぶせるという構造にある。そんな中で生じたのが今回の事件かもしれない。特に本建物が建築された2006年から2007年、ゼネコンは受注が少なく、「利幅の薄い」マンション事業でも受注せざるをえない環境にあったと思われる。
建物構造に直結する「杭打ち」は通常は定められたボーリング調査を行うことで正確に支持層に杭を打ち込むことができるはずだ。データの偽装をしたとすれば、この「極限までのコストの切り詰め」によるものと考えざるを得ない。データ偽装に関して、デベロッパーがすべてをチェックすることには限界があるが、ゼネコンは確認できたはずである。コスト削減のプレッシャーの中でスルーしてしまった可能性がある。
また今回の事件で問われているのが、住民からの疑問、質問に対してどのような対応を行ってきたかという点だ。
報道等によれば、一年以上前から一部の住民より「傾いているのではないか」という指摘があったという。これに対して、会社として真摯に向かい合う姿勢が本当にあったのかどうかも疑問とするところだ。
もちろん住民からの問い合わせやクレームには様々な種類のものがある。住宅がクレーム産業などと言われる所以だ。住民からの問い合わせすべてに満足する対応を行うことには限界があるが、今回の事態を招く一因には、大企業などに多くみられる「事なかれ主義」あるいは「問題先送り」といった体質があったのかもしれない。
施工をした三井住友建設は施工ミスを認め、杭打ちを行った旭化成建材はデータ偽装の可能性も含め、同社が行った約3000か所にのぼるすべての物件で調査をかけると発表した。
また、三井不動産レジデンシャルは「全棟建替え」も視野に住民との話し合いに入ると宣言した。ゼネコンは建築基準法違反を厳しく問われることになるし、デベロッパーは売主責任を免れるものではない。ようやく対応がスタートしたといえる。
しかし、全棟建替えの道程は険しいかもしれない。約700世帯、しかも暮らし始めて10年近くの住民が大半である。期間は甘めに見積もっても解体から建替えまで2年半から3年の時間を覚悟する必要がある。住民の「生活」とどこまで「向かい合っていく」のか、補償費を含め、難しい課題が山積している。
マンションの「建替え決議」は区分所有者および議決権の5分の4の賛成で決議できる。賛成反対が拮抗する恐れもある。マンション内部の「コミュニティ崩壊」も心配である。
戸別の買取りについて「購入時の価格以上で買い取る」という話も出ているが、一方で株主代表訴訟のリスクも会社側は背負うこととなる。「責任の連鎖」を必ずしもすべて杭打ちした下請け業者に帰結させることはできない。
今回の事件がマンションマーケットに及ぼす影響は小さくない。湾岸部などに建設されるタワーマンションはエリアによって地下50mから60mまで杭打ちを施さないと支持基盤に到達しない。既存に分譲されているマンション住民は、分譲会社、施工会社を問わず調査を求めることも予想される。
新規分譲販売にあたっても、データの開示等を求められるケースが増えるはずだ。マンションという建物で、「姉歯問題」以来再び勃発した「思わぬ脆弱性」がモデルルームに向かう顧客の足を鈍らせるかもしれない。
幸い、と言えば乱暴な表現だが、今回は業界最大手の三井不動産グループの物件でおきた事件だ。会社がこの事件にどういった解決策を提示、実行できるかは今後起こるかもしれない(考えたくはないが)同様の案件に対する教科書となり得る。
http://www.news-postseven.com/archives/20151018_357793.html?PAGE=3

「三井のブランドで買った」「なぜ売った」 傾いたマンション…怒りと不安の声
2015.10.18 07:10

【衝撃事件の核心】
三井不動産グループが販売した横浜市都筑区のマンションが傾いている問題。建物を支えるくいの一部でデータ偽装や施工不具合が明らかになり、くい打ち工事を請け負った大手化学メーカー「旭化成」の子会社「旭化成建材」が手掛けたマンションなど約3000棟の建物にも「疑惑」の目が向けられる事態になった。「はらわたが煮えくりかえる」「なぜ欠陥物件を売ったのか」。有名ブランドに寄せた信頼を裏切られ、怒りをぶちまける住民。傾いた「安心」は取り戻せるのか。(川上朝栄、那須慎一、岩崎雅子)
「三井のブランドで買ったのに」
「傾き」が発覚した14日、マンション周辺には報道各社が殺到し、住民へのインタビューを試みた。エントランス前には警備員が立ちはだかり、敷地内への立ち入りを厳しく制限、騒然とした雰囲気に包まれる場面もあった。
「三井のブランドで買った。データの改竄はあり得ないよね」
70代の住民男性は、吐き捨てるように話した。
マンションを販売した三井不動産レジデンシャルなどは今月9日から住民説明会を開催。男性によると、説明会では怒号が飛び交い、施工のチェック態勢に対する不信感を多くの人が示したという。
14日も午後7時ごろから説明会がマンションの共用スペースで始まり、日付を越えた。販売会社の幹部社員とみられる男性らが住民に何度も頭を下げる場面が遠目にも見え、住民側の怒りの程がうかがえた。
渡り廊下にずれ 横浜市などによると、問題となったのは、平成18年から分譲が始まった4棟からなる計705戸の大規模マンションで、このうち11階建ての1棟が傾いていた。住民が昨年11月、隣接する棟とつながる渡り廊下に約2センチのずれができているのを見つけたのが発端だった。
三井不動産の子会社「三井不動産レジデンシャル」が販売者となり、元請けとして三井住友建設が施工を担当。下請けには「日立ハイテクノロジーズ」が入った。ずれの原因となったくい打ちを施工したのは、孫請けの旭化成建材だった。
傾いた棟を支える52本のくいのうち6本が強固な地盤である「支持層」に届いておらず、別の2本も長さが不十分だった。支持層に届くかどうかを確認するため、1本ごとに掘削した土の抵抗のデータを計測したが、一部で取得に失敗。他のデータを転用したという。
現場の地質が複雑で、一部の支持層が深い地点にあることを事前調査で把握できなかったのが原因とみられ、旭化成や横浜市によると、他の2棟のくい28本でもデータ取得に失敗。担当者は他のくいのデータを使い回したり加筆したりして虚偽データを三井住友建設に報告していた。
「くいをどのように打ったかが記載された書類は購入者に示す必要がない。見抜くことはほぼ不可能だ」
よこはま建築監理協同組合理事長で、欠陥マンションに詳しい1級建築士、田中正人さん(64)はこう指摘する。
横浜市内では同市西区の別マンションで同様の施工不良が発覚したことを挙げ、「他の物件でも類似したケースがあるに違いない。年月の経過により『ずれ』が判明するケースが出てくるだろう」と指摘する。

「想像を絶する」
「想像を絶するというか、考えられない。絶対にあってはならない」
横浜市の林文子市長は15日の定例記者会見で、住民の怒りを代弁するかのように厳しい口調で批判した。
だが、建築基準法に基づく建物の審査を統括する同市が不正を見抜くことはできなかったのか。
市建築局によると、施工主の建築事業者から市に提出される工事関係書類は下請け業者名などが記載されていない簡易なもので、「(くい打ちをした業者の)確認は困難」とする。
建築事業者は、物件の耐震強度などが建築基準法をクリアしているかどうかの確認検査を受ける必要があるが、多くは民間の指定確認検査機関に持ち込まれ、市が直接行うのは確認検査が必要な市内物件のうち1~2%に留まる。
さらに、くい打ち込みデータの市への提出は同法で義務付けられていないため、「市としては(検査機関にデータの適正さについて)確認を『お願い』するしかない」(市担当者)。「行政チェック」は望めない状況にあるのだ。
人気物件が一転 マンションは大型ショッピングモール「ららぽーと横浜」に隣接。「三井ブランド」を前面にアピールし、若いファミリー層に人気があった。販売価格は3000万~4000万円台が中心で、市内の不動産業者は「買い物に便利という点が人気で、中古も値崩れせずに高値で売買されていた」と話す。
だが、問題の発覚でそれも一転した。「売却希望があったとしても、断らざるを得ない」。
分譲から9年。新たなコミュニティーも成熟してきたところに降って湧いた出来事に、60代の主婦は「買ったときには友人から『商業施設も近くにあっていいわね』といわれ、住めてうれしかった」と振り返り、悔しさをにじませる。
三井不動産レジデンシャルは傾いている1棟だけでなくマンションを構成する他の3棟も含めた全4棟の建て替えを前提に住民との交渉を続ける方針を示したが、住民の意向も一枚岩ではないのが現状。大学3年生の男性(20)は「就職活動を控えるなかで、建て替えで引越しする必要に迫られるのは困る」と訴えた。
部屋の買い取りや補償、建て替え完了までの仮住まい…。住民の不安要素は尽きそうにない。
施工不良とデータ偽装が発覚した横浜市都筑区のマンションは、大型商業施設に隣接していることや、大手不動産会社の「ブランド」が売りの人気物件で「資産価値が下がらない」と購入した住民も多い。傾斜した1棟を含む全4棟の建て替え案も出ているが、そのためには住民の多くの賛成が必要。業者側は「建て替えには3年以上かかる」と説明しており、住民の意見も揺れている。

「抽選でやっと当たった。人気の商業施設が近いことが買いの材料だったのに」。住民の男性は嘆く。
マンションは計705戸で、2007年に完成。JR横浜線の鴨居駅から徒歩約11分で、三井不動産グループが販売した。飲食店や衣料品店、映画館、クリニックが入る「ららぽーと横浜」に隣接。地元不動産会社は「この便利さが大きな魅力」と解説する。
ブランドの魅力も大きかったようだ。4千万円前後で購入したという男性は「三井なら資産価値が下がらないということでみんな頑張って買っている」と憤慨。 業者側 は「住民の意向であれば購入金額で買い取る」と説明しているが、自営業の男性(31)は「地価や建設費も上がっているから、同じレベルの物件は買えない」と指摘する。
建て替えるとしても、壁となるのが住民の同意だ。区分所有法は、複数棟あるマンションで全棟建て替えをする場合、全棟の区分所有者の5分の4以上の賛成などが必要と規定している。
業者側は住民説明会で、建て替え期間について「おおむね3年から3年半」と説明。60代の女性は「引っ越しとか負担、心労をお掛けしますと言われた。私には脅迫に聞こえた」と不安を漏らした。
家族3人で暮らす主婦(42)は、夫の会社と娘の学校までの距離を考慮して購入した。「引っ越せば、子どもの習い事も全部やめないといけない。建て替えの方が安心だけど、住民合意は簡単ではない」と話す。
一方、70代の女性は「便利だと思って引っ越してきた。ついのすみかにするつもりだった」と建て替えには後ろ向き。「安心して買ったのに。人生の計画が全部ずれて。嫌だね」と嘆いた。
ここまでhttp://www.sankeibiz.jp/compliance/news/151018/cpb1510180710001-n1.htmより引用

横浜のマンション傾斜で壁にも住民同士にも亀裂走る
[2015年10月17日8時34分 紙面から](共同通信)

施工不良マンションのイメージ
住民の悲痛な叫びが続いている。三井不動産グループが販売した横浜市都筑区のマンションでの施工不良問題で、このマンションに住む42歳女性が16日、報道陣の取材に応じた。先週、同社などによる住民説明会に参加。出席した住民によると、傾いている1棟の中には、壁に50カ所の亀裂があったり、台所のステンレスに亀裂が入っている部屋があるという。住民同士の言い争いもあり、傾斜問題が波紋を広げている。
報道陣の質問を遮る住民が多い中、42歳女性は小2の長女の手を握りながら、取材に応じた。「私が住む棟は傾いていないので、冷静でいられるけど、私の友人は傾いた1棟にいる。どれだけ不安か…」と表情を曇らせた。
先週、夫と家族3人で住民説明会に出席。傾いた棟にいる住民は「壁に50カ所の亀裂がある」「台所のステンレスに亀裂が入っている」と訴えたという。女性は「私たちの家には何も異常はないけど、何か音がすると、『ついに傾き始めたか』と思ってしまう」と話し、落ち着かない日々を過ごしているという。
マンションが新築だった7年前に入居。大きなトラブルもなく、住民同士は仲良く暮らしていたが、今回の問題を機に口論が始まったという。女性は「説明会で、ある住民が『みんなで幸せを探しましょう』と話すと、別の住民が『今の状況が幸せなわけがないだろう!』と言い返していた。このままだと住民が分裂する危険性がある」と心配していた。
問題になっているマンションは計4棟だが、女性は建て替えを望んでいる。「補強や改修で直ったと言われても、素人には見た目で判断できない。建て替えてもらった方が安心。ただ、一時的に引っ越さなきゃいけないとか、子供の学校や習い事はどうするかとか、悩みは尽きません」とこぼした。
くい打ちの深さが足りていない場所の真上に部屋があるという住民女性は「ベランダの排水が悪い。逆に傾いているのか、排水口がある方と反対側に水が流れてしまう。工事を頼んでも直らなかったので、長いホースを買って排水しています」と明かした。
マンションの敷地の周辺では、建設会社の関係者や多数の警備員が出入り口に常駐し、住民以外の進入を規制。張り詰めた空気が漂っていた。【柴田寛人、松尾幸之介】
ここまでhttp://takayawander.at.webry.info/201510/article_106.htmlより引用

「不正他にも」「建て替え困難」=住民ら、不信と不安-マンション問題
2015年10月17日 12時28分 提供:時事通信
横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、売り主側の説明会が16日で終わったことを受け、住民からは17日朝、「他にもまだ不正があるのでは」「建て替えは実現困難」と業者への不信や不安の声が聞かれた。
マンション完成当初から約8年間両親と住んでいるという40代の男性会社員は、「データを改ざんした担当者は、まだほかにも不正をやっているのではないか」と疑念を示した。
会社側の建て替え案については、「補修した欠陥マンションは価値が下がるし、20年、30年後も安全に住めるか分からない。それを新品に建て替えてくれるなら賛成だけれど、『引っ越しは嫌だ』と言う住民は意外と多い。(建て替え案が)成立するか分からない」と不安を口にした。
この男性は約4000万円で購入したというが、「今はマンション価格が上昇していて、買い替えるにしても、同じ値段だと2割は狭くなるようだ」と困惑した様子だった。
別の若い男性会社員は「高齢の親と住んでいるので、(建て替えで)引っ越せと言われても困る」と顔を曇らせる。建て替え実現には期待していないといい、「会社側には誠心誠意、補償で対応してもらいたい」と話した。
40代の女性会社員は「くいは見えないところ。強度は大丈夫なのか心配」と不安そうな様子。マンションは大型商業施設に近く、「買い物が便利だから、できればここに住み続けたい。早く解決してほしいけれど、時間がかかりそう」と話した。 【時事通信社】
神奈川・横浜市の大型マンションの施工不良問題で、強固な地盤に、くいが届いているかどうかを確認する調査が、19日から始まる。
三井不動産レジデンシャルは、入居者に対し、強固な地盤に、くいが届いているかどうかを確認する調査を、19日から31日までの予定で実施すると通知した。
マンションの住民は「1年近く調査が入らなかったのは、確かに問題かもしれないが、どんどん調査してもらって、結果を教えてもらうと同時に、対策をどういうふうにとるのか、住民と協議していくことだと思う」と話した。
調査は、一部のフェンスや、植栽を撤去したうえで、機械の先端に取り付けたドリルで、地盤の強さを評価するという。
くい打ちを請け負った旭化成建材の施工管理者は、掘削データを改ざんしていて、国土交通省が、建設業法に違反する疑いもあるとして、調査を始めた。
また横浜市も、三井不動産レジデンシャルなどに対し、安全性についての検証結果を報告するよう求めている。

神奈川・横浜市の大型マンションの施工不良問題で、強固な地盤に、くいが届いているかどうかを確認する地盤調査が、19日から始まることがわかった。
住人は「本来は、ここがきっちり閉まるようになっているが、下にいくに従い、隙間が出てきて、きっちり閉まらないかたち」と話した。
住民が見せてくれたマンション西棟の室内。
リビングルームにある引き戸の隙間、下に行くほど、広がっているように見える。
そして、床から浮いているかのように、下にも隙間がある。
目視でも、1cm程度はあるとみられる。
関連は不明だが、依然、住民は、震災の影響との説明を受けたという。
住人は「(隙間は)震災の影響らしいという説明を受けた。大手だし、これだけ大きいものなので、心配はしていなかったけれど。まさか自分のところがという感じ。くいが到達していないということは、住居として成り立たないので、建て替えをしないと駄目ではないかと。怒りの方が多いので」と話した。
住民から不安の声が上がる中、マンションを販売した三井不動産レジデンシャルは、入居者に対し、強固な地盤に、くいが届いているかどうかを確認する地盤調査を、19日から31日までの予定で実施すると通知した。
調査は、3回目となる。
マンションの住人は「1年近く調査が入らなかったのは、確かに問題かもしれないが、どんどん調査してもらって、結果を教えてもらうと同時に、どういう対策をとるのか、住民との協議をしていくということだと思う」と話した。
また国土交通省は、旭化成建材の施工管理者が掘削データを紛失するなど、極めてずさんな管理の状況が、契約への不誠実な行為などを取り締まる建設業法に違反する疑いもあるとして、旭化成建材と三井住友建設に対し、調査を始めた。
建設業法では、国などが営業停止などの処分ができると定めている。
河野消費者担当相は「住宅を購入されるというのは、おそらく一生に1回という方が大変多いと思いますし、人生設計に影響が出ないように、しっかりやっていただきたい」と述べた。
一方、フジテレビの「新報道2001」に出演した河野消費者担当相は、物件を販売した三井不動産グループなどに、購入者への対策を求めた。
購入前に欠陥を見つけ出すことが難しい新築マンション。
自分のマンションは、安全に問題はないのか、購入後、建物にゆがみがないか、一般の人でも確認できるポイントを聞いた。
不動産コンサルタントの長嶋 修氏は「部屋の中は建具、開けたり閉めたりしたときに、ガタつきがないか、あるいは締まりにくくなってないか」と話した。
長嶋氏は、欠陥のある建物の兆候として、建具の取りつけのほかに、キッチン・洗面の下の排水の水漏れ、外壁に面する壁にひび割れの3点を挙げている。
もし見つかった場合について、長嶋氏は「ほかの部屋で、同様のことがないか、マンション管理組合を通じて相談するのがいい。自分だけの話か、マンション全体の話なのか、推測できる。そのうえで、建築士などの専門家に相談されるのがいい」と話した。
また、マンションや一戸建ての新築住宅には、基本構造部分に、何らかの欠陥が見つかれば、10年間は無料で補修しなければならないことが、法律で義務づけられている。
クロスのはがれ、塗装の劣化などが見つかった場合、無償で修理を行うアフターサービスも、一般的に2年間設けられている。
この補償期間内に、マンション全体で、専門家による点検を受けるよう勧めている。
長嶋氏は「第3者の建物の専門家に、一通り点検してもらう。個人でやるのもいいが、点検は、全体でやった方が、コストも割安になるので、マンション管理組合で取り組んだ方がいい」と話した。

悪意あるデータの改ざんが行われてしまえば、わたしたちには、到底見抜くことはできない。
長嶋氏によると、今後、住宅を購入する際や、今、自分が住んでいるマンションに不安がある場合には、専門家の診断を受けることが重要だという。

神奈川・横浜市の大型マンションの施工不良問題で、くいの工事を請け負っていた旭化成建材は、データの改ざんなどが行われたくいが、70本にのぼることを明らかにした。
旭化成建材の前田富弘社長は「今回、マンションの住民の方に、大変なご迷惑をおかけしておりますことを誠に申し訳なく思っております」と述べた。
前田社長は、初めて住民説明会に出席し、くい打ちデータの改ざんなどについて陳謝した。
また、くいの先端部を覆って固める部分に注入する「セメントミルク」の量を確認する「流量計」のデータも、改ざんされていたことを明らかにした。
三井不動産側は「本日、また別のデータの転用の事実を私どもの方で確認しました」と話した。
三井住友建設側は「全部で、45カ所となっております」と話した。
住民側からは「えー、うそやん」との声が上がった。
データが改ざんされたくいは、あわせて70本にのぼるという。
前田社長は「(担当者は支持層に)くいの未到達ということを知っていた可能性がある」と述べた。
前田社長は「改ざんは、単なるミスではなく、くいが未到達だったことを隠そうとしていた可能性が高い」と述べた。
くい打ち作業は、5人から6人で作る1つのチームが、4棟の473本全てを担当していて、旭化成は、旭化成建材が請け負った全国のマンションや商業施設およそ3,000棟について、10月中にも、都道府県別の概要を公表する方針。

石井国交相が物件全ての調査を指示した。
石井国交相は、16日の閣議後の会見で、くい打ち工事を行い、データを転用していた旭化成の子会社に対して、工事を行った物件全てについて調査するよう、指示を出したと述べた。
石井国交相は、施工記録データの不適切な転用があったことは、「遺憾だ」としたうえで、「旭化成建材に対して、施工にかかわった全物件を対象に調査を行うよう指示している」と述べた。
また、売り主の三井不動産レジデンシャルに対しても、是正工事の実施や原因究明を通じ、住民の不安解消に努めるよう求めた。
ここまでhttp://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015101700145より引用

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ偽装事件151020

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