杭データ偽装事件151022-2

杭データ偽装事件151022-2

旭化成、マンション問題で傾くブランド 浅野社長が記者会見
2015/10/20 16:57

旭化成は20日、傘下の旭化成建材がくい工事を施工した横浜市のマンションが傾いている問題について、浅野敏雄社長らが記者会見を開いた。「へーベルハウス」に代表される旭化成の住宅関連事業は、全体の営業利益の4割を稼ぐ屋台骨。今回の不祥事で基幹事業のブランドイメージが傾きかねないとの懸念は市場にも根強く、20日の旭化成株は連日で年初来安値を更新した。旭化成建材にとどまらず、親会社のトップが会見を開いたことは危機感の表れとも言える。
「グループとして誠意を持ってしかるべく対応を取る」「グループを挙げ、信頼回復に努めていく」――。会見冒頭、浅野敏雄社長は途中で言葉に詰まりながらも、謝罪と信頼回復を目指す姿勢を示した。また通常では冒頭のみにとどまることが多い首脳陣の頭を下げる場面も複数回見られた。
今回の問題は旭化成が多角化の中で長らく育成したブランドイメージに関わる点が深刻だ。旭化成の前身となる企業は1931年にアンモニアや硝酸化成品などを製造・販売する会社として産声を上げた。関連会社の設立や合併を繰り返して成長するが、特に30年余に渡り経営の指揮を執った故・宮崎輝元会長の多角化路線が成長を加速した。67年には軽量気泡コンクリート「へーベル」の製造を始めて建材事業に、72年にはへーベルハウスのブランドをひっさげて住宅事業に本格参入した。今回の不祥事を招いた旭化成建材を設立したのは76年だ。
旭化成の住宅・建材部門は後発ながら主力の座を占める。2015年3月期の部門売上高は前の期比2%増の6038億円と、旭化成全体の3割を占め、マンション建設最大手の長谷工コーポレーション(1808)の売上高(6421億円)と肩を並べる。部門営業利益は前の期比8%減の630億円にとどまったものの、ゼネコン大手の大林組(1802)の483億円や清水建設(1803)の500億円を上回る。有価証券報告書によると、3月末時点で同部門は25社を抱え、従業員数は6671人を数える。
今回の不祥事が旭化成の住宅関連事業全体のイメージを損なえば、連結業績への影響も無視できない。当面の懸案事項は旭化成建材が過去10年間に手がけた約3000棟の工事の調査を速やかに終え、適切な善後策を打ち出せるかだ。会見の質疑では「調査中」との回答が多く、歯切れの悪い場面が目立つ。対応のミスや遅れが生じれば、影響がさらに拡大しかねない。
この日、東京株式市場で長谷工株が商いを伴って急落した。旭化成建材と長谷工の取引関係は明らかではないが、市場は金融緩和期待でこのところ上昇基調にあった不動産・建設株全般に懸念を抱き始めている。
〔日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹、石川隆彦〕
ここまでhttp://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXLASFL20HHX_20102015000000より引用

不良物件を回避するにはどうすればいいのか…三井不動産マンション欠陥問題
2015.10.15

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これじゃピサの斜塔だ。三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションで、建物を支えるくいの一部が強固な地盤に達しておらず、建物が傾き始めていることが発覚。中世ヨーロッパならいざ知らず、現代の日本でこんなことが起きた理由は、基礎工事に虚偽のデータが使われたからというから開いた口がふさがらない。消費者は何に気をつけて物件を選べばいいのだろうか。
問題となっているマンションは、神奈川県最大級の大型商業施設「ららぽーと横浜」に隣接する「パークシティLaLa横浜」。横浜市によると、マンションは2007年に完成、705世帯が入る4棟があり、傾いているのはうち11階建ての1棟。廊下の手すりが、渡り廊下でつながる別の棟の手すりに比べ約2センチ低くなっていた。
住民からの指摘により、三井不動産グループが調べたところ、建物を支える52本のくいのうち、8本が地盤の強い「支持層」に達していないか、深さが不十分だったと判明。基礎工事を行う際、別の地盤のデータが使用されていたことが原因だ。
基礎工事を担当したのは三井住友建設から請け負った旭化成の子会社、旭化成建材。「建物の補強、回収にかかる費用を全額補償する」としているが、同社が施工に関わったマンションなど他の物件にも疑惑は広がる。
05年には、元一級建築士が複数の建物の耐震性を偽装した「姉歯事件」が起きたが、それと似た構図だ。 今回の欠陥マンションの分譲単価は1坪あたり約157万円。ファミリータイプの部屋でも「億ション」とまではいかないが、商業施設はすぐ隣で利便性は高い。
住民の女性(47)は「家族5人で住むのに、4LDKの部屋を完成当時に約4000万円で購入した。借金もあるので『どうしよう』という感じ。元に戻してもらうか、できないなら賠償してほしい」と怒りに震えている。
住民は気の毒としかいいようがないが、本紙で「本当は教えたくない マンション業界の秘密」(金曜)を連載する住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう話す。
「新築マンションでは『工事現場をお見せします』というようなところもあるが、くいを打つ穴が支持層に到達しているかどうかは、施工主が見ても分からないはずだ。ユーザーが現場を訪れても判断のしようがない。確信犯的に不正が行われていたとしたら『姉歯事件』と同じように第2、第3の事例が出てくる」
マイホームは一生に一度の大きな買い物。後悔しないためには、あえて新築を避けるのも一案だ。
「マンションは何らかの欠陥があれば、ほぼ築10年以内に症状が現れる。10年が経過してきちんとした物件を選んだほうが確実だろう。フルリフォームしても新築で買うより安く済ませられる」(榊氏)
唯一の救いは、三井不動産グループという大手が手がけた物件だったこと。「マンションは造るのに1戸あたり2000万円かかるといわれ、今回の場合、全面的な立て替えとなれば140億円程度はかかる」(榊氏)。中小デベロッパーであれば倒産し、購入者は泣き寝入りするしかない。
「お客さまに対しては誠意を持って対応する」と平謝りの三井不動産。原因の徹底した究明が待たれる。
ここまでhttp://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXLASFL20HHX_20102015000000より引用

なぜ三井不動産は、マンションの「ズレ」を放置したのか

三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市都筑区のマンション。連日報道されている通り、「傾いている」ことが判明し、大きく注目されている。住民から「ずれている!」と指摘されていたのにもかかわらず、なぜ同社は10カ月以上も放置していたのか。それは……。

日本中のマンション購入者たちを「ウチの杭も偽装されていないか」と心配させている横浜市都筑区の「傾斜マンション」問題。これまでメインだった、建物を支える杭のなかで固い地盤まで到達していないものが8本あったという偽装に加えて、杭の底を固めるセメント量のデータ改ざんまで新たに明らかになっており、まだまだ新たな偽装がでてきそうな雰囲気もある。
京都府立医科大学の臨床研究で不正が発覚した後、データの解析者だったノバルティスファーマの社員が関わった他案件を調べるとことごとく「クロ」だった。そういう意味では、報道されている「旭化成建材の担当者」が関わった他の案件もかなり危うい。過去10年間に行った3000件を調査するということなので、1日も早く偽装の全貌が明らかにしていただきたいと思う一方で、この問題は旭化成建材1社をどうこうすればいいわけではなく、日本の建築業界のシステムが生んだ「ひずみ」だと強く感じる。
それを象徴するのが、問題の棟と別棟をつなげる渡り廊下の手すりが2センチずれていたと住民がクレームを昨年11月に入れたにもかかわらず、三井不動産レジデンシャルが10カ月以上も放置していたという事実だ。
報道によると、「ずれ」を指摘された当初、三井不動産レジデンシャルは以下のように説明をしていたという。
「東日本大震災時に棟の揺れ方に違いがあって生じたひずみと推察される」
素人のみなさんは大騒ぎしますが、われわれのような「プロ」からみるとよくあることなんですよ、と言わんばかりだが、こんなフワッとした説明で引き下がる住民はいない。このロジックが通用するのなら、東日本のマンションは「ずれ」だらけになっていなくてはおかしいからだ。不信感を募らせた住民側が8月上旬に横浜市へ泣きついたことで、渋々ボーリング調査など重い腰をあげて「偽装」が発覚したという経緯なのだ。
「三井不動産」という日本を代表する一流企業、そしておそらくほとんどの購入者もこのブランドに惹(ひ)かれていたであろうなかで、そのブランドの重みも誰よりも分かっている本人たちがなぜこんなあからさまに不誠実な対応をとったのか。
「傾斜マンション」問題。データの改ざんは「氷山の一角」なのか

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ぶっちゃけ「うやむや」にしたい

昔の日本企業は立派だったが、最近は「カネ、カネ、カネ」でモラルが低下しているなんて嘆く人も多いが、これは単に日本のデパロッパーの「マンション住民」に対する本音がストレートに出てしまっただけだと思っている。
住民にとっては世界でひとつのマイホームだが、デベロッパーからすれば、年間扱う何千戸のなかの一部であって、できる限り「手間」をかけたくない。つまり、臭いものにフタではないが、ぶっちゃけ「うやむや」にしたいのである。
デベロッパーでもないお前に、なぜそんなことが断言できるのかと思うかもしれないが、これはなにも私が言っているわけではない。三井不動産の方がそのようにおっしゃっているのだ。マンションを購入する際にお読みになった方も多いと思うが、『現役・三井不動産グループ社員が書いた!やっぱりダメマンションを買ってはいけない』(ダイヤモンド社)という良書がある。マンション販売で20年のキャリアをもつという「藤沢侑」を名乗る現役社員が、マンション選びのポイントを分かりやすく紹介しているのだが、そのなかで注目すべきは、この人物が「欠陥ダメマンション(欠陥ダメマン)がなくならい」という業界の構造的な問題を的確に言い表していることだ。
そのひとつが、「工期」である。すでに完売して引き渡し日が決まっているマンションは「工期」をずらせない。もしそこでなにかしらの問題に気づいても、デベロッパーも現場も目をつぶってスルーしてしまうというのだ。
大きな欠陥がでるかもしれないが、「とにかくまず引き渡しをするほうがリスクが少ない」と考えるのです。これが企業としてのリスクの考え方なのです。実際全ての住宅に欠陥が出る訳ではないので、出ても一部ならこのほうがトータルとしての負担は少ないのです。そこには、欠陥ダメマンを買ってしまった人の心の痛みなど考慮されていません。(「第5章―4.デベロッパーが入居時期を遅らせることができない理由」より)

建設業界の構造的なシステムエラー

このように聞くと、住民たちの訴えを10カ月放置するという対応も納得ではないだろうか。さらに、この三井不動産社員は「欠陥ダメマンは決してなくならない」と断言し、その背景には「工期」以上に根深い問題がある、と指摘もしている。
結局、欠陥ダメマンリスクを十分認識しながら、「とりあえず竣工」させます。そして欠陥がでれば負担は施工した下請け業者負担となるのです。「施工した責任」を取らされるのです。このような事情なので突貫工事がなくなることはありません。(「第5章―4.デベロッパーが入居時期を遅らせることができない理由」より)
確かに、今回の「傾斜マンション問題」でも、旭化成建材は補修にかかる費用はすべて負担すると表明。世間の風当たりも三井不動産から「問題の社員」へシフトしているような印象だ。
旭化成建材が行った「偽装」は許されるものではない。が、そこで冷静に考えなくてはいけないのは、これは「個人犯罪」ではなく、日本の建設業界の構造的なシステムエラーではないのかということだ。
「欠陥住宅」という言葉が世間的に注目を集め始めたのは1980年代だが、それ以前から「手抜き工事」は山ほど確認されている。埼玉県狭山市では、欠陥団地の補修が13年間放置された。阪神大震災では木造建築だけではなく、マンションも多く倒壊しているが、その多くが手抜き工事だったということを、明治大学(当時)の建築学の先生だった中村幸安氏が『コウアン先生の人を殺さない住宅―阪神大震災「169勝1敗」の棟梁に学べ』という告発書で指摘している。
つまり、いつの時代も「欠陥」や「手抜き」が発覚し、そのたびに制度や審査を厳しくしてきたが、喉元過ぎればなんとやらでしばらくするとダイナミックな不正が見つかる。三井不動産社員が指摘するような、業界の構造的問題にまでメスが入っていないからだ。
当社分譲済の横浜市所在マンションにおける一部杭の不具合対応について(出典:三井不動産レジデンシャル)

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「投げた先がロクでもない連中」で一件落着
デベロッパーがゼネコンに投げる、それをゼネコンがさらに下へ投げる。それでうまく回れば良し。なにか問題がでたら、「投げた先がロクでもない連中だったね」で一件落着。そんな構造はそろそろ限界に近づいてきているのではないか。
よく日本の「ものづくり」の現場では「職人不足」と言われる。職人が消えた、若者が職人を目指さない。ただ、これも冷静に考えると当然だ。力のある者が、力の小さき者へ「負担」と「責任」を押しつけていくような業界で、腕一本でたたかう個人が育つわけがない。
日本はこういう構造的問題を手をつけようとすると、「最近の日本人は」みたいなフワッとした精神論やスローガン的な言葉でお茶を濁(にご)すことが多い。「1億総活躍」なんてのはその代表だ。
今回の「傾斜マンション」問題でも、昔の日本企業は高いモラルがあったが今はダメだとか、劣化しているとかいう人がいるが、そういう精神論ではこれまで同様なにも問題は解決しない。
業界の多重請負構造や、竣工する前に完売させる販売方法など、「とりあえずチャッチャッと建てて売り飛ばしていく」というシステム自体を再考する時期にきているのではないか。
杭の少ないマンションはほかにもある!?
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ここまでhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151020-00000012-zdn_mkt-indより引用

マンション傾斜:記者会見にも住民から怒りや不信感あらわ
毎日新聞 2015年10月20日 21時59分(最終更新 10月20日 23時31分)

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横浜市都筑区のマンションが施工不良で傾いている問題で、くい打ち工事を担当した旭化成建材、親会社の旭化成が20日午後、問題発覚後初めて、東京都内で記者会見した。旭化成側の記者会見について、施工不良で傾いた横浜市都筑区のマンション住民から改めて怒りや不信の声が上がった。
夫婦2人で暮らす30代の女性は、一部テレビ中継された謝罪会見を冷めた目で見たという。「会社の信頼回復に努めるというのなら、これから必要な具体的な補償の話をきちんとしてほしい。一生の買い物をしたのに」
くい打ちをした契約社員らが「くいは強固な地盤(支持層)に届いている」と説明していることが会見で明かされたことについて、2人の子どもがいる30代の女性は「(販売元の)三井不動産レジデンシャルの住民説明会では『くいが支持層に届いていない』と言われた。(旭化成側は)データの改ざんがあったことは認めているのに、今更『届いている』と言われても信用できない」と不信感をあらわにした。
別の30代の女性も「話が会社によって二転三転する印象を受けた。意見を統一して、しっかり補償してほしい」と憤った。一方、60代の男性は「私たちにマンションを売った三井不動産レジデンシャルが最初に謝罪の記者会見をするのが筋だ」と話した。【国本愛】

マンション傾斜:時折、涙ぐみ旭化成社長「深く深く反省」
毎日新聞 2015年10月20日 20時31分(最終更新 10月20日 23時29分)

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◇問題発覚後、初の記者会見 経営責任について明言避ける
横浜市都筑区のマンションが施工不良で傾いている問題で、くい打ち工事を担当した旭化成建材、親会社の旭化成が20日午後、問題発覚後初めて、東京都内で記者会見した。浅野敏雄・旭化成社長は時折、涙ぐみながら「居住者の皆様、関係各位の信頼を損なった。深く深く反省し、おわび申し上げる」と謝罪した。自身の経営責任については「原因究明に全力を傾けたい」と述べ、明言を避けた。
浅野社長は旭化成建材が記録を保管している同種工事の約3000棟については「都道府県別、用途別に棟数を22日に国土交通省に報告し、公表する」と述べた。
問題のマンションは4棟で構成。三井住友建設が施工し、2次下請けに入った旭化成建材が2005年12月〜06年2月、くい473本を打ち込んだ。しかし、西棟が約2センチ傾いていることが判明。くい8本が強固な地盤(支持層)に届かないなど不完全で、計70本のくいの施工データが改ざんされていることが分かった。旭化成によると、くい打ちは2台の重機を使い、このうち1機のチームの管理者を務める男性契約社員が改ざんしていたという。
社内調査に対し、契約社員は「くいは届いていた」と説明しているという。現在、三井住友建設などが改めて現場の地盤調査を進めているが、旭化成はデータが改ざんされた70本について別途詳しく調査する。
販売元の三井不動産レジデンシャルは建て替えを基本方針に住民と協議する意向を示している。旭化成としての負担分について、浅野社長は「売り主、施工会社などと誠意をもって協議したい」と話した。【坂口雄亮、関谷俊介】

マンション傾斜:データ改ざんの「なぜ」 社長の説明は
毎日新聞 2015年10月20日 21時55分(最終更新 10月21日 00時01分)

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◇記者会見でずさんなデータ管理の実態に質問相次ぐ
日本有数の上場企業・旭化成の子会社、旭化成建材が起こしたマンションデータの改ざん。旭化成ブランドへの不信感は拡大しており、記者会見ではずさんなデータ管理の実態について質問が相次いだ。「今までの信頼に感謝し、今回のことを深く深く反省している」。旭化成の浅野敏雄社長は悔し涙を浮かべた。
なぜ、改ざんしたのか−−。旭化成によると、くいの施工データを改ざんしたとされる旭化成建材の契約社員は、体調を崩し休んだ間に代役を務めた同僚からデータを引き継げなかったり、データの記録用紙の紙切れに気づかなかったりしたことなどで一部のデータが取得できなかったと説明。工期終盤で報告書をまとめて作成したため、一部のデータを転用してしまったとも話しているという。
「支持層(強固な地盤)に届いていないという認識を持ってやった工事はない。不具合を隠すため転用したのではない」。社内調査で、契約社員は繰り返し、こう話しているという。
しかし、旭化成の幹部は「実際には傾いている。何らかの欠陥、不具合があったのではないか」と話す。
横浜市都筑区のマンションのくい打ち作業は2チームを投入。うち1チームについて、契約社員がリーダー役を務め、その下で旭化成建材の下請け企業の7人が作業に従事した。このチームが担当したくいに改ざんがあった。この点について、7人は契約社員と同様に、「支持層に当たった」と説明。ただ、旭化成の幹部は「その信ぴょう性を含め、まだまだわからない」と話し、調査が長期化する見通しを示唆した。
マンションの西棟では、8本のくいが支持層に届かないなど不安定な状態だった。8本の打ち込み作業は、工期の終盤に集中していた。工期に問題はなかったのか。旭化成は「普通のくい打ち工事の工期だった」と答えた。
旭化成はこの約10年にくい打ち作業を実施した約3000棟について、異常の有無を調査する方針だ。それ以前の分はどうなるのか。「既にデータが残っていない。同様の対応はできないが、不具合があれば対応したい」。幹部はそう釈明した。
全国に広がる不信と不安。旭化成が問題視する契約社員が工事に関与したのは何棟なのか。調査はどれほど進捗(しんちょく)しているのか。幹部は「現在、調査中ですのでお答えは控えたい」と繰り返した。【岸達也、福島梓】

横浜・都筑区のマンション傾斜:3000棟「22日までに報告を」 県別物件数、国交相が指示
毎日新聞 2015年10月20日 東京夕刊

マンション建設の流れ

横浜市都筑区のマンションが施工不良で傾いている問題で、くい打ち工事を担当した旭化成建材が約3000棟の同種工事に対して行っている調査について、石井啓一国土交通相は20日の閣議後記者会見で、22日までに都道府県別、用途別の物件数をまとめ、報告するよう同社に指示したことを明らかにした。国交省はまとまった段階で公表する方針。【坂口雄亮】
約3000棟の都道府県別物件数などについて、旭化成建材は月内に公表したいとしていたが、前倒しを要求した形だ。石井国交相は「国民に広がる不安解消の一環として早く報告させたい」としている。この問題で、旭化成建材と親会社の旭化成は20日午後、東京都内で会見し、調査の現状などを説明する。
今回の問題を受け、国交省は事務次官を筆頭とする省内連絡会議を設置し、問題の対応に当たる。
問題のマンションでは、複数のくいが支持層(強固な地盤)に達しないなど不安定な状態だったが、行政による検査では見抜けなかった。検査のあり方について、石井国交相は「研究していきたい」と述べ、見直す考えを示唆した。
また、石井国交相は「マンションは一生に一度の買い物。さまざまな暮らしを夢見て買われたと思う。そういう思いを踏みにじる行為で、許されない」と批判。その上で「建設業や不動産の団体にも調査に責任を持って協力し、対策を講じるよう求めていく」と説明した。
国交省はマンションの施工各社について建設業法違反の疑いで調査を進めているが、販売した三井不動産レジデンシャルについても、宅地建物取引業法に抵触する点がないかどうか調べている。
宅建業法では、宅建業者は、取引した関係者に損害を与えた場合などに処分の対象となる。ただ、今回は同社が建て替えを基本に住民側と協議する方針を示しており、国交省は話し合いがまとまれば処分の必要はないとして推移を注視している。

◇くい、共有棟などに数百本
基礎のくい打ち工事をした旭化成建材が居住棟4棟の地盤に打ち込んだ473本以外にも、住民が利用できる共有棟の地盤などマンション敷地内に打ち込んだコンクリート製くいが数百本あることが関係者への取材で分かった。旭化成建材は「資料を確認してデータの改ざんはなかった」と話している。同社と施工主の三井住友建設、販売元の三井不動産レジデンシャルが今後の対応を協議中で、住民への説明はされていない。
マンション敷地内には最高12階建ての居住棟4棟のほか、居住者らが利用できる2階程度の共有棟があり、会議室などがある。
三井不動産レジデンシャルは「マンション全棟の構造安全性を早期に検証する方向性に揺らぎはない」としたうえで「今後の対応を住民と協議することになる」と話している。【岸達也】

国交相「3000棟、22日までに報告を」 マンション傾斜
2015/10/20 12:22 (2015/10/20 14:02更新)

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三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションが傾いている問題で、石井啓一国土交通相は20日の閣議後の記者会見で、2次下請けの旭化成建材が杭(くい)打ち工事を請け負った全国約3千棟の所在地などの概要を22日までに取りまとめて報告するよう、親会社の旭化成に指示したと明らかにした。
約3千棟について都道府県別の件数や、マンション、商業施設、病院といった建物用途別の件数を取りまとめる。概要は公表される予定。
また、同省は徳山日出男事務次官をトップとする連絡会議を設置。施工会社の三井住友建設や旭化成建材などに報告を求め、施工体制などが適切だったかどうか調べる。
建築基準法は杭の施工状況について自治体などが必要に応じて報告を求めることができると定めているが、横浜市は不正を見抜くことはできなかった。石井国交相は「(建物の)検査や報告の在り方も含めて点検したい」と述べ、建築基準法の見直しを検討する意向を示した。
一方、横浜市は20日記者会見し、住民への具体的な補償案について、販売会社の三井不動産レジデンシャルが27日に提示すると明らかにした。市は同社から19日夜、電話で報告を受けた。
同社などは9日から16日にかけて、問題のマンションで12回にわたる住民説明会を実施し、横浜市によると全705戸のうち約650戸が参加した。15日の説明会では傾いた棟を含む全4棟について建て替えを提案したことが分かっている。

旭化成建材、学校なども杭打ち工事
2015/10/20 2:00 日本経済新聞 電子版

横浜市のマンションが傾いた問題で、2次下請けの旭化成建材が、マンションや商業施設だけでなく、学校など公共施設や太陽光発電施設の杭(くい)打ち工事も請け負っていたことが19日、分かった。
国土交通省には、過去5年間の主な建設工事の受注実績が保管されている。関係者によると、旭化成建材が受注した中に、高校や小学校の校舎改築のほか、太陽光発電所建設などが含まれる。対象の地域は関東のほか、東北や北海道など…
マンション杭打ちデータ偽装「理解できぬ」、同業者衝撃

2015/10/20 1:23 日本経済新聞 電子版
横浜市都筑区のマンションが傾いた問題では、2次下請けの業者によって、建物を固定する杭(くい)打ち工事データが改ざんされた。建物の安全性に致命的な影響を与えかねない不正に、受注実績の多い同業者は「理解できない」と驚きを隠さない。建築業界に詳しい専門家は、工期重視の慣行や建設ラッシュなどが背景にあると指摘している。
「杭打ちは住宅工事の最重要部分。なぜデータを改ざんするのか理解に苦しむ」。首都圏で建…

旭化成社長「責任厳正に」 マンション傾斜問題で会見
2015/10/20 17:10

横浜市都筑区の大型マンションが傾斜した問題で、建物を固定する杭(くい)打ち工事を請け負った旭化成建材(東京・千代田)と親会社の旭化成は20日午後、都内で記者会見を開いた。旭化成の浅野敏雄社長は「ご迷惑をおかけし、信頼を損なうこととなった。深く反省し、おわび申し上げる」と陳謝。今後設置する外部調査委員会で利害関係のない弁護士を委員に加え、原因究明を急ぐ方針を明らかにした。

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旭化成建材の前田富弘社長も「申し訳ございませんでした」と頭を下げた。
浅野社長は経営責任について「原因を究明して影響をしっかり見極めて、経営層、関係者の責任は厳正に考えていきたい」と述べた。浅野社長自身の辞任の可能性を問われると「原因究明したうえで経営責任をきっちり明らかにしたい。今はそれ(原因究明)に全力を傾けたい」として明言を避けた。
旭化成は19日付で浅野社長を本部長とする対策本部を社内に設置した。内部の調査委員会を設置済みだが、客観的に検証するため、これとは別に外部調査委員会も早急に設ける。浅野社長は「グループをあげて信頼回復に努めたい」と話した。
費用負担について浅野社長は「旭化成建材では(横浜市の)当該物件の調査、補強、改修工事などに関する費用は全額を負担する」と説明。「販売会社、施工会社と協力し、誠意をもって対応する」とした。
旭化成建材は建物と地盤を固定する杭を473本施工した。このうち杭打ちデータの改ざんが38本、杭の先端を覆うセメント量のデータ改ざんが45本あり、重複を除く70本でデータの不備があった。旭化成は20日、今後建て替えとなった場合には、マンションを販売した三井不動産レジデンシャルや、建設した三井住友建設と費用負担に関する協議を改めて行う方針も明らかにした。
傾斜したマンションに関する社内調査委員会の検証結果は外部調査委員会の検証を踏まえ年内をメドに公表するとしている。

絶賛から罵倒へ、地に堕ちた「旭化成ブランド」
横浜のマンション傾斜問題で旭化成社長が会見

2015年10月21日(水)

40年以上かけて築き上げてきたブランドに、一瞬にして大きな亀裂が走った。
三井不動産グループが2006年に販売した横浜市都筑区の大型分譲マンションで基礎工事の施工不良が見つかり、建物が大きく傾いている問題。施工データの改ざんに関与した旭化成建材の親会社、旭化成の浅野敏雄社長は10月20日午後、本社近くで記者会見を開き、頭を深く下げた。
「居住者の皆様には大変ご迷惑をおかけし、関係各位へのご信頼を損なうこととなりました。深く深く反省し、お詫び申し上げます。居住者の皆様、大変申し訳ありません」

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現時点で判明している事実は以下の通りだ。
傾いていることが分かったのは、全4棟の中で西側に位置する11階建てのマンション。建物を支える杭(くい)52本のうち、8本に不具合が見つかった。このうち6本の杭は「支持層」と呼ばれる固い地盤に届いておらず、残る2本は支持層へ到達していたが、深さが不十分だったとみられている。マンション販売元の三井不動産レジデンシャルと、工事元請けの三井住友建設は、建物全体の安全性や地盤調査を進める予定だ。
問題となっているのは、杭の深度不足だけではない。傾きが判明したマンションを含む3棟で、地盤に固定するために杭の先端に流し込むセメント量のデータも改ざんしていたことが判明。セメント量が足りなければ、杭を固定する十分な強度を保てない可能性がある。重複を除くと、何らかの形でデータの転用や加筆があった杭は計70本に上っている。

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三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市都築区のマンションで問題が発覚した。
現場代理人は「故意にデータを転用していない」と主張
これらの建物を支える基礎の杭打ち工事を担当したのは、二次下請けの旭化成建材。同社は、これまでに22時間以上かけて杭打ち工場を行った現場代理人から話を聞いているという。
なぜこのような杜撰な工事が行われたのか。現場代理人は一部の杭についてデータの転用や加筆を認める一方で、「支持層には届いているという認識だった。工事が不十分ということを隠すために故意にデータを転用したことはない」と過失や誤認を主張。その理由として現場代理人は、通常は工事の進展に合わせて提出する報告書を、「この案件では最後にまとめて作ったというように記憶している」と答えているという。
杭を打ち込む工事は正しく行われたが、センサーのスイッチの入れ忘れや紙切れなどがあったため、データが保存されていなかった。つまり報告書の体裁を整えるために、データを改ざんしたのだと訴えている。
ただ、旭化成はこの現場代理人の言葉を額面通りには受け止めていない。それは、この日の記者会見に出席した住宅事業を統括する平居正仁・代表取締役副社長の以下の言葉からも伺える。

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「現実に建物が傾いているので杭に何らかの欠陥や不具合が発生しているのではないか。そこに整合性が取れていない。きちんと調査した内容を、記憶として発言していることと突き合わせをすることによって、彼が本当のことを言っていたのか、誤認していたのか、ウソをついていたのか、そうすることでしか語れないんじゃないか」
一方、旭化成は過去10年間に関わった約3000件の工事についても改めて調査することを決めた。平居副社長は「合理的な話ができないのは申し訳ないが、弊社の杭が原因で建物が傾いたという事例はこれまでの40年間で今回の1回しかない」と安全性を強調する。しかし、少なくとも調査結果がまとまるまでは、横浜の大型マンションが「特異なケース」だったかどうかを結論づけることはできない。
「ヘーベルハウスすげえ」との称賛から暗転
戸建て住宅ブランド「ヘーベルハウス」で知られる旭化成グループの住宅事業。今回の問題が発覚するほんの1カ月前には、今とはまるで正反対の評価を受けていた。
「へーベルハウスすげえ」「無敵伝説が誕生!」「間違いなくイヌと家族の命が助かりましたね」
9月10日、関東・東北での集中豪雨で茨城県の鬼怒川の堤防が決壊。街が濁流に飲み込まれた水害被害を伝えるテレビのニュースで繰り返し流れた映像がある。
濁流に流される2軒の家が白い家にぶつかる形で停止。家や車を押し流し渦巻く激流にも、この白い家はびくともしない。その後、ヘリコプターによって屋根や近くの電柱に捕まりながら避難していた住民や犬が無事救助された。
放送後にはネットユーザーらがグーグルマップなどを使い、この白い家がヘーベルハウスであることを特定。自然発生的にハウスメーカーの旭化成を称賛する書き込みが続き、ツイッターでは一時、急上昇ワードの上位にランクインするほどの盛り上がりを見せた。
「基礎から時間をかけてしっかりと作るのがヘーベルハウスの特徴。だからこそ危機的な状況でもその強みが発揮できたと思う」。平居副社長は当時、こう胸を張っていた。
ニュースで取り上げられた白い家は、上から見ると正方形の形状だった。そのため、「水圧が均等にかかり、過度に力が壁面に加わることはなかった」(平居副社長)というラッキーな面があったのも事実。ただ、この白い家を含め、被災地に立つヘーベルハウスのうち建物自体の被害は1軒もなかったと言い、特徴である堅牢さを証明する絶好の機会になった。
へーベルハウスを手掛ける旭化成ホームズと、横浜の傾斜マンションでデータを改ざんした旭化成建材はグループ傘下の別会社。だからと言って累が及ばないとは限らない。実際、旭化成のここ最近の株価は「旭化成ブランド」の棄損を如実に示している。
旭化成の株価

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一番の稼ぎ柱で起きた不祥事
20日の記者会見で浅野社長が声を詰まらせ、涙を浮かべる場面があった。へーベルハウスの入居者へ向けたコメントを求められ、「設計施工がきちんとしていることを誠心誠意ご説明して、感謝を申し上げるとともに、今回のことは本当に深く深く反省しております」と答えた直後のことだった。
旭化成の2015年3月期の連結売上高は前の期比4.7%増の1兆9864億円、連結営業利益は同10.2%増の1579億円。このうち住宅・建材事業は売上高で全体の約3割に当たる6038億円、営業利益で約4割の630億円に上る。1972年の本格参入から40年余り。住宅・建材事業は化学、医薬・医療を抑え、いまや一番の稼ぎ柱と言える存在にまで成長した。
東京都内にある旭化成の販売マンションに入居する30代の男性会社員は「化学メーカーとして有名な旭化成だから建物に使われる建材の質が良いものだと信じ、マンションの購入を決めた。それなのにこんな恥ずかしいことに手を染め、裏切られた気分だ」と憤る。
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旭化成が販売を手掛けた都内のマンションでは急遽、住民向けの張り紙が掲示された。

マンションの共有部分には数日前に「杭工事施工不具合及び工事施工報告書のデータ転用・加筆について」との文書がひっそりと張られていたという。そこには、旭化成グループが分譲したマンションに関する杭施工の詳細について「現在確認中」としか書かれていない。現在に至るまで旭化成から何も説明を受けていない。
男性は「本当に現場代理人の属人的な問題に過ぎないなら、旭化成は刑事告訴に打って出て、会社の責任がないことを世間に示すべきだ」と話す。
浅野社長の涙では挽回できないほど、ブランド棄損の傷はあまりに深く大きい。

三井不動産会長「心からおわび申し上げたい」
10月20日 19時11分

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横浜市のマンションで建物を支えるくいのデータが改ざんされていた問題で、マンションを販売した「三井不動産レジデンシャル」の親会社「三井不動産」の岩沙弘道会長は20日、東京都内で記者団に対し、「購入者、居住者に大変不安と心配をおかけしたことを心からおわび申し上げたい」と述べ、謝罪しました。
また、「売り主として購入者や居住者の心配や不安を解消するよう、しっかり対応していきたい。調査結果を含めて事実を共有し、できるだけ速やかに安心してもらえるように取り組む方針だ」と述べ、対応を急ぐ考えを示しました。
さらに、問題となっている棟を含め同じ敷地にある4棟のマンションについて、岩沙会長は「居住者、購入者の意見もあるので、どういう方法がいちばん望ましいか協議をしていくが、最終的には建て替えも含めて解決をしたい。いちばん安心でき、心配がないような解決策を共有し、合意のもとで取り組んでいきたい」と述べ、マンションの建て替えを基本的な枠組みとして、住民との協議を進めていく考えを示しました。

マンションの偽装を根底から洗い直せ
2015/10/21付

マンションで暮らす住人の安全や安心をないがしろにした、由々しき事態だ。横浜市都筑区で三井不動産レジデンシャルが販売した物件で、施工不良やデータ改ざんが相次いで明らかになった。
杭(くい)を固い地盤まで打ち込む基礎工事は、建物の強度を確保するのに極めて重要だ。杭が地盤まで届いていなかったりセメントで固定されていなかったりすれば、建物が沈下し傾く可能性があることは、素人でもわかる。
その工事で手を抜き、データを偽装することは、あってはならない。横浜市や国土交通省は問題の全容を明らかにしたうえで、業者を処分すべきだ。
現在、杭打ち工事をした旭化成建材や元請け業者である三井住友建設が建物全体の基礎工事の状況を調べているが、外部の専門家も加わるのが望ましい。いいかげんな施工をした業者に「建物の安全性に問題がない」などといわれて、住人は納得できるだろうか。
旭化成建材は、工事にかかわった特定の社員の責任を示唆しているが、それで済ますわけにはいかない。手抜き工事や不正に目をつぶる風潮が社内になかったか、偽装が生まれた原因を根本から究明する必要がある。
マンション住人に対するきめ細かな対応も不可欠だ。三井不動産レジデンシャルが提案している建て替えは所有者の5分の4以上の同意がなければ実施できない。今回のような団地型のマンションはさらに複雑になる。
10年前に発覚した耐震強度の偽装事件では、すべての物件を建て替えるのに6年を要した。今回は700戸に上る物件だ。住人の意見は分かれる可能性が大きいだけに、横浜市は専門家を派遣し話し合いを手助けしてほしい。
マンション工事を巡るトラブルは全国で相次いでいる。根本的には企業や技術者のモラルの問題とはいえ、今回のケースでは旭化成建材はもとより、それを監督する立場だった三井住友建設にも重大な責任がある。関係者全体で再発防止策を検討すべきだ。
民間機関や自治体による建物検査のあり方も再検討する必要がある。基礎工事の状況を事後的に調べるのは現実問題として難しいものの、杭打ちの詳細なデータの提出を求めて確認するなど、抑止力を高める余地はあるだろう。
住宅の購入は人生の一大事である。安全網は二重、三重でいい。

マンション傾斜問題、多層下請けの死角
甘いチェック体制

2015/10/17 23:13

三井不動産グループが横浜市で販売したマンションが傾いた問題で、建物と地盤を固定する杭(くい)打ち工事のデータ改ざんが明らかになった。なぜ虚偽データの使用が見過ごされたのか。下請けへ段階的に仕事を発注し、業務が細分化された業界特有の多層構造が、チェック体制を甘くした可能性がある。

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「最近は玄関のドアできしむ音が聞こえた。(騒動によって)目減りする資産価値をどう補償してもらえるのか気がかりだ」。傾いた棟に住む男性は不安を隠さない。
2007年12月に完成した問題のマンションは4棟で構成し、計705戸ある。このうち傾いたのは1棟。建物の両端を比べると最大2.4センチメートルの差がある。昨年11月、住民らが廊下の手すりの高さに差があることに気付いた。
問題は杭の工事にあったとされる。マンションを販売した三井不動産レジデンシャルなどによると、一部の杭は地下十数メートルの「支持層」と呼ばれる固い地盤に届いていなかった。なぜこうした事態が起きたのか。
杭の工事はまず、敷地の複数箇所を掘削調査して地盤を調べる。今回は、全体の工事をとりまとめる「元請け」の三井住友建設が専門業者に頼んだ。この結果を基に、三井住友建設が打ち込む場所や数、長さや太さを決めて473本の杭を手配した。そして、下請けの旭化成建材(東京・千代田)が杭打ち工事をした。
杭を打つ全ての場所で掘削調査をするわけではないため、実際に工事を始めてみると想定より支持層が深くにある場所もある。「掘ってみなければわからない」(三井住友建設)のが実態だ。準備した杭の長さが足りない事態は十分あり得る。
旭化成建材の担当者がその事実に気がついたとみられるのは、杭を打ち込むために、ドリルで地面に穴を開けた際だった。このドリルにかかる土の抵抗値を見ると、実際に支持層に届いているかどうかが分かる。抵抗値は波形のデータで記録する。
杭が短すぎるとわかったのに、長い杭を手当てするのではなく、別の杭のデータを転用したり、加筆したりしてしのいだもよう。38本について虚偽データを使い、支持層に届かない杭が発生した。
さらに16日、新たなデータの不正利用が発覚した。ドリルで開けた穴には杭の先端と地盤を固定するため、セメントを流し込む。このセメント量のデータも改ざんしていた。つじつまを合わせるため偽装の連鎖が広がった可能性がある。セメントが足りなければ、本来の強度を得られない。
一連の杭打ちは2人1組で作業する。一人は杭を打ち込む建機を操縦し、もう一人はデータを管理する。この管理者がデータを改ざんしたもよう。16日夜に会見した旭化成建材の前田富弘社長は「断定はできないが改ざんはミスではなく悪意を持って施工不良を隠そうとした」と説明した。
マンションの工事は大まかに、杭を打ち込むなどの基礎工事、柱やはりなど骨組みを造るく体工事、内外装を造る仕上げ工事に分けられる。関連する会社は数十社にのぼることも珍しくない。
今回の杭打ち工事は、1次下請けが半導体製造装置を主力とする日立ハイテクノロジーズ。2次下請けが旭化成建材だった。三井住友建設は、日立ハイテクノロジーズに工事の進捗状況の確認や、安全の確保を任せていた。同社が間に入ったことも、三井住友建設の旭化成建材に対するチェックの目を甘くした可能性がある。
同じような問題は繰り返されてきた。14年1月、鹿島が元請けとなり完成直前まで工事が進んでいた東京都港区のマンションで、下請けが工事を手掛けた配管や配線用の壁の穴が設計通りに開いていなかったことが発覚。建て直しになった。
20年の東京五輪を前にマンションやビルの建設は活発だ。人手が不足し、下請け工事の品質や元請けの管理機能の低下を懸念する声もある。不正やミスをチェックする体制を構築し直せるのか。再び信頼を失えば、厳しい選別にさらされるだろう。(藤野逸郎)

動機「調査中」繰り返す マンション傾斜、旭化成社長会見
2015/10/21 2:00

「調査中でお答えできない」。横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題で、杭(くい)の工事データを改ざんした旭化成建材(東京)と親会社の旭化成が20日、発覚後、初めて記者会見した。改ざんの表面化から1週間、両社が把握してからは1カ月。ようやく開かれた会見で社長らは涙を浮かべて謝罪したが、改ざんを見逃した原因や他に不正はないのかとの質問には調査中を繰り返すばかり。住民らは対応の遅れを批判した。
2時間以上に及んだ記者会見の冒頭、旭化成の浅野敏雄社長(62)ら4人は「誠意をもって対応していきます」と深々と一礼した。社会に広がる不安を何とか払拭しようと、会見では「誠意」と「誠実」を繰り返した。
傾いたマンションの原因調査の過程で、両社が杭打ちの工事データに改ざんがあったことを確認したのは9月24日だが、記者会見を開いたのはこの日が初めて。浅野社長は「説明が遅れ、申し訳ない」と神妙な表情で謝罪した。マンション住民の不安な気持ちについて問われると、「深く反省している」と涙ぐみながら言葉を詰まらせる一幕も。着席後は肩を震わせながら、ハンカチで目元を拭った。
問題のマンションでは旭化成建材の現場担当者が杭の工事データを改ざんし、一部の杭は地盤が強固な「支持層」に達していなかった。担当者の改ざんの動機がデータの取得ミスなのか、杭が固い地盤まで届いていないことを隠すためだったのかや、他の建物にも不正がある可能性などに質問が集中したが、社長らは「調査中」を連発し、明らかにならなかった。
旭化成建材が過去10年に関わった工事は全国で約3千棟あり、旭化成が改ざんの有無を調査中。調査を指揮する平居正仁副社長(64)は「気休めかもしれないが、弊社の杭が原因で倒壊したり傾いたりした建物は他には一件もない。改ざんを把握したのも今回が初めて」と弁明する場面もあった。

他物件で偽装「ないと言い切れぬ」 傾きマンション業者
工藤隆治、小林恵士 永田大
2015年10月20日23時52分

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傾いたマンションの売買・下請けの流れ
横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題が明らかになって約1週間。ずさんな杭の工事を行った旭化成建材と親会社の旭化成が20日、記者会見を開き、社長が涙ながらに謝罪した。データ偽装がほかの建物に広がる可能性は認めたが、全容究明は見通せないままだ。

マンション傾斜、旭化成社長が謝罪 外部委で調査へ

「居住者の皆様の安全安心を最優先し、原因究明する。今回の出来事に深く反省している」
旭化成の浅野敏雄社長は、東京都内で開いた記者会見で、全国に不安が広がっていると指摘され、ハンカチで目を押さえて陳謝した。約200人の報道関係者を前に、言葉に詰まりながら約2時間、説明を続けた。
横浜市のマンションでは473本ある杭のうち、6本が固い地盤(支持層)に届いておらず、2本の打ち込みが不十分だった。この8本は、3カ月の工期の最後に集中していたという。
70本の杭の工事データ偽装は、旭化成建材の現場責任者の男性社員が関与。杭が支持層まで届いたかを示すデータと、杭の底部を固定するセメントの量のデータが偽装されていた。
この社員は約20時間の社内調査に「全ての杭が支持層に届いたと思っている」と述べ、データ偽装については「最後に報告書を作る際、病欠した日の分など紛失したデータを偽装したが、不具合を隠すためではない」と話しているという。
ただ、当時は8人ずつ2班で作業したが、70本はすべてこの社員の班が施工していた。70本の工事時期はバラバラで、前田富弘・旭化成建材社長は「何らかの意図を持ってやった可能性はある」として調査を続ける考えを示した。
旭化成建材が過去10年間に同様の杭工事をしたのは全国で約3千棟。この社員は約15年のキャリアがあり、ほかに複数の杭打ち工事に携わっていた。前田社長は「現物件でこれだけのことがあったので、必ずしもこうしたことがないとは言いきれない」と述べ、ほかの建物にもデータ偽装がある可能性を認めた。
ほかの建物の安全性について、社内の調査委員長を務める平居正仁・旭化成副社長は「この10年間で東日本大震災も経験したが、傾いたのはこの1件だけだ。建物が倒壊する可能性はない」との見方を示した。資産価値を落とす恐れがあり、個別の物件名は公表しないという。
工事記録があるのは10年分。10年以上前の物件はデータが残っておらず、調べられないという。(工藤隆治、小林恵士)

■3千棟の概要、22日報告予定
旭化成建材が過去10年間に杭工事をした約3千棟の概要について、国土交通省は20日、旭化成に22日までに報告するよう指示したことを明らかにした。旭化成側は22日に報告する予定で、国交省はデータがまとまり次第公表する。
公表するのは、建物が所在する都道府県とマンションやビルなどの用途。具体的な物件名は公表しない。約3千棟のデータ偽装の有無や安全性を確認するため、各物件の元請けや販売会社にも調査に加わるように指示するという。
また同省は、旭化成建材などが請負契約に対して不誠実な行為があった場合は建設業法違反の可能性があり、売り主の三井不動産レジデンシャルが取引で関係者に損害を与えた場合は宅地建物取引業法に抵触する可能性もあるとして、調べている。
一方、横浜市は20日、販売元の三井不動産レジデンシャルが27日に補償などの考え方について住民に説明することを明らかにした。

■募る不信、住民「会見遅い」
杭工事のデータ偽装が明らかになって約1週間後の施工業者側の記者会見。住民の不信は募るばかりだ。
杭打ちデータの偽装が見つかった棟に住む男性(40)は「本来起きえないことが起きたのに、会見を開くのが遅い」と憤った。このマンションから離れたくないと考えている。しかし、「これからまた不正が出てくるのではないか」と不安が消えない。
テレビで会見の様子を見たという男性(51)は「販売元の三井不動産レジデンシャルの会見が本当は最初じゃないのか。孫請けが先に会見をするなんて」と話した。
旭化成側は会見で「すぐ倒壊の恐れがあるという構図では考えていない」と強調した。しかし、次々と明らかになる不正に、60代男性は「もう何を信じたらいいかわからない」と漏らした。(永田大)

■傾いたマンション問題の経緯
2005年11月-マンション着工
2006年06月-分譲開始
2007年12月-完成
2014年11月-傾きに気づいた住民が、三井不動産レジデンシャルに相談。その後、「東日本大震災によるひずみ」との回答を受ける
2015年06月-住民の依頼を受け、同社が傾いた棟周辺のボーリング調査を開始
2015年09月-杭の一部が固い地盤に届いていないことを同社が住民や横浜市に報告
2015年10月06日-杭の施工記録にデータの転用・加筆があったことを同社が市に説明
2015年10月09日-同社が住民説明会を開始
2015年10月14日-杭工事をした旭化成建材がデータ改ざんを認め、調査・改修費用の全額負担を表明
2015年10月15日-三井不動産レジデンシャルが全棟建て替えを基本に協議していく考えを住民に説明
2015年10月16日-三井側が工事の施工記録で新たにセメント量のデータ改ざんがあったことを市や住民に報告
2015年10月19日-国土交通相が事務次官をトップとする連絡会議の設置を指示。追加の地盤調査開始
2015年10月20日-国交省が、旭化成に、過去10年分の杭打ち工事の概要を22日までに提出するよう求めたことを明らかに

旭化成建材(株)の杭工事施工物件における不具合等について
2015年10月20日

旭化成株式会社
この度、旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:浅野 敏雄)の建材事業を担当する子会社の旭化成建材株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田 富弘、以下「旭化成建材」)が、三井住友建設株式会社様(元請)の下請け業者(二次下請)として施工した横浜市所在のマンション(以下、「当該物件」)における杭工事の一部について、旭化成建材の施工の不具合および施工報告書の施工データの転用・加筆・改変があったことが判明しました。
居住者様をはじめ関係各位の皆様方のご信頼を損なう結果となりましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
当社は、10月14日付で調査委員会を発足させ、原因の究明と再発防止にあたっております。また旭化成建材は、当該物件の調査および建物の補強・改修工事等に要する費用についてはその全額を負担することにしております。居住者様の安全の確保を最優先に、行政当局のご指導の下、売主(三井不動産レジデンシャル株式会社)様、施工会社(三井住友建設株式会社)様と協力の上、しかるべき対応を行ってまいります。また、建替えとなった場合は、売主様および施工会社様と費用負担に関する協議を改めて行います。

1.今回の経緯
9月24日-施工会社様より当該物件の杭工事の電流計データ転用のご指摘
10月9日-売主様と施工会社様による居住者の皆様への説明開始
10月14日-「旭化成建材の施工物件による施工不具合および杭工事施工報告書のデータの転用・加筆について」を開示
10月16日-「旭化成建材の杭工事施工物件でのその後の調査結果について」を開示

2.問題の概要
(1)杭工事の施工不具合
旭化成建材が施工した当該物件の杭のうち、現時点では6本が支持層に未到達、2本が支持層に到達しているものの支持層への差込が不十分であると推定されること。
(2)電流計データの転用・加筆
施工した杭、計473本のうち、38本に関し、施工報告書において杭が支持層に到達したことを示す電流計データで、データの転用および加筆があったことが判明。
(3)根固めセメントミルクの流量計データの転用・改変
施工した杭、計473本のうち、45本に関し、施工報告書において杭先端を根固めするセメントミルクの流量計データで、データの転用および改変があったことが判明。
施工報告書においてデータに不備があった杭は上記(2)(3)を合わせ、重複(13本)を除くと計70本となります。

3.原因究明と今後の対応について
(1)対策本部の設置
10月19日付で、当社代表取締役社長浅野 敏雄を本部長とする対策本部を設置しました。居住者様の安全の確保を最優先に考え、誠心誠意対応していくとともに、今後の当社グループのコンプライアンス体制の見直しとその徹底を図ってまいります。
(2)調査委員会による調査
当社代表取締役副社長執行役員の平居 正仁を委員長とし、弊社の法務・コンプライアンスメンバー、施工技術メンバー、および弁護士2名からなる10名の調査委員会を10月14日付で発足しました。当該物件における杭工事の事実関係の調査、杭の安全性調査、原因の究明、今後の再発防止策に関する検討を開始しました。調査結果については外部調査委員会の検証をふまえ年内を目処に公表する予定です。
(3)外部調査委員会の設置
当該物件の居住者様からのご要請もふまえ、当社と利害関係のない弁護士をメンバーとする外部調査委員会を早急に設置する予定です。外部調査委員会では、①調査委員会による調査結果の検証、②事実関係の調査(施工報告書の施工データ等の調査および関係者への聴取を含む)、③本件の原因分析、④再発防止策の提言などを実施いたします。外部調査委員会の調査結果については、しかるべき時期に公表する予定です。

4.他物件の対応について
調査委員会にて、過去約10年間の既製コンクリート杭工事の施工データを収集し、データ転用等の有無を調査してまいります。また、さらに詳細調査が必要な物件に関しましては、個別に対応を検討してまいります。なお、調査に関しましては、外部調査委員会のご意見ご助言を得ながら進め、万一、建物の安全性に問題がある事象が判明した場合には、すみやかに必要とされる措置を講じてまいります。
居住者の皆様をはじめ関係各位の皆様方に重ねて心よりお詫びを申し上げるとともに、今後の再発防止と信頼回復に努めてまいります。

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ偽装事件151129

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