杭データ偽装事件151129

杭データ偽装事件151129

千葉のマンション駐車場、設計より短い杭か 最大手施工
工藤隆治
2015年11月27日07時28分

千葉県八千代市の大型マンションの駐車場棟で、杭の一部が設計より10メートル短いとの調査結果が出たことが、市への取材でわかった。杭は業界最大手の三谷(みたに)セキサン(福井市)が施工しており、市は建設会社側に、近く施工状況の報告を求める。
マンションの杭の施工不良をめぐっては、横浜市西区と都筑区の物件で住居棟の杭が短く、固い支持層に届いていない問題が判明。いずれも建物が傾き、建て替えが検討されている。都筑区の物件では旭化成建材のデータ偽装も発覚した。
八千代市のマンションは住居棟と駐車場棟があり、300世帯超が入居する。市によると、マンション管理組合が1月、民間調査会社に依頼し、住居棟1カ所と駐車場棟2カ所の地盤調査を実施。杭近くにボーリングで穴を開け、磁気で杭が到達した深さを調べた。
その結果、駐車場棟の杭1本が、設計上は深さ22メートルまで打ち込まれているはずなのに、実際には深さ12メートルまでしか届いていないとのデータが出た。ほか2カ所は問題なかった。管理組合は今月17日、市に調査結果を通知し、国土交通省にも報告された。
駐車場棟は5階建てで、三谷セキサンが2003年に杭を施工した。市に提出した施工報告書では、長さ17~20メートルのコンクリート杭が50本打ち込まれたことになっている。市の担当者は「杭が半分の長さしかないことは初めて知った。専門調査会社の報告なので尊重する。施工状況について建設会社側に近く書面で報告を求める」と話した。三谷セキサンは取材に「適切に施工管理した」、建設会社のグループ広報担当者は「調査結果の検証が必要だが、適正に施工されたと考えている」と述べた。
駐車場棟は、07年に発覚した耐震偽装問題に関与した設計事務所が構造設計を担当。当時、市が建設会社などに資料を提出させて偽装はないと判断したが、管理組合が独自に建築士に依頼して強度を再計算したところ、駐車場と住居棟が強度不足と判定された。管理組合は建設会社側に補強費用など約35億円を求めて提訴している。(工藤隆治)
http://digital.asahi.com/articles/ASHCV5K79HCVUTIL03J.html?rm=705

三谷セキサンも杭データ流用 福井・越前の小学校
山村哲史
2015年11月26日12時05分

既製コンクリート杭の製造で最大手の三谷セキサン(福井市)は26日、福井県越前市の小学校の杭工事で、電流計のデータを流用していたと発表した。「安全性に問題はない」としている。杭工事のデータ偽装が発覚するのは、旭化成建材、ジャパンパイルに続いて3社目となる。
三谷セキサンによると、施主や元請け企業から依頼があった約350件を調べたところ、1件のデータ流用が見つかった。過去5年間に手がけた8千件程度の全工事についても調べる。
データ流用があったのは越前市立北新庄小学校の体育館改築工事。現場担当者が測定後に記録を紛失したためとみている。杭はすべて支持層に届いており、安全性に問題はないという。
業界団体「コンクリートパイル建設技術協会」によると、同社は2014年度のコンクリート既製杭の出荷量がシェア24・5%で最大手という。(山村哲史)
http://www.asahi.com/articles/ASHCV3PHZHCVPLFA002.html

困惑の自治体、「安全」どうやって確認? 杭データ偽装
小林恵士
2015年11月25日20時42分

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旭化成建材の杭工事でデータ偽装が判明した件数(表にない県はゼロ)
杭工事のデータ偽装問題は、旭化成建材だけで360件に上ることが明らかになった。問題発覚から1カ月余り。安全確認に追われる各地の自治体からは、統一的な判断基準が国から示されないことに困惑の声が上がっている。
東京都の新宿区役所第二分庁舎分館。この日、区職員3人が目を走らせていたのは、この庁舎自体の施工報告書だ。業界大手のジャパンパイルが38本の杭を打ち込んだうち、4本で他の杭のデータを流用していた。計画書と納入伝票で杭の長さが一致しているか、事前のボーリングで調べた支持層の深さと実際に打った杭の長さが一致しているか――。小川奨・施設課長は「どういう書類なら安全確認ができたと言えるのか。国土交通省から例示があれば助かる」と話した。
新宿区では、区立新宿中と四谷保健センターでも旭化成建材による偽装があった。施工データの用紙が流用されたが、データを映したモニターの写真がすべての杭で添付されているなどの理由から、独自に「安全宣言」を出したという。
国交省は4日、偽装のあった物件の安全性を書類上で客観的に裏付けられれば、ボーリングなど実地の地盤調査は必要ないとする通知を自治体に示した。ただ具体的な判断基準は示しておらず、国交省は近く、代表的な判断例を示して安全確認を加速させる。
一方、北海道では道営住宅などでの偽装について、有識者委員会による書類調査に加えて、旭化成建材に地盤調査をさせる方針だ。担当者は「ボーリング調査で確実な判断をしたいが、いつ終わるか見通しはつかない」と話す。(小林恵士)

■販売元「震度7でも倒壊しない」 横浜のマンション
横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、販売元の三井不動産レジデンシャルと元請けの三井住友建設は24日、傾いた棟について「震度7の大地震でも倒壊しない」とする報告書を市に提出した。
三井側は第三者機関の意見を踏まえ、建物の安全性を再検証していた。市も同日、「大地震でも倒壊しない」と判断したと発表した。市は今後、建物の構造などが建築基準法を満たしているか確認する。
http://digital.asahi.com/articles/ASHCS5F2WHCSUTIL04N.html?rm=545

2015年11月29日 (日)
杭偽装、日立ハイテクの役割?
横浜のマンションが傾いたことから発覚した一連の「杭偽装」だが、その発端のマンション建設工事には、日立Gの商社部門を発祥とする日立ハイテクノロジーズが関わっているが、その役割は?
 
不思議なことに、重大な疑惑事件であるにも関わらずマスコミは、ほとんど「日立ハイテク」のことを報じない。
なぜだろうか?
日経の建築専門サイトでも取り上げていないに等しい。
そんな中、11月29日付けで、東洋経済オンラインが、「旭化成建材に”丸投げ”した日立子会社の疑惑」と題して報じている。
ここでも、表題に「旭化成建材」は登場するが、「日立ハイテクノロジーズ」は、登場していない。
当の日立ハイテクは、10月15日に、「当社請負杭工事の不具合に関するお知らせ」を、公表しただけで、沈黙している。
その後、10月26日に決算説明会を開催しているが、この場でも、沈黙を守り通した。
先の「お知らせ」は、広報の「勇み足」だったのか?

ネタ元のURL↓
http://toyokeizai.net/articles/-/94487
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杭偽装は業法違反ではない?(11.27)
http://primamateria.cocolog-nifty.com/moira/2015/11/post-6ac5.html
偽装杭と傾斜マンションの謎(11.19)
http://primamateria.cocolog-nifty.com/moira/2015/11/post-b9ab.html
不可解な杭工事のデータ偽造(10.19)
http://primamateria.cocolog-nifty.com/moira/2015/10/post-c79c.html

旭化成建材に”丸投げ”した日立子会社の疑惑 杭データ改ざんの横浜のマンションに関与
富田 頌子 :東洋経済 記者
2015年11月29日

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日立製作所子会社の日立ハイテクノロジーズも”問題の”横浜のマンション工事に関与
丸投げだったのか――。
日立製作所子会社の日立ハイテクノロジーズが杭のデータ改ざんが問題となっている横浜のマンション工事に関与していたことがわかった。三井住友建設の一次下請けとして旭化成建材に発注し、工程の進捗確認や現場の安全確保等を担当していた。
建設業法では一次下請けであっても、主任技術者を現場に置かなければならないことになっている。だが、日立ハイテクの人物が現場にいたかは定かになっておらず、「丸投げ」の疑いが強まっている。
決算説明会では「調査中」と繰り返すだけ日立ハイテクは問題発覚後、10月15日に「当社請負杭工事の不具合に関するお知らせ」を出したきり、説明の場を一切設けていない。唯一、公の場に幹部が現われたのは10月26日の2016年3月上期の決算説明会だった。その場で、経緯についての説明や謝罪があるとみられたが、出席の宇野俊一執行役常務は決算報告に終始。記者から質問が出るまで横浜のマンション問題には一切触れなかった。

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宇野俊一執行役常務の話は決算説明に終始、マンション問題については、「調査中」と繰り返した。
決算発表の場とはいえ、聞かれるまで問題に言及しなかった姿勢には疑問符が付く。住民への保証や責任の有無などの質問に対しても、「調査中ということでご理解いただきたい」と何度も繰り返した。
丸投げがあったかについては、「そういう(丸投げ)認識はない。契約に沿った業務を遂行している」(宇野執行役常務)と述べている。
日立ハイテクは、2001年10月に日立製作所グループの日製産業と日立製作所の半導体製造装置や計測器事業が合併して設立された。日立製作所が51.64%(2015年3月期末)を出資する日立グループの主要企業でもある。柱は半導体製造装置部門や血液分析装置などの医用機器部門で、この2分野で約9割の営業利益を稼いでいる。今回問題になっている現場の工程管理などの建設関連事業は商社部門が担当し、「売上高に占める割合は数%程度」(日立ハイテク幹部)と主力ではない。
今回の一件は昔からの”お付き合い”があだとなったようだ。
日立ハイテクは、商社の日製産業時代から旭化成グループの建材を売る仕事をしており、「建材の販売拡大の中で、一部工事つきの案件についてもビジネスとして展開してきた」(宇野執行役常務)。日立ハイテク設立後もその関係は続き、すでに50年近い付き合いになるという。

建設業法違反か、国土交通省も調査

横浜のマンションも旭化成建材と共に営業を行い、三井住友建設から受注した。3社ともに関わった案件は、横浜のマンションだけだが、日立ハイテクと旭化成建材が共同で受注した工事は他にも複数件あるとみられている。
日立ハイテクは現時点でも「調査に時間がかかっている」とするばかりで詳細はほとんど明らかにしていない。一連の問題について調査を進める国土交通省も「聞き取りをし、一次下請けとして必要な責任を果たしていたかなど事実関係を調査している」と説明。期間については分かっていないが、「通常半年ほど」(国土交通省)という。
現場に主任技術者を置いていなかったとすれば、建設業法違反に問われる。その場合、改善指示や最大1年の営業停止、建設業許可の取り消しなどの措置が取られることになる。長年の付き合いによる単なる名義貸しだとすれば、その代償は大きい。丸投げだったかどうかが今度の焦点となりそうだ。

2015年11月27日 (金)
杭偽装は業法違反ではない?
調査が進むにつれ、「杭偽装」の建築物は増え続けている。杭データを偽装した会社数も増え、旭化成建材のデータ改ざんは360件を超えた。一方、「LaLa横浜」は震度7でも倒壊しないらしい。
 
震度7といえば、国が定めた最大の震度である。
いわば、理論上、これを超える震度は想定されない。
もっとも、藻緯羅は、その判断に疑問を持っている。
エベレストの高さと違って、超えることはありうる。
もっとも、エベレストも一時的には高くなれるだろう。
「震度7でも倒壊しない」と言い切ったのは、売主の三井不動産と設計・施工者の三井住友建設である。
ここでも、日立ハイテクノロジーズは登場しない。
単なる名義貸しに近い実態だったのだろうか?
それゆえ工事を全く把握しておらず、何も述べようがない?
だとすれば、ゆゆしき「業界慣行」の証左ということになる。
日立ハイテクに入ったカネは、割高な建築費が源であろうか。
杭工事のデータ改ざんは建築基準法違反でないことも...
日経ケンプラッツの11月26日付け記事によれば、
===
国土交通省住宅局建築指導課によると、中間検査や完了検査の際に電流値のデータ添付を特定行政庁が求めていた場合、データ改ざんが手続き違反に当たる可能性はある。ただし、「罰則や処分に該当するとは考えづらい」と建築指導課の担当者は話している。
===
つまり、手続きに問題があっても建物に問題がなければOK?
しかし、「「LaLa横浜」」は、傾いている!
三井不動産は、震度7でも倒壊しないというが、「そのまま住み続けられる」とは言っていないようである。

先の記事は、
===
杭工事のデータ改ざん自体はあってはならないことだが、法令違反の有無や、データ改ざん支持層未達との関連性などを整理して考えなければ、本質的な問題を見失う可能性がある。
===
まさにその通りだと思うが、
現時点では、マスコミの報道にそのような姿勢は感じられない。

ネタ元のURL↓
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/112500261/
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/112400257/
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151127/k10010321111000.html
http://www.hitachi-hightech.com/jp/about/news/release/
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/sj/15/150245/111600029/

2015年11月19日 (木)
偽装杭と傾斜マンションの謎
旭化成建材が行なった杭工事の記録データが「不正」なものであった事件で、11月19日、これまで沈黙の感が強かった専門誌・日経アーキテクチャが、解説記事3本をサイトにアップしている。
 
3本の記事はコチラ↓↓↓
▽偽装=傾斜? 杭騒動の正体
http://nkbp.jp/1MRXdCl
▽杭工事では「偽装」「見過ごし」が体質化
http://nkbp.jp/1MRXdCn
▽「場違い」な杭工法を選択か
http://nkbp.jp/1MRXdCr

この3本の記事で、藻緯羅の「謎」のほどんどは解消した。
これまでのマスコミ報道は、いささか見当違いと言えよう。
少なくとも、強調すべき点、留意する点を誤ったように思える。
それは、意図的なものなのか? それとも記者力不足なのか?
これらの記事を読むと、以前の「耐震偽装」と違った意味で、制度や制度運用に問題があるように、藻緯羅には思われる。
その「許容範囲」は、建築専門家と一般人とでは乖離がある。
この部分を、懇切丁寧に埋める努力が業界には必要である。
バブル崩壊前に比べれば、かなり改善されてきているが、それでも売る側の「責任回避」が主目的のように思える。
一方、買う側は、いまでも、かなり愚かであり不勉強である。
ほとんどの人にとって、生涯において最高額の買い物である。
しかも、生涯をかけねば返せない借金も背負うことになる。
そのリスクの大きさに比べて、多くの買主は余りにも不勉強で、リスク回避に意を払わない。

2015年11月22日 (日)
杭打ち機が転倒、道路を塞ぐ

各報道によれば、11月21日の朝、東京外環道大泉JCT付近の工事現場で、100トン杭打ち機が転倒、高さ30mのドリル部分が道路を塞いだという。幸運にも巻き込まれた車は1台で負傷者も無かった。
 
恐らく、杭打ち機の安定が確保されていなかったのだろう。
土木・建設現場のかかる事故は、なかなか無くならない。
むしろ、ここ数年、事故報道は増えているように感じる。
その事故報道に際して、元請け会社や工事担当会社の名前が出ることは少ない。
この事故に関して、その名を藻緯羅は、まだ知らない。
検索すれば、出てくるのかもしれないが...
メディアは、積極的に報道すべきではないだろうか?
広告主が絡むことが多いから、自主規制しているのか?
それで、関係機関が公表するか、NHKが報じるまでは控える???
建設現場での建設機械や足場に関わる事故が減らないのは、報道に際して、このような「配慮」があるからなのか?
だとすれば、NHKの責任には重いものがあるが...

2015-11-28 16:05:03
基礎杭偽装について一言 27.11.28
テーマ:ブログ

●基礎杭の偽装が社会的問題になっています。基本的には建築関係集団の基礎工事に対する無関心さが根底にあるように思われます。

建築家は意匠設計や内外装仕上げなどには神経を使いますが、基礎については建築家の関係するところではない、という思想?が問題の根底にあると思います。
新国立競技場でも、意匠で選び、その意匠を支える基礎工事の見積もり費用が高くなったのに驚いて、廃案にさせられたことも、同じ思想から生じたものでしょう。(以上は元土木系一級建築士としての感想でした)

旭化成建材 杭偽装360件確認
◇旭化成建材と旭化成 国土交通省に報告

旭化成建材によるくい打ち施工データ改ざん問題で、旭化成建材と親会社の旭化成は24日、過去に実施したくい工事3052件のうち、360件でデータの不正が見つかったことを国土交通省に報告し、公表した。3052件中、188件は建物が既に取り壊されたり、元請け建設会社が廃業したりするなどして連絡が取れず、不正の有無を確定できなかった。
データ不正があったのは▽マンションなど集合住宅102件▽オフィスビルなど事務所20件▽スーパーなど商業施設12件▽工場・倉庫91件▽医療・福祉施設37件▽学校37件▽公共施設21件--など。都道府県別では東京都が最も多く73件に上り、北海道53件▽神奈川県36件▽埼玉県31件▽愛知県23件--だった。
旭化成建材がくい打ち工事を担当した横浜市都筑区のマンションで一部のくいが強固な地盤(支持層)に届かず、電流計のデータが改ざんされていたことが判明したのを受け、過去10年に実施したくい工事3040件の調査をしていた。更に新たに工事をしたことが判明した12件についても調査した。

国交省は11月13日までに結果を報告するよう指示していたが、期限内には間に合わず、報告は24日にずれ込んだ。旭化成建材は13日時点で266件でデータ不正があったと公表していた。【坂口雄亮】

くい打ち不正が引き起こす「滞り」「人材流出」「価格高騰」
2015年11月19日

櫻井幸雄 / 住宅ジャーナリスト
横浜のくい打ちデータ改ざん問題を受けて、11月15日にテレビの討論会に出演した。その席で石井啓一国土交通大臣にひとつお願いをした。それは、「10年前の構造計算書偽装問題のときのような厳しすぎる対応
は、影響が大きいのでぜひ考慮していただきたい」というものだった。
今回のくい打ち問題でも、厳しい対応はもちろん必要だ。しかし、あまりに厳しすぎると、10年前のような弊害が生じてしまう。それも問題ですよと話したわけだ。
限られた時間内の発言だったので、説明不足の部分もあったと思う。「10年前のような問題」の中身を分かりやすく説明したい。
耐震偽装で新規マンション供給が停滞

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構造計算書偽装問題、いわゆる耐震偽装事件は2005年に起きた。1級建築士が建物の構造計算書を偽造し、建築確認を受けていたことに始まる事件だ。日本中を揺るがす事件となり、それ以後、構造計算書のチェックが非常に厳しくなった。
耐震データが偽造されたマンションを視察する衆院国土交通委員会の委員ら=2005年11月、千葉県船橋市でその結果、行政から設計図を元にした建築確認が下りない−−分かりやすく言えば、建築許可がなかなか下りない状況が生まれてしまった。
それまで、1カ月程度で下りた許可が、4カ月たっても5カ月たっても下りない。なかには6カ月、7カ月かかることもあった。許可が下りなければ工事を始められないし、公正取引法の規定で、不動産会社は販売活動もできない。つまり、新規分譲マンションの供給がストップしてしまったのだ。

建設停滞で鉄筋工や型枠工が流出
151129d
当時、「不動産会社が売り惜しみして、価格をつり上げている」といううわさも出たが、実際には売りたくても売れない、造りたくても造れない状況が生まれたのである。
マンションの耐震データ偽造が発覚し、仕事に追われる福岡市の建築指導課=福岡市役所で2005年12月
その結果、不動産会社の中には経営破綻したところがある。建設業界では「予定していた仕事がなくなってしまった」という職人が続出した。当面、仕事がないが、いつ工事が始まるか分からないので、別の仕事も入れにくい。その状態が数カ月続くと、死活問題となる。
そのとき、工事の仕事をやめ、他の業種に転職してしまった職人が多かった。転職組には、若い鉄筋工や型枠職人が多かった。鉄筋コンクリート造りのマンション建設に欠かせない人材である。
構造計算書偽装問題の影響で、多くのマンション工事が滞ったため、マンション建設工事に必要な人材が流出したわけだ。
151129e
人材不足がマンション価格高騰につながる

日本では11年3月の東日本大震災以降、建設工事現場の職人不足が問題になっている。その背景には「3K(きつい、危険、きたない)」の代表格とされた工事現場の仕事が、敬遠されるようになったという理由もある。それに加え、構造計算書偽造問題の後遺症で人材が流出した影響も少なからずあるのだ。
人材が不足すれば、建設費は上がる。それはマンション価格の上昇につながる。つまり、エンドユーザーにツケが回ることになる。

151129f
耐震データ偽造問題で解体された建物も多かった=千葉県白井市で2006年1月
今回のくい打ち問題ではそのことを教訓とし、同じてつを二度と踏まないようにしなければならない。
厳しい対応はもちろん必要だ。しかし厳しすぎる処置で、新規マンションの供給が滞ること、人材が流出すること、その結果マンション価格が高騰することを繰り返してはならない。
http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20151117biz00m010018000c

<傾斜マンション>厳しい罰則ないと再発の恐れ
2015年11月5日
櫻井幸雄 / 住宅ジャーナリスト

施工不良の対応法(2)
建物に問題が見つかれば、最終的にすべての責任は売り主である不動産会社が負う。そして、責任を負う不動産会社は後ろ盾のしっかりした企業が中心。経営基盤のしっかりした企業を相手に、住人は「管理組合」という組織で交渉の場につく。それが、マンションという建物の特性といえる。
一戸建ての場合、問題が発覚したときに個人で折衝・対応をしてゆかなければならない。そして、折衝の相手は地場の工務店など、経営が不安定な小さな会社であることが多い。だから、発覚したときの苦労は大きい。
もちろん、マンションでも売り主の不動産会社が中小規模というケースがある。しかし、バブル崩壊後に長く続いた不動産不況で、経営が不安定な不動産会社の多くは消えてしまった。残っているのは、経営がしっかりしている会社や、確かな実績を積んでいる会社だ。
くい打ちデータの不備が見つかっても、築10年を過ぎて傾きなどが生じていなければ、それはもう安心な建物といえる。築10年未満であれば、売り主の不動産会社の信頼性が高い。それが、今の安心材料となる。
10年前の耐震偽装事件で強度不足が分かり、使用禁止命令が出たマンション=2005年12月

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裏切り行為には厳しい罰則適用を
傾斜マンションが発覚して以来、「こんなことは氷山の一角」であり、「同様のことは、いたるところで起きている」という建設関係者の証言が相次いでいる。これは、約600万戸もあるとされる日本のマンション購入者への裏切りであり、施工業者を信頼して工事を発注した不動産会社への裏切りである。
日本では、そのような裏切りが出ない」ように建築基準法が何度も改正され、住宅品質確保法もつくられた。その結果、多くの人が不安を持つことなく、「マイホーム」の夢を実現してきた。それでもまだ「ごまかしが常習化している」なら、いままでにない対応策が必要だろう。
隠れたところで多くの人の財産や生命を脅かすことをした工事関係者は刑事罰の対象になる法律を制定するといった対応である。
「氷山の一角」や「常習化している」と証言している人たちは、多少オーバーに表現し、早く取り締まらないと大変なことになる、と警告しているのだろう。
実際には、氷山のまわりに、ごまかしをすることなく、求められる以上の仕上げを行う工事従事者が大勢いる。その人たちまで白い目で見られるとしたら、ごまかしをした人間の罪はさらに大きい。どんなことがあっても、ごまかしをする気にならないくらい厳しい罰則を期待したい。
工事遅れを容認するシステムも必要だまた、やむを得ない事情があれば、建設工事の遅れを容認するシステムづくりも必要だ。工事が遅れたことに伴い、建物の引き渡しが遅れてもやむなしとするわけだ。
その場合、金融機関は住宅ローンの実行日を変更し、抵当権設定日、返済計画の変更を進められるようにしなければならない。また、4月の新学期、新入学に合わせて建物の引き渡しを定めている場合、工事が遅れたら、教育機関への対応も必要だ。たとえば、現住所が離れていても希望者には新居エリアの公立小中学校への入学を認める、といった柔軟な対応である。
いずれも、従来のシステムや決まりを変更しなければならず、非常に手間のかかる仕事となるだろう。

151129h
マンション高騰で同じ過ちが繰り返される可能性
今、マンション建設費の高騰は一般の人が考える以上の水準に達している。
たとえば、大手建設会社に工事を頼もうとすると、3LDK1戸あたりの建設費が3000万円を超える見積もりが出てくる。これに土地代と不動産会社の販売管理費・利益を乗せると、都心からかなり離れた郊外エリアでも、4000万円以下の新築3LDKは成立しないという水準である。
これは、ロンドン・オリンピックによる不動産価格の高騰で住宅価格が上がってしまったイギリスと、同等の価格レベルだ。
一方で、日本のマンション購入者の多くは3000万円台半ばくらいで、通勤便利な場所の新築3LDKを買いたいと願っている。そのギャップを埋めるためには工事費用を下げる工夫が必要になる。その工夫の仕方を誤ると……。
厳しい罰則をふくめた対応策を講じなければ、今の日本では同じ過ちが繰り返される可能性が高い。
 <傾斜マンション問題を受け、問題が発覚した時の対応法を2回に分けてお送りしました。次回は11月12日です>
http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20151102biz00m010052000c

<傾斜マンション>「青田売り」が抱える工期制限のワナ
2015年10月28日
櫻井幸雄 / 住宅ジャーナリスト

マンション施工不良の背景(1)
くい打ちの不備で横浜市のマンションが傾いた問題は、その原因が少しずつ明らかになってきた。そこで出てくる言葉が「工期の制限」というもの。工期をずらすことができないので、工事をやり直さず、データを改ざんした、という言い訳である。
この言い訳、じつはこれまで出てきた施工不良の多くで使われてきた。さらに、「工事費用が少なくて」という言い訳も多い。「工期の制限」と「工事費用の不足」は、日本のマンション分譲が抱える構造的な問題によって生じたとみることができる。もっと分かりやすく言えば、「青田売りをするから生じがちな問題」である。

建物完成前にモデルルームを見て買わせる日本

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日本の分譲マンションは、「青田売り方式」で販売される。建物ができる前、ときには工事が始まる前に分譲が始まる。建物ができる前に販売を開始し、購入者は別棟の販売センターで模型や完成予想図、モデルルームを見て購入を決める。

その後、金融機関に住宅ローンを申し込み、審査に通ると、売り主の不動産会社と売買契約を結ぶ。その時点で払うのは、分譲価格の1割程度に当たる手付金。残りの代金は、建物が完成し、引き渡し時点で支払う。住宅ローンを組む人は、建物の引き渡し時点でローンが実行される。金融機関から売り主の不動産会社に残金が振り込まれ、同時に抵当権が設定される。
建物引き渡し日に向けて、金融機関を巻き込んだ流れが粛々と進むわけだ。
総戸数が数百戸の大規模マンションであれば、数百の人生・金融取引が建物引き渡し日に向けて進行する。その結果、建物引き渡し日は間違っても変更はできないという状況が生まれる。そして、現実に日本のマンションでは「建物引き渡し日」はしっかり守られてきた。
逆に言うと、この「建物引き渡し日が正確」であることを前提に、「青田売り」が可能になっている。

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世界の大勢は「完成後のスケルトン売り」
ところが、日本を除く世界の国々では「青田売り」は行われない。建物の外枠ができ、後は内装や設備を入れるだけ、の状態で分譲されるのが主流である。内装や設備は購入者が決まってから工事される。
この方式を「青田売り」に対し、「スケルトン売り」と呼ぶ。建物の基本部分ができてから、実物を見せて分譲が行われるわけだ。
「スケルトン売り」が行われる背景には、「建設工事は、完成が当初予定より遅れるのが当たり前」という社会認識がある。訴訟大国のアメリカでも、「工事完成が遅れたから」という理由の訴訟は起きない。予定通りにいかないのが建設というものだと認められているのだ。
だから、「青田売り」はできず、建物の基本構造が完成するのを待って、販売を行う。このやり方であれば「工期の制限」を受けることはない。くい打ちに失敗すれば、やり直す時間があるわけだ。
くい打ちをしたマンション調査の報告書を国交省に提出する堺正光・旭化成建材常務(右)=2015年10月22日

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「スケルトン売り」には、もうひとつ別の利点がある。それは、建物完成時の相場価格で販売されるので、「工事費用の不足」を補いやすい、という利点だ。逆に日本で一般化している「青田売り」方式では、工事費用が不足しやすい。次回はその理由を説明しよう。
http://mainichi.jp/premier/business/entry/index.html?id=20151027biz00m010009000c

<傾斜マンション>「青田売り」で起きやすい質低下のリスク
2015年10月29日
櫻井幸雄 / 住宅ジャーナリスト

マンション施工不良の背景(2)
前回、日本で一般的なマンションの「青田売り」、つまり、完成前に販売する方式では、工事費用が不足しやすいと書いた。なぜなら、不動産市況が上昇しているときは、工事の途中で建設費も上昇するからだ。
今よりも1年後、2年後のほうがマンション価格は上がるだろう……そう考えられる時期、建設費は上昇する。すると、1年、2年、場合によっては3年がかりで建設する大規模マンションは、工事の途中で工事費用や資材価格の上昇にみまわれる。当初予定していた総工事費用では、まかないきれなくなる可能性が出てくるのだ。
しかし、元請けである建設会社は、建設が始まる時点で建設請負契約を結び、工事費用の総額も決めている。そうしないと、「そのマンションをいくらで売り出すか」という分譲価格も決められないからだ。工事費用は最初に決めなければならないし、その後も変えにくい。
工事費が上がると下請け、孫請け業者にしわ寄せ
工事費用を先に決め、工事中に職人の賃金や資材価格が高騰し始めると、「工事費用の不足」が生じ、そのしわ寄せが下請け、孫請けに及ぶ。安い賃金で工事を請ける下請け・孫請けは複数の仕事を掛け持ちするようになり、結果的に仕事の質低下に結びつきやすい。
「青田売り」は、マンション建設にいくつかの無理を生じさせる。ならば、「スケルトン売り」方式に改めればよいではないか、と思うだろう。しかし、簡単ではない。
じつは、ある大手不動産会社で「完成売りに改める」方針を出したことがある。「青田売り」ではなく、建物ができてから販売を開始するわけだ。その場合、別棟に販売センターを作らなくてよいので、販売管理費を圧縮でき、分譲価格が割安になる、というメリットもアピールされた。
しかし、結果的にこの方式は受け入れられなかった。「青田売り」が広まっている日本でこの方式を採用したところ、「売れ残りマンションではないか」と思われてしまったのだ。また、この方式では、売買契約を結んで1、2カ月後に入居することができる。「それだと短すぎる」という声も上がった。それは「青田売り」方式が持つ長所の裏返しでもある。

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「青田売り」は購入者にもメリットがある
「青田売り」は、不動産会社にメリットのある方式だと認識されがちだ。ところが、この方式、購入者にとってもいくつかのメリットがある。
まず、「青田売り」の場合、工事が終わり、建物引き渡しまで1、2年の猶予があるため、その間にお金の準備ができる。
マンションの場合、売買契約を結んだときに支払うのは手付金(正確には解約手付金)。これは分譲価格の1割程度に設定されるのが一般的だ。3000万円のマンションなら300万円。残り2700万円を住宅ローンで借りれば、マンション代金の手当ては終わる。が、マンション購入でかかる費用はそれだけではない。
不動産登記費用にいくつかの税金、引っ越し費用、新たな家具やカーテン、家電製品の購入費用……だいたい購入費用の5%ぐらいが諸費用として発生する。3000万円なら、150万〜200万円ぐらいのお金を用意しなければならない。そのお金をためるのに、1、2年はちょうどよい
というわけだ。
ところが、建物を完成してから販売すると、入居までの期間が短く、手持ちのお金では足りないという事態が生じてしまうのである。
マンション相場上昇期は、完成時より安く買える
購入者にとっての「青田売り」のメリットはそれだけではない。じつは、「青田売り」方式には、景気変動のリスクを抑える効果がある。
たとえば、不動産価格が上昇しているときは、「建物完成時の相場より安く買える」メリットが生じる。「青田売り」で分譲価格が決められるのは、建設工事が始まるころ。その後、景気が上向き、土地価格・建設費が上昇すると、建物完成時の相場価格も上昇する。3000万円で分譲されたが、建物完成時には相場が4000万円以上になっている、という状況も生まれるわけだ。
そうなると、「今だったら、こんな価格では買えなかった」とほくほく顔で入居できるし、人によっては未入居のまま転売し、利益を得ることもある。その陰で、建設費の上昇に泣く下請け・孫請けの建設関係者もいることは前述したとおりである。
逆に、不動産価格が下落したときはどうなるか。
その場合、完成を待つ間にマンションの価値が下がってしまう。購入を決めたときに4000万円だったマンションが、完成のころには3000万円程度の価値しかなくなってしまった、という事態が生じるわけだ。平成バブルの崩壊時には、半値まで下がった例もある。

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相場下落期は、手付金放棄で契約を解除できる
その場合の救済が「手付金」だ。完成を待つ間にあまりに大幅に下がったときは、手付金(正確には、解約手付金)を放棄することで、契約を一方的に解除できるのだ。
4000万円のマンションを契約しているとき、手付金は1割の400万円程度。それを放棄すれば、損失は400万円だけ。相場価格が3000万円まで下がり、1000万円損するよりはマシなのである。バブル崩壊のときのように、半値まで下がったときは、「これぐらいの損で済んでよかった」と胸をなで下ろす人が多かった。
「青田売り」には、意外なメリットがある。そして、長く日本に根を下ろしている方式でもある。それを一気に「スケルトン売り」に変更するのは簡単ではない。
が、今後の日本では中古住宅の取引が増え、新築マンションが徐々に減ってくることが予想されている。その動きのなかで、「青田売り」から「スケルトン売り」への転換を図ることはできるだろう。そのような転換で、今後「工期の制限」や「工事費用の不足」といった問題がなくなることを期待したい。
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横浜マンション傾斜、沈黙貫く日立子会社に重大な疑惑 国交省が調査へ、下請け丸投げか
文=編集部

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当社請負杭工事の不具合に関するお知らせ (「日立ハイテクノロジーズ HP」より)
三井不動産レジデンシャルが販売した横浜のマンション傾斜問題をめぐり、1次下請けの日立ハイテクノロジーズが沈黙を貫いている。元請けの三井住友建設や杭打ちデータを偽装した2次下請けの旭化成建材に批判が集中しているが、日立ハイテクは10月15日に「所有者や居住者、関係者に多大なご心配をおかけしたことをお詫びする」とのコメントを出したのみ。同日、同社はマンション建設時に工程の進捗確認や現場の安全管理などを行う1次下請けであることを、初めて明らかにした。

日立ハイテクは10月26日の決算発表説明会で、マンション問題への責任の有無や業績への影響について、「現在は事実関係の確認・調査に取り組んでいる」と回答。旭化成グループとは、日立ハイテクの前身の1社である日製産業が、以前より建材について取引があったと説明した。2001年、工業資材商社の日製産業と日立製作所の計測器や半導体装置の部門が統合して日立ハイテクは発足した。日立製作所が51.6%を持つ筆頭株主で、れっきとした東証1部上場企業である。日立ハイテクの宮崎正啓社長は日製産業の出身。
日立製作所の中村豊明副社長は10月28日に開いた決算発表説明会で、日立ハイテクが1次下請けとして関与していることについて「今は日立ハイテクが実施している調査を最優先し、真摯に対応したい」と述べるにとどめた。現在まで、親会社の日立製作所も当該会社の日立ハイテクも説明責任を果たしていない。
丸投げ
「日立ハイテクが正式な記者会見を開いて説明できないのは、旭化成建材に工事を丸投げしていたことが明らかになってしまう懸念があるからだ」(建設業界筋)
建設業法では公共工事、民間工事とも共同住宅の新築工事については、請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる「一括下請負」が全面的に禁止されている。つまり下請けへの丸投げは禁止されている。
1次下請けとしての日立ハイテクの業務は、工程の管理や現場の安全確認である。もし正式に説明会を開いてその義務を十分に果たしていたのかを質問されれば、「調査中」と逃げるわけにはいかなくなる。10月27日付日本経済新聞は次のように報じている。
「問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約を結んでいたという。技術的な知見はなく、旭化成建材の担当者が改ざんした工事データの『信憑性は判断できなかった』」(日立ハイテク幹部)
この発言からは、実態としては2次下請けに丸投げだったという疑いが持たれる。さらに、「技術的知見」もなくなぜ工事の進捗確認や現場の安全確保という業務を行えたのかなど、根本的な疑問が浮かび上がってくる。
「日立ハイテクは建設業法で禁止されている丸投げをやっていたのではないのか。限りなく黒に近いという心証のため、釈明しようがないので説明会を開くことができない。もしそうでないのなら、一日も早く疑いを晴らしたほうが得策ではないのか」(建設業界筋)
そもそも「現場にいなかった」疑い

日立ハイテクは16年3月期(国際会計基準)の連結業績見通しを下方修正した。売上高は従来予想を370億円下回り、前期比3%増の6400億円。純利益は従来予想から20億円引き下げ、同4%増の324億円とした。中国景気の減速を背景にスマートフォン(スマホ)など電子機器の需要が低迷し、主力の半導体製造装置が振るわないためだ。
傾斜マンション問題で1次下請けとして関与した件は、2次下請けの旭化成建材が損失を全部被る契約を本当に結んでいるのであれば、さしたる損害は出ないだろう。日立ハイテクの建材販売部門の売り上げは年間でわずか10億円程度といわれている。連結売り上げの1%にも満たない。
業績面よりも丸投げの問題のほうが大きい。これで行政処分を受ければ、日立ブランドに傷がつく。売り上げを立てるために伝票を通すだけの丸投げ行為は、建設業界の悪弊となっている。
そうしたなか、11月9日には国土交通省が日立ハイテクに対して建設業法で定められている施工管理を適正に行っていたかどうかの調査をしていることが明らかになった。国交省は日立ハイテクが施工データなどをチェックする立場にあり、建設業法で義務付けている主任技術者を現場に配置していたかどうかを調べている。資格を持った主任技術者を専任で置いていたかどうかが焦点となる。配置していなかった場合、営業停止などの監督処分のほか、罰金100万円が科されることになる。
発注者の同意を得たかどうかや主任技術者の勤務実態について、日立ハイテクは「調査中」としている。一連の下請け構造で日立ハイテクは商社的な位置付けとされ、これまで厳しい追及の風当たりは少なかったが、ここへきて明らかに風向きが変わってきた。
11月11日、元請けの三井住友建設の永本芳生副社長は事件発覚後初めての記者会見で、「(日立ハイテクの人間は)現場にいなかった」ことを明らかにした。永本副社長は「(三井住友建設が)施工当時、日立ハイテクを介さず、旭化成建材の工事内容を直接管理した」と説明。「日立ハイテクは現場にいたか」と問われ「いなかったと思う」と答えた。
日立ハイテクはこれ以上沈黙を貫くことは許されない状況になりつつある。
(文=編集部)

2015.10.29
【横浜マンション傾斜】!データ原本!保存義務なく下請け処分!

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横浜市都筑区のマンション「パークシティーLaLa」が傾いている問題で、くい打ち施工を行った旭化成建材の下請け業者が作業データの原本を処分していたことが分かりました。
下請けで原本データを処分
旭化成建材によると、現場管理者は、くい打ちの作業データのコピーを元請けの三井住友建設に提出していたとのことです。
改ざんデータを含む原本は当初、旭化成建材の下請け業者が保管していましたが、改ざんの発覚後に、原本の有無を問い合わせたところ、下請側で、すでに処分されていることがわかりました。
現場管理者は「パークシティーLaLa」のくい打ち施工当時には、この下請け業者に所属しており、旭化成建材に出向していました。
旭化成建材は、
「原本は下請け業者が保管していたが、期間は決まっていない。9年前の工事ということもあり、処分したようだ。」と話しています。

保管義務なし

改ざんは2つのデータを継ぎはぎしたり、波形を書き足したりして行われたため、原本があれば、容易に改ざんの有無を検証できるはずでした。
国土交通省によると、これらのデータの原本を保存する法的義務はなく、建築基準法建設業法でも、保存は規定していません。
尚、建築士法は建築士事務所に設計図などを15年間保存するよう義務づけています。
耐震偽装事件を受けて強化されましたが、今回のデータは対象外で、保存は事実上、業者任せになっていました。

専門家の意見
一級建築士で弁護士の辻岡信也氏は、
「トラブルが起きたときに検証できるようにデータの原本を保管すべきだ。瑕疵(かし)担保責任のある10年間が目安ではないか。」と提案。
また、コンプライアンスに詳しい中央大法科大学院の野村修也教授は、「医療や金融業界では、記録の保存は法的な義務。アクセス制限や履歴を残すなどIT技術を使って、改竄しにくいようになっている。建設業界は多くの部分で性善説に基づいてきたが、時代の流れに合わせるべきだ。」
と話しています。

腑に落ちない対応

一次下請けの旭化成や旭化成建材は、下請けが提出してきた資料を、コピーレベルで了承していたことに疑問を感じます。
まさか、改ざんするとは思わなかったのか、そもそも原本で提出することは不可能であることをわかっていてコピーでの提出で承知したのかは、当事者でない我々にはわからないことです。
しかし、北海道をはじめ、これからも、データの改ざんを示唆する資料が発掘されてくるやもしれません。
そうなると、恒常的に、データの取得ミスが生じていることを、旭化成建材は知っていたと考える方が自然なように感じます。
http://netatyou.jp/2015/10/29/lala1029-1/

横浜マンション傾斜 現場責任者が母にメール「迷惑掛けてごめん」

横浜市の傾いたマンションなど19件のデータ改ざんを認めた現場責任者の母親=愛知県在住=が3日、共同通信の取材に応じた。問題発覚後にメールで「迷惑を掛けてごめん」と連絡を受けたという。母親によると、責任者は名古屋市近郊出身で40代。現在は東京都に住む。父親がくい打ち業に携わっていたこともあり、愛知県内のくい打ち会社に勤務。その後、旭化成建材で働くようになった。最近は毎月、年金暮らしの両親に仕送りを続けているという。

メールが届いたのは、横浜市のマンション問題発覚後の10月下旬ごろだった。「ニュースになるかもしれない。迷惑を掛けてごめん」という内容で、母親は「やったことはやった、やってないならやってないと言わないといけないよ」と返信。その後、「11月分の仕送りをしたよ」というメールを最後に連絡はないという。
[ 2015年11月4日 05:30
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/11/04/kiji/K20151104011443290.html

横浜偽装マンション傾斜、住民は「いくら」請求できる?建替えは「無理」?
10月20日 06:14

横浜偽装マンション傾斜、住民は「いくら」請求できる?建替えは「無理」?
(Business Journal)

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先日来、三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市都筑区の大型マンションでマンションを支える地下杭が固い岩盤まで届いておらず、加えて地下杭の施工記録に偽装があったことが発覚し、世間を騒がせています。15日には、事業主である三井の藤林清隆社長が当該マンションの住民説明会に出席し、「このような状態になり、皆さんにご心配を掛けて申し訳ない」と謝罪するなど、大手の三井不動産グループが起こした事件ゆえに激震が走っています。
今回は、不動産関連の弁護士業のかたわら、湾岸地域のとあるマンションの理事長を務める者として、今後起こり得る法的問題について解説させていただきます。

●責任はどこに?
報道では建築の専門家などが専門的なお話をされておりますが、法律家の端くれに名を連ねる筆者は、このような問題が起こった場合に必ず3つの法的アプローチをします。
1つ目は、「契約責任」です。今回のマンションは分譲マンションですので、売り主である三井に対し、マンション購入契約に関する責任を追及することができるかもしれません。そして、契約責任を追及する場合、売り主である三井が、自分たちには「故意(問題を知っていたのにわざと売った)」も「過失(問題を知ることができたのにそれを放置した)」も一切なかったことを立証しなければ損害賠償責任を免れることができないので、マンション住民にとっては有利です。要するに、相手が「立証」に失敗すれば勝てます。
とはいえ、大手の三井不動産グループですので、「実は、問題を知っていました」「知ることができました」と認めることはまずないでしょうし、優秀な弁護団を揃えるはずなので、実際は契約責任を追及するのは難しいでしょう。
では、2つ目として、建設を担当した三井住友建設や、データ偽造などが疑われている旭化成建材に対し契約責任を追及することができるでしょうか。マンション住民はこれらの会社と契約関係にはないので、契約責任を追及することは不可能です。
もっとも、民法709条に基づいて、三井住友建設や旭化成建材の「不法行為責任」を追及することはできます。不法行為責任は、契約関係がない第三者に対しても責任追及ができるのです。
ところが、不法行為責任を追及するためには、先ほどの契約責任とは異なり、今度はマンション住民が、三井住友建設や旭化成建材の「故意(問題を知っていたのにわざと売った)」か「過失(問題を知ることができたのにそれを放置した)」を立証しなければならないので、どちらかというと不利です。要するに、こちらが「立証」に失敗すれば負けます。
そこで、3つ目として、「担保責任」を追及することが考えられます。これは、マンション購入契約において、その購入の対象であるマンションに「瑕疵」があった場合には、売り主である三井に「故意」や「過失」があったかどうかは関係なく損害を賠償しなければならない、という制度です。
したがって、マンション住民は、面倒な「故意」「過失」を立証することなく損害賠償責任を追及することができることになります。

●建替え決議には5分の4の賛成が必要
おそらく、三井はこのようなことを熟知しているからこそ、または専門家の法的アドバイスを受けて、報道されているように「しっかりと建替えをします。その間のホテル代などは負担します」などと発表しているのでしょう。
確かに、三井にとっては、数百世帯分の損害賠償金を払うより、マンションの建替え費用を捻出したほうが「安い」のかもしれません。それに、三井としては今回の事件の張本人と目される旭化成建材や施工主である三井住友建設に対し、容易に責任追及できるので、「マンションの建替え費用」を転嫁することもできそうです。
しかし、そう簡単にはいかないのが分譲マンションです。分譲マンションの場合、マンション居住者一人ひとりがそれぞれの部屋の「所有者」ですので、「マンションの建替え」という、自分たちの財産と生活を激変させるドラスティックな出来事を行うかどうかについて、賛成・反対をする権利があります。
そして、いわゆるマンション法と呼ばれる建物の区分所有等に関する法律では、マンションの建替えを行う場合、「所有者(且つ議決権者)」の実に「5分の4以上の賛成」が必要となります。湾岸地域のとあるマンションにてしばしば理事長を務めている筆者としては、この「5分の4以上の賛成」というのは、かなり難しいことであると思います。
なぜなら、毎月の管理費を、例えば「共用廊下の電球をLEDに換える費用に使います」といった決議と異なり、「マンションの建替え」はマンション住民一人ひとりにとって、“一生に一度の買い物”といわれる財産(マンション)を失うかどうか、引っ越しをするかどうか、残った住宅ローンをどうするか、という人生の大きな問題となるからです。
今回の問題となっている大型マンションの場合、おそらく数百世帯が「所有権」を持っているでしょうから、一人ひとり思惑が異なるでしょうし、いくら三井が音頭をとって「しっかりと建替えをします。その間のホテル代などは負担します」と言ったところで、「5分の4以上の賛成」を得るのは、ほぼ不可能でしょう。

●購入時との「差額」が損害
ところで、マンション住民が前述の3つの責任、「契約責任」「不法行為責任」「担保責任」を追及するとして、三井、三井住友建設、旭化成建材などに対し「いくら」の金額を請求できるのでしょうか。
この点は、さまざまな意見がありますが、「今回の事件が発覚する前日のマンション(それぞれの住戸)の市場価格」と、「今回の事件が発覚した後のマンション(それぞれの住戸)の市場価格」の「差額」をもって、被った損害と考えること「も」できます。
もちろん、購入時より価値が下がっていることもあるでしょうし、近年のマンションバブルで上がっているかもしれません。いずれにせよ、横浜市都筑区の三井のマンションでしょうからそれなりの価値はあったでしょうし、他方で「傾いたマンション」の価値など、極めて低いでしょうから、その「差額」は相当の額となることが想定されます。

●企業のあるべき姿
かつてパナソニック(当時は松下電器産業)が製造・販売していた石油暖房機に不具合を発見した時、20数年前に販売を開始した商品であるにもかかわらず、多大な費用と補償を行い、国民の大きな理解を得たことをとても覚えています。
 
今回の事件は、「家族の住処」という人間にとって根幹をなす「財産」にかかわることです。マンションのオーナーのひとりとして、不動産業界をリードする三井グループにおかれては、責任の所在、損害の範囲などにかかわらず“神対応”をされることを切に望みます。
(文=山岸純/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP・パートナー弁護士)

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ偽装事件151129-2

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