杭データ改ざん事件151130

杭データ改ざん事件151130

杭打ちデータ 前田製管で改ざん3件

くい打ち工事のデータ改ざんが広がっている問題で、きのう新たに酒田市の前田製管でも3件の改ざんがあったことが分かりました。コンクリートパイル建設技術協会・羽原伸専務理事「前田製管株式会社で3件、流用があった旨報告を受けてございます」
これはきのう業界団体の「コンクリートパイル建設技術協会」が、会員企業6社で新たに22件の改ざんが確認されたと発表したものです。前田製管では現在、過去5年間に施工した工事261件を調査中で、170件の調査が終わった段階で、3件の電流計データの改ざんが見つかったという事です。原因について前田製管は、電流計が故障しデータを残せなかったため、他のデータに置き換えるなど改ざんを行ったという事です。改ざんのあった工事は全て県外施設で、前田製管では、杭は安定した支持層まで届いていて、安全であると確信しているとしています。そして「データの重要性の認識が徹底できていなかった、深く反省しお詫び申し上げます」と話し、残る91件の調査を急ぎたいとしています。
(28日13:16)
http://www.tuy.co.jp/program/news/localnews/50946/

速報】【杭打ちデータ改ざん】業界最大手「三谷セキサン」でも偽装発覚!【福井・市立北新庄小学校】
2015年11月26日 作成

くい打ち業界最大手「三谷セキサン」(本社・福井市)は26日、くい打ち工事約350件を調査した結果、データ流用が1件判明したと発表した。測定記録の紛失が原因とみている。くいは固い地盤の「支持層」に達しており、安全性に問題はないという。
▽内容
旭化成建材によるくい打ち施工データ改ざんを受け、福井県越前市は26日、「三谷セキサン」が施工した越前市発注の市立北新庄小学校の体育館改築工事でデータ不正を確認したと発表した。一連の問題で、三谷セキサンによるデータ不正発覚は初めて。くい53本のうち8本でデータ流用が確認されたという。
同社は福井市内で記者会見を開き、三谷進治社長が「信頼を損ね、大変申し訳ない」と陳謝した。

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出典:images.keizai.biz
データ流用の理由について、三谷セキサンは「現場代理人が電流値の測定記録後に(データを)紛失した」と説明。
http://friends.excite.co.jp/channel/article/10977/

くい打ち問題情報共有 30日に全県連絡会議 静岡
(2015/11/28 07:36)

旭化成建材によるくい打ちデータ改ざん問題で、静岡県は30日、全35市町に呼び掛けて初の全県連絡会議を静岡市駿河区で開く。他のくい打ち業者のデータ流用も発覚し、建物の安全性への不安や懸念が広がる中、情報を共有して対応につなげる。
旭化成建材の問題判明後、建築確認を行う特定行政庁の県と6市(静岡、浜松、沼津、富士、富士宮、焼津)は実務担当者が安全検証などの対応を協議してきた。全県連絡会議では6市以外の職員にこの間の経緯や国の動向、留意事項を伝え、意見交換する。
県内で旭化成建材がくい打ちした物件は55件あり、7件でデータ改ざんが判明した。
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/174487.html

2件はくい打ち工事改ざんなし 調査未了の静岡県内物件
(2015/11/25 07:35)

静岡県は24日、旭化成建材がくい打ちを手掛けた県内の物件で、同社の調査が未了だった3件のうち2件にデータ改ざんはなかったとの報告があったと明らかにした。1件は改ざんの有無を判定できなかった。県建築安全推進課によると、3件はいずれも民間施設で、判定できなかった1件は商業施設。元請け業者への調査だけでは判定に至らず、同社が引き続き調べる。
同社がくい打ちをした県内の全55件のうち、データ改ざんが判明したのは集合住宅2件、医療・福祉施設1件、工場・倉庫2件、その他2件の計7件。所管する県や市の現場確認では、傾斜などの不具合は見つかっていない。今後は判定できなかった1件を含めて施工記録などを調べ、安全性の検証を進める。
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/173615.html

くい打ち改ざん新たに4社 協会確認 国交省に22件報告
2015年11月28日 朝刊

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くい打ち業界団体のコンクリートパイル建設技術協会は二十七日、旭化成建材(東京)とは別に、工事データの改ざんを会員企業六社で計二十二件確認し、国土交通省に報告したと発表した。くい打ちをめぐる不正は計七社に拡大した。記者会見した同協会の黒瀬晃会長(ジャパンパイル社長)は、大手を中心に改ざんが判明したことから「業界の大半で行われており、個別企業ではなく、業界全体の問題との認識だ」と述べた。
石井啓一国交相は「甚だ遺憾」とするコメントを発表。改ざんが判明した物件の安全性の確認を六社に指示した。
同協会は、改ざんが確認された二十二件の安全性は確認していないが、問題があるとは聞いていないとしている。
これまでに旭化成建材が三百六十件のデータ改ざんを公表。業界大手のジャパンパイル(東京)と三谷セキサン(福井市)も計八件の改ざんを公表済みで、今回は四社増え、十四件加わった。
旭化成建材を除く協会の会員四十社は、二〇一四年度までの五年間に施工し、元請けの建設会社などから依頼があった計約二千八百件の調査を終えた。残る約一万七千件の調査を続ける。
協会が確認した二十二件は東京都が五件と最も多く、三重県が三件、福島、茨城、愛媛の各県が二件、京都府などが一件だった。
<データ改ざん問題の調査> 横浜市の傾斜したマンションのくい打ち工事を請け負った旭化成建材(東京)でデータ改ざんが発覚し、自治体やくい打ち各社が調査を開始。業界大手のジャパンパイル(同)でも改ざんが確認された。国土交通省は業界団体のコンクリートパイル建設技術協会に、会員企業による調査状況の報告を指示。旭化成建材は360件の改ざんを公表している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015112802000138.html

<旭化成建材>大崎2小学校でくい打ち

横浜市都筑区のマンション傾斜問題で宮城県大崎市は28日までに、基礎工事を行った旭化成建材(東京)がくい打ちをした公共工事を公表した。2008年施工の大貫小(同市田尻)の校舎改築工事と、12年施工の古川四小(同市古川)校舎増築工事の2件で、いずれも建物の不具合は見つかっていないという。
旭化成建材が基礎工事を行い傾斜した横浜市のマンションは、建物を支える地盤「支持層」の深さが一定でなかったとされる。市は「大崎地域の支持層は起伏が少なく、くいが支持層に届いたり届かなかったりといったばらつきは生じにくい」としている。
市によると、23日に旭化成建材から連絡があり、市の施設に関するくい工事の施工実績が示された。市は大貫小と古川四小の校舎を調査し、不具合がないことを確認。今後、図面などの調査を行い、さらに建物の安全確認を進める。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201510/20151029_13021.html

「くい打ち業者」倒産動向調査
公開日付:2015.11.13

2010年1月から2015年10月の間に倒産した「くい打ち業者」は43件だった。形態別では、銀行取引停止処分による倒産が14件で全体の32.5%を占めた。同じ時期の倒産全体における取引停止処分の比率は15.3%(6万6,167件のうち1万173件)で、銀行取引処分による倒産割合の高さが目立つ。背景には、手形による決済比率が他業種より高いことや、小・零細規模ゆえの慢性的な資金繰りの多忙感、工期のズレ込みや取引先の倒産による予定していた入金の狂いなどが考えられる。廃業や存在不明となった企業は本調査の対象外である。これらの中にも資金繰りに余裕を欠いていた企業は存在するとみられる。
※本調査は東京商工リサーチが保有する企業データベースより、2010年1月から2015年10月までに倒産した企業を抽出し、分析した。
※本調査における「くい打ち業者」は、主扱い品、従扱い品として「くい打ち工事」、「くい打ち業」「コンクリートくい打ち業」が登録されている企業とした。

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主な事例
(有)摺木組(2015年7月破産、TSR企業コード:401032868、愛知県)
コンクリートくい打工事を主力に事業を展開。ゼネコンや地場の土木工事業者からの工事を請け負い、ピーク時の1996年8月期には約5,500万円の完工高を計上していた。しかし、慢性的に低採算で最終赤字が先行する利益推移にあり、長らく債務超過状態にあった。さらに、近年は受注が減少し、2014年8月期の完工高は約1,800万円へ低下。先行きを見通すことが出来ず、2015年7月に破産開始決定を受けた。負債総額は約5,000万円。
(株)地研工業(2013年5月銀行取引停止、TSR企業コード:870530984、福岡県)
1994年4月に「百田土木」の屋号で創業し、1997年6月法人化されたくい打工事業者。地質調査工事、深層地盤改良、既製くい打込工事、場所くい打工事を主力に業容を拡大。エスミコラム工法、FB9鋼管中堀認定工法など各種工法による技術的な評価は高く、同業者に先行してくい打機を導入するなど設備面も充実。一級建築士など資格取得者を複数抱える強みも持ち、設計から施工、監理まで一貫して自社対応が可能であった。北部九州地区を営業エリアとし、各地のゼネコンなどに受注基盤を築き、ピークの2009年5月期には、完工高約11億2,100万円をあげていた。
しかし、リーマン・ショック(2008年)後のマンション需要の減退や建設業界の低迷などで受注は減少傾向を辿り、2012年5月期の完工高は約7億3,900万円にまで下落。その間、取引先の倒産に伴う焦付も散発し、利益水準も低下。資金繰りの悪化から従業員の離職も目立ち、2013年5月に銀行取引停止処分を受けた。負債総額は約2億9,000万円。

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2010年1月から2015年10月までの「くい打ち業者」の倒産は43件で負債総額は97億8,600万円だった。従業員別では、20人未満が39件で全体の90.6%を占めており、小・零細規模のくい打ち業者の倒産が多いことが分かった。
形態別で最も多かったのは、破産で26件(構成比60.4%)。次いで、銀行取引停止処分の14件(同32.5%)となった。銀行取引停止処分は、慢性的に資金繰りが多忙な企業が、突発的な事象により決済資金の不足が生じた際に引き起こしやすい。くい打ち業者が多く属する建設業や製造業は、手形に依拠した決済が比較的多い業種である。財務体質が従前より脆弱で資金繰り弾力性の低い小・零細規模のくい打ち業者は、工期遅れや取引先の倒産などによる資金計画の狂いが致命傷となりやすい構図が浮かび上がった。

旭化成建材(株)(TSR企業コード:291364748、千代田区)のくい打ちデータ偽装により、施工監理の体制が強化される可能性が出ている。監理強化に伴い工期が長期化した場合、資金繰り計画の狂いに伴う倒産が引き起こされかねない。住民や建物購入者が安心できる監理体制の構築は必要だが、同時にくい打ち業者を含む小・零細規模の工事業者の資金繰りへの配慮も求められる。
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20151113_01.html

杭打ちデータ改竄 世間にとって親会社か子会社かは関係ない
2015/11/19 07:00

“傾いたマンション”問題で杭打ちデータ改ざんが発覚したのは旭化成建材だが、影響は親会社の旭化成本体の社員にも及んでいる。36歳・旭化成社員が語る。
「手掛けていたのはグループ会社の一社で、偽装と旭化成本体とは関係ない。僕たち社員も当初はそんな意識でいたんです。でも、ニュースを見ている世間の人にとっては、親会社だろうが子会社だろうが関係ないんでしょうね。
母親からは『大丈夫なの?』と心配の電話があり、妻も実家の両親に説明するのが大変だとこぼしていた。会社には『グループ会社全体で責任を取れ』『全社ボーナスを出すな』などのクレームが来ていると、同期の社員から聞きました」
この社員が旭化成を志したのは、テレビ番組『なるほど!ザ・ワールド』(フジテレビ系)で、CMを一社提供していた企業イメージが大きかったという。
「でも、ブランドの評価なんて儚いもの。9月の豪雨で鬼怒川の堤防が決壊した時は、ヘーベルハウスがびくともしなかったことが話題になり、株価が急騰。それからたった2か月でこんなことになるなんて……。上げるだけ上げられてから、谷底に落とされた気分です」(前出・旭化成社員)
※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号
http://news.merumo.ne.jp/article/genre/3717753

杭打ちデータ「不正流用」は日常茶飯事なのか
業界大手ジャパンパイルでも7件発覚

中川 雅博 :東洋経済 記者
2015年11月21日

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19日に会見したジャパンパイル・黒瀬社長(右から2番目)は「心よりお詫び申し上げます」と謝罪した
旭化成建材だけではなかった。建物の土台となるコンクリート杭工事に関するデータ流用は、業界大手のジャパンパイルでも行われていた。
「当社では(データの流用は)ありえないという認識だった。非常に驚いている」。11月19日夜、問題発覚後初めて記者会見を行ったジャパンパイルの黒瀬晃社長は、不満げな表情でこう語った。
「性能に問題はない」としているが…
10月に明らかになった旭化成建材の杭データ改ざんを受け、発注元の建設会社からは、過去に施工した工事に関する問い合わせが相次いだ。その数は11月19日時点で1500件にのぼる。うち1000件は点検済みで、流用だと確定したものは7件見つかったという。
同日、徳島県立中央病院の改築工事における流用が明らかになり、それまで6件としていた件数がまた1つ増えた。また、いずれの案件も「設計通りに施工しているので、杭の支持力性能に問題はない」としている。
今回問題となっているのは、既成コンクリート杭工事と呼ばれるもの。掘削機で地面を掘り、既製品のコンクリート杭を打つ。建物を支えるには、杭は「支持層」と呼ばれる強固な地盤に到達させなければならない。
http://toyokeizai.net/articles/-/93382
杭が支持層に到達したかを示すのが電流計のデータだ。古い杭打ち機には、その場で紙のデータが出力される電流計が搭載されているが、屋外の作業のため、雨に濡れたり、風で飛ばされて紛失したりすることがある。また、そもそもスイッチを入れたり、紙を補充するのを忘れることもあるという。
今回の7件の流用は、こうしてデータが取れない事態となった際、別の杭の電流計データを使い、あたかもデータが取れたかのように見せかけたというわけだ。

経営陣も責任を認めた

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データ流用について、黒瀬社長は「ありえないと考えていた」と語った。会見では終始、納得がいかない様子だった
流用が発覚した7件は、それぞれ別の施工管理者が流用を行っていた。管理者は「データが取れなかったのでそろえないといけないと考えた」と話し、事実を認めたという。
黒瀬社長は「当社はすべての仕事をマニュアル化しているが、流用することは前提になかった」と説明。重松徹常務も「データが取れなかった時の対処法を徹底できていなかった。われわれにも責任がある」と経営陣の非を認めた。今後、データが取れない場合は施工を中止し、元請けの管理者に報告した上で対処する方針としている。「これまでも教育してきたつもりだが、徹底できていなかった」(重松常務)。現在は、電流計のデータを写真で記録し、報告書の内容と照らし合わせるチェック体制にしているという。
ジャパンパイルはコンクリート杭の設計、製造から施工までを手掛ける。コンクリート杭の出荷量シェアでは、三谷セキサン(シェア24.5%)に次ぐ2位(同23.4%)。黒瀬社長はコンクリート杭の業界団体である「コンクリートポール・パイル協会」と「コンクリートパイル建設技術協会」の両方で会長を務める。まさに業界の重要企業である。
今年10月には「アジアパイルホールディングス」という持ち株会社が、ジャパンパイルと、ベトナム・ミャンマー両国にある子会社を束ねる新体制に移行したばかりだった。
2015年3月期の売上高は671億円、営業利益は35億円。今2016年3月期は、液晶大手ジャパンディスプレイが石川県に建設する新工場の杭打ち工事など大型案件が寄与し、1割強の増収を見込んでいた。

他社も手を染めているのではないか?

ジャパンパイルは、直近5年間の工事案件を対象に、自主的な調査に乗り出す。法律で定められた書類の保存期間が5年間であるためだ。同社は年間2400~2500の杭打ち案件を手掛けるが、電流計を使用する工法のものはそのうち計1万件程度と見込む。調査終了までは半年ほどかかるという。
旭化成建材から始まった一連のデータ不正は、業界に暗い影を落とすことになった(中央区日本橋浜町のジャパンパイル本社)

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今後の焦点は、ほかの企業にも同様の不正が存在するのかということ。コンクリートパイル建設技術協会は19日、ジャパンパイルに先だって記者会見を行った。
協会は、旭化成建材を除く会員40社に施工管理データの点検実施状況を確認し、施主や元請け業者から要請を請けた件数と自主点検件数は合計で1万2000件で、そのうち点検済みの者は2388件と約2割であることを明らかにした。
同協会長を兼ねる黒瀬・ジャパンパイル社長は「信頼を損ね、安心への願いを踏みにじる行為で心からお詫び申し上げる」と陳謝した一方で、「(データの流用の有無の調査は)各社の内部情報に踏み込むことになるので調査は難しい。そもそも業界団体としてその権限があるのかはわからないし、適切な答えが返ってくる保証もない」として、協会として全容把握はできない考えを示した。
業界を代表する大手のつまずきは、コンクリート杭工事の信頼性そのものを揺るがすことになりかねない。流用件数はまだ増えるのか、業界他社からも発覚するのか。事態は混迷を極めている。

傾きマンション事件が起こるのは必然だった
民間建設工事にも問われる発注者責任

千葉 利宏 :ジャーナリスト
2015年10月27日

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2センチメートル傾いている横浜の大型マンション。基礎工事での不正が発覚した
「やはり起きてしまったか」

居住者の方々には大変申し訳ないが、第一報を耳にしたとき率直にそう思ってしまった。
「やはり起きてしまったか」と思わせる理由とは?

横浜市都筑区の大型マンション「パークシティLaLa横浜」(全705戸)で起きた施工不良事件。建物を支えるための基礎工事で、杭が必要な強度を確保できるための深さまで到達していなかったり、杭を固定するためのセメントの量が不足していたりするなどの問題が発覚した。実際に全4棟(南棟、中央棟、西棟、北棟)のうち、西棟は2センチメートル超、傾いてしまっている。
「パークシティLaLa横浜」は三井不動産レジデンシャルが2006年に販売を開始。同じグループの三井住友建設が元請けとなって工事を進め、2007年12月に竣工した。直接的な因果関係はまだ明確に言い切れないものの、現時点で大きな問題となっているのは、三井住友建設の2次下請けとして杭打ち工事を請け負った旭化成建材によるデータ改ざんだ。
旭化成建材が過去10年間に基礎工事を行った物件は、全国で3040件。今回傾いたマンションの杭工事でデータを改ざんしたとされる現場担当者がかかわったのは41件とされ、今後の調査結果次第では問題が大きく広がる可能性もある。
そうした意味では、10年前の2005年に発覚した「耐震強度データ偽装事件」を彷彿とさせる。建築確認申請の段階でデータ偽装を見抜けずに耐震強度不足のマンションが建設・販売され、大きな社会問題となった。1人の構造設計士による犯行とされ、「姉歯事件」とも称されたあの事件だ。
建築確認とは、建築工事に着工する前に、その計画が建築基準法をはじめとする法令や各種の基準を満たしているかを審査すること。姉歯事件を受けて、国は建築確認申請手続きを大幅に厳格化するため、建築基準法を改正。消費者保護のために分譲事業者の資力を担保する「住宅瑕疵担保履行法」も2007年に制定され、2009年10月から新築住宅に義務付けられた。
http://toyokeizai.net/articles/-/89790
この時の建築基準法改正では、建築確認申請手続きが半年近くストップする大混乱が生じ、2008年秋のリーマンショックとも重なって建設業界は深刻な不況に陥った。こうした犠牲を払ったにもかかわらず、再び分譲マンションの建築工事をめぐる深刻な不正問題が発覚した。
今後、国土交通省が再発防止策を検討するとみられるが、このままでは工事現場での施工管理を強化するなどの対策を講じるだけで幕引きとなる可能性が高い。だが、それでは根本的な問題は解決しない。
今回の「パークシティLaLa横浜」をめぐる問題は、起こるべくして起こったといっていい。そもそも耐震強度データ偽装事件を受けた建築基準法の規制強化だけでは、日本の建設生産システムに横たわる根本的な構造問題にメスを入れられないことが明らかだったからだ。
それは民間の建設工事請負契約においては、契約当事者の片方、つまり工事を受注した側だけが責任を負う片務性が放置されていることだ。

発注者責任」はほとんど問われない状態
建設工事は、建設業法に基づいて許可登録された建設業許可業者が完成を請け負う契約を結んで実施される。これは建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するのが目的だ。建設業者は請負契約を結んだ以上、設計図面に書かれたとおりに、決められた予算と工期で工事を完成させる責任が生じる。逆に言えば、「発注者責任」はほとんど問われない状態になっている。
旭化成建材が起こした杭打ち工事のデータ改ざんは、もちろん言語道断の許されない行為だ。ただ、発注者である三井不動産レジデンシャルが建設工事の品質確保に万全を尽くしていたのか。元請けでこの工事の設計や施工を担当していた三井住友建設は、いったい何を現場で監理・監督していたのか。その責任は極めて重い。
試作や検査を繰り返してつくる工業製品とは違い、建物の施工品質を確保するには、「厳しく工事監理ができる設計事務所」「優秀な現場監督を抱えるゼネコン(総合建設会社)」「優秀な職長がいる専門工事業者」に、適正な価格と工期で工事を発注することが不可欠だ。発注者責任がほとんど問われなければ、工事現場の監理や監督が甘くなるのも当然という構造問題がある。
古くから建設工事は、寺社仏閣、城郭、屋敷、町家まで「発注者みずからが所有する」目的で行われてきた。発注者は建設工事の知識に乏しい素人ばかり。ある意味、発注者の保護は当然であり、そうした考え方で戦後すぐの1949年に建設業法が制定された。
問題は、最大の工事発注者である国土交通省(旧建設省)が建設業者を管理監督してきたことだった。建設工事の請負契約は、発注者側に有利な片務性の高い内容で、対等な契約になっていないとの指摘は以前からあった。過去の審議会などで有識者から「発注行政と建設行政は分離すべき」との意見も出されていたが、発注者である役所が不利になるような見直しは見送られてきた。
ところが、公共工事の「発注者責任」をめぐっては事態が動く。2000年に元建設大臣の贈収賄事件を契機に入札契約適正化法が制定され、翌2001年に発足した小泉純一郎内閣が公共事業費削減に着手すると、公共工事の受注競争が一気に激化。ダンピング(不当安値)受注が相次ぎ、工事費の下落に歯止めがかからない状況が生じ、そのままでは公共工事の品質低下が確実視される事態に陥った。
そこで、古賀誠元衆議院議員を中心に議員立法によって「公共工事品質確保促進法」が2005年に成立。公共工事の悪い慣行だった「歩切り」が法的に禁止された。公共工事では、設計図書に基づいて発注機関が積算した「予定価格」を上限として入札が行われるが、歩切りとは予算が足りないなどの理由で予定価格を根拠がないままに切り下げる行為だ。
白紙撤回になった新国立競技場の建設問題で、ゼネコンが3000億円を上回る積算価格を示していたにもかかわらず、発注者側からは「赤字覚悟でも工事を受注すべき」との発言が聞かれたが、これがまさに歩切りの典型である。
国交省が2015年1月に実施した調査でも、地方自治体の中にはいまだに歩切りを行っているところが約4割を占め、根深い問題となっているものの、国交省では、公共工事品質確保推進法で歩切りを禁止したのをきっかけに公共工事については「発注者責任」という考え方を打ち出し、公共工事の品質を確保するために適正な価格、適正な工期での発注に取り組むようになった。
ひるがえって、民間工事はどうか。

品質よりコスト優先
1990年代半ばから建設業界を取材している筆者が、民間工事の発注者の意識に変化が生じたのを感じたのは、バブル崩壊で景気低迷が深刻化したタイミングだ。それまでは「いい建物を安く」という方針だったのが、「そこそこの建物をできるだけ安く」になった。明らかに品質よりコスト優先となった。
加えて、ちょうど同じ時期に米国から不動産証券化の仕組みが導入されたことで、不動産価格を収益利回りで評価する考え方が急速に広まったのも影響しているのかもしれない。もともと建物を所有目的で造る発注者には「いいものを造りたい」との意識が強く、それが工事費引き下げの歯止めになっていた。ただし、建物を転売目的で造る発注者は収益利回りが優先されるため、工事費引き下げ圧力が強く働きがちだ。
当時、民間発注者からは「ゼネコンが勝手に請負価格を引き下げただけ。こちらから無理に値引きを要求したりしたことはない」との声を聞いたが、ゼネコンが巨額の不良債権を抱え、公共事業費も減り、生き残るために無理な受注をしていたことを知らなかったわけではあるまい。発注者の優位な立場を利用していたのは明らかだった。
現在の建設技能労働者の深刻な人手不足は、労務単価の下落と法定3保険(雇用保険、年金、健康保険)の未加入が原因だ。それが顕在化したのはゼネコンによるダンピング受注が始まった時期に重なる。最近の建設工事費の大幅な上昇は、当時のしっぺ返しではあるが、今後も需給バランスが大きく崩れるたびに工事費や労務単価が乱高下するようでは、建設技術者や技能労働者を安定的に確保し育成するのは難しい。それが建設工事の品質に影響することは避けられないだろう。
公共工事ではダンピング受注を防止するために公共工事品確法が制定され、発注方式の見直しも行われたものの、民間工事はあくまでも民間企業同士の契約行為。その内容を法律で規制するのは議論が分かれるところとはいえ、建設工事の専門知識に乏しい一般消費者や投資家への転売目的で建物をつくる発注者にはより厳しい「発注者責任」が求められて然るべきである。
2014年2月に発覚した、三菱地所レジデンス発注のマンション「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」(総戸数86戸、平均販売価格1億4000万円)の工事不具合による販売中止問題では、元請け工事業者の鹿島が建物の解体・建て替え費用に加えて、販売解約手数料も負担することが決まっている。
宅地建物取引業法では、販売解約手数料は手付金(販売価格の通常1割)を含めて2倍と定められているが、三菱地所では迷惑料を含めて3倍返しと手厚く対応。それらの費用の全額負担を盛り込んだ鹿島の2014年3月期決算での建築工事売上総利益はその前の期の460億円から22億円に激減。この時のマンション工事では、三菱地所の子会社である三菱地所設計が工事監理を行っていたが、その監理責任はほとんど言及されなかった。
発注者の責任はどうあるべきか
今回の「パークシティLaLa横浜」の事件では、三井住友建設が設計・施工を担当していたが、旭化成建材に批判が集中。三井住友建設はほとんど表に出ていないし、マンションの解体・建て替え費用や入居者への補償費用の大半について、杭工事を請け負った旭化成グループが負担することも十分に予想できる。
これらの背景には、建設工事請負契約の片務性が放置されてきたことが影響しているのは間違いない。民間工事、特に転売目的で建物を造る場合の発注者責任はどうあるべきか。
建設業法の第2条では「建設業とは、元請、下請そのほかいかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と定めているが、請負契約以外の契約方式も認めたうえで、発注者の責任分担を改めて議論すべき時期に来ている。

旭化成、横浜傾きマンションの重すぎる責任
記者会見で浅野社長が涙の謝罪

藤尾 明彦 :東洋経済 記者
2015年10月21日

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頭を下げる会社側の出席者。左から、旭化成の平居正仁副社長、浅野敏雄社長、旭化成建材の前田富弘社長、前嶋匡・商品開発本部長(撮影:尾形文繁)
三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市の大型マンション(2007年竣工)が傾いた問題で、10月20日、杭打ち工事を手掛けた旭化成建材とその親会社である旭化成が、初めて記者会見を開催した。出席者は、旭化成の浅野敏雄社長、平居正仁副社長、旭化成建材の前田富弘社長、前嶋匡・商品開発部長の4人だ。途中で旭化成の浅野社長が涙を流す場面もあった。報道陣との主なやり取りは以下の通り。会社側は調査委員会の委員長である、旭化成の平居副社長を中心に回答した。

――杭打ち工事のデータを改ざんし、支持層まで杭を打たなかった施工チームの現場代理人は、ヒアリングに対してどう答えているのか。
データ紙の紛失やデータ取得の失敗により、データを転用したことは認めているが、「不正を隠すために故意でやったことではない。杭も支持層に達したと思っている」と主張している。だが、主張には整合性が取れない部分もある。工事を手掛けた10年前の記憶と記録をもとに調査しているので、本当のことを言っているのか、ウソをついているのか、現時点で判断することは難しい。今後の調査で、杭の状態を実際見ることによって、多くのことがわかるはずだ。
現場1人の判断とは言い切れない
――杭が支持層に届いてなくても、届いたと誤認することはあるのか。届いたとの判断は、現場代理人1人が行うものなのか
今回の物件は、支持層の一部のエリアが深く沈んでいる、特殊な形状ではある。ただ、杭が支持層に届けば、必ず反動はあり、オペレーターは気付く。通常は現場管理人によるデータのチェックや、オペレーターの感覚など、すべて合わせて判断するもの。施工にかかわったチームの8人は、杭が支持層に届いたと認識しているが、10年前の記憶であり、さらなる調査が必要だ。
――現場管理人はどういう立場だったのか。杭の長さが足りなかった場合、杭を再度用意して打つことで、コストや工期を守れない、というプレッシャーがあったのではないか。
現場管理人は当時、旭化成建材の子会社から出向していた。現在は旭化成建材の契約社員だ。杭を再度打ち直す場合の費用は、元請け業者の三井住友建設が負担するので、旭化成建材にとって、追加のコスト負担にはならない。工期については当時、マンションの建設ラッシュで多忙だったので、ナーバスになっていたことはあるかもしれない。
――データの破損や紛失について、紙切れや紙詰まり、雨にぬれたなど、稚拙な理由を挙げている。その程度のことで重要なデータが取れないのか。現在も紙で記録しているのか。
2008年からは電子化され、メモリーカードで保存している。
――であれば、過去10年、旭化成建材が杭打ち工事を手掛けた3000棟のデータを調べるのは、すぐではないか。なぜ調査結果の発表に時間がかかっているのか。
データは電子化されているが、報告書はPDFで打ち出し、紙で保管している。データの転用があるかないかは、電流計のチャートの形を目で見比べて、同じような形が現れていないか確認する必要があるので、時間がかかる。
http://toyokeizai.net/articles/-/89004
――過去10年より前の物件の調査は行わないのか。
古い物件でも、不具合が生じていれば、誠実に対応する。ただ、古い物件はデータが残っておらず、データ改ざんの有無を確認することはできない。
――旭化成ブランドは今回の件で大きく毀損した。ビジネスに影響は出ているか。
旭化成建材で基礎工事事業に関わる百数十名は、問題の対応に追われており、実質的に事業は行えていない。戸建てのヘーベルハウス事業は、今のところ急激な受注の低下など、目に見えたマイナス影響は出ていない。
費用の分担は最後に決める
――主に旭化成のメンバーからなる調査委員会に加えて、旭化成とは利害関係のない弁護士をメンバーとする外部調査委員会を設置する予定だ。調査委員会が二つあるのはなぜか。

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渡り廊下の手すりの高さがずれたことで、左側の棟が傾いたことが発覚した(撮影:今井康一)
われわれだけの調査委員会では、信頼されないので外部にもお願いする。しかし、外部の方は、どこにどのようなデータがあるのかなど旭化成内部のことがまったくわからないので、調査に時間がかかる。早期の真相解明のために、二つの調査委員会が必要と考えた。
――建物の補強・改修工事に要する費用は全額負担するとしているが、建て替えとなった場合、売り主の三井不動産レジデンシャルおよび元請けの三井住友建設と協議を進めるとしている。建て替え費用を全額負担するつもりはないのか。
真相究明が優先で、費用の分担はすべて終わって、一番最後に話し合うことだ。今はその時期ではない。
――浅野社長は今回の件を受けて、引責辞任する考えはあるのか。
今は住民の皆様の安全と真相究明に全力を尽くしたい。その後で関係者の責任問題を考える。
――住民は不安に感じている。その不安をどう払拭していくのか。
旭化成を代表し、マンション住民の皆様、「ヘーベルハウス」にお住まいの皆様、旭化成の製品を愛用して頂いている皆様に、本当に申し訳ないと反省している。(涙ぐみながら)原因究明を徹底し、問い合わせを受けた場合は、誠心誠意お答えする。

横浜マンション杭打ち問題。施工の品質とデータの改ざんは別に考えるべき!

案の定、新たなデータ改ざん・流用が見つかった。発注した地方公共団体もメディアのコメンテーター達も、こぞって建設会社の体質などに問題があるという怒りのコメントを繰り返している。
お怒りはごもっともだが、忘れて欲しくないことは「施工の品質とデータの改ざん・流用とは別の問題」だということ。ちゃんと施工された物件でも、データの改ざん・流用と指摘されても仕方ない行為が行われることは多々あるのが現実。
今回新たに見つかったデータ改ざん・流用は4件だが、興味深いのは4件とも公営住宅、中学といった公共のもの、つまり公共事業として行われたものだというところ。
公共事業では、工事が完成するまでに数回の検査が実施される。ここでの問題は、検査する側の人間が必ずしも「専門的知見」を持っているとは限らないこと。たとえ大学等で建築や土木の勉強をしていても、実務経験が0である限り、実務的な「専門的知見」は身につかない。
「専門的知見」を持たない人達による検査は、必然的に必要な書類が揃っているかという「形式検査(マニュアル検査)」になる。特に杭打ちとか、薬注といった完成した状況を目で見て確認できない部分はほぼ100%「マニュアル検査」になる(民間工事でも本質は同じ)。
つまり、施工者側からいうと、必要な書類・データを揃えておくことが目的化するということ。これは施工の品質とは別問題。
当たり前であるが、杭打ち工事は外で行われる。雨も降れば雪も降るし、風も吹く。当然機械が故障することも電子機器類が故障することもある。作業環境を同一に保つことで、不良品を限りなく0に近づけるように運営されている工場とは環境が180度異なるのだ。
http://allabout.co.jp/newsdig/c/89378
例えば、コンクリートを注入し始めた時にこうした想定されるトラブルが起きた場合、データが正確にとれるまで作業を中止するだろうか。そんなことはない。
コンクリートを打ち始めたら途中で止めることは出来ない。止めてしまうと、そこに継ぎ目が生じ、所定の強度を保てなくなるうえ、作業を止めてしまえば、コンクリートがミキサー車や配管の中で固まってしまい、コンクリートの品質が低下するといった、品質の面で大きな障害が生じるからだ。品質のいいコンクリートを打つということは、時間との戦いでもある。
こうした品質上の問題があるため、作業中に想定されるトラブルが生じた場合、作業続行を優先するというのは、品質管理を優先する現場監督としては当然の判断になる。
しかし、データがないと検査が通らない。検査に通らなければ施工代金を受け取ることが出来ない。そこで現場監督は事務所に戻ってから、検査に必要なデータを準備することになる。こうして施工品質とは関係なく、データ改ざん・流用が行われていくことになる。
公共事業における検査は、通常何回かに分けて実施される。杭打ち工事は工期の最初に行われるものであるから、最初の検査の段階でチェックを受けているはず。問題は、この検査の時点でデータの改ざん・流用が見落とされていること。それは検査が、「専門的知見」を持たない検査官たちが必要な書類が揃っているかをチェックする「マニュアル検査」になっているからだ。
杭打ちなどは施工後に正しく施工されているかを確認することは、技術的にも物理的にもほぼ不可能なこと。それゆえ「再調査」は「マニュアル検査」に提出された施工データの再検査にならざるを得ない。
その結果、施工の品質とは無関係に行われたデータの改ざん・流用が大量に見つかることになる。そしてそれは、住民や発注者に対して不安感を与え、業界不信へとつながっていく。
本当に正しく施工しているか確認するためには、現場に立ち会う以外にない。しかし、それは現実的ではない。私も30年前に元請会社の技術者として杭打ち工事を担当した経験があるが、一日中つきっきりで立ち会うのは無理なことで、下請け会社の責任者に任せる以外にない。
データ改ざん・流用があったとしても、そのことが即施工品質に問題があることにはつながらないという現実をまず認識することが重要だ。
実際に建物や構造物に不当沈下が生じていなければ、杭打ちに問題があったと決め付けずに、「マニュアル検査」を通るための書類に不備があったと考えるのが現実的。
この件で建物等の資産価値が低下することは避けられないが、それはお金等で解決する以外に方法はないのではないだろうか。「疑わしくば解体・建て直し」を迫られるのでは、施工を請け負う会社がなくなってしまいかねない。
杭打ち工事のデータの再調査は、パンドラの箱を開けてしまう行為となった。これによる混乱を拡大させないためには、施工会社のモラルや体制を非難するだけではなく、施工品質と施工データは別物であるという現実的な認識を持つことも重要だ。施工データは主に「マニュアル検査」を通るためのものなのだから。
エアコンの効いたオフィスで仕事をしている方々が、様々な自然現象のなかで行われている工事現場に関して、自分達と同じ環境で工事が進められていると思い込むことは、本質的ではない問題を拡散させかねない。
データの改ざん・流用は無いに越したことはないが、「マニュアル検査」がある以上、現実的になくなることはない。もし本当に再発防止を目指すのであれば、施工時に派遣社員ではない「専門的知見」を持った元請会社の技術者を立ち会わせることを義務付けるなどと対策が必要になる。当然これは請負金額を上昇させることになる。
今回の問題は、「理想と現実の違い」の部分を割り引いて議論するべきである。そうでなければ収拾がつかなくなり、無用な混乱を招くだけだ。

2015年11月02日
三谷セキサン 越前市の小学校体育館「くい打ちデータ流用」と発表~発覚県内初(2015/11/26 20:10)
建物のくい打ち業で国内最大手の三谷セキサンは26日、越前市にある小学校の体育館のくい打ち工事でデータの流用があったと発表しました。くいの安全性に問題はないとしています。
また、この問題を受けて過去5年間に手掛けた工事8000件全てを調査するとしました。この問題が明らかになったのは県内で初めてです。

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三谷セキサンの三谷進治社長が26日、福井市内で記者会見し、くい打ち工事でデータの不正流用があったことを明らかにしました。
三谷社長は「安心、安全に対する信頼を損ね申し訳ありません」と謝罪しました。

会見によりますと、建物は越前市の北新庄小学校の体育館で、柱を支える基礎部分に打ち込んだコンクリート製のくい53本のうち8本で別のくいのデータを流用していました。
くい打ち工事は、平成25年9月に行われ、当時、工事を担当した契約社員の男性が「データの紛失に気付き、困って流用した」と釈明しているということです。
周囲の地質調査などから、8本とも地下の支持層まで達していて安全性に影響はないとしています。

三谷セキサンでは、旭化成建材で発覚したくい打ちデータの不正問題を機に施主や元請けから依頼のあった350件の施工報告書を調査して今回のケースが発覚したと話しています。今後は再発防止に努めるとともに、記録が残る過去5年分8000件の施工報告書を半年かけて調査するとしています。
http://www.fukui-tv.co.jp/

スルメちゃん1618
2015年11月01日 17時13分
数年前まで杭打ち屋にいたという人のブログ。

>で、今回の旭化成建材の件だが、ぶっちゃけ他の会社もいくらでもやっている。
むしろ、旭化成建材であれなら他はもっとひどいという感じ。

>今回の件があって、元同僚に電話してみたら、杭打ち業界は今騒然としてるらしい。
どこの会社も同じような事をやっていて逃れられないから。

やっぱりそうか。そうだよな。
でも。つまり、ほとんどはそれで強度に「問題ない」から業界内でどこも偽装してるってことでしょ?
今回みたいに明らかに傾いたマンションは危険だけど、他に傾倒するほど危険な偽装物件はそうそうないんじゃないか?
と、願いたいが…
希望的観測すぎるか。
https://socialnews.rakuten.co.jp/link/700161

日本で偽装が横行する理由(杭打ちデータの流用)
2015/11/06 (金) 11:46

もう新鮮味はない話題ですが、傾斜マンションのデータ流用についてどう思いますか?
データを流用するとは言語同断! なんて思いますか?
私思うのですが、現場の実情に疎い人ほど憤慨していると思うのです。データを流用するとは何事だ、と。
しかし、杭打ちの仕事を請け負った会社は、平気な顔をしていうのです。
「データの流用があっても、しかし、だからといって安全でないとまでは言えない」
まあ、そんな言い訳を聞かされると、一般の市民は益々腹が立ってくるのです。
では、なんのために杭打ちのデータを取る必要があるのか、と。データを取らなくても、固い地盤にまで杭が達していることが他の何らかの手段で確認できるのであれば、だったらその証拠を示せ、と。
しかし、証拠を示せと言われても、そう簡単にはいかないので、だったらデータを流用するかとなるのです。データを流用したとしても、杭がちゃんと固い地盤に達しているのだから、問題ないではないか、と。
でも、だとしたら、何のためにデータを証拠として残しておく必要があるのでしょうか?
それに、そうやってデータを流用することが当たり前みたいになってくると、今度は、どうせデータは流用すればいいのだからということで、杭打ちが疎かになってしまうのです。
ところで、マイナンバーカードに絡む収賄容疑で逮捕された厚生労働省の室長補佐の出勤簿には出勤していない日も出勤を示す印鑑が押されていたと報じられています
「汚職の厚労省室長補佐、出勤簿に不適切「押印」」(読売)
「週の半分ほどしか東京・霞が関の同室に出勤していなかったにもかかわらず、出勤簿にはほぼ毎日、出勤を示す押印があったことが分かった」、「開示されたコピーによると、出勤の印鑑が押されているのは平日の大半にあたる228日で、休暇は14日。出勤簿は原則、本人が押印する決まりだが、同室は「庶務の担当者が他の職員の印鑑を預かっており、休暇の届け出がなければ職場に来なくても出勤とみなして押印していた」と説明した。現在はこうした運用は廃止したという」
どう思います?

出勤簿に本人が押印するのではなく、他の者が押印したって意味ないじゃん、と思いますか?
普通の感覚だとそうなるところ。それよりも、今時出勤簿に印鑑を押すなんてなんと遅れているのでしょう。
職員の出勤状況をきちんと管理するなら、タイムカードを利用すべきですよね。
でも、タイムカードは絶対に使用しない。
何故か? そんなことをすれば、職員たちは必ず定時に出勤することを余儀なくされてしまうからです。
あれっ、何かおかしなことを私は言っていますか?
確かにおかしい。しかし、霞が関の常識ではそれほどおかしくはない。
というのも、霞が関の役人たちは、勤務が深夜に及ぶことが珍しくなく、従って、その上朝も必ず定時に出て来いといっても無理なことが多いからです。
しか~し…出勤簿はいつも決まったところにおかれ、定時までに押印される決まりが変更されることはありません。
要するに、真面目に出勤簿に押印することを求めていたら、遅刻扱いになる職員が続出。遅刻する度に毎回、後出しで休暇願を出す羽目になるのです。
それに休暇願というのは、事前に出すものでしょ?
つまり、遅刻は、厳格に言えば、無断欠勤になってしまうのです。
深夜まで働き、否、場合によっては空が白々としてきた頃、タクシーで帰宅する職員に対して、ちゃんと定時に出勤しろなんて誰が言えるでしょう?
「大丈夫、庶務の人が代わりにハンコを押しておくから」となってしまうのです。
そして、件の室長補佐は、そうした慣習を悪用して平気で仕事をさぼっていた訳なのです。
私思うのですが、日本はこうした建前と本音の違うことが多すぎます
本音としては、杭打ちのデータにしても、そんなもの必ずしも必要ないではないか、と。ちゃんと固い地盤まで杭が届いているのを確認したのだから、それでいいだろう、と言いたい。
出勤簿に関しても、毎日、一生懸命仕事していることは分かる筈だから、出勤簿に誰かが代ってハンコをおしても問題はないだろう、と。
出勤簿の問題にしても、それから杭打ちのデータにしても、もう少し現実に即したシステムに変更する必要があると思います。
例えば、ちゃんとした杭打ちのデータが得られなかったり、あるいは、再度データを取ることが時間や経費の関係で不可能になった場合、複数の現場監督者の証言でデータに代えることができるようにするとか…。
出勤簿にしても、おかしいでしょ?
読売の記事によれば、厚生労働省は、庶務の人が代わりにハンコを押すようなことは止めるなんて書いてありましたが、では、課長以上の偉い人は実際に自分でハンコを押しているのでしょうか。
誰が自分で押すか、と。
つまり、偉い人たちの出勤簿の押印など、最初から茶番劇なのです。
つまり、形式的には嘘であり、その嘘の芝居を皆で演じているのです。
私、そんな無意味なことをするくらいなら、そもそも出勤簿を廃止してしまう方が理に適っていると思うのですが…しかし、そうなるとちゃんと職員の勤務状況を管理しているかということになり…
でも、こうした地味な問題に巧く対応することができないようでは、日本がさらに一歩成長することはあり得ないと思います。
そして、こういう小さな嘘の積み重ねによって、人々の感覚が少しずつマヒして行くのです。
結局、偽装国家、ニッポンということになるのです。
以上
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2015/11/06/024750.php

くい打ちデータ改ざん7社に拡大
不正「業界の大半」に

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くい打ちデータの改ざん問題について謝罪するコンクリートパイル建設技術協会の黒瀬晃会長(手前)ら=27日午後、東京都千代田区
くい打ち業界団体のコンクリートパイル建設技術協会は27日、旭化成建材(東京)とは別に、工事データの改ざんを会員企業6社で計22件確認し、国土交通省に報告したと発表した。くい打ちをめぐる不正は計7社に拡大した。
記者会見した同協会の黒瀬晃会長(ジャパンパイル社長)は、大手を中心に改ざんが判明したことから「業界の大半で行われており、個別企業ではなく、業界全体の問題との認識だ」と述べた。
石井啓一国交相は「甚だ遺憾」とするコメントを発表。改ざんが判明した物件の安全性の確認を6社に指示した。(共同通信)
【 2015年11月27日 21時45分 】
http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20151127000140

旭化成建材、360件でデータ改ざん確認と発表

「旭化成建材」は、杭(くい)打ち工事を担当した全国の建物のうち、データの改ざんが確認された物件が360件だったと発表しました。
「旭化成建材」によりますと、過去10年あまりで杭打ち工事を担当した3052件の建物のうち、最終的にデータが改ざんされた建物は360件にのぼり、61人が改ざんに関与していたということです。また、188件は建物が取り壊されるなどしてこれ以上の確認が出来ないということで、今後の対応を国土交通省と協議する方針です。
一方、横浜市は建物が傾いている横浜市内のマンションの安全確認について、マンションを販売した三井不動産レジデンシャルなどから報告を受けたことを明らかにしました。
報告書では、6本の杭が固い地盤に届いておらず4本の杭で杭を支えているセメント量が足りないと想定されるため、10本の杭が全て無い前提で構造の強度を計算し、マンションの倒壊の危険性はないと判断。「住み続けても問題がない」としています。(24日17:18)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2643373.html

旭化成建材の改ざん360件、年内の安全性確認を指示 国交相
2015/11/27 12:45

杭(くい)打ち工事のデータ改ざん問題を巡り、石井啓一国土交通相は27日の閣議後の記者会見で、旭化成建材(東京・千代田)で改ざんが判明した計360件について年内に安全性を確認するよう同社や自治体に指示したと明らかにした。
地盤調査などで杭が固い地盤に到達しているか調べ、達していなければ構造計算をやり直し、安全性を検証する。
安全性検証の結果を踏まえ、国交省の有識者委員会は年内に再発防止策の中間報告をまとめる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H2J_X21C15A1CC0000/

杭打ちデータ8000件調査へ 三谷セキサン社長が謝罪
2015/11/27 1:39

杭(くい)製造最大手の三谷セキサン(福井市)による杭打ちデータ流用問題で、同社の三谷進治社長が26日記者会見し、過去5年間で工事を担当した8千件について流用の有無を調査すると明らかにした。調査には半年程度かかる見通し。
流用があったのは福井県越前市が発注し、昨年7月に完了した小学校体育館の建て替え工事。53本の杭のうち8本のデータで流用が確認された。同社は、杭が支持層に達していることを確認しており、安全性に問題はないとしている。三谷社長は「小学校という安全性を高く求められる物件で心配をおかけし、おわびしたい」と謝罪した。
三谷社長によると、報告書に記載する電流計のデータについて「契約社員の担当者が紛失し、困ってしまった」ため、他の杭のデータを流用した。流用の有無はチェックすべき項目になく、工事責任者も見逃した。同社長は「担当者個人の判断だった」と述べ、組織的な不正は否定した。
杭打ちデータの改ざんが明らかになったのは、旭化成建材(東京・千代田)、ジャパンパイル(同・中央)に続き3社目。三谷セキサンは杭の製造販売で国内シェア27%近くを占める最大手。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H6W_W5A121C1CC1000/

杭打ち工事、現場の言い分。データ再調査は「パンドラの箱」となるか?=近藤駿介
2015年11月1日ニュース

新たな不正が見つかり、日増しに批判の声が高まっているマンションデータ改ざん問題。この風潮に異を唱えるのが、30年前に元請会社の技術者として杭打ち工事を担当した経験を持つ、元ファンドマネジャーの近藤駿介さんです。自然相手の工事における「必要悪」としてのデータ改ざんとは?
マンションデータ改ざん問題、同情したくなる現場の実情
「施工の品質」と「データ改ざん」は別問題
案の定、新たなデータ改ざん・流用が見つかった。発注した地方公共団体もメディアのコメンテーターたちも、こぞって建設会社の体質などに問題があるという怒りのコメントを繰り返している。
お怒りはごもっともだが、忘れて欲しくないのは「施工の品質とデータの改ざん・流用とは別の問題」だということ。ちゃんと施工された物件でも、データの改ざん・流用と指摘されても仕方ない行為が行われることは多々あるのが現実。
今回新たに見つかったデータ改ざん・流用は4件だが、興味深いのは4件とも公営住宅、中学といった公共のもの、つまり公共事業として行われたものだというところ。
公共事業では、工事が完成するまでに数回の調査が実施される。ここでの問題は、調査する側の人間が「専門的知見」を持っていないこと。たとえ大学等で建築や土木の勉強をしていても、実務経験がゼロである限り、実務的な「専門的知見」は身につかない。
「専門的知見」を持たない人達による検査は必然的に、必要な書類が揃っているかという「形式検査」になる。特に杭打ちとか、薬注といった完成した状況を目で見て確認できない部分はほぼ100%「形式検査(マニュアル検査)」になる。
つまり、施工者側からいうと、必要な書類・データを揃えておくことが目的化するということ。これは施工の品質とは別問題。
自然相手の工事における「必要悪」としてのデータ改ざん
当たり前であるが、杭打ち工事は外で行われる。雨も降れば雪も降るし、風も吹く。当然機械が故障することも電子機器類が故障することもある。作業環境を同一に保つことで、不良品を限りなくゼロに近づけるように運営されている工場とは環境が180度異なるのだ。
流量計が故障する、データ用紙が詰まる、データが雨に濡れて滲むということは、現場では想定されるトラブルでしかない。
例えば、コンクリートを注入し始めた時にこうした想定されるトラブルが起きた場合、データが正確にとれるまで作業を中止するだろうか。そんなことはない。
コンクリートを打ち始めたら途中で止めることはできない。止めてしまうと、そこに継ぎ目が生じ、所定の強度を保てなくなるうえ、作業を止めてしまえば、コンクリートがミキサー車や配管の中で固まってしまいコンクリートの品質が低下するといった、品質の面で大きな障害が生じるからだ。
品質のいいコンクリートを打つということは、時間との戦いでもある。
こうした品質上の問題があるため、作業中に想定されるトラブルが生じた場合、作業続行を優先するというのは、品質管理を優先する現場監督としては当然の判断になる。
しかし、データがないと検査が通らない。検査に通らなければ施工代金を受取ることができない。そこで現場監督は事務所に戻ってから、検査に必要なデータを準備することになる。こうして施工品質とは関係なく、データ改ざん・流用が行われていくことになる。
http://www.mag2.com/p/money/6060
実態は「マニュアル検査を通るための書類不備」がほとんど
公共事業における検査は、通常何回かに分けて実施される。杭打ち工事は工期の最初に行われるものであるから、最初の検査の段階でチェックを受けているはず。
問題は、この検査の時点でデータの改ざん・流用が見落とされていること。それはいまの検査が、「専門的知見」を持たない検査官たちによる、必要な書類が揃っているかをチェックするだけの「マニュアル検査」になっているからだ。
杭打ちなどは施工後に正しく施工されているかを確認することは、技術的にも物理的にもほぼ不可能なこと。それゆえ「再調査」は「マニュアル検査」に提出された施工データの再検査にならざるを得ない。
その結果、施工の品質とは無関係に行われたデータの改ざん・流用が大量に見つかることになる。そしてそれは、住民や発注者に対して不安感を与え、業界不信へと繋がっていく。
本当に正しく施工しているか確認するためには、現場に立ち会う以外にない。しかし、それは現実的ではない。私も30年前に元請会社の技術者として杭打ち工事を担当した経験があるが、1日中つきっきりで立ち会うのは無理なことで、下請け会社の責任者に任せる以外にない。
データ再調査は、全員を不幸にする「パンドラの箱」だ
データ改ざん・流用があったとしても、そのことが即施工品質に問題があることには繋がらないという現実をまず認識することが重要だ。
実際に建物や構造物に不当沈下が生じていなければ、杭打ちに問題があったと決め付けずに、「マニュアル検査」を通るための書類に不備があったと考えるのが現実的。
この件で建物等の資産価値が低下することは避けられないが、それはお金等で解決する以外に方法はないのではないだろうか。「疑わしくば解体・立て直し」を迫られるのでは、施工を請け負う会社がなくなってしまいかねない。
杭打ち工事のデータの再調査は、パンドラの箱を開けてしまう行為となった。これによる混乱を拡大させないためには、施工会社のモラルや体制を非難するだけではなく、施工品質と施工データは別物であるという現実的な認識を持つことが重要だ。施工データは主に「マニュアル検査」を通るためのものなのだから。
エアコンの効いたオフィスで仕事をしている方々が、様々な自然現象のなかで行われている工事現場に関して、自分たちと同じ環境で工事が進められていると思い込むことは、本質的ではない問題の拡散にも繋がりかねない。
データの改ざん・流用はないに越したことはないが、「マニュアル検査」がある以上、現実的になくなることはない。今回の問題は、その部分を割引いて議論するべきである。そうでなければ収拾がつかなくなるだけだ。

杭打ち1次下請けの日立ハイテクが否定する「禁断の丸投げ」疑惑=近藤駿介
2015年10月29日ニュース

横浜市のマンション傾斜問題で、杭打ち工事に1次下請けとして関与した日立ハイテクノロジーズ<8036>は26日、2次下請けの旭化成建材に工事を「丸投げしていた認識はない」と釈明しました。
これについて元ファンドマネジャーの近藤駿介氏は、「会社側がこのように発言するのは当たり前」としたうえで、「万一、工事の丸投げが明らかになれば、建設業法で禁じられた『一括下請負』を認めることになり、営業停止処分となる恐れもある」との認識を示しました。

問題は旭化成建材に留まらず、発注者や元請を巻き込む展開に
「丸投げしていた意識はない」日立ハイテクの苦しい釈明

横浜市のマンション傾斜問題が発覚してから約2週間経過した10月26日、1次下請けという重要な立場にあった日立ハイテクノロジーズ社の社長が、ようやく公に謝罪をしました。
しかし、それは公の記者会見でも、住民説明会の場でもなく、同社のアナリスト向け決算説明会の席上であったことが理解できないところ。
「旭化成建材に丸投げしていた認識はない」(幹部)という日立ハイテクも品質管理への関与などが求められる現行の建設業法に照らせば、対応が十分だったとはいえない。
出典:傾斜マンション1次下請け 日立ハイテク、対応遅さ際立つ 事実関係は「調査中」 – 日本経済新聞
日立ハイテクノロジーズ社側は「2次下請けの旭化成建材に丸投げしていた意識はない」という認識を示しているようですが、会社側がこのように発言するのは当たり前のこと。
建設業法では、公共工事と民間工事における共同住宅の新築工事については、請け負った建設工事の全部またはその主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる「一括下請負」は全面的に禁止されています。
ですから、「丸投げしていた認識」を持っていることを認めたら、それは即、建設業法違反を認めたことになってしまいます。
問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約も結んでいたという。技術的な知見はなく、旭化成建材の担当者が改ざんした工事データの「信ぴょう性は判断できなかった」(日立ハイテク幹部)
出典:同・日本経済新聞
建設業法では、元請負人が自ら総合的に企画、調整及び指導(施工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するための工程管理及び安全管理、工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理、下請負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監督等)を行うなど、「実質的に関与」していると判断されない場合は「一括下請負」に該当するとしています。
「技術的な知見」を持たず、「問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約も結んでいた」としたら、たとえ「工事の進捗確認や現場の安全確保」を担当していたといっても実質的に「一括下請負」であったと疑われてもしかたありません。
http://www.mag2.com/p/money/6002
「一括下請負」による丸投げ発覚なら営業停止処分も?
また、「建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度から当該建設業者の評価をする」(平成13年建設省建設経済局長 通達)ことが前提とされていますから、発注者である三井不動産グループや元請である三井住友建設がなぜ「技術的な知見」を持たない日立ハイテクノロジーズ社を1次下請けに選定したのかにも疑問が残ります。

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自ら「技術的な知見」を持っていないことを認め、「問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約も結んでいた」会社を1次下請けに選定するということは、発注者も元請会社も実質的に「一括下請負」が行われることを黙認していたということになってしまいます。
「一括下請負は、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切る行為であることから、国土交通省としては、原則として営業停止処分により厳正に対処」「一括下請負は、下請工事の注文者だけでなく下請負人も監督処分(営業停止)の対象になります」というように、国土交通省は「一括下請負」に対して原則営業停止処分という厳しい対応を行う方針を示しています。
そのため、日立ハイテクノロジーズ社が今回の工事に「実質的に関与」していたのかも大きな焦点になりそうです。

日立ハイテクノロジーズ<8036> 日足(SBI証券提供)
これまで表舞台に顔を出してこなかった日立ハイテクノロジーズ社が登場したことで、マンション傾斜問題は、杭打ち技術担当者の個人的な問題から、発注者と元請会社を含む施工体制のあり方、業界の問題点へと広がりを見せる可能性が高くなったように思えます。
今回の問題を受け、旭化成建材が施工した工事の調査が行われていますが、もし今回のような「技術的な知見」を持たない業者を下請け業者にするという実質「一括下請負」が横行していたとしたら、問題は旭化成建材に留まらない可能性が高いように思います。
旭化成建材が施工した工事の洗い出しをすると同時に、日立ハイテクノロジーズ社が下請けに名を連ねた工事も洗い出す必要がありそうです。

横浜マンションはなぜ傾いたのか?手抜きや改ざん「よくある」の衝撃
2015年10月20日不動産投資情報

横浜市都筑区の三井不動産販売の大型マンションで大きな傾きが発見されました。隣同士のベランダに大きな段差ができているショッキングな映像が流れました。
どうやらマンションの土台となる部分となる杭打ちに問題があったようです。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾く事態となったようです。傾いたマンションの計52本の杭のうち、6本の杭が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、2本も打ち込まれた長さが不十分であることが判明したと報じられています。
この一連の原因として大きく2つの問題が挙げられます。工期の問題と建築審査の問題です。(らぽーる・マガジン)
横浜だけで済むのか?「マンション・スキャンダル」に揺れる市場
全棟すべて立替でも納得いかぬ住民ら
この杭打ちを請け負った会社は旭化成建材で、旭化成の子会社になります。
新たに杭の先端を覆うセメントの量のデータで不正があったことが発覚し、3棟の45本について別の杭のデータを転用したり改ざんしたりしていたようです。
このマンションは大型商業施設に隣接する人気のマンションでした。販売は三井不動産レジデンシャルが販売、工事の元請けは三井住友建設で、杭の工事は旭化成建材に発注していました。
三井住友建設は、旭化成建材の改ざんは知らなかったとしています。賠償金拠出は、大部分は旭化成建材が担うことになるのでしょうが、三井住友建設にも元請けとしての責任は当然あります。
一般の建売住宅にも見られますが、欠陥と施工ミスという概念があります。その構造物そのものを維持できない重大な問題がある建物を欠陥住宅と言います。施工ミスは建築段階でなんらかのミスが発生したもので、これは後に修正することは可能です。
もちろん、横浜市都筑区のマンションに関しては明らかに重大な欠陥といえますから、三井不動産レジデンシャルとしては、全棟すべて立替ということにするようです。住民への保障も全面支援するとしています。
この早い決断は三井不動産レジデンシャルの企業ブランドを高めたことになります。住民全面支援、問題の棟以外も含めて立て替えるというわけです。
ただ、このマンションを買った住民は、大型商業施設に隣接している立地を好んで買ったわけで、問題がない棟に住んでいる住民の中には、立て替えなくてもいいという人もいるようです。

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三井住友建設<1821> 日足(SBI証券提供)

旭化成<3407> 日足(SBI証券提供)
極端に「短い工期」欠陥や施工ミスは必然との見方も
一般の建売住宅において、ある工務店の方になぜ欠陥や施工ミスが生まれるのかと尋ねたところ、工期に問題があるという答えが返ってきました。
納期が決まっている工事、納期があまりにもタイトな物件では、どうしても工期優先のために工事が手抜きになりがちだとのことです。
また、施工途中で予算が折り合わず、材料を削ったりすることもあるそうです。材料費高騰、人件費高騰など、要因はさまざまですが、最初の予算を超えるわけにはいかない事情から、材料を削ったり質を落としたりすることはよくあるそうです。
「よくある」というところが恐ろしいですね。
一般住宅の場合は、壁の断熱材をケチる、貼るべきところに断熱材を設置しない、いわゆる「抜く」ことが行われたりするようです。ねじまで取り外すそうですよ。
今回の横浜市都筑区のマンションは、当時関わった関係者に話を聞くと、明らかに工期が間に合わなかったことを指摘しています。完成時期は変えられない状況で、おそらく旭化成建材は、杭打ちを十分に行わず、作業を早めることを優先し、それをごまかすためにデータを改ざんしたのでしょう。
http://www.mag2.com/p/money/5849
ずさんな建築審査、なぜデータ改ざんを見抜けなかったのか?
もうひとつの問題は建築審査です。なぜデータ改ざんが見抜けなかったのでしょう。
この建築審査に関してですが、従来は、地方公共団体の建築主事のみが建築確認、検査事務を行なっていましたが、建築物件の数が増え、役所としても人手不足となり、当時の橋本龍太郎内閣が建築基準法を改正し、それまで地方公共団体の建築主事のみが行なってきた建築確認、検査事務を、民間の指定確認検査機関(同法第77条の18 – 第77条の35)を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放することになりました。
この民間会社が行った審査を地方公共団体は信用してきたわけです。今回の事に関しては、横浜市側にしても「被害者」の立場ということなのでしょうか。
人手不足で、手抜き工事が見抜けず、十分な検査が行われていない事態を改善するために、審査を民間企業に開放したとする最初の説明でしたが、一方、営利企業に公正な確認、検査ができるのかという懸念もあり、確認・検査業務は、行政機関が責任を持って実施すべきだとの意見もありました。
でも、行政機関がしても民間がしても、欠陥住宅の数はなくなることはなく、ある一定程度の数はあるようです。役人も民間も手を抜く人は抜くようです。
姉歯事件を覚えていますか。ヒューザーの小島社長をテレビで見かけましたよね。ヒューザーの小島社長の国会喚問の前日、ライブドア本社に強制捜査が入りましたね。あのときです。
耐震偽装という言葉、姉歯設計士による経済設計という言葉が飛び交っていました。経済優先、つまり販売価格を下げることが優先、コストを下げることが、安全よりも何よりも優先されたわけです。
その偽装を民間審査会社は見抜けなかったのです。今回も同じです。
建設業界は縦割りで、下請けがたくさんいます。下請けに行くほど利益幅は薄まります。どうしても経済設計ではないですが、経済的な建築をしようとします。手抜き欠陥が生まれやすい土壌があるといえます。
それに工期短縮です。下請け会社は予算を抑えられ工期は守らされるという状況に追い込まれているようです。
そして今は東北震災復興や東京五輪に向けての建設ラッシュで、建築業界は慢性の人手不足です。円安による材料費高騰もあり、欠陥住宅手抜き工事施工ミスが生まれる土壌が整いすぎているような気がします。
大手が取り扱ったマンションも、建売住宅も同じ事情かと思います。フォルクスワーゲン社の問題といい、企業の信頼はどこへ行ったのでしょうね…。

施工データ改ざん問題 旭化成建材、くい打ち事業からの撤退検討
11/11 11:48

全国各地の建物で、施工データの改ざんが相次いで発覚している問題で、旭化成建材が、くい打ち事業からの撤退を検討していることが、FNNの取材で明らかになった。
関係者によると、旭化成建材が撤退を検討しているのは、くい打ちの請負工事の事業で、くいの製造・販売事業は、継続する方向だという。
一連の問題の発端である旭化成建材が、下請けの立場で、くい打ち工事を行った、神奈川・横浜市のマンションでは、元請けの三井住友建設が、事前調査で、固い地盤の深さを誤ったことが明らかになっているが、旭化成建材は、三井住友建設から、調査・補強費の負担を求められている。
旭化成建材の事業見直しは、元請け側で設計ミスが起きる可能性や、元請けと下請けとの間で、責任の所在が、不明確になるリスクなどをふまえたもので、特に、下請けの立場で請け負うくい打ち工事は、受注しない方向で検討が行われているという。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00308103.html

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ改ざん事件151130-2

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