杭データ改ざん事件151205-3

杭データ改ざん事件151205-3

傾斜マンション問題で責任なすり合い 旭化成「杭届いている」 三井住友建設「裏切られた」
2015.11.12

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ようやく記者会見を開いた三井住友建設の永本芳生副社長(中央)=11日、東証

横浜市の傾斜マンションをめぐり、業者間で責任の押しつけ合いが始まった。施工主の三井住友建設が、杭打ち工事を担当した旭化成建材に「裏切られた」として落ち度がなかったことを強調。一方、旭化成側は「杭が固い地盤に届いている可能性がある」として再調査を求めている。建て替えをめぐっても三井住友建設と発注元の三井不動産レジデンシャルとの温度差が目立つ。
問題発覚から約1カ月を経て、11日にようやく記者会見を開いた三井住友建設。永本芳生副社長は「元請け会社としての責任を重く受け止めている」と管理責任を認めたが、旭化成建材の杭打ちデータ流用は「非常に巧妙で分からなかった。管理を行う中での落ち度は必ずしもあったわけではない」と弁明した。
長さが不十分な杭を発注したことは認めたものの、「施工中に長さが足りないことに気づけば対策を立てるのが工事業者の腕の見せどころ」(永本氏)と強調。杭の工事に立ち会ったかどうかは明言を避けた。
短い工期が下請け業者のプレッシャーになったとの見方については「工期は非常に余裕があった」と否定した。
旭化成建材側は、杭は強固な地盤に届いている可能性があるとして再調査を求めているが、三井住友建設側は「やりたければ自分たちでやればいい」と突き放した。
消極的にもみえる姿勢については身内の建設業界からも「今回は杭打ち業者の親会社が大企業の旭化成だから対応できているだけだ。通常は元請けが背負うしかない」(大手ゼネコン関係者)との批判がある。
マンション建て替えについても、販売元の三井不動産レジデンシャルは住民に全棟建て替えを提案しているが、三井住友建設は「これから判断したい」。一枚岩とはほど遠い業者側の様子を見せつけられると、マンション住民らの不安は募るばかりだろう。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151112/dms1511121539009-n1.htm

旭化成建材、売り主に地盤の本格調査依頼を検討(2015/11/12 16:20)
横浜市のマンションが傾いた問題で不協和音です。

旭化成建材は、三井住友建設の地盤調査では検証が不十分だとして、売り主の三井不動産レジデンシャルに調査依頼を検討していることが明らかになりました。関係者によりますと、旭化成建材は「杭が固い地盤に届いていない」と三井住友建設が判断した調査は簡易的で検証には不十分だとして、三井住友建設に本格的な調査を依頼していました。しかし、三井住友建設が応じないため、売り主の三井不動産レジデンシャルに土壌のサンプルなども採取する本格調査を依頼することを検討しているということです。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000062374.html

施工管理「抜かりあった」=会見で三井住友建設—旭化成建材データ改ざん
2015 年 11 月 11 日 22:00 JST 更新

「管理に抜かりがあった」。傾きが見つかった横浜市都筑区のマンションを施工した三井住友建設の幹部は、11日の記者会見で元請けとしての責任を認め謝罪した。旭化成建材のデータ改ざんを知っていたかについては、「調査中」と繰り返すにとどめた。
「ちゃんと工事してもらえると信頼していた」「そこまでやるかというやり方。チェックのしようがない」。永本芳生副社長は、語気を強めて旭化成建材への不信感をあらわにした。同社が求めているくいの詳細な調査については、「元請けの責任で必要な調査は既にやっている。所有者に了解を取ってやっていただければいい」と突き放した。
2時間にわたった会見では、元請けとして改ざんを把握していなかったかという点に質問が集中。「社員をヒアリングしてあり得ないと思っているが、詳細は調査中で、今は根拠を示すことができない」と苦しい回答に終始した。問題発覚の直後に会見を開かなかった理由は、「住民の安全安心を優先する必要があり、ジレンマがあった」と釈明した。 
[時事通信社]
http://jp.wsj.com/articles/JJ12458599732252303651417737482633752273411

2015.11.26
横浜マンション傾斜、沈黙貫く日立子会社に重大な疑惑 国交省が調査へ、下請け丸投げ

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当社請負杭工事の不具合に関するお知らせ (「日立ハイテクノロジーズ HP」より)
三井不動産レジデンシャルが販売した横浜のマンション傾斜問題をめぐり、1次下請けの日立ハイテクノロジーズが沈黙を貫いている。元請けの三井住友建設や杭打ちデータを偽装した2次下請けの旭化成建材に批判が集中しているが、日立ハイテクは10月15日に「所有者や居住者、関係者に多大なご心配をおかけしたことをお詫びする」とのコメントを出したのみ。同日、同社はマンション建設時に工程の進捗確認や現場の安全管理などを行う1次下請けであることを、初めて明らかにした。
日立ハイテクは10月26日の決算発表説明会で、マンション問題への責任の有無や業績への影響について、「現在は事実関係の確認・調査に取り組んでいる」と回答。旭化成グループとは、日立ハイテクの前身の1社である日製産業が、以前より建材について取引があったと説明した。2001年、工業資材商社の日製産業と日立製作所の計測器や半導体装置の部門が統合して日立ハイテクは発足した。日立製作所が51.6%を持つ筆頭株主で、れっきとした東証1部上場企業である。日立ハイテクの宮崎正啓社長は日製産業の出身。
日立製作所の中村豊明副社長は10月28日に開いた決算発表説明会で、日立ハイテクが1次下請けとして関与していることについて「今は日立ハイテクが実施している調査を最優先し、真摯に対応したい」と述べるにとどめた。現在まで、親会社の日立製作所も当該会社の日立ハイテクも説明責任を果たしていない。

丸投げ
「日立ハイテクが正式な記者会見を開いて説明できないのは、旭化成建材に工事を丸投げしていたことが明らかになってしまう懸念があるからだ」(建設業界筋)
建設業法では公共工事、民間工事とも共同住宅の新築工事については、請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる「一括下請負」が全面的に禁止されている。つまり下請けへの丸投げは禁止されている。
1次下請けとしての日立ハイテクの業務は、工程の管理や現場の安全確認である。もし正式に説明会を開いてその義務を十分に果たしていたのかを質問されれば、「調査中」と逃げるわけにはいかなくなる。10月27日付日本経済新聞は次のように報じている。
「問題があった場合の責任は2次下請けが負うとの契約を結んでいたという。技術的な知見はなく、旭化成建材の担当者が改ざんした工事データの『信憑性は判断できなかった』」(日立ハイテク幹部)
この発言からは、実態としては2次下請けに丸投げだったという疑いが持たれる。さらに、「技術的知見」もなくなぜ工事の進捗確認や現場の安全確保という業務を行えたのかなど、根本的な疑問が浮かび上がってくる。
http://biz-journal.jp/2015/11/post_12582.html
「日立ハイテクは建設業法で禁止されている丸投げをやっていたのではないのか。限りなく黒に近いという心証のため、釈明しようがないので説明会を開くことができない。もしそうでないのなら、一日も早く疑いを晴らしたほうが得策ではないのか」(建設業界筋)

そもそも「現場にいなかった」疑い
日立ハイテクは16年3月期(国際会計基準)の連結業績見通しを下方修正した。売上高は従来予想を370億円下回り、前期比3%増の6400億円。純利益は従来予想から20億円引き下げ、同4%増の324億円とした。中国景気の減速を背景にスマートフォン(スマホ)など電子機器の需要が低迷し、主力の半導体製造装置が振るわないためだ。
傾斜マンション問題で1次下請けとして関与した件は、2次下請けの旭化成建材が損失を全部被る契約を本当に結んでいるのであれば、さしたる損害は出ないだろう。日立ハイテクの建材販売部門の売り上げは年間でわずか10億円程度といわれている。連結売り上げの1%にも満たない。
業績面よりも丸投げの問題のほうが大きい。これで行政処分を受ければ、日立ブランドに傷がつく。売り上げを立てるために伝票を通すだけの丸投げ行為は、建設業界の悪弊となっている。
そうしたなか、11月9日には国土交通省が日立ハイテクに対して建設業法で定められている施工管理を適正に行っていたかどうかの調査をしていることが明らかになった。国交省は日立ハイテクが施工データなどをチェックする立場にあり、建設業法で義務付けている主任技術者を現場に配置していたかどうかを調べている。資格を持った主任技術者を専任で置いていたかどうかが焦点となる。配置していなかった場合、営業停止などの監督処分のほか、罰金100万円が科されることになる。
発注者の同意を得たかどうかや主任技術者の勤務実態について、日立ハイテクは「調査中」としている。一連の下請け構造で日立ハイテクは商社的な位置付けとされ、これまで厳しい追及の風当たりは少なかったが、ここへきて明らかに風向きが変わってきた。
11月11日、元請けの三井住友建設の永本芳生副社長は事件発覚後初めての記者会見で、「(日立ハイテクの人間は)現場にいなかった」ことを明らかにした。永本副社長は「(三井住友建設が)施工当時、日立ハイテクを介さず、旭化成建材の工事内容を直接管理した」と説明。「日立ハイテクは現場にいたか」と問われ「いなかったと思う」と答えた。
日立ハイテクはこれ以上沈黙を貫くことは許されない状況になりつつある。
(文=編集部)

2015.11.11 07:07
「根入れ部分」支持層到達か 6本中5本 三井住友建設が説明

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傾斜が判明した横浜市のマンション
横浜市都筑区のマンションが傾いている問題で、強固な地盤である「支持層」に未到達とされているくい6本のうち5本について、くいの先端をセメントで固める「根固め部分」が支持層に到達している可能性があることが10日、住民説明会の議事録で分かった。元請け建設会社の三井住友建設が説明した。くい打ち施工を請け負った旭化成建材は「くいが支持層に刺さっている可能性がある」として、三井住友建設にくいの状況について本格的な調査を求めている。
産経新聞が入手した住民説明会の議事録によると、住民の質問に対し、三井住友建設は「6本の未到達のくいのうち、根固め部分支持層に届いていないのは1本だけ」と答えた。
根固めは、くいを打ち込む穴の底にセメントを流し込み、くいの先端部分を補強する部分。横浜市の発表では、傾いたマンションでくい6本が支持層に未到達とされていたが、うち5本の根固め部分は到達していたことになる。
くい打ちの施工不良とデータ偽装をした男性の現場管理者は「支持層に届いていない現場はない」と証言しており、5本分は掘削ドリルが支持層に当たっていたとみられる。
http://www.sankei.com/affairs/news/151111/afr1511110003-n1.html
また、藤井衛東海大工学部教授(建築基礎工学)は「根固め部分支持層に到達している場合、設計時に期待されたほどではないが、一定程度の支持力はあるはずだ」と話している。
三井住友建設は、簡易ボーリング調査で測定した支持層の深さと実際に使用したくいの長さを比較し、未到達であると計算した。
取材に対し、議事録の発言を認め、未到達とされるくいの状態については「調査結果に基づく推定であり、可能性の話だ」と話した。

あなたのマンションは「2020年問題」を乗り切れるか?!
フリージャーナリスト 福崎 剛

2015年10月29日 10時00分
世間を騒がせた、大手デベロッパー分譲マンションでの基礎工事の施工不良問題。「人ごとではない」「うちは大丈夫なのか」と不安に思う区分所有者も少なくないだろう。この機会に、自分のマンションの構造を再確認する人もいるかもしれない。しかし、マンションの「見えない」「深刻な」問題はそれだけではない。むしろ、もっと多くの区分所有者に関係し、対策が遅れれば破綻マンションを抱え込みかねない大きな課題がある。マンションに詳しいフリージャーナリストの福崎剛さんが解説する。
 
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スラム化、資産価値ゼロの危険

東京五輪の会場に近い地区では、高層分譲マンションの人気が高まっている(2015年3月、東京都中央区で)(読売新聞本社ヘリから空撮)

2020年の東京五輪・パラリンピック開催にわく東京。急ピッチで進む都心の開発整備で分譲マンションの建設も活況をみせている。
そこに水を差すように、最近一部で話題になっているのが、「マンション2020年問題」だ。これは五輪フィーバーが終わった2020年以降の人口減少と高齢化で、マンションの管理・修繕が行き届かず価格が暴落するというもの。
その発端は、東京都住宅政策審議会が9月3日に出した『東京におけるマンション施策の新たな展開について(答申)』だ。この答申の中で、維持・管理や修繕が適切に行われず、居住環境はもとより、周辺にも悪影響を与える“管理不全マンション”が増えることが懸念されている。この問題自体は今に始まったことではなく、以前からマンション管理に無関心な区分所有者が多いことは指摘され、広く認識されてきた。「2020年問題」はそこを強調し、ややあおり気味とも言える。
では、安心していいのだろうか? マンション管理が適切に実施されていかなければ、いずれ住んでいるマンションが老朽化しても修繕もままならず、スラム化して資産価値がゼロになる危険がある。

適正な修繕に必要なマンションの“貯金”=修繕積立金

そのカギを握るのが「修繕積立金」だ。
修繕積立金とは、マンションの経年劣化による部分的な補修大規模修繕に備える大切な費用になる。
「修繕積立金を毎月きちんと払っているから、うちのマンションは大丈夫」と考える人が少なくない。だが、実際に大規模修繕工事が必要な頃になって、資金不足だと初めて知る区分所有者は多い。そもそも大規模修繕工事にいくらかかるのかさえ知らず、修繕積立金を払っていることで安心してしまいがちだからだ。
まず、新築マンションでは、大規模修繕工事がどういう内容であることも把握していない区分所有者がほとんどだろう。また区分所有者で結成しなければならない「管理組合」のことでさえ、任意の参加で自治会と混同していたり、ほかの住人と関わり合いたくないという人が多かったりすると、管理不全マンションへまっしぐらとなる。
「だから管理会社に任せているんじゃないの?」という人は大きな誤解をしている。
実は、修繕積立金を工事代金として払う場合でも管理組合の承認がなければ勝手に動かせないから、管理組合管理費修繕積立金の会計をきちんとチェックしていなければ、管理会社は提案するばかりで何もできない。

大規模修繕工事
マンションの建物、設備の老朽化や取り換えが必要な工事。およそ12年ごとに、屋上防水や鉄部塗装、外壁タイルの補修、廊下や非常階段等のリニューアルなど、老朽した共用設備の修理、取り換えなど、長期修繕計画のもとに実施する共用部分の工事を含む。また、2回目、3回目で内容が若干異なることもあり、マンションの傷み具合や規模などで工事費用は大きく異なる。

<マンション管理組合>
分譲マンションを購入すると、区分所有者となる。マンション全体の維持・管理者となるのが、区分所有者で構成する管理組合。

<管理会社>
管理組合が管理業務を委託した、いわば家政婦さん的な存在。管理組合をサポートしてくれて頼れる一面もあるが、ときに管理組合と利益が反するため、会計のチェックは管理組合が厳しくしておく必要がある。金銭トラブルも多い。
とはいえ、修繕積立金が足りないからといって、適切なタイミングで十分な修繕を実施しなければ、建物の老朽化は早くすすみ、当然、資産価値も落ちていく。
あなたのマンションは大丈夫だろうか?
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151020-OYT8T50113.html
積立金1万円アップで2回目修繕乗り切る~パターン1

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首都圏に住む田村さん(仮名・57歳)が修繕積立金の不足に気づいたのは、3階建て20戸の小規模マンションを購入して13年目のとき。前年に1回目の大規模修繕工事(費用は総額約2400万円)を終了したばかりで、輪番制で管理組合の理事長を引き受けたときだったという。
修繕積立金は戸当たり月額6000円程度でした。このままでは2回目の大規模修繕工事の費用が不足すると管理組合で頼んでいたマンション管理コンサルタントから指摘され、修繕積立金の値上げをすすめられました」と田村さん。次の大規模修繕工事を想定すると、最低でも戸当たり約250万円、総額だと5000万円近い費用が必要という試算額を聞いて、修繕積立金の値上げを真剣に考え始めた。工事時期に合わせて各戸から一時金を集めるのは難しいと理事会で判断し、毎月の積立額を戸当たり1万円増やす方向で管理組合の総会に提案した。

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「いま積立金を値上げしなければ、次の大規模修繕工事ができなくなり、マンション全体の資産価値も大きく下がります。そういうマンションは、いざ売却しても住宅ローンが残る可能性が大きくなります。結局、資産価値が下がるのはわれわれなんです」。
事前に臨時の説明会を開き、また欠席者には、長期修繕計画に基づく必要資金をわかりやすく説明する資料を作成して2度配布した。総会でも重ねて説明したという。
「もしも反対されたらどうしようかと心配でしたが、皆さん納得してくれました。これで2回目の大規模修繕工事も何とかできるでしょう」
1回目の大規模修繕工事で屋上防水、鉄部塗装、外壁のタイルの補修など、およそ2400万円かかった。その後、修繕積立金の値上げを実施し、当初の2倍以上の金額を積み立てられるようにした。このまま順調に積み立てれば、築24年目の2回目の大規模修繕工事時期には、約5300万円にまで増える計算となる。最低限の予算は確保できる見通しがついたことで、ひとまず田村さんは胸をなで下ろしている。
いち早く修繕積立金の値上げに踏み切ったことで、適切なタイミングで修繕工事ができ、資産価値も維持できる見通しがついたといえるだろう。
 
<パターン1(田村さんの場合)>築年数と修繕積立金の推移

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月積立金が2000円! でも間に合った~パターン2

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次に、修繕積立金の不足に気づいてから資金を積み立てはじめ、3回目の大規模修繕工事を成功させたマンションを紹介しよう。10階建て37戸、築34年のマンションに住む森山さん(仮名・66歳)によれば、1回目(費用総額約3400万円)も2回目(同約4200万円)も大規模修繕工事にあたっては、一時金(1回目、2回目とも戸当たり約100万円)を徴収したという。
「わずかな修繕積立金では足りませんでしたから。また長期修繕計画もなかったので、作成することにしました」と森山さん。バブル期以前のマンションでは、管理規約長期修繕計画書がないことも珍しくはなかった。月額の修繕積立金は当初戸当たり約2000円で、少しずつ値上げされたものの戸当たり1万円を超えるまでに20年もかかった。

「修繕も管理も管理会社に丸投げでしたから、言われるままに一時金を工面しました」
しかし2回目の大規模修繕工事でも戸当たり約100万円の一時金徴収を免れなかった反省を踏まえて、管理組合長期修繕計画を外部のマンション管理コンサルタントに依頼。これを機に、管理会社の変更、管理費の大幅な削減を実施。修繕積立金の値上げをするとともに、削減した管理費もできるだけ修繕積立金に回すことにした。その結果、3回目の大規模修繕工事に必要な総額約5000万円の工事代を一時金の徴収をせずに捻出できたという。しかも、「老朽化の目立つ前に」ということで、一般的な工事時期サイクルよりも2年早めて築34年目での実施となった。
大規模修繕工事の費用が不足すると気づいてから、修繕積立金を少しずつでも引き上げてコツコツ積み立てれば、適切なタイミングで工事を実施できるというわけだ。

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<パターン2(森山さんの場合)>築年数と修繕積立金の推移

適正な修繕積立金とは?
適正なタイミングで十分な修繕を実施できれば、マンションの資産価値は落ちない。大規模修繕工事後に売り出すと、工事前に比べて売値が数百万円高くなるケースもあり、資産価値が上がるのも希(まれ)ではない。修繕工事費用が不足しているために工事を先延ばしにしていると、建物の傷みが進み、必要以上に工事費がかさみかねない。だからこそ、必要十分な修繕積立金を確保することが大切になる。
では、いくら積み立てればよいのか、という疑問がわいてくる。そこで目安になるのが、国土交通省が作成している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」だ。マンションの規模、専有面積によって、毎月の修繕積立金が計算できるようになっている。

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※国土交通省『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』より。なお、15階~19階のマンションについては、供給量が少なく、目安算定に用いる事例も十分でなかったため、【15階未満】の目安として示しています。詳細は、国土交通省のwebで確認のこと
ここでは、計算を単純化して、実際に適正な修繕積立金を計算してみよう。
例えば、10階建て、建築延べ床面積8000平方メートルのマンションで専有面積が80平方メートルなら、平均単価202円として計算すれば、80(平方メートル)×202(円/平方メートル)=1万6160円が月額の修繕積立金としての目安になる。さらにマンション内に機械式駐車場が設置されていれば、メンテナンス料や将来の補修や交換費用も加算する必要があり、修繕積立金は2万円を超えることになる。もちろん、この金額には管理費は含まれていない(詳細は国土交通省のweb「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」参照)。
3回目の修繕なら積立金引き上げか一時金を
このガイドラインで計算した修繕積立金の金額を設定しているマンションであれば、1回目の大規模修繕工事は乗り切れると考えていいだろう。
この表によれば、新築時から30年に必要な修繕工事の総額を均等積立方式(毎月の積立金が同額)で試算して割り出した月額の修繕積立金との注意書きがあるが、12年周期で大規模修繕工事をするケースが多いことを考えると、この試算では2回目(築後24年目)までしか計算していないことになる。3回目(通常、築後36年目ごろ)の大規模修繕工事費用まで考えれば、修繕積立金は圧倒的に不足するマンションがほとんどだ。そうならないためには、月額の修繕積立金を段階的に引き上げるか、工事時期に合わせて一時金を集めるかで対応するしかない。
「修繕積立基金」で安心するな
ところが、新築分譲マンションの広告やパンフレットを見ると、5000円前後の修繕積立金の設定が多い。これでは、1回目の大規模修繕工事代ですら不足するのは目に見えている。そこで販売業者は、購入時に「修繕積立基金」と称して、ある程度まとまった金額を集めて管理組合の口座にストックしている。その金額はマンションの規模やグレードによって異なるが、約30万円から80万円程度。
早い話が、工事費が不足することがわかっているために、購入時に徴収して積み立てさせようという狙いだろう。毎月支払うことになる管理費修繕積立金はできるだけ低く抑えたいマンション購入者の心情を巧みに利用した販売戦略でしかない。
販売時に適正な修繕積立金額を設定すると、毎月の支払いが多くなるために、マンションが売れなくなると販売業者が考えた苦肉の策が「修繕積立基金」なのである。
表を大きく表示したい場合はこちら

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※当初の修繕積立金がいかに低く設定されているかが一目瞭然。国土交通省の修繕積立金のガイドラインの金額とはほど遠いことがわかる。
管理に本腰入れれば資産価値もアップ

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繰り返すが、マンションにおける大規模修繕工事は、およそ12年周期で実施されることが多い。
1回目の大規模修繕工事では、戸当たり150万円前後が必要といわれ、2回目では戸当たり約200万~250万円、3回目では玄関扉やサッシの交換なども含み、それまでの大規模修繕工事の2倍から3倍近い工事代がかかるという(もちろん、マンションの状況で異なる)。
大規模修繕工事に関する長期修繕計画の作成や工事監理を引き受ける、あるマンション管理のコンサルタントによれば、築年数の古いマンションほど修繕積立金が不足していると話す。
「1回目の大規模修繕工事の費用をまかなえても、2回目になると一時金を徴収するかもしくは不足分を金融機関から借りる管理組合がほとんどです。しかし、月々の修繕積立金を少しずつでも値上げして計画的に次の修繕工事に備えておくほうが、万一不足分を借りるにしても少額で済みますから。ただし、値上げの根拠、工事について管理組合でしっかり話し合う必要があります」
もしも修繕積立金が足りなくなっても、管理組合が不足分を金融機関から融資してもらえば適切なタイミングで修繕工事を実施でき、資産価値は守られるというわけだ。
しかし、工事発注でも金融機関からの融資についても、肝心の管理組合が主体となって動かなければ進めることはできない。管理会社に丸投げしてマンション管理に無関心でいると、管理組合が形骸化して何も決められなくなる。そうなれば、管理不全マンションになってしまい、一気にスラム化が進行する。
そうならないために、マンション管理士やマンション管理コンサルタントに相談する管理組合も増えている。別途費用はかかるが、管理会社とは違うアドバイスをもらう意味で有効活用することも検討すべきだろう。
マンションの区分所有者がひとりひとりマンションの管理に関心を持ち、管理組合の活動に本腰を入れて参加するようになれば、より快適で安全なマンション暮らしがつづけられることにもつながるのである。
果たして、あなたの住んでいるマンションの修繕積立金は適正だろうか? ぜひ試算してみてほしい。 

<管理費>
マンションの日頃の維持管理に必要な費用。主に管理員の人件費、エントランスや廊下の電気代ほか、エレベーターの保守点検費用なども含まれる。管理会社への管理委託費も管理費にあたる。

<マンション管理コンサルタント>
マンション管理に関する専門家。マンション管理士や建築家など第三者の視点で、マンション管理や修繕工事についてのトラブル解決のアドバイスをしてくれる。

<マンション管理士>
管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合やマンションの区分所有者の相談に応じてくれる。

10年で4000万円の差が…「マンション2020年問題」(2)
フリージャーナリスト 福崎 剛
2015年11月30日 09時30分

2020年の東京五輪・パラリンピック後には、スラム化して資産価値ゼロの“管理不全マンション”が急増する? 近い将来、訪れるかもしれないこの“マンション危機”回避に向け、「 あなたのマンションは『2020年問題』を乗り切れるか?! 」(2015年10月29日)では、どんな分譲マンションも「修繕積立金」が不足するリスクとその対策について、フリージャーナリストの福崎剛さんにリポートしてもらった。しかし、重要なポイントはこれだけではない。もう一つのカギ、「管理費」の見直しについて、引き続き福崎さんが解説する。
  
「20年で4000万円の節約! 管理費見直し編」

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多くのマンション区分所有者が当初は想像もしない「修繕積立金不足」という大きなリスク。前回お伝えしたとおり、これは、問題が発覚するまでなかなか区分所有者が気づかないという厄介さを抱える。神奈川県横浜市のマンションに始まり、今や社会問題にまでなりつつある杭(くい)打ちデータ流用事件と同様だ。区分所有者がマンションの管理に無関心すぎるために、気づいたときには問題が深刻化して“管理不全マンション”に陥っている場合も少なくない。
そうならないようにすべきことは何だろうか?

積立金値上げより容易な管理費節約
その解決策は、いくつかあるが、次の二つがポイントだろう。
「修繕積立金の値上げ」
「管理費の節約」

 
用語説明<管理費と修繕積立金>
いずれも、マンションの維持管理に必要な費用。
「管理費」は日常の維持管理に必要なもの。この中には管理会社への「管理委託料」や共用部分の電気料、エレベーターや機械式駐車場の保守費用、清掃や消防点検の費用など(管理会社が「一括管理」をしている場合、管理費のほとんどが管理委託料となる)。
「修繕積立金」は、建物や設備の修繕工事に備えて積み立てる費用。
 
この二つが実行できるか、できないか。これであなたのマンションが“管理不全マンション”か、そうでないかが見えてくる。
修繕積立金の値上げに関しては前回、必要な積立金額の目安も示したので、今回は「管理費の節約」について説明する。
実は、分譲当初に設定された管理費は、後述するように何かと費用が多めに見込まれており、決して適正な予算組みとは言えない。そのため、管理費の節約を実行して減額分を修繕積立金に回すほうが、区分所有者の賛成が容易には得られない修繕積立金の値上げより、手っ取り早いのである。そもそも各戸がすでに毎月支払っている管理費を見直すだけで、区分所有者の負担が増えるわけではない。管理の質を落とさずに節約できれば、修繕積立金を一気に値上げすることもなく、不足することがわかっている修繕積立金を増やすことにつながるため、管理優良マンションになるのは間違いないというわけだ。
そして、後述するように、大半のマンションでは「管理費≒管理会社に支払う管理委託料」のため、光熱費の節約などを除くと、管理費の見直しは、すなわち、管理会社との交渉になる。
 
ちなみに、こうした管理費見直し対策は区分所有者個人で動くわけでなく、マンションの管理組合として対応する。実際には、理事会役員(多くは輪番制)が組合活動の主役となる。理事会が対応を協議し、必要に応じて組合員向けの説明会を開催したり、組合員の議決が必要な案件は総会で賛否を問うたりして、収支改善の実現にこぎつける。ただ、理事会役員でなくとも組合員であることに変わりはない。協議の行方を見守り、場合によっては声を上げ、また総会にはできるだけ出席することが組合員の務めといえよう。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151125-OYT8T50154.html?page_no=1

無関心で“お膳立て”のまま放置される管理費

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分譲マンションを購入すると、毎月のように管理費と修繕積立金を支払うことになる(この二つを合わせて、単純に管理費と呼ぶことも多い)。この費用はマンションに住み続ける限り、区分所有者が支払う必要がある。新築分譲時の当初設定だと、管理費修繕積立金を合わせて、月額1万円から2万円程度になっていることが多い。
マンション購入を検討しているときには、数千万円規模に上る部屋の分譲価格については真剣に検討するものの、管理費がどう使われているのか気にする人もまずいないし、購入後も関心を持つ人は少ない。
自分の財布から支払ったお金が、その後どのように使われているのかほとんど関心を寄せないからだろう。区分所有者の中には、「管理会社へ支払うお金」だと大いなる勘違いをしている場合もある。
というのも、マンションの購入に際して、「月額の管理費があらかじめ設定されており、区分所有者は疑問も持たずに支払うという構図」が出来ているからだ。しかもマンションの管理に関しては、分譲前から特定の管理会社(売り主であるデベロッパーの系列の会社であることが多い)が管理することが決められており、すべてがお膳立てされたものとして販売している。
マンションは共同住宅だ。それを購入して住んでいるにもかかわらず、「近隣との交流はしたくない」「建物全体の管理についても考えたくない」「管理組合の総会に出たくない」「管理組合の役員になりたくない」という“身勝手な”区分所有者が残念ながら多く、「マンション管理を業者に丸投げ委託でよしとするスタート地点こそが、管理不全マンションを育てる温床」であることを誰も指摘しない。
 
用語説明<管理委託料>
管理費=管理委託料+町会費、電気や水道など共用部の公共料金、備品購入費など
管理委託料=管理員給与、管理業務費用、各種保守点検費用など
※一括管理の場合、管理費≒管理委託料のことが多い
 
分譲マンションは、分譲前からマンション管理を委託する業者が決まっている。多くはデベロッパーの子会社もしくは系列か関連会社であることが多く、管理組合が結成された後に管理を委託されることになる。この管理会社に支払う費用を「管理委託料」という。この費用は管理員の給与や管理業務費用などが中心で、各種保守点検費用も含む場合がある。管理会社に丸投げの一括管理を委託している場合は、管理費のほとんどが委託料になっている。
管理費は誰のものか
そもそも管理費とは、誰のものなのかを一度考えてみる必要がある。管理費はマンションの快適な住環境を維持するために必要な費用だと説明され、具体的には、日々の清掃費やエレベーターの保守点検費用、管理員の給与なども含まれるというのである。
つまり、「管理組合が日々の(共有部分の)管理に使うための費用」が管理費なのである。従って、管理費の使い道は、管理組合が主体的になって決めるのが本来の姿であり、分譲当初に設定されている管理費の使い道は暫定的なものであって、絶対的なものではない。だからこそ、管理組合が自分たちのマンションに合った管理をするために、管理費の使い道も検討する必要があるのだ。では、具体的にどう節約すればいいのか見てみよう。
 
用語説明 <法定点検と保守点検業者>
消防設備点検やエレベーター、受水槽の水質検査など、法律で定められた法定点検の実施にあたっては、専門の保守点検業者が保守点検を実施する。これらの保守点検業者の選定や契約に関しては、管理会社が分譲前から決めており、管理会社が一括して保守点検業者を下請けとして従えているケースがほとんど。こうした専門の保守点検業者は、管理会社経由で依頼せず、管理組合から直接依頼することもできる。

20年間で4000万円の節約!~管理費の節約成功事例(1)

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西日本のある70戸のマンションのケースを見てみよう。分譲当初の管理費予算は全戸総額で月額約95万円、年間約1100万円。戸当たり月額で約1万3000円の管理費負担となっていた。分譲4年目のときの管理組合の理事が管理員や事務管理業務費、24時間機械警備費用の内訳が不明だったことと高すぎるのではないかと疑問に思っていたことから、管理費の内訳を明示するよう管理会社に依頼した。最初は内訳を出し渋っていた管理会社も管理組合側が、「管理会社変更も視野に入れて見積もりを取っている」と強く迫ったことで、内訳を提示した。その結果、新たな金額の提示となった(表1を参照)。
当初の費用と変わらない項目もあったが、管理会社側の歩み寄りもあって年額ベースで約400万円の節約が可能になった。管理会社も管理仕様も変えずに節約を実現し、管理組合では節約分を修繕積立金に回したという。管理費の予算から年間400万円も節約できれば、10年間で4000万円の節約になり、不足しがちな大規模修繕工事費用に回すことができるのである。
ちなみに、このマンションでは管理会社に一括管理委託をしている。

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表1<西日本Rマンション(70戸) 管理委託業務費内訳>

管理会社に交渉するだけでも効果はある?

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このマンションの管理組合はまず、管理員給与や事務管理業務、24時間機械警備の費用の内訳を管理会社に提出してもらった。さらに、そのデータをもとに各種保守費用を見直したことで、管理費の節約につながったのである。
近年、管理会社に一括委託管理をしている場合、各項目の見直し相談に乗ってくれることが多くなった。特に各種保守点検費用は、点検業者の変更などで費用が下がる。例えば、消防設備点検は年2回実施する必要があるが、管理組合で直接点検業者2、3社から見積もりを取って比べてみると相場がわかるので、その情報をもとに管理会社と交渉するといいだろう。
なお、2、3社から見積もりを取り寄せるのは、万一、管理会社とその保守点検業者の間に取引があった場合、管理会社の提示している保守点検費よりも高い見積もり費用を出してくることがあるためだ。
これは昔からの商習慣のひとつで、保守点検業者の“保身”の意味もある。保守点検業者からすれば、管理組合と直接契約するよりも長年、取引のある管理会社の下請け企業として多くの物件を引き受けるほうが、結果として安定した売り上げを確保することができるからだ。下手に管理会社からにらまれて、下請け業務を外されてしまうことを恐れ、“お断り見積もり”(断られることを前提にした見積もり)として高い金額で管理組合に提示することがある。そのため、数社に見積もりを依頼する必要があるというわけだ。
また、管理会社が値下げ交渉を渋る場合は、管理組合だけで交渉せずにマンション管理士やマンションコンサルタント会社に相談するのも手だ。スムーズに話し合いが進むことも少なくない。
複数の管理会社に見積もり依頼~管理費の節約成功事例(2)
当初の管理費を見直そうと、管理会社変更を視野に入れて複数の管理会社から見積もりを取った(同じ管理委託業務内容で比較した)マンションのケースを見てみよう。それが次の表だ(表2参照)。なお、このマンションも管理会社に一括管理委託をしている。

表2<関東にあるMマンション(48戸) 管理委託業務費の内訳>

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分譲当初から管理会社による管理仕様(管理委託業務内容)だと管理費は総額で月額約45万円だったが、B社、C社にほぼ同じ管理仕様で見積もりを依頼したところ、総額40万円を切る金額が提示された。
このため、管理組合としては、管理仕様を見直し、管理員の勤務時間を短縮させることで、当初の管理会社から再見積もりを提出させた。この結果、当初の管理会社が減額提案を行い、最終的に総額で月額約28万円にすることが出来た。総額で月額約17万円の節約になり、年間約200万円の節約を実現したのである。
このマンションの場合、分譲2年目で管理費の見直しをしたために、1回目の大規模修繕工事を実施するまでにおよそ10年間節約でき、約2000万円も余剰金を生み出したのだ。管理会社は変更しなかったものの、管理員の勤務時間を見直すなど管理委託料削減に向け、管理組合が粘り強く交渉した結果でもある。
管理費の内訳項目には、説明を受けてもよくわからないこともあり、そういう場合には思い切って管理仕様を見直すことも一案だろう。例えば、管理員の勤務日数や時間の変更をすることもひとつだろうし、定期清掃を毎月実施しているなら、隔月実施に減らしたりするのも管理仕様の変更につながる。何から何まで分譲当初の管理仕様に縛られる必要はない。快適な住環境を維持するためであれば、管理仕様を積極的に変更していくことだ。
ただし、やみくもに節約するのがいいわけではない。節約するあまり、管理の質が落ちてしまうと不満が出る場合も考えられる。できれば、管理仕様は大きく変えずに節約する方向で交渉するのが賢明だろう。

用語説明 <管理仕様>
分譲マンションでは、あらかじめ管理会社が決められており、管理組合が委託する契約となっている。このときの委託契約書に記載された内容が管理仕様の基本となる。各マンションで委託内容は異なるが、大きくは、(1)事務管理業務(2)緊急対応業務(3)管理員業務(4)清掃業務(5)建物・設備管理業務になる。
なお、一般社団法人マンション管理業協会に管理仕様についての資料があるが、ある程度マンション管理に通じていなければ活用すらできないし、非常に使いづらいのが残念だ。
( http://www.kanrikyo.or.jp/format/kiyaku.html )
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あなたの無関心が管理不全マンションを生む

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分譲マンションでは、1年に1度、必ず管理組合の総会が開かれる。これは、修繕積立金を含めた管理費の予算の承認を主な議題としている。簡単に言えば、来年は管理費を何に、いくら使う予定だという報告になる。ある意味で、国会の予算委員会のようなものだ。
本来であれば、各項目の支出について、その予算で無駄がないのか、足りるのかなど細かくチェックする必要があるが、管理に無関心な区分所有者が多いマンションでは、出席しない区分所有者が増え、予算のチェックどころではなくなっているという。管理会社が作成した予算書を何の疑いもなく、そのまま承認するという流れが多い。しかし、こうした予算書の中身を確認しないのは、管理会社に財布を預けてお任せするというのに等しい。
管理費を払いっぱなし、その用途も任せっきり、チェックも人任せでは、管理不全になるのに時間はかからない。

管理費をチェックしよう
まずは、管理費の内訳を知り、どういう用途に使われているのかを区分所有者のひとりひとりが知ることが大切だ。
いま住んでいるマンションに月額でいくらの管理費が徴収されて、何にいくら払うことになっているのかを決算書や予算書で確認することから始めよう。共用部の電気代にしても家庭とは比べものにならないほど高いだろうし、管理会社にいくら払って管理を委託しているのかをチェックしてほしい。例えば管理員の給料を考えたときに、勤務時間と賃金が見合っているのか、ふと疑問に思うこともあるだろう。こうした素朴な疑問を抱くことが管理費の見直しの第1ステップなのである。
管理不全マンションにならないために、まずは管理費の節約から手をつけてみてはいかがだろう。少し見直すだけで、年間に数百万円も浮くことも少なくないのだから、無駄に放っておくことはない。
ところで、管理費の見直しを考え始めるのは、1回目の大規模修繕工事を前にして、意外にも修繕積立金が少ないこと、また、2回目に向けて大幅な値上げを迫られるとわかったときが多い。したがって、築10年以上経過してから管理費の見直しを始める管理組合が圧倒的だろう。管理費を節約して出た余剰金を修繕積立金に回せば、積立金の増え方も大きくなる。
「管理費の予算組みが適正でないのでは?」「管理費に無駄な支出はないか?」と気づいたときから節約を始めても、決して遅くはないのである。区分所有者がすでに払っている貴重な管理費を無駄遣いせずに修繕積立金に回すことで、工事資金不足を補うための一時金徴収を回避することにもつながるのだ。

<管理費節約のポイント>
1、まず、管理会社に交渉(丸投げはできるだけやめよう)
管理会社は、管理業務の一部を専門の保守点検業者や下請け業者に再委託し、そこに中間マージン(手数料)が発生している。このため、管理会社に丸投げするのではなく、専門業務などに関しては管理組合が直接契約を結ぶとよい。そうすれば、中間マージンの部分が節約できる。管理組合と直接契約している業者がどのくらいあるのか確認してみよう。
管理会社も管理組合の出方を見ている。管理組合が自分たちのマンションの状況を把握して交渉を始めれば、管理会社の態度も変わってくるはずだ。また、交渉がうまく進まない場合には、マンション管理士やマンションコンサルタントのような第三者のアドバイスを求めてもいいだろう。管理会社と敵対するのではなく、自分たちのマンションを快適にするために協力を求めるパートナーとしての交渉を心がけたい。

2、管理組合が「直接」、「複数」の各種保守点検業者から見積もりを取る
管理会社経由で、複数の業者から見積もりを取ることは意味がない。というのは、管理会社と利害関係のある業者しか紹介しないためだ。管理組合が直接、ネットや電話帳から業者を調べて見積もりを「管理組合」として依頼しよう。また、その際に管理会社名を尋ねる業者は、管理組合の意向より管理会社の機嫌をうかがうと考えられるので、ほかを探すほうがいいだろう。

3、複数の管理会社から「管理委託料」の見積もりを取る
管理仕様(現在の管理業務委託内容)を変えず同じ仕様で見積もりを依頼すれば、各項目についても比較しやすいため。また、そのマンションに適したと思われる管理仕様を提案してもらい、その場合の委託料を見積もってもらう。各管理会社の提案力を見ることができる。

福崎 剛 (ふくさき・ごう)
フリーライター、フリージャーナリスト。日本ペンクラブ会員。1960年 鹿児島県生まれ。長崎大学卒。住宅からスポーツ、クラシック音楽、ワインまで、ライフスタイルをテーマに『週刊文春』『月刊文藝春秋』『山と渓谷』『ワイン王国』『ダイヤモンドQ』等、幅広い媒体で執筆。著書に『マンション管理費はここまで節約できる!』(文春文庫PLUS/文藝春秋)、『マンションは偏差値で選べ!』(河出書房新社)、『最新医療機器業界』(ぱる出版)、岩館博人のペンネームで『食品表示・賞味期限のウラ側』(ぱる出版)など多数。最新刊は『本当にいいマンションの選び方』(住宅新報社)。

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ改ざん事件151206

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