杭データ改ざん事件151209-5

杭データ改ざん事件151209-5

時事通信(2015/11/27-21:25)
データ流用、7社に拡大=不正が横行-くい業界団体調査

くい打ち業者41社が加盟するコンクリートパイル建設技術協会(会長・黒瀬晃ジャパンパイル社長)は27日、過去5年間の工事の点検状況を国土交通省に報告し、公表した。旭化成建材(東京)とは別に6社で計22件のデータ流用など不正行為が判明した。これでデータ流用は7社に拡大した。三谷セキサン(福井市)やジャパンパイル(東京)など6社でくい出荷量シェアの7割を占めており、不正が業界で横行していることが明らかになった。
東京都内で記者会見した黒瀬会長は「複数の会員会社でデータ流用が判明し、改めておわび申し上げる」と陳謝した。
データ流用は、業界首位の三谷セキサン1件、2位のジャパンパイル13件、日本コンクリート工業(東京)1件、前田製管(山形県酒田市)3件、NC貝原コンクリート(岡山県倉敷市)2件、中部高圧コンクリート(三重県鈴鹿市)2件。旭化成建材は過去約10年間で360件が判明している。
6社のデータ流用は、東京5件、三重3件、福島、茨城、愛媛が各2件、秋田、千葉、福井、京都、兵庫、徳島、高知、熊本が各1件となり、13都府県に広がった。建物別では、公共施設7件、医療福祉施設4件、学校3件、事務所・店舗2件、工場2件、集合住宅1件など。建設技術協会によると、現時点でひび割れなど建物の不具合の報告はないという。
旭化成建材を除き33社が約1万9800物件の点検を予定しており、同日までに2845件を終えた。

[時事通信社]2015 年 11 月 27 日 22:01
くい工事業界、信用失墜=データ流用が常態化
コンクリートパイル建設技術協会が27日公表した施工管理データの調査で、流用などの不正行為がくい打ち業界で横行していたことが分かった。くい出荷量で首位の三谷セキサン、2位のジャパンパイル(東京)などが不正を行っており、業界の信用は失墜した。くい打ち業者から元請け建設会社への施工報告は形骸化していた形だ。
発端となった横浜市のマンション傾斜に関し、旭化成建材(東京)の前田富弘社長は当初、「データ改ざんはほぼ1人の担当者で故意に行われた」と説明。しかし、同社が過去約10年間に手掛けた3052物件を調査した結果、不正は360件に上り、現場担当者のほぼ3人に1人に相当する61人の関与が判明した。
旭化成建材は業界下位。現場担当者の多くは下請け業者からの出向者で、他社の工事現場でも働いていた。
今回、旭化成建材を除く同協会加盟40社中、6社で不正が分かった。出荷量のシェア合計は7割を占めている。
27日記者会見したコンクリートパイル建設技術協会の黒瀬晃会長(ジャパンパイル社長)は「業界全体の問題。現場の教育が行き届いておらず、痛切に反省している」と語った。 
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-3966.html

くい打ち工事偽装 工法も問題だった
「場違い」な杭工法を選択か 軟弱地盤なのに先端根固め部に依存

—–なぜあの杭工法を選んだのか──。LaLa横浜で採用されたダイナウィング工法に、専門家からこんな疑問の声が上がっている。 
—–軟弱地盤で支持層が傾斜している敷地では、支持層の位置の判断が非常に難しい。ボーリング調査の本数を増やすなどして支持層の傾斜状況を十分に把握する必要がある。 
このように複雑な形状の土丹層を支持層とする軟弱地盤では、支持力のほとんどを根固め部に依存するダイナウィング工法は、「場違い」だった可能性がある。
ダイナウィング工法は「プレボーリング拡大根固め工法」の一種だ。杭を埋め込む縦穴をオーガーで掘削し、支持層に到達したらオーガーの先端の鋼製羽根を開く。この羽根を回転させつつ、セメントミルクを注入。土と混ぜて必要な支持力を確保するために十分なボリュームの根固め部を形成する仕組みだ。
非常に硬い土丹層の斜面で、こうした一連の作業を行わなくてはならないのだから、作業の難度は非常に高い。杭は到達していても根固め部の施工が不十分で、十分な支持力を発揮しなかったり、施工後に地震などの影響で損傷したりするトラブルも考えられる。LaLa横浜で発覚した約2cmの沈下の原因は杭未達でなく、施工不良の可能性もあるわけだ。
—–そもそもダイナウィング工法は、砂層やれき層を対象に大臣認定を取得しているが、土丹層はその対象外。建築確認申請に当たっては、国土交通省告示1113号にのっとって載荷試験の結果を添付する必要が生じるなど、手続きが格段に面倒になる。
にもかかわらず、なぜ同工法を選択したのか。三井住友建設の相良毅建築本部副本部長は11月11日の記者会見で、「複数の候補を比較検討し、メリットとデメリットを鑑みて最適な工法と判断した」と説明した。このコメントでは、疑問は解消できない。
(日経アーキテクチュア)

—–旭化成建材のプレボーリング拡大根固め杭工法「ダイナウィング工法」が土丹層では大臣認定を取得していないことを認めながら、土丹層を支持層とする横浜市内の分譲マンション「パークシティLaLa横浜」(以下、LaLa横浜)での採用が適切だったかは明言を避けた。旭化成建材事業本部商品開発部の前嶋匡部長は、「杭工法は元請けの三井住友建設が選んだので、我々が説明する立場にない」と答えるにとどめた。また、土丹層を支持層とする敷地の建物で、同工法を採用した事例は1件しかない特殊例であることを認めた。
11月11日の記者会見で三井住友建設建築本部の相良毅副本部長は、LaLa横浜でダイナウィング工法を採用したことについて、「土丹層が支持層の地盤では大臣認定は取得していないので、国土交通省の告示にのっとって載荷試験も実施。その結果などを受けて採用を決めた。他の工法とも比較・検討し、メリットとデメリットを鑑みた結果だ」と説明している。
(ケンプラッツ)

スクープ 工法も問題だった(しんぶん赤旗 日曜版 2015.11.15)
151209-5
151209-5a
しんぶん赤旗 日曜版 2015年11月15日号
スクープ 工法も問題だった
マンションくい不正 現場作業員告発 下請けは声あげられない
元請けや売り主、国の責任は重大  
欠陥住宅被害全国連絡協議会 幹事長・弁護士 吉岡和弘さん

各地に問題が波及している横浜市内のマンションのくい打ち不正。旭化成建材によるくい打ちデータの改ざんに焦点が当てられていますが、編集部の取材でさらに新たな問題や不正を生む根深い業界の構造が浮かんできました。欠陥住宅被害全国連絡協議会幹事長・弁護士の吉岡和弘さんにも話を聞きました。

日経アーキテクチュア 2015/11/19
杭騒動 語られない真相 「場違い」な杭工法を選択か
軟弱地盤なのに先端根固め部に依存

http://nkbp.jp/1MRXdCr
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/111300238/

なぜあの杭工法を選んだのか──。LaLa横浜で採用されたダイナウィング工法に、専門家からこんな疑問の声が上がっている。敷地の地盤と杭工法の特徴を調べると、データ改ざんとは別の問題点が浮かび上がる。(日経アーキテクチュア2015年11月25日号の特別リポートからケンプラッツ一般会員向けに期間限定で特別公開)

「非常に軟弱な地盤では難しい杭工法を選択した可能性が考えられる」。東海大学の藤井衛教授は、LaLa横浜の杭にダイナウィング工法が採用されていたことを疑問視する。
同工法は、杭本体周りの土を固めず、ほとんど杭先端の根固め部で支持力を受け持つ。「根固め部だけでなく、杭本体周りを固めて地盤との摩擦でも支持力を発揮する工法を採用した方がよかったのではないか」と藤井教授は指摘する。LaLa横浜の敷地周辺が、複雑な軟弱地盤だからだ。
国土地理院が公開している「治水地形分類図」で敷地周辺を調べると、氾濫平野に分類されている〔図1〕。河川の洪水時に、流水が運搬した泥土で形成される軟弱地盤だ。
〔図1〕敷地周辺は河川の氾濫が生んだ軟弱地盤
LaLa横浜敷地周辺の治水地形分類図。一帯が「氾濫平野」で、軟弱地盤であることが読み取れる。実際には近隣のボーリング調査データなども参照する(資料:国土地理院の地図に日経アーキテクチュアが加筆)

地盤に詳しい応用地質エンジニアリング本部の上野将司技術参与は、この地形図を示したうえで、LaLa横浜の敷地周辺について、「近隣の地盤調査データなどから、谷のように浸食した形状をしている地盤だと推測できる」と話す〔図2〕。
〔図2〕支持層の位置を誤りやすい地盤
横浜市環境科学研究所が作成した鶴見川低地の地盤断面図の例。鶴見川沿いの氾濫平野であるLaLa横浜の敷地周辺も、同様の地盤だと推測される。上野技術参与によると、こうした地盤では支持層の形状を、図のボーリング調査AとBを結んだ直線状に見誤ることがある(資料:横浜市環境科学研究所の図面に日経アーキテクチュアが加筆)

これは、旭化成建材が公表している「土丹(硬質粘土層)が最大40度で傾斜」というLaLa横浜の敷地の地盤状況と整合する。
軟弱地盤で支持層が傾斜している敷地では、支持層の位置の判断が非常に難しい。ボーリング調査の本数を増やすなどして支持層の傾斜状況を十分に把握する必要がある。

高支持力杭は施工管理が重要
このように複雑な形状の土丹層を支持層とする軟弱地盤では、支持力のほとんどを根固め部に依存するダイナウィング工法は、「場違い」だった可能性がある。
ダイナウィング工法は「プレボーリング拡大根固め工法」の一種だ。杭を埋め込む縦穴をオーガーで掘削し、支持層に到達したらオーガーの先端の鋼製羽根を開く。この羽根を回転させつつ、セメントミルクを注入。土と混ぜて必要な支持力を確保するために十分なボリュームの根固め部を形成する仕組みだ。
非常に硬い土丹層の斜面で、こうした一連の作業を行わなくてはならないのだから、作業の難度は非常に高い。杭は到達していても根固め部の施工が不十分で、十分な支持力を発揮しなかったり、施工後に地震などの影響で損傷したりするトラブルも考えられる。LaLa横浜で発覚した約2cmの沈下の原因は杭未達でなく、施工不良の可能性もあるわけだ。
そもそもダイナウィング工法は、砂層やれき層を対象に大臣認定を取得しているが、土丹層はその対象外。建築確認申請に当たっては、国土交通省告示1113号にのっとって載荷試験の結果を添付する必要が生じるなど、手続きが格段に面倒になる。
にもかかわらず、なぜ同工法を選択したのか。三井住友建設の相良毅建築本部副本部長は11月11日の記者会見で、「複数の候補を比較検討し、メリットとデメリットを鑑みて最適な工法と判断した」と説明した。このコメントでは、疑問は解消できない。

土丹層での採用は1件だけ
旭化成建材事業本部商品開発部の前嶋匡部長は、11月13日の記者会見で「工法は三井住友建設が選択した。適切な選択だったか否かを、旭化成建材が判断する立場にない」と発言。適切とは断言しなかった。また、土丹層でダイナウィング工法を採用したのは、LaLa横浜の1件だけで、特殊例であることを認めた。
しかし本来は、地盤や建物の構造・規模に応じて適切な杭工法を選択するために、設計・監理者施工者杭メーカーが一体になって取り組む必要がある〔図3〕。体制が整っていれば、下請けの杭メーカーだからといって、杭工法の選択が適切だったか分からないはずはない。設計・監理者や施工者との連携がうまくできていなかった可能性がある。
〔図3〕着前検討会で万全の施工体制を
杭工事の体制図。設計・監理者と施工者、杭メーカーは着前検討会を開き、情報を共有して万全の施工体制を組むべきだ。検討会の内容としては、
(1)事前地盤調査の位置や数、深度
(2)地下水の有無や土質性状の確認
(3)使用材料と設計図書との適合性
(4)工法の特徴
(5)安全管理体制の確認などが考えられる(資料:林 隆浩)

 
沈下の原因は「杭未達」ではなく、「場違いな工法選択」であることも考えられる。とはいえ、状況証拠に基づく推測の域を出ないことも事実だ。
11月13日の記者会見で、旭化成の平居正仁副社長は、「建物の補強などのためにも、不具合があったとされる8本の杭の現況調査が必要だ」と改めて強調した。支持層の位置や根固め部を含め、8本の杭の状況が開示・検証されなければ、問題解決のスタートラインに立つことはできないだろう。
高市 清治 [日経アーキテクチュア]

ケンプラッツ 2015/11/17
日経アーキテクチュア 
旭化成会見、適切な杭工法だったか明言せず
旭化成は11月13日、子会社である旭化成建材が過去10年以内に杭工事を手掛けた物件3040件の調査結果を発表した。同日までに確認できた2376件のうち、266件でデータ改ざんがあったことを明らかにした。
このほか、旭化成建材のプレボーリング拡大根固め杭工法「ダイナウィング工法」が土丹層では大臣認定を取得していないことを認めながら、土丹層を支持層とする横浜市内の分譲マンション「パークシティLaLa横浜」(以下、LaLa横浜)での採用が適切だったかは明言を避けた。旭化成建材事業本部商品開発部の前嶋匡部長は、「杭工法は元請けの三井住友建設が選んだので、我々が説明する立場にない」と答えるにとどめた。また、土丹層を支持層とする敷地の建物で、同工法を採用した事例は1件しかない特殊例であることを認めた。
11月11日の記者会見で三井住友建設建築本部の相良毅副本部長は、LaLa横浜でダイナウィング工法を採用したことについて、「土丹層が支持層の地盤では大臣認定は取得していないので、国土交通省の告示にのっとって載荷試験も実施。その結果などを受けて採用を決めた。他の工法とも比較・検討し、メリットとデメリットを鑑みた結果だ」と説明している。

再発防止策は「原本を主任技術者が保管」
11月13日の旭化成の発表によると、調査が完了したのは2376件。改ざんが最も多かったのは工場・倉庫の66件だった。特に確認を急いだ医療・福祉施設は、全330件のうち、35件でデータが改ざんされていた。ただし、杭未達で傾斜したとされているLaLa横浜以外では、沈下などの不具合は見つかっていない。
ヒアリングをした杭工事の担当者50人以上がデータ改ざんに関与していた。支持層の位置を示す電流値のデータの流用などが常態化していた実態が浮かび上がった。旭化成の平居正仁副社長によると、「データを流用したことが1~2件あるという人が大半。複数の物件でデータを改ざんした人は限られる」
平居副社長は再発防止策として、「必ず調査データの原本を主任技術者が保管することを徹底する」と話した。そのうえで、「不具合があったと発表されている8本の杭について、しっかり調べさせてほしい。建物を補強するうえでも、補強費用などの負担をどう分担するかを協議するうえでも、不具合の原因をはっきりさせることが重要だ」と、改めて主張した。
データ流用の有無などの確認が終わっていない664件について、旭化成は調査を続ける。
高市 清治 [日経アーキテクチュア]

日経アーキテクチュア 2015/11/19
杭騒動 語られない真相 杭工事では「偽装」「見過ごし」が体質化
大臣認定工法の品質管理はメーカー任せ

http://nkbp.jp/1MRXdCn
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/111300237/
全国で次々と発覚する杭工事のデータ改ざん。その背景には、施工報告書のデータを軽視する姿勢があった。元請けの施工者が杭工事を杭メーカーに任せ切りにするなど、「偽装」とその「見過ごし」は体質化していた。(日経アーキテクチュア2015年11月25日号の特別リポートからケンプラッツ一般会員向けに期間限定で特別公開)

「複数の人がデータを流用する環境にあった。施工報告書の重要性を認識していなかったという印象を持つ。管理体制が不十分だったことを深く反省している」。11月2日に開いた記者会見で旭化成の平居正仁副社長は、こう発言した。

データ改ざんは常態化
旭化成は11月13日の記者会見で、子会社の旭化成建材が過去10年以内に杭工事を手掛けた3040件の物件の調査結果を公表。266件で支持層の位置に関するデータなどの改ざんが明らかになった〔写真1、図1〕。
〔写真1〕「隠蔽の証言は今のところない」
旭化成と旭化成建材が11月13日に開いた記者会見の様子。旭化成の平居正仁副社長は、データを改ざんした現場代理人へのヒアリングの結果、「杭未達の事実などを隠蔽する意図があるという証言は、今のところない」と発言した(写真:日経アーキテクチュア)
〔図1〕旭化成建材は全国266件でデータ改ざん
旭化成建材が過去10年以内に、杭工事に関わった3040件の物件の調査結果。確認できた2376件のうち266件で、支持層の位置を示す電流値のデータなどの改ざんが見つかった。ただし、LaLa横浜以外では、建物の沈下などの不具合は見つかっていない(資料:旭化成の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)

11月13日には杭工事大手のジャパンパイルでも、同社が杭工事を手掛けた18件の建物で、支持層の位置を示す電流値データに改ざんがあったことが判明した。データ軽視の風潮は旭化成建材1社に限らず、杭工事全般にまん延していた。杭工事の管理体制に問題があるからだ。

別データをコピーして張る
まずは、施工報告書のデータ改ざんの手口を整理しておこう。
LaLa横浜では杭基礎にダイナウィング工法を採用していた。この工法では、杭を埋め込む縦穴の掘削時に、掘削オーガーで支持層の位置(深度)を測定する。
オーガーの先端が支持層にぶつかると、その抵抗によって電流計で記録しているモーターの電流値の波形が大きく動く。現場の技術者はこの波形の動きなどから、オーガーの先端が支持層に到達したことを判断。杭を支持層に定着させるセメントミルクを、縦穴の下端部に注入する。
LaLa横浜の現場代理人は、この電流値の測定に失敗したり、データを記録した紙を紛失したりしたため、他の杭の掘削時のデータを転用したと、旭化成は弁明している〔図2〕。
〔図2〕データ改ざんの常とう手段
想定されるデータ転用のからくり。支持層の位置を判断する電流値の波形データはひとつなぎのロール紙に記録される。別の杭の波形データを切り取ってコピー。施工報告書に張り付けたと考えられる。現在はコンピューターにデジタルデータで取り込んでおり、紙に直接出力する電流計は使われていない (資料:取材などをもとに日経アーキテクチュアが作成)

LaLa横浜の現場では、複数の杭の電流値をひとつなぎのロール紙にまとめて記録。各杭の電流値の記録部分を切り取って、施工報告書に切り張りしていた。この電流計を含む管理装置は重機に設置されていた。天候の影響を受けやすく、動作不調や故障が少なくなかった〔図3〕。こうしたトラブルから電流値を記録できなかったとき、別の杭のデータをコピーして施工報告書に張ったという。同様に根固め材のセメントミルク量も、別の杭のデータを流用したとされる。
〔図3〕電流計などの管理装置は重機に設置
ダイナウィング工法による杭工事の現場体制のイメージ図。電流計などを含む管理装置は、重機に設置されており、天候の影響を受けやすかった(資料:旭化成)

問われる三井住友の施工管理
旭化成が会見で認めたように、杭工事の現場では電流値などのデータを軽視する風潮があった。ただし、前述した通り、支持層の位置は電流値だけで判断するわけではない。
データ流用自体はあってはならない不正だ。しかし、他の判断材料で杭が支持層に到達したことを確信した場合、「電流値のデータを流用する人がいても不思議はない」と、複数の専門家が指摘している。
しかし、別の杭のデータを流用した場合、支持層の位置と埋め込んだ杭長は合致しない。施工管理者が施工報告書をきちんとチェックしていれば気付かないとは考えられない。
それにもかかわらずLaLa横浜では、少なくとも70本の杭で電流値やセメントミルク量のデータ流用が見過ごされている。元請けである三井住友建設の施工管理は、甘いと言わざるを得ない。偽装を知りながら見過ごしたと勘ぐられても、仕方がないレベルだろう。
実は、かねてよりダイナウィング工法のような国土交通大臣認定の杭は、施工管理上の構造的な問題を抱えていると指摘されていた。大臣認定を取得した杭工事の現場では、施工管理者である元請けの建設会社が、杭メーカーに品質管理などを任せ切りになりがちだからだ。

大臣認定工法の落とし穴
大臣認定の対象には、製品の仕様はもちろん、施工方法や品質管理方法などが含まれる。また、大臣認定を受けた製品を施工できるのは、指定会社に限られる。工法を開発した杭メーカーが「責任施工」という形で、実質的に品質管理を担うことは容易に想像できる。この問題については、日本建設業連合会が2013年に既に指摘していた〔図4〕。
〔図4〕日建連は大臣認定工法の問題点を指摘
日本建設業連合会が2013年に取りまとめた「高支持力埋込み杭の根固め部の施工管理方法の提案」。「施工管理者は受け入れだけとなり、ややもすれば(杭工事の)施工者まかせとなる懸念もある」と既に指摘していた (資料:日本建設業連合会)

そもそも地中にある杭の施工は管理が難しい。ダイナウィング工法のように、2枚の羽根を埋め込んだ根固め部に支持力のほとんどを依存する工法では、施工の難度が高い。
従来のプレボーリング根固め工法に比べて、1本の杭が負担する支持力が大きいだけに、それが適切に施工できない場合の影響が大きい。設計・監理者と施工者、杭メーカーが一体になって取り組まなければ、施工の品質を確保することは難しい。
一連の杭騒動では、旭化成建材による偽装に焦点が当たっているが、データ改ざんで杭メーカーが得られる利益はほとんどない。工期厳守や工費圧縮の圧力が大きかったのではないかと指摘されるゆえんだ。この点について三井住友建設の永本芳生副社長は11月11日の会見で、「工期やコストをめぐる発注者からのプレッシャーはなかった」と述べた。
とはいえ、杭偽装は一現場代理人、一杭メーカーの問題にとどまらず、広く建築業界にまん延する問題であることは間違いない。杭メーカーが偽装し、それを元請け建設会社が見過ごすフローが体質化していたわけだ。問題の根は深い。
高市 清治 [日経アーキテクチュア]
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-3968.html

くい打ち工事偽装問題 国会質疑 対策委 年内に中間報告
全容解明・実態把握 第三者チェック体制創設を
杭打ちミス、設計か施工か 三井住友建設と旭化成建材が対立

—–横浜市の大型マンション傾斜を発端に杭(くい)打ちデータ偽装が深刻化し、不安が広がるなか、国会は3日、衆参両院の国土交通委員会を開き、基礎くい工事問題等に関して閉会中審査を行いました。日本共産党の本村伸子衆院議員と辰巳孝太郎参院議員が、全容解明・実態把握を求めるとともに、建設業界における工事の監理体制や行政等の検査の強化、第三者によるチェック体制創設の必要性を訴えました。
(しんぶん赤旗)

—–「くいデータ偽装問題」等を追及 本村、宮崎両議員
 衆院国土交通委員会の閉会中審査が3日行われ、本村賢太郎、宮崎岳志両議員が質疑に立った。
(民主党)

—–横浜市の傾斜マンションを巡り、元請けの三井住友建設と下請けの旭化成建材(東京・千代田)とのさや当てが続いている。
原因とされる杭(くい)の不具合を三井住友はデータを改ざんした旭化成の施工ミスと主張。
旭化成は長さが不十分だったと三井住友の設計ミスを指摘する。

3日には国会で「責任のなすりつけ合い」と指摘された。対立が長引けば、事態の収拾は遠のくばかりだ。
 
「非常にみにくい業界の体質が浮き彫りになっている」。
3日午後に開かれた参院国土交通委員会の閉会中審査。三井住友と旭化成の対立について、野党議員からこんな声が上がった。
(日経新聞)

しんぶん赤旗 2015年12月4日(金)
杭打ちデータ偽装問題 第三者チェック体制創設を
全容解明・実態把握を要求 衆参国交委 本村・辰巳議員迫る
横浜市の大型マンション傾斜を発端に杭(くい)打ちデータ偽装が深刻化し、不安が広がるなか、国会は3日、衆参両院の国土交通委員会を開き、基礎くい工事問題等に関して閉会中審査を行いました。日本共産党の本村伸子衆院議員と辰巳孝太郎参院議員が、全容解明・実態把握を求めるとともに、建設業界における工事の監理体制や行政等の検査の強化、第三者によるチェック体制創設の必要性を訴えました。
今年は耐震強度偽装(姉歯事件)問題から10年。本村氏は当時、マンションから退去を強いられた住民の「建設業界のモラルの低さに驚く」との言葉を重く受け止めるべきだと迫り、全容解明と実態の把握を求めました。石井啓一国交相は「コンクリートパイル建設技術協会の報告で約2800件以上の自主点検の結果、業界の実態を把握するという目的にあった情報を得られた。再発防止につなげていきたい」と実態把握は“十分”できたとの認識を示しました。
本村氏は、業界任せの自主点検について「限界がある」との指摘があるとし、「業界全体への調査を実施すると新規工事がストップする」ため、国交省が「建設業界へ配慮」しているのではないのか、住民、利用者の安全を二の次にしていないかと詰め寄りました。
辰巳氏は、横浜市のマンションのデータ偽装をした旭化成建材だけでなく業界最大手などで相次ぎ不正が起こったことは重大だと指摘すると同時に、「ずさんな工事施工に対しては元請けの責任は免れない」と強調しました。
一定以上の建築物の工事をする場合、建築士である工事監理者は、設計通りの施工が実施されているかを確認する義務があります。辰巳氏は、当該マンションで工事監理者は誰が務めたかを質問。国交省は「(元請けの)三井住友建設の3名の建築士で、設計者も同じ」としました。
辰巳氏は、工事監理業務の適正化と第三者性の実効性確保が必要だと強調し、「チェック機能が働かない構造的問題を放置してきたのではないか」と追及しました。
本村、辰巳の両氏はそれぞれ最後に、元請けも含めた参考人招致をして審議することを求めました。

しんぶん赤旗 2015年12月4日(金)
杭打ち偽装 国の責任免れぬ 本村・辰巳両議員追及
3日の衆参両院の国土交通委員会で行われた日本共産党の本村伸子衆院議員と、辰巳孝太郎参院議員の杭打ちデータ偽装をめぐる国会論戦―。まん延する偽装とその背景にある構造的問題、元請けの責任、効率優先の規制緩和など国の責任問題が浮かびあがってきました。   (遠藤寿人、中東久直)

多重下請け構造の是正を
「丸投げ」
木村氏は、杭打ちデータ偽装が常態化されまん延化していたことを放置してきた責任をどう感じるのか、国交省の姿勢をただしました。石井啓一国交相は、旭化成建材や業界団体コンクリートパイル建設技術協会のデータ偽装の調査報告から「複数の会社、複数の担当者が(偽装に)関わっていた。業界で広くデータ流用が行われでいたといわざるを得ない。再発防止に努めたい」と述べました。
本村氏は問題の背景に建設業界全体にまん延する 「重層的な下請け構造」があることを指摘。「施工の管理責任をあいまいにしがちだ」として、日本建設業連合会が「2次下請けまで」の簡素化をめざしていることを紹介しました。
日本共産党が下請け業者への「丸投げ」の禁止、不当な買いたたき、低価格発注をやめさせる提案をしてきたことを紹介。石井国交相は「いきすぎた重層的下請けにさまざまな弊害があることは承知している」と問題を認めました。
本村氏は「杭打ち業者の大半は元請けではなく2次、3次、4次とみられ、売り主や元請けの意向に大きな影響を受けやすい。業界特有の多重下請け構造が根底にある」として是正を求めました。

住宅検査官制度をつくれ
企業任せ

本村氏は、工事全体の管理・監督責任がある元請け企業の責任について質問。国交省は「元請けの建設会社の建設業法上の位置づけは下請けに対する指導、施工体制台帳および施工体系図の作成。監理技術者の設置の義務を負っている、工事全体の責任を元請け企業は負っている」と答えました。
1次下請けの日立ハイテクノロジーズについては、中間利益だけを得た「丸投げ」の疑いを指摘。国交省は「建設業法に基づいて厳正な調査を行っている。現時点での具体的な答弁は差し控える」としました。
現場での立ち会いを重視しながらプロセス管理を強化すべきとの意見もあることから本村氏は、「第三者によるチェック体制が必要だ」とただしました。
愛知県での聞き取り調査で中間検査のとき書類に 「適」と書いてあったら、電流計データの確認は行わないといっていたことを紹介し、基礎杭は書類だけの確認かと質問。
国交省は「中間検査のときには基礎抗工事は終了している。終了したものも含めて全体の建築基準法の適用性を確認するには施工記録や施工結果報告書の書類を確認することによっておこなっている」とチェックが及ばないことを認めました。
本村氏は、「建設会社は不正はしない」との前提で、企業任せでは見抜けないとして、第三者が工事現場で立ち会って監視するチェックの必要性を求め、日本弁護士連合会が提唱する公的な「住宅検査官制度」が必要ではないかと迫りました。

規制緩和 検証・総括せよ
工法間題

辰巳氏は「(当該マンションの)杭打ち『工法』が適切だったのか、検証が必要だ」と指摘しました。
横浜市のマンションの杭打ちで使われたのは、旭化成建材が開発した「ダイナウィングエ法」。杭先端にコンクリート塊を造成し、支持力を高める「プレボーリング拡大根固め工法」です。同社によれば、発生残土を従来より大幅に低減でき、高支持力を得られるというもの。
辰巳氏は「この工法は大臣認定を受けているが、それは(杭先端地盤が)砂質地盤と、れき質地盤に限られる。横浜のマンションは粘土質地盤でも特殊な土丹(固く締まった粘土層)。なぜ、わざわざ認定工法以外のものを採用したのか」と質問。国交省は「横浜市と一緒に、(元請けなどを)ヒアリングしているが、総合的に判断したとしている」と答弁。辰巳氏は「つまり杭の本数を減らし、残土量を大幅に減らせるからだ」と指摘しました。
公益社団法人土木学会が行ったアンケート調査で、「プレボーリング工法既製コンクリート杭の約半数は土丹では施工不可能」などとしていることを紹介し、辰巳氏は「(三つの地盤で)大臣認定を受けているプレボーリング拡大根固め工法は14あり、土丹について大丈夫なのか検証がいる」と追及しました。
辰巳氏は、効率優先の規制緩和が繰り返されてきた問題点を指摘し、「国民が安心して安全な住居に住めるために、行政が果たさなければならない責任は大きいが、それを放棄してきたのではないか。検証と総括が求められている」と強調しました。

民主党 2015年12月03日 15:33
【衆国交委】「くいデータ偽装問題」等を追及 本村、宮崎両議員
衆院国土交通委員会の閉会中審査が3日行われ、本村賢太郎、宮崎岳志両議員が質疑に立った。
本村賢太郎議員
本村議員はマンション等で建物を支える基礎の杭打ちに関するデータが偽装される問題が全国で相次いでいる件を取り上げた。
横浜市のマンション等の事例に関して、「事実についての調査のスピードが遅い。業者の自主点検ではなく、関係省庁が対応すべきだ」と述べ、また「地盤調査は、今後戸建てを含めたすべての建物について必要ではないか」として政府に対応を求めた。

宮崎岳志議員
宮崎議員は、同じく「杭打ちデータ偽装問題」について、「偽装があったことは明らかになったが、実際に支持層に届いていないケースがどのくらいあるのかわからない。安全性の確認、現場の調査が必要だ。杭以外にも不具合の原因があるはずだ」として、政府に対し業者への厳格な対応を行うよう要請した。

NHK 12月3日 11時58分
くいデータ流用「再発防止策 早急に検討」
建物の工事で、くいのデータ流用が相次いだ問題について衆議院の国土交通委員会の閉会中審査が行われ、この中で石井国土交通大臣は、「原因究明を進め、再発防止策を早急に検討していく」と述べました。
この問題は横浜市のマンションで“傾き”が見つかったことをきっかけに明らかになり、その後、くいの工事を請け負った旭化成建材がデータの流用を行っていたほか、ほかの6社でもデータの流用が行われたことが分かっています。
これについて衆議院の国土交通委員会の閉会中審査が行われ、この中で石井国土交通大臣は、「横浜市のマンションで施工不良が発生したこと、また多くのデータ流用が判明したことは国民の建築物に対する信頼を損なうものであり、極めて遺憾だ」と述べました。そのうえで石井大臣は「横浜市のマンションでなぜ施工不良が起きたのか、なぜ多くのデータ流用が起きたのか、また、建設工事全般について構造的な問題があるのかなど原因の究明を進め、再発防止策を早急に検討していく」と述べ、国土交通省に設けた有識者による委員会で年末までに予定している再発防止策の中間取りまとめに全力で取り組む考えを改めて示しました。

TBS系(JNN) 2015年12月3日(木)13時15分配信
杭データ改ざんで年内に中間報告、国交相強調
全国で杭打ちのデータ改ざんが相次いでいる問題で、衆議院の国土交通委員会は、閉会中審査を行い、石井国土交通大臣は年内に再発防止策などの中間報告をとりまとめる考えを改めて示しました。
「旭化成建材」をめぐっては、全国で360件のデータ改ざんが明らかになっていますが、このうち横浜市のマンションの施工管理者が関わった物件など82件の建物について、国土交通省が先行して安全確認を求めています。
石井国土交通大臣は、このうち56件については、施工記録などから杭が固い地盤に届いているかどうかの結果を、今週中に公表する考えを明らかにしました。
「徹底的に原因究明を進め、再発防止策を早急に検討する」(石井啓一国交相)
また、石井大臣は一連のデータ改ざん問題について、年内に再発防止策などの中間報告をとりまとめる考えを改めて示しました。(03日11:19)

日本経済新聞 電子版 2015/12/4 0:46
杭打ちミス、設計か施工か 三井住友建設と旭化成建材が対立
横浜市の傾斜マンションを巡り、元請けの三井住友建設と下請けの旭化成建材(東京・千代田)とのさや当てが続いている。原因とされる杭(くい)の不具合を三井住友はデータを改ざんした旭化成の施工ミスと主張。旭化成は長さが不十分だったと三井住友の設計ミスを指摘する。3日には国会で「責任のなすりつけ合い」と指摘された。対立が長引けば、事態の収拾は遠のくばかりだ。
「非常にみにくい業界の体質が浮き彫りになっている」。3日午後に開かれた参院国土交通委員会の閉会中審査。三井住友と旭化成の対立について、野党議員からこんな声が上がった。
事態の発覚から1カ月半。2日には対立をさらに印象づける事実が判明した。傾斜した建物では8本の杭が支持層と呼ばれる固い地盤に十分に届いていないとされる。同じ敷地に以前あった建物の杭は18メートルだったと知りながら、三井住友は杭を14メートルと設計していた。
「杭の仕様は建物によって違う。地盤調査結果などから判断した」と説明する三井住友に対し、旭化成は「設計ミス」と語気を強める。工事を手掛けた旭化成にしてみれば、設計通りの長さで調達した杭だったからだ。
一方、不具合を指摘されている8本の杭ではデータ改ざんが確認されている。「杭は工事の際に確認しながら打ち込むべきものだ」と三井住友は反論し、不具合は旭化成の施工ミスと主張する。
両社はもともと、杭の不具合に対する見解から対立していた。三井住友は第三者機関の評価の結果、6本の杭が支持層に届かず、2本も十分には届いていないと説明。旭化成は「工事の当事者はみな届いたと口をそろえている」と主張し、再調査を求めている。
杭の設計ミスを指摘する旭化成がすべての杭が支持層に届いている可能性を主張し、設計段階で杭の長さは十分だったとする三井住友が杭に不具合があると言い張るねじれた状況。それぞれの言い分には責任回避を狙う思惑が透けて見える。
問題のマンションを販売した三井不動産レジデンシャルは傾斜した建物を含む全4棟の建て替えを住民に提案した。工事費に住民の引っ越しや仮住まいの費用なども加えれば、数百億円規模になる。11月に実施した住民へのアンケートでは約7割が全棟建て替えを希望していると分かった。
三井不動産レジデンシャルが一時的に負担する巨額の費用はその後、元請け、下請けにも負担が求められる。三井住友や旭化成には「補修で十分ではないか」との声があるものの、全棟建て替えは現実味を帯びている。
過去のマンション建て替えでは大半の場合、元請けのゼネコン(総合建設会社)が前面に立つ形で事態を収束してきた。今回は多数のデータ改ざんが同時に明らかになった旭化成の責任を問う声が多い。一方、大手ゼネコンからは「三井住友は責務を放棄している」との指摘も相次ぐ。痛みを分け合う決断ができなければ、両社の信頼回復はおぼつかない。
(藤野逸郎、湯沢維久)
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-3972.html

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ改ざん事件151210

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です