杭データ改ざん事件151217-2

杭データ改ざん事件151217-2

杭打ち施工管理の緩和見送り 国交省
2015/12/15 1:01
杭(くい)打ちデータの改ざん問題を受けて、国土交通省工事現場施工状況の管理を担う技術者の配置要件の緩和を見送ったことが14日、分かった。来年4月の緩和を目指していたが、データ改ざん問題で施工管理が適切だったかが問題になったため、可否を再検討する。
建設業法は、元請け業者が一定額以上の工事を下請けに任せる場合、施工状況を管理・監督する「監理技術者」の配置を義務付けている。建設業界の人材不足などを踏まえ、国交省は9月、配置を義務付ける工事額を引き上げる改正施行令について意見を公募。10月上旬に公布し来年4月から施行する方向で検討していた。
しかし10月にデータ改ざん問題が発覚。施工管理の強化が議論されているため、同省の有識者委員会が年内にまとめる再発防止策の中間報告を踏まえ、緩和要件について再検討することにした。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HCK_U5A211C1CR8000/

2015/11/14 07:00
くいデータ改ざん、数字も合わず 自治体、ずさん対応に憤り

旭化成建材が兵庫県内で過去10年間にくい打ちを請け負った工事のうち、医療・福祉施設2件でデータの流用などがあったことが13日、同社の調査で分かった。ただ、具体的な情報は提供されず、これまで公表していた県内の調査対象の工事件数も修正するドタバタぶり。「これが責任ある態度なのか」。ずさんな対応に、自治体担当者は憤りをあらわにした。
東京都内で会見した同社の発表は、県や市町が求める詳細な情報とは、ほど遠い内容だった。旭化成の広報担当者は「順次、行政から要請があれば報告しているはず」とした。
さらに、これまで公表していた県内の調査対象も修正。県によると、県内の調査対象件数を89件としていたが、尼崎市で新たに2件増え、計91件に。同社が誤って大阪府内の件数としていたのが原因という。一方、同社の会見資料には90件と記載してあり、こちらも誤っている可能性がある。
県内最多の32件が確認されている神戸市では、担当者が繰り返し県に問い合わせたが、同日午後8時半ごろ「本日中に提供できる情報はない」と伝えられたという。詳細な情報を出さない同社に対し、尼崎市の担当者は「新たに調査対象となった市内の2件について県から連絡があっただけ。どうしたらいいのか」。他の県内自治体も「動きようがない」(姫路市)、「民間施設での改ざんの有無を判別する資料がない」(高砂市)と不満が漏れる。
県建築指導課の福本豊課長は「いいかげんな公表は非常に遺憾。(データ改ざんは)許し難い行為であり、責任を持って真摯(しんし)に対応してほしい」と語気を強めた。
また県は同日、調査対象に県発注工事はないとしていたが、新温泉町での水路工事の1件が含まれていたと発表。既に安全性は確認している。(まとめ・段 貴則)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201511/0008564796.shtml

旭化成建材 データ改ざん さいたま市調査で新たに3施設
2015年11月20日 朝刊

くい打ちデータの改ざん問題で、さいたま市は十九日、旭化成建材(東京)が工事を行った同市の三施設で、新たにデータ改ざんが見つかったと発表した。安全性に問題はないという。いずれも同社が調査した三千四十件には含まれず、市の独自調査で発覚した。
三施設は、市立与野東中学校給食室(同市中央区)、緑消防署美園出張所(同市緑区)、動物愛護ふれあいセンター(同市桜区)。このうち中学校給食室は短いコンクリート製のくいを三本継ぎ足す工法で、横浜市の傾斜マンションと同じ「既製コンクリートくい工法」の一種。同社は調査対象から漏れた経緯を調べている。
他の二件のくいは鉄製で、調査対象のコンクリート製くいとは材質が異なる。傾斜マンションのように固い地盤にくいを到達させるのではなく、土の中に打ち込んだ摩擦力で建物を支える仕組みで、調査対象外だった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015112002000127.html

杭打ちデータ改ざんから学ぶ
2015年11月16日

杭打ち大手のジャパンパイルもデータ改ざん
横浜市都筑区のマンションで基礎工事の杭打ちデータ改ざんの報道がされてから約1か月経ちました。
データ流用の実態が明らかになるにつれて影響は全国に飛び火してしまいました。
そして、杭の製造・施工大手のジャパンパイルでも電流計データの流用が発覚したと報道されています。
一連の事件の詳細は皆さんもご存知のところです。
データ改ざんの原因を考える当たり前のことですが、データを流用して改ざんすることは決して許されないことです。
そして、建築業者を信頼していた消費者の信頼を裏切る行為です。
このようにデータを改ざんした事実を批判することは簡単です。
そこで、なぜデータの改ざんが起きてしまったのか、原因を考えてみますと以下のことが思い浮かびます。
・杭打ち作業の担当者の職業倫理
現場責任者の管理監督体制
元請け及び1次下請けなどの管理監督体制
・工期が一時期に集中していること
・工期の短期化・厳格化
・データ整備の精緻化
・事務作業の煩雑化 などなど

現場担当者がきっちりルール通り杭打ちデータを管理していれば、このような不正は起きないのですが、現場担当者不正を行う背景とチェック機能が働かなかったことも原因の一つと考えないと、根本的な問題の解決に至らないのではないでしょうか。

データ改ざん事例から学ぶ
現場担当者がデータ改ざんなどの不正に手を染めてしまうのは、個人の職業倫理だけのせいにしてはいけません。
もちろん、職業倫理意識を高めるために従業員の職業倫理教育や品質管理研修などは必要です。
しかし、従業員教育はあくまで不正の予防に過ぎません。
従業員個人の問題とともに、従業員が不正に手を染めてしまう環境があります。
一時期に過剰に集中する業務量であったり、あまりにも詳細なデータを要求されたりして、無茶な期日に資料を形だけでも提出するためにデータを流用してしまう誘惑にかられてしまうかもしれません。
また、従業員の行った業務を評価する監督者が形式ばかりのチェックで実態を確認していないため、不正を見逃してしまう環境があります。
仮に従業員が不正を行っても、上司や監督者のチェックを難なく通ってしまったら、従業員は楽することを覚えてしまいます。
真面目に業務をやっても、不正なことをやっても仕事の評価が変わらないのであれば、(場合によっては不正をした方が期日に間に合うため評価が上がってしまうため)杭打ちデータを流用しても建物の安全性に問題がなければいいや、と自分を正当化しようとしてしまいます。
ここまで来てしまいますと、誰一人として責任をもって仕事をしていないことになります。

どの会社でも起きてしまうかも
社内決裁で文書に担当者と複数の上長の承認が必要であったり、稟議書に5つも6つも承認印があったりするケースはありませんでしょうか。
このように多段階でチェックすることは内部統制上、一定の効果はあるのかもしれませんが、係長承認済みのものを課長が否決したり、課長承認済みのものを部長が否決したり、役員承認済みのものを社長が否決したりといった行為は、どの程度行われているのでしょうか。
また、上長は書面での確認のみならず、現場に足を運んだり、現場の従業員にヒアリングしたりして実態を確認したうえで、承認するか否かを判断できているのでしょうか。
何が言いたいかと申しますと、形式上、どんなに厳重なチェック体制を設けても、運用する人間の意識・責任感がない限り、無用の長物と化してしまうということです。
承認印を押す人は、その業務に関して責任を負います。
平社員→係長→課長→部長といったように、承認する業務の範囲が広がるにつれて、責任も大きくなります。
当然ながら、社長は会社の全責任を負います。
しかし、社長個人が全ての業務をチェックすることはできませんので、管理職が代わりにチェックします。
そして、会社にとって重要な決議を社長が直接確認することになります。
特段、珍しいことではないですよね。
でも、ここで大事なのは、現場レベルで承認を完了する限り、承認した上長はその業務に関して全責任を取る覚悟が必要ということです。
だって、消費者や顧客にとって、社内の承認体制がどうなっているかは関係ないですからね。
働く人、一人ひとりが誰のために仕事をしているかを考えれば自明の理だと思います。
従って、会社で働く一人ひとりの教育とともに、管理監督する上長の意識の向上が何よりも必要なのではないでしょうか。
http://kubo-cpa-office.com/blog/blog-2458/

釧路2道営住宅は「安全」…杭データ問題
2015年12月16日
◆道の検証委が確認
旭化成建材(東京)による杭(くい)打ちデータの流用問題で、道が安全性確認のため設置した「建築物に係る安全検証委員会」は15日、流用が判明した釧路市内にある二つの道営住宅について、地盤調査などから安全性が確認されたと発表した。
同委員会が「安全宣言」したのは、同市内の「愛国団地」と「ことぶき団地」。15日に札幌市内で開いた会合で、いずれの団地でも、流用のあった杭が地盤の固い「支持層」に届いていることが確認されたとする道側の報告が了承された。
旭化成建材は、16日から道立名寄高校(名寄市)で、17日からは道立新篠津高等養護学校(新篠津村)で地盤調査を始める。道は、データ流用が判明した道発注の計7施設について、安全性の確認作業を年内に終えたいとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20151216-OYTNT50015.html

2015.12.14 11:49
県営住宅や高校にも杭打ちデータ偽装、新たに4件判明 滋賀
杭(くい)打ちデータ偽装問題で、滋賀県は14日、県有施設4件でデータ流用が判明したと明らかにした。4件は県営住宅や県立高校など。うち3件の施工業者はジャパンパイルで、残り1件は日本コンクリート工業。いずれも杭は地盤(支持層)に到達しており、安全性に問題はないという。
データ偽装をめぐっては、業界団体の「コンクリートパイル建設技術協会」が11日、旭化成建材を除く正会員企業の偽装を公表したが、4件はこれに含まれていない。
同県は旭化成建材以外の業者が手がけた県有施設43件について、独自に調査していた。
http://www.sankei.com/west/news/151214/wst1512140026-n1.html

ボーリング調査始まる、杭工事データ流用問題で【紋別】
北海民友新聞-2015/12/15 11:36

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であえーる幸団地の第2工区北東端で支持地盤の深さや地質を調べるボーリングが始まった
建築時の杭工事データで一部に流用が確認された紋別市道営住宅であえーる幸団地(幸町6)で14日、支持地盤の深さを確かめる地質調査が始まった。設計前調査では支持地盤の表面は深さ約7メートルとされ、工事記録により実際の杭は深さ約9・5メートルまで埋め込まれていることが分かっているため、設計前調査と同様の結果となれば建物の安全性が改めて担保されることになる。地質調査は18日まで5日間の予定で、北海道では年内にも〝安全宣言〟を出したい考え。
同団地は2つの建物が共用部分で繋がったような構造をしており、データが流用された杭は団地東側の第2工区で見つかった。地中に埋め込まれている90本の杭データのうち、2本ずつ2組(計4本)のデータが同一だったが、これまでの北海道による調査では、建物に傾斜や構造上問題となるようなひび割れなどの不具合は見つかっていない。
今回始まった調査は、問題の杭の近くに穴を掘るボーリングによるもの。深さ1メートルごとに地盤の硬軟を測定する「標準貫入試験」を行うほか、実際にサンプルを採取して地質・土質も調べる。これを深さ11メートルまで繰り返す。
このうち標準貫入試験は、直径5㎝ほどの中空の金属管を、63・5㎏の錘を75㎝の高さから落とした打撃で地中に打ち込むもので、地盤の強さは金属管が30㎝打ち込まれるまでに必要だった打撃の回数(N値)で表される。これがおおむね30以上であれば支持地盤とみなされるという。
なお問題の杭は建物の下にあるため、実際にボーリング調査を行うのは杭から5メートルほど離れた地点となる。しかし設計前の調査で、この土地における支持地盤の深さに大きな凹凸は無いことがわかっているため、隣接した位置における測定で代用できるという。
ボーリング調査は14日、第2工区の北東端で始まったが、この地点での調査は15日まで要する見通し。その後、第2工区の南西端付近で同様の調査を行う。
北海道では、今回の調査結果や設計・施工図面などを安全検証委員会へ提出し、安全性について判断を仰ぐことにしている。
http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=30022

区有施設等における杭打ち工事の
データ不正流用について
2015年11月13日

中野区長 田中大輔 殿
日本共産党議員団
区有施設等における杭打ち工事の
データ不正流用について
日頃より、区民のためにご尽力いただいていることに敬意を表します。
さて、横浜市のマンションで基礎杭の不正施工によって建物が傾いた問題に端を発し、この期間に明らかになった旭化成建材の杭打ち工事のデータ偽装は、公営住宅や学校など、全国各地の公共施設にまで波及し、多くの区民の皆様からも不安の声が寄せられています。
区内でも、10月中旬頃に、母子生活支援施設及び現在施工中の南中野区民活動センター等新築工事の2施設において、下請けとして旭化成建材が横浜市のマンションと同じ工法による杭工事をしたことが明らかになりました。11月5日付の区ホームページでは、区としてデータの再確認を行ったところ、南中野区民活動センター等新築工事においては掘削工事データの電流値の一部について類似データが見受けられたため、旭化成建材に確認したところ、11月4日に施行報告書のデータの流用があったとのことです。また、同様の工法により平成22年に竣工した母子生活支援施設についても、データの流用等がなかったか再調査を行っているとのことです。一昨日の11日には、区内の都営アパート(白鷺1丁目第3アパートの5-1号棟と4号棟)でもデータ流用が判明しました。杭を打ち込む深さやセメント量のデータを偽装したと指摘されている三井住友建設とその下請けの旭化成建材の責任が厳しく問われることはもちろんのこと、同時に国や行政の責任も重大であり、建物の安全性を確保すべき行政が、偽装を見抜けなかったことは深刻です。
背景には、1998年の建築基準法改正により、従来は地方公共団体の建築主事建築確認・検査を実施していたものを、民間の「指定検査機関」でも検査を可能にするなどした建築行政の規制緩和があり、事実上、株式会社も含めた民間機関に「丸投げ」される形となりました。2005年に起きたマンション耐震強度偽装事件は、民間任せの危険性を浮き彫りにし、今回、これらの大規模なデータ偽装が再び起きたことは、問題を事実上放置してきた国・自治体の責任が問われます。
建築基準法第1条には、「国民の生命、健康及び財産の保護を図る」と明記され、また、同20条では「建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、定める基準に適合するものでなければならない」とされています。こうした点からいえば、国は偽装事件が引き起こされたことの原因究明とその責任と背景を明らかにし、説明責任を果たすべきです。また、今後、データの改ざん等の不正を許さず、安全を最優先する法制度に抜本的にあらためることも求められます。区としてもそのことを国に求めるべきです。現時点で判明している区有施設等における杭打ち工事のデータ不正利用の問題については、正確な情報収集とともに、事業者のデータを元に区独自に検証し、徹底的な調査を行うことを申し入れます。
http://jcpnakanoku.net/seisaku/15_1113.html

杭打ちデータ偽装事件からみるIT業界と酷似の構造とコンプライアンス危機!!〜ITプロマッチへの道(その8)
アプリケーションコンサルティングシステムインテグレーションネットワーキングビジネス社会
» 2015/11/30

ITプロマッチシリーズ第8回目になります。
今回はIT業界と同じ、いやより歴史の古い下請け多重構造を持つ建設業界の近年最大の事件「旭化成建材杭打ちデータ偽装事件」を参考にしながらIT業界の下請け多重構造のコンプライアンスの問題点を説明します。
ここ数ヶ月ほどの新聞は、横浜の大規模マンションが傾いた原因として杭の6本が支持層に届いておらず、また2本も打ち込み不十分であること、そしてなんと原因究明の過程で、工事段階において杭打ちを担当した旭化成建材の担当者が杭打ちデータを偽造し報告していた、という驚愕の事実が判明しました。
これに対して、IT業界の我々も対岸の火事として眺めている場合ではありません。
このようなずさんなミスまたは悪しき慣習?は建築業界の「下請け多重構造」の中で発生しているからです。
建築業界も建物を建てるために、歴史的にゼネコンを頂点とする下請け多重構造を取っています。しかし、それはIT業界のそれよりも、歴史が長い分、ルール性の強いものとなっています。例えば以下のようなルールが法律で決められています。

○下請け業者は全て建設業法の許認可業者である
○建設プロジェクトにおいて施行体制台帳を作成が義務づけられている
○下請け業者であっても基準労務単価があり、見積基準が明白である

歴史が長い分だけ、さすがに厳しいですよね。建設業界の場合は、まさに景気に左右される規模の大きい業界のため、その需給の調節弁として下請け構造は是として保たれてきました。国土交通省も、そうした業界構造を是としながらも、コンプライアンスをある程度保てるルールを義務づけているのだと推定されます。
そうした中で起きた、この杭打データ偽造は以下のような下請け構造の末端で発生しました。
三井不動産レジデンシャル(ユーザー企業)

三井住友建設(元請け)

日立ハイテクノロジーズ(1次下請け)

旭化成建材(2次下請け)
(ここで発生☆)
また10月27日の日本経済新聞によると、元請けから工事を委託された日立ハイテクノロジーズはその下請けの旭化成の工事の「進捗確認をする役割」にあったにも関わらず、なんと
「技術的な知見はなく、工事データの信憑性は判断できなかった」と言っているようです。
————————————————–
例えば、これがあるユーザー企業の顧客管理システムの開発があったとして、大手Sierから関連企業にまず、開発業務を委託し、そこから中小のIT企業にその仕事が委託されたとします。
そして、そこで開発された顧客データベースのテストを行ったデータにねつ造改ざんが行われ、やっていないテストをあたかもやったように見せかけて報告されていたとします。
システムがリリースしてすぐに、ユーザー企業の顧客データが設計ミスで外部に漏洩してしまったとします。そしてその原因は中小のIT企業のテストデータ偽造であり、関連会社と大手Sierは、それを見抜けなかった
という酷似のストーリーが容易に想像つきます。
————————————————–
建築業界で今回、明白になった「丸投げの功罪」、すなわち現場の企業のミスをチェックできない丸投げ下請け構造、はそのままIT業界の下請け多重構造でも起こりえます。
さらには許認可や品質管理の規制のないIT業界では、全く同じようなミスが丸投げ下請け多重構造の中でさらに日常に起こっていても不思議ではないのです。
こうしたコンプライアンスルールが十分でないIT業界の多重下請け構造ではもっと悪質な事件が今迄にいくつかおきています。
それらは結局ユーザー企業が大手Sier以下の企業群にIT業務を丸投げしているから、ユーザー企業には全くチェックできないところでおきています。
例えば、世間を騒がせた次のような事件を覚えている人も多いと思います。
いくつか拾ってみました。
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2014年7月ベネッセコーポレーションは、最大で2000万件以上の顧客情報が漏洩したと発表した。
ベネッセからベネッセのグループIT企業シンフォームに発注されていた「顧客情報データベース管理業務」について、シンフォームからさらに下請け企業に委託され、そこに在籍する社員(犯人)が名簿を売却した。
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2012年11月関係するシステムエンジニアがNTTデータが運営する地銀共同センターに不正アクセスしてキャッシュカードを偽造して他人口座から現金を奪った。
犯人のシステムエンジニアはNTTデータの孫請け企業のシステムエンジニアであり、業務上、地銀のシステムにアクセスできていた模様。
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2002年、防衛庁は富士通社員が内部ネットワークに関するデータを流出したと発表した。
その原因は、防衛庁から富士通に発注していたネットワーク構築プロジェクトの5次請けに相当するフリーのエンジニアが防衛庁のネットワークデータを富士通のサーバーからコピーしたことであった。
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など、大ニュースになったものだけでもIT業界における事件はまさに「下請け多重構造」の中で起こっているのです!!
下請け多重構造の下層の人間が犯してしまうミスや犯罪はユーザー企業には防ぎきれないのが現状です。また一定の確率で、下請け多重構造の中ではこうしたことは実際に起きていても不思議はないのです。
こうしたコンプラアンスの問題は、やはり本質的にはユーザー企業がきちんと責任を持てるような発注体制とする事が大事です。今のような大手Sier丸投げでは、絶対に防ぐ事はできません。
例えばベネッセの事件のように顧客データという最重要な業務はユーザー企業が委託するのではなく自社内部で行うべきと考えます。
ユーザー企業は、今後、より重要かつコンプライアンスが必要とされる領域とIOTなど新技術による新たなビジネスモデル構築の領域などは自社でIT技術者を雇い確保していくべきです。
逆にハードインフラ等の自社で持たなくても良い領域はクラウドなどの外の専門サービスをより使っていくべきです。
またユーザー企業は今後、大手Sierに丸投げしていた部分のいくつかを自社で行うために優秀なIT技術者を直接雇用または契約することが必要になってくると予想しています。
http://blogs.itmedia.co.jp/takuma/2015/11/itit_5.html

2015/10/24
フォルクスワーゲン不正とか“杭打ち”問題とか不正の横行
不正の横行とも見える問題が様々に発覚している。
常に考えなければならないのは、「特異な問題」なのか「これは氷山の一角」なのかである。
私の感覚では後者であるとしか思えない。

チェックシステムへの最適化
不正として片付けられるが、両者とも(本来は)チェックシステムがあったのにも関わらず、それをすり抜けた、ということである。
データの改竄であっても、その改竄を見抜けないのだからある意味“ザル”である。
一つは形式化・儀式化している場合があるためだ。
チェックシートに担当者判断や担当者を信じて検査員が根拠も無しにただ印をつけている。
問題になるかならないかは別として、多かれ少なかれ社会人なら身に覚えがないだろうか。
もちろん私にもある。現場にいればそれに抗う術は存在しない。
現場ではその問題を議論する余地は存在していない。
今回の“不正”も私には“日常茶飯事の出来事”にしか見えない。
杭打ち問題も、単に「杭の数だけ計測シートが揃って」いさえすればチェックに通るシステムなのだろう。
足りない、もしくは問題のあるデータがあったとして、本来は“やり直し”になるのだが「そんなことは許されない、なんとかしろ」と上から言われれば、当然の帰結として改竄を行うことしか(その場の)解決方法はない。
常態化すれば、何をやればチェックに通るか、というのが見えてくる。
今度はあの担当だからここさえきちんとやれば・・・という考えだす。
どこまで“手を抜けるか”も判ってくる。
これが“チェックシステムへの最適化”である。
このことを責められるのだろうか。

例えば、受験などで完全に自分の学力知識だけで試験に臨んだ人はどれだけいるのだろうか。
よほど簡単な試験でもなければ、誰もが多かれ少なかれ“試験対策”をする。
どの試験も“傾向”があるので“対策”を打つ。
私はこういう試験対策は生理的に“嫌い”だったが、それでも追い込み時期には“赤本”を買って“予行練習”ぐらいはやった。
マークシートも初めてでミスや不慣れによる損をしたらツマラナイので模試などを受けて、ある程度慣れるようにした。
時間配分や最後に判らなくてもとりあえず“塗れ”などというのも教わった。
そんなもんである。
問題を作った人がその問題を事前に漏らした大学教授の事件もあったが、それは最たるものだ。
今回の事件は司法試験という世間でもトップクラスに重い資格試験で起きたから大問題になっただけで、多かれ少なかれ似たようなことはあるだろう。
公に「ここ今度の試験に出るから」と先生が言うことすらあるではないか。
厳密に見ればこれもおかしな話ではある。
まあ、定期試験は学力を習得したかではなく、授業をきちんと聞いていたかを問うもの、という指摘もあるから、そういう目的ならば間違ってはないのかもしれないのだが。

チェックシステムは適性か
例えば入試試験では年ごとに問題作成者を変えるという対策を取っているところもあるようだ。
そうすると傾向がぶれるので傾向と対策が取りにくくなる。
それでも“周期で予測する”というのが受験産業である。
考えるべきはそのシステムが適性・的確かどうかである。
いくらたくさんチェックシステムがあっても、的を射ていなければ単なる時間の無駄だ。
歴史があり大きな会社ほど、問題が蓄積され、起こりにくくなっているが、似たようなチェックが継ぎ接ぎ的に構築されており、それが“大企業病”の一因となるという別の問題を引き起こしやすい。
フォルクスワーゲンの問題では「ハンドル操作がなかったら」「試験であると考えて」対応した、と伝えられる。
対応とは「排ガス浄化装置をフル稼働させる」ということのようだ。
試験場では“でっかいコロ”か“ジャッキアップ”して自動車の試験をすることが多い。
その場で車輪が空転するように車輪の下に丸い棒(コロ)で支える。
ある程度負荷をかけないといけないのでこの場合は“コロ”の上だろう。
なぜ通常使用で浄化装置を止める(システム的に外す)かと言えば、その装置を動かすとトルク(パワー)が落ちる、燃費が悪くなるというデメリットが生じるからだ。
なぜこの不正がバレたかというと、ある団体が実車での様々な実運転に対しての排ガスの状態を色々確認したかっただけのようだ。
別に不正を暴こうとかではなくて、ごく自然に自動車の現状把握をしたかっただけのようだ。
単に世界的に“ポピュラーな”VWのあの車が選ばれただけ、ということらしい。
ところが出てきた結果を見て驚き(そりゃ桁違いの悪い値が出れば驚く)通報に至ったようだ。

実動作とテスト動作の乖離
つまりは実運転で試験をしていれば容易に見抜けたということでもある。
しかしそれは実際には難しい。
別に排ガス規制だけの問題では無い。
もうずっと言われ続けている「カタログの燃費と実燃費」の乖離である。
最近はエコカー人気やらで性能=燃費なのか、と言いたくなるほどだから余計に問題となってしまう。
いわゆる日本での“燃費”とは“JC08”と呼ばれる“走行パターン”で走ったときの燃費である。
当然走行パターンは人によって差があるし、これにはエアコンやヒーターで食う燃費は含まれない。
更に言えばこの問題は自動車だけでは無い。
家電での“消費電力”という指標も非常に難しい問題を抱えている。
具体的にテレビを例に取って説明したいと思う。
テレビで言う“定格電力”というのは、ある状態での消費電力を指している。
最近のテレビは様々な“エコ機能”があるので実態の消費電力はずっと低かったりする。
定格電力は180Wと記載されているのだが、店頭で測りながら地上波放送を映している状態では100W辺りを行ったり来たりする風景もよく見る。
そこで“年間消費電力量”という指標もある。
ある時間つけてある時間は消している、“一般家庭”の使用想定で一年間使ったらどれだけになるか、という計算である。
当然一日中つけっぱなしの人からみれば少ない値だし、殆ど見ない人には大きい数字となる。
それでもこれはいわゆる待機時電力も入ってくるのでより近い数字であるといえる。
最近はここにも“インチキ”が横行しているとも聞く。
この電力は映像表示モードが「標準」であるとして計算する。(メーカーが最も推奨するモードで、普通に買って設定をした場合になるものとされる)
ところがこの“標準”の時に画面がかなり暗く設定されているものがあるという。
テレビは画面の明るさで大きく消費電力が変わるので、数値上良く(少なく)するには暗くするのが簡単である。
店頭ではほとんど「ダイナミックモード」に設定されるのが慣習なのでお客さんには判らない。
私にはこのモードは画質最悪な白飛び黒つぶれなので当然標準にするのだが、私から見て格段に暗くなるものも実際に見ている。
当然お客さんからクレームが起きる場合も考えられるが、その際には「明るさ」を変えたり「ダイナミックモード」に設定するという説明をして逃げていると考えられる。
良心的な店は初めから標準にしているところもある。(ダイナミックは画質が悪いし最近は常時は消しているぐらいで、電気代も食うからということもあるようだが)
見ると“笑えるほど暗い”ので当然売れないようで、しばらくしてみるとそのメーカーの扱い自体が消えていたりする。
しかしこういうのは“カタログ販売”つまりネット販売では“騙され”やすい。

実動作と適切なテスト
テストというのはどうしても“性能機能の一部を切り取って”やるしかない。
限られたリソースの中でやらなければならないので難しい。
理想を言い過ぎれば、コストや時間的にあり得ないものになってしまう。
最近は特に複雑だ。
様々な条件で動的にきめ細やかに動作を変えるものが作られ求められる。
ダイソンの掃除機に対して、他のメーカーの掃除機に対して“クレーム”をつけている。
これも消費電力だが、他メーカーは吸引力が落ちてきたらパワーをあげて(当然消費電力をあげて)いることは不正だというのだ。
消費電力テストではゴミを吸い込まずに“空回し”なのでこの“不正”に対応できていないようだ。
従来はなかった“エコ機能”が測定数値と実態との乖離を生んでしまう。
もちろんダイソンは“吸引力の変わらない掃除機”がウリなので自分の長所を大きく打ち出している“宣伝行為”とも言える。
掃除機は(モードは別として)常に消費電力が一定である、という前提が崩されつつあり、それにテストが対応できていないと言える。
この場合はある一定のゴミを実際に吸い込みながら運転を続け消費電力量の総量を提示する、等が必要となってこよう。
それでも“ゴミ”が再現可能な素材形状である必要性など、実態との乖離が生じやすい。

テストには限界がある
消費者としてはテストやチェックには限界がある、ということをもっと自覚する必要があろう。
そう考えたときにやはり原発の審査基準に思いが行ってしまう。
審査基準もテストやチェックの一種である。
当然限界があり、一定の不信を持つのがむしろ本質的で必要なことでさえある。
テレビの電気代が思ったより高かった、マンションでの不正すらどうでもいいくらい、原発事故の深刻度は地球規模で重大なものだ。
「世界一厳しい」すら怪しいものだし、よしんばそうであったとしても基準に疑いはある。
IAEAも認めた、としても、所詮は彼らも原発側の人間である。
また、その運用方法に問題があれば、全体の問題となる。
杭打ち問題では、末端でのデータ捏造があった。
データ検証システムの杜撰さもあるし、多重下請け構造の問題もある。
多重下請け構造における問題なんぞは電力会社がその代表選手ですらある。
本質的に疑いを持った方が自然である。
「審査基準をクリアしたから安全」なんて考えが甘すぎる。
単なる「ペーパー審査」と「運転前審査」でしかないからだ。
それだけでなぜ安全が担保されるのか、理論的におかしいのである。
そこまで重い話でなくても、様々な試験・テスト・チェックは「何をしているのか」を知っておくことは重要だろう。
例えば自動車の燃費基準であるJC08とはどういうテストなのか、それが実際に自分の運転パターンと照らし合わせると見えてくるものがあると思う。
自動車はJC08に合わせて燃費のチューニングは多かれ少なかれ行っている。これを非難しても意味が無い。
燃費を何より重視するのならJC08を“見倣って”運転すれば燃費が良くなる、とも言える。
例えば定常運転で60km/h走行と、50km/hとでは燃費が何割も違う場合もある。(これは私の車の燃費計機能での話だ)
郊外で周りの流れに合わせると60km/h以上になることは珍しくは無い。しかしそれを“抑えれば”かなり違ってくると言える。
急加速が良くないことは知られているが、緩やかすぎる加速もトータルで良くないこともある。
低速すぎると却って燃費が悪いので“適切な加速”を見いだす必要がある。
私の車ではだいたい40km/hが燃費が良さのピークに見える。
よって極力30km/h~50km/hあたりの状態に収めるか、停車(アイドリングストップ)状態にしておくことがコツとなる。
住宅の話で言えば、自分の目で見る、というのも重要であろう。
日本の“青田買い”習慣が問題ともいわれるが、逆に言えば購入を決めてから建てられている過程を見ることが可能とも言える。
もちろん工事現場に勝手に入ることは危険だが、例えば後は内装の段階で一度内覧を要望するとか、基礎を一通り打った状態で見せて貰うとか、そういう“関与”が重要と言われている。
昔の一軒家は注文住宅が多かったために、現場の指揮官である棟梁との顔合わせや現場の人と顔見知りになったりするし、田舎なら差し入れとかしたりする。
棟上げは「セレモニー」なので施工主であるお客さんを呼ぶのが常識ですらあるようだ。
実家の隣の家で全面取り壊し新築があったが、コンクリ基礎の中に昼飯の弁当のゴミを放り込んでコンクリを流し込んだという。
ある意味常態化している行為らしいが、良く聞く話だが、いくら見えないからと行ってゴミをお客さんが住む下に放り入れるという感覚が私にはムカツク。
知り合いの元大工からすれば「あり得ない感覚」だそうだが、昨今の“組み立て住宅”やらいわゆる“大工という職人不要”の中で収入減や嫌気がさして辞めたような感じなので異端の感覚なのかも知れないがそこは判らない。

思い入れが強く、理想を言い過ぎる人間が減っているのは確実なことだとは思う。
「テスト・チェックに通りさえすれば良いでは無いか。」そういう人間が比率として多くなっていく。

“成果主義”はそれをさらに助長する。
成果とは何で評価されるのかを考えれば当然の結果である。
過剰品質と言われるジャパンクオリティは成果主義がなかった時代の遺物である。
今はその時の“勢いの残り滓”で保っているに過ぎない、そんな感覚がある。
それは海外企業への依存などでもどんどん破壊されている。
学校でさえも試験対策の塾やらの発達・競争で“通ることが目的”という度合いが高くなる一方だ。
東大や上級大学姓との質の劣化も根っこは同じなのだと思う。
昔は本当の意味で「勉強の好きな、できる子」だけが入学できた。
ところが「塾でしっかり対策をしてきた子」が増えれば、全体の質の劣化は当然の結果である。
だからこそ自衛するしかない。別に試験やチェックを否定する訳ではない。
試験に通ったというのは、あくまでその試験に通っただけのことである。
盲目的に通ったから良いのでは、と思うのではなく、どういう試験なのかを知り、少なくともそこはパスしただけに過ぎない、という見方をすべきである。
そこが自分にとって不満なら自分で確認するか、試験を変えるように要求するかである。
http://eldar-star.txt-nifty.com/etc/2015/10/post-e676.html

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ改ざん事件151219

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