杭データ改ざん事件151220

杭データ改ざん事件151220

2015年12月19日 17時40分
ざっくり言うと 旭化成の防止策、来年に持ち越し くい打ち改ざん
2015年12月19日 17時40分
共同通信

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建物のくい打ちデータの改ざん問題に関し、旭化成建材の親会社の旭化成がまとめる再発防止策の決定が、年明け以降に持ち越される見通しになったことが19日、分かった。経営責任の明確化も先送りする。
発端となった横浜市の傾斜したマンションで、くいの状態を調べる詳しい地盤調査が遅れており、補償費用などの分担にも影響する傾斜の原因が判明するまでは、問題に区切りを付けるのを避けたい意向とみられる。
くい打ち問題では国土交通省の有識者委員会や業界団体も年内に再発防止策をまとめる予定で、これらを踏まえて旭化成側も検討を進める方針。
http://news.livedoor.com/article/detail/10974877/

八街の貯水タンクで流用 【くい打ちデータ改ざん問題】
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2015年12月19日 10:06
関東農政局は18日、ジャパンパイルが施工した農業用水貯水タンク「8号調整水槽」(八街市大関)のくい基礎工事で、データ流用があったと発表した。安全性に問題はないという。
同局設計課によると、貯水タンクは2009年度に建設した。接続する水路が完成しておらず、使用されていない。
同局北総中央農業水利事業所(同市)が先月、同工事のデータを確認。くい打設時の電流計記録に不自然な点があり元請業者に連絡したところ、くい16本の記録が同一だった。ジャパンパイルは元請業者を通じ「施工報告書虚偽があった」と報告した。
同局は他の記録から、くいが支持地盤以下に到達していると判断。同事業所の職員が現地調査も行ったが、不具合はなかったという。
http://www.chibanippo.co.jp/news/politics/294367

杭データ改ざんより、強度問題だ…..
<< 作成日時 : 2015/11/13 16:52 >>
三井建設の不正物件問題で、杭打ち工事のデータ流用が問題視されてるが、下請け業者の旭化成建材では、実際の杭打ち業者を把握してない様だ。
幾ら データ改ざんを調査しても、今にして 実態を掴むのは 到底 無理な話だ。
杭打ち職人が 面倒臭さがってデータ取らずに、他の データを転用した今回の問題。
恐怖は 何時の間にか、話が 置換えされてる事だ。データ改ざんより 杭の強度だ。
杭が 岩盤まで届かぬ処で止めてしまうと、今回の様な問題が生じるので、建設物の重力に耐えられずに起きた沈下現象だ。三井建設か、旭化成が、故意に データ流用の方向に、話題を逸らしてるのと違うのか….。
若し 岩盤まで杭の到達確認を調べ出したら、大問題に陥る事間違いないし、建設業界は、顰蹙を買うだろう。其れ程 杭のデータは信頼性に乏しい。
http://fukazawa-daialy.at.webry.info/201511/article_6.html

2015.11.01 緊急レポート、杭工事データ改ざんとは!

旭化成建材の杭工事データ改ざんが世間を騒がす大きな話題となった。
杭工事で使う杭の事を業界では一般的にパイルと呼んでいる。

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■日本国土の殆どが軟弱地盤
基礎工事前に地盤を補強する杭工事は、日本国土の地盤では粗80パーセントの割合でその対策が必要と言われる。それ位に日本の地盤は良くない。

■杭の占める割合
杭工事の建築工事に占める割合は大きく、鉄筋コンクリート造の場合、コンクリート工事や鉄筋工事、型枠工事と同等程度の費用負担となる場合が一般的で、工事費全体の1割前後を占める位のとても大きな工事費目なのである。
その為、工事費の削減を検討する際、杭打ちの方法や材料選定はとても大きな要素で、パイル業界は何時も工事を請負う建設会社からコスト削減の第一の標的となる。

■杭工法の変遷
その工法では、現在世間で騒がれているように、セメントミルク工法と言われるセメントを支持層に注入し差し込んだ杭に絡ませ地盤から支持を取る工法がある。
昔は、打撃工法と言って杭は地面に叩き込み、その反力を目視で確認しながら打設するのが常識だったが、周辺地域から打撃にによる騒音、振動、そして飛び散る油などによる様々な補償が求められる時代となった。
振動、騒音による家屋補償は、工事期間中のホテル代や、タクシー代からクリーニング代に至るまで要求されるようになり、杭打工事工法はそのクレーム対策によって時代と共に目まぐるしく変化してきた。
支持層の強さを目視で確認できた打撃工法は、デーゼルハンマーによる直打工法から、騒音の比較的出ない油圧ハンマーによる打撃工法へ変わり、現在最も多く採用されるセメントミルクによる注入工法へと至る。
ボーリング調査にて予め支持地盤の深さを確認した上で支持層の手前までオーガーで杭径とほぼ同じ大きさの穴を掘り、杭を納めて、セメントを注入していく工法がセメントミルク工法。
いわゆる無振動無騒音工法で、杭工事が行われているか周辺では判らない工法で、現在ではこれが標準工法となった。

■設備投資と時代の変化
パイル業界が大変なのは、工法が変わる度に杭打ちのための大掛かりな装置、いわゆるプラントへの膨大な設備投資が必要になる事にある。杭打機自体もセット当り億に近い設備投資なのに、次々に新しい工法が現れ、昔のデーゼルハンマーや油圧ハンマーの打設機は国内では使えなくなってしまった。それらの打撃工法の機械は、現在その殆どが東南アジア諸国で活躍しているようだ。
バブル時代、パイル業界はとても華やかで、派手な接待付きの営業展開が普通にされる、とても美味しい業界であった。それも今では遠い昔の話。
かつて三桁は裕にあったパイルメーカー、今では最盛期の十分の一程に淘汰されてしまっている。現在では、建設会社が工事を受注しても、杭打ち機械が見つからないとか、パイルの材料がどこにもなく制作期間90日待ちの状況とかザラで、杭工事をやって頂ける所をこちらから探し求めるという時代なのだ。
だから今回の事態が建築業界に与える衝撃は大きく、遂には担い手が居なくなってしまうのではないかと危惧する。

■問題の根源
さて、担当者によるデータ改ざんと言う問題。私達が普段介在している建築工事に於いてはとても考え難い事態なのである。
と言うのも彼等、杭の施工管理者にとって工事金額が上がろうが、所詮関係のない立場の人達。彼等は実際に工事出来高によって請求を上げてくるので、当然パイル事態が支持層まで達していない事が判ると支持層まで達するのに、例えば1.5mパイル長さが増えますよと普通は言ってくる。
施工管理者支持層まで達してない事が解ってそこで止めるわけいかないと言う立場で工事費は数千万増加になりましたと普通であれば平気で、しかも笑顔で言ってくるのだ。私たちの周りの杭の施工管理者ってお金の事など気にしない、ぽっちゃり型の愛敬のある人達が多い。但し大手メーカーの人はよく知らない!
このパイルの長さを決定するのは、杭打ち工事の最初に試験杭と言って規模に応じ、工事場所全体からバランスよく抽出した数カ所を試験的に支持層まで掘って最終パイル長を決めるのが通例。これは建築工事特記仕様書で、その箇所数と長さを記載するように決まっている。
施工管理者さんにしてみれば、支持層に達する迄打ち込むのが使命なので、工事費が増えようが普通は彼等には関係の無い事。

■巨大な組織による一気通貫の利益追求システム
ところがこれが、デベロッパー発注工事となれば、全く違うのである。デベロッパーと施工業者は同列にいて、工事コストが上がることは絶対に許されない事態なのだ。
以前に日本中を騒がせた構造偽装問題。これはデベロッパーと構造設計事務所が結託して、工事費を抑える為にやった前代未聞の詐欺事件である。デベロッパーと設計事務所の間にはエンドユーザーである施主は不在。これはとても特殊なケースである。
普通に設計事務所が施主側に立って管理を行っていれば、杭の施工担当者が偽装をする必要は無く、杭が支持層に達していなよ!支持層に達するのにうん千万円追加になりましたって工事監督者に請求すれば済む話。そうすると工事監督者は、ボーリングデータが違っていたからカクカクシカジカ、クライアントに報告する事になる。
今回の問題は、それをできなくしている仕組みが何処かに隠れているのであろう。建築業界専門職と有資格者が複数集まって一つのプロジェクトを創り上げていく作業である。

■専門性を有する組織の在り方!
有資格者は失敗を犯すと、資格者個人の責任が問われる事になる。組織自体に、個人を護ろうとする仕組みが無ければ、有資格者は自分を守るために理論武装する。しかしながら失敗は失敗なので終いには嘘で固めてしまうという最悪の事態になってしまう。
専門職を扱う組織には、人が犯す失敗を大きな学びの場として、一刻も早く公表できる体制が絶対に必要であり、同時に失敗を組織全体でフォローアップ出来る仕組の構築が必須である。そうでない組織は必ず滅びる!
これは、建築デザインでのISOを取得した際のマニュアル作成時に学ばせて貰った。専門職に携わる人は、自分を守る為、無意識に失敗を隠そうとする!そんな事例が大きな場面で頻繁に見られる世の中となって来た。
失敗を隠さず早い段階で公に出来る仕組み作りは、私がISO取得に取組んだ動機でもあった。
今ではISO事態はコストが掛かる為に放棄したが、その仕組みとマニュアルは今でも組織に活かされている。

■杭が支持層に到達しない原因!
さて、困るのは思わぬ所で工事費が追加になってしまった場合、工事監理者もクライアントも途方にくれてしまう。そこからとてもとてもシビアな工事監理が必要になるのである。
追加になった杭の長さの分、勿論、施工費と材料代は増えるかも知れない。そもそも支持層の深さ、パイルの長さを決定した根拠は何処にあったのだろう。
往々にしてその原因は、工事場所である現地のボーリングデータでは無くて、隣接した別の場所のデータだったり、近隣データを参考にした場合が殆どなのである。
その場合、構造設計者工事監理者もクライアントに対し、杭に長さの変更が現場であり得る事を情報として伝えておく責任がある。これは絶対必要な事で、文書で残しておくべき重要事項である。
何れにせよ、今回の施工管理者によるデータ改ざんは、専門技術者による過失によるものとは考え難い。
今回のようにデータ改ざんが常習的に行われていたという事であれば、工事の受注から施工に至るまでの一連の流れが追加工事や変更を認めない大きな圧力の元に施工管理者が動かされていたのでは無いだろうか。こうなると施工管理者の問題では無く組織全体の問題となる。
政治力など実際の工事施工とは関係のないところで、何でもいいから早く終われ、適当に裁かせておけ、そんな風潮が組織自体にあったのなら、ベテラン社員だからこそ、そのように上手く処理をしていたのかも知れない!

■活力を失わせる法的縛り
しかしながらこう言った事件によって法的に縛りが掛かる。今回のように限られた巨大組織によるデベロッパーからゼネコンそして建築事務所に至る一気通貫の儲け主義建築工事の為に、一番苦しめられるのは、巨大組織とは縁も所縁も無く良心に沿い、正義の心で建築に携わっている施工管理者個人や小規模の設計事務所の所員だったりする。
大手デベロッパーも旭化成建材のような大手建材メーカーも、一般の建築に携わる者からすれば、日本を代表するような組織のとても恵まれ社会環境に居る特別な人達の事。
彼等のおかげで、組織に属しない正義感のある多くの専門技術者が苦しむことになる。
建築士に対して義務付けされた、丸一日を拘束されコストのかかる講習会の中身と言えば、夢のある未来創造の話は殆どなく資格者に対する懲戒処分厳格化の法改定の事ばかりが目立ってきた。
ものづくり日本と言われるこの国で、建築技術に夢を託す若者は益々少なくなって行く!
そんな疲弊した社会へ向わせる、この事件とその報道の在り方を憂う。
http://alphdesign.blog91.fc2.com/blog-entry-2084.html

旭化成建材に”丸投げ“した日立子会社の疑惑 杭データ改ざんの横浜のマンションに関与- 15/12/02

写真:日立製作所子会社の日立ハイテクノロジーズも”問題の”横浜のマンション工事に関与
丸投げだったのか――。
日立製作所子会社の日立ハイテクノロジーズが杭のデータ改ざんが問題となっている横浜のマンション工事に関与していたことがわかった。三井住友建設の一次下請けとして旭化成建材に発注し、工程の進捗確認や現場の安全確保等を担当していた。
建設業法では一次下請けであっても、主任技術者を現場に置かなければならないことになっている。だが、日立ハイテクの人物が現場にいたかは定かになっておらず、「丸投げ」の疑いが強まっている。
決算説明会では「調査中」と繰り返すだけ
日立ハイテクは問題発覚後、10月15日に「当社請負杭工事の不具合に関するお知らせ」を出したきり、説明の場を一切設けていない。唯一、公の場に幹部が現われたのは10月26日の2016年3月上期の決算説明会だった。その場で、経緯についての説明や謝罪があるとみられたが、出席の宇野俊一執行役常務は決算報告に終始。記者から質問が出るまで横浜のマンション問題には一切触れなかった。

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宇野俊一執行役常務の話は決算説明に終始、マンション問題については、「調査中」と繰り返した。
決算発表の場とはいえ、聞かれるまで問題に言及しなかった姿勢には疑問符が付く。住民への保証や責任の有無などの質問に対しても、「調査中ということでご理解いただきたい」と何度も繰り返した。
丸投げがあったかについては、「そういう(丸投げ)認識はない。契約に沿った業務を遂行している」(宇野執行役常務)と述べている。
日立ハイテクは、2001年10月に日立製作所グループの日製産業と日立製作所の半導体製造装置や計測器事業が合併して設立された。日立製作所が51.64%(2015年3月期末)を出資する日立グループの主要企業でもある。柱は半導体製造装置部門や血液分析装置などの医用機器部門で、この2分野で約9割の営業利益を稼いでいる。今回問題になっている現場の工程管理などの建設関連事業は商社部門が担当し、「売上高に占める割合は数%程度」(日立ハイテク幹部)と主力ではない。
https://bunnabi.jp/2016/sp_tokei_news_corp151202.php
今回の一件は昔からの”お付き合い”があだとなったようだ。
日立ハイテクは、商社の日製産業時代から旭化成グループの建材を売る仕事をしており、「建材の販売拡大の中で、一部工事つきの案件についてもビジネスとして展開してきた」(宇野執行役常務)。日立ハイテク設立後もその関係は続き、すでに50年近い付き合いになるという。
建設業法違反か、国土交通省も調査
横浜のマンションも旭化成建材と共に営業を行い、三井住友建設から受注した。3社ともに関わった案件は、横浜のマンションだけだが、日立ハイテクと旭化成建材が共同で受注した工事は他にも複数件あるとみられている。
日立ハイテクは現時点でも「調査に時間がかかっている」とするばかりで詳細はほとんど明らかにしていない。一連の問題について調査を進める国土交通省も「聞き取りをし、一次下請けとして必要な責任を果たしていたかなど事実関係を調査している」と説明。期間については分かっていないが、「通常半年ほど」(国土交通省)という。
現場に主任技術者を置いていなかったとすれば、建設業法違反に問われる。その場合、改善指示や最大1年の営業停止、建設業許可の取り消しなどの措置が取られることになる。長年の付き合いによる単なる名義貸しだとすれば、その代償は大きい。丸投げだったかどうかが今度の焦点となりそうだ。

この件に関する私見!
現今の現場では、施工体制図等の書類さえ整っていれば、実際に一次、二次下請け問わず主任技術者がいるかいないか等確認することは無い、このような出来もしない規制をかけていること事態に重層下請け構造の問題の本質があるのではないのか?又、専門的知見を持たない企業が、建設業許可を受けられていること自体に問題があるのではないのか?その結果として、瑕疵欠陥を生む構造となっているのではないのか?

完売マンションの建築確認を取り消し 東京都建築審査会が1階を「避難階」と認めず
2015/12/02

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建築確認が取り消された東京都文京区小石川2丁目のマンション。東京都建築審査会は1階が避難階に該当しないと判断した(写真:日経アーキテクチュア)
4月末に完売した分譲マンションの建築確認が、周辺住民の請求を受けた東京都建築審査会によって、11月2日に取り消された。総戸数107戸、地下2階・地上8階の鉄筋コンクリート造の建物は、1階が災害時に屋外に出られる「避難階」に該当しないと判断された。
問題のマンションは東京都文京区小石川2丁目で建設中の「ル・サンク小石川後楽園」。もともと建設計画の完了は2016年2月を予定しており、外見からはほぼ完成しているように見える。
建築主はNIPPOと神鋼不動産。設計は日建ハウジングシステム、施工は安藤ハザマが手掛けた。神鋼不動産は日経アーキテクチュアの取材に対して「確認申請に際して複数の確認検査機関に事前チェックを受けたうえで確認申請を行うなど、慎重に作業を進めてきた。今回、建築確認について審査会で取消という判断がなされたことについてはまったくの想定外。誠に遺憾に思っている」(総務部)と文書で回答した。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/113000278/

駐車場の車路スロープが「避難階」の争点に

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問題のマンションの関係者 建築確認は都市居住評価センターが下ろした。近隣住民によって建築確認の不備を指摘された(資料:取材をもとに日経アーキテクチュアが作成)
問題のマンションは12年7月に都市居住評価センター(UHEC)が建築確認を下ろした。マンション南面は江戸時代の旗本の名前を冠した道路「堀坂」に面している。坂という名称から分かるように、建物は高台となる西から長手方向の東に向けて下る傾斜路に沿って建つ。UHECはこの地形を利用して、建築確認では地下2階から地上2階までの4フロアを、各階が地上と同一平面上にある避難階と判断した。
避難階とは「直接地上へ通ずる出入り口のある階」と定義づけられる。火災などの災害が発生した場合に、安全に地上に避難するための重要な階となる。問題のマンションで争点となったのは、地上1階にある大型駐車場(1階は住居も含む)だった。
駐車場の出口は建物南面の堀坂に続く。出口に通じる車路はスロープ(傾斜路)となっていて、駐車場と堀坂の高低差は2.5mある。避難階は都の建築安全条例32条6号の規定に基づき、地上への直通階段(傾斜路を含む)を設けて避難階段としなければならない。
近隣住民の代理人を務める神楽坂キーストーン法律事務所の日置雅晴弁護士は「車椅子の利用者などを考えれば、基本的に地上に避難できる階は階段や傾斜路を介さない平面であるべきだ。1階の駐車場から地上に出る車路が傾斜しているため、避難階としての機能が認められるかどうかが争点となった」と説明する。

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問題となった駐車場の出入り口。前面道路と1階の高低差が2.5mあるため、駐車場から出る車路はスロープとなっている。避難階とするためには、車路の中間部に手すりなどを設ける必要があるとされた(写真:日経アーキテクチュア)
都審査会が最終的に1階を避難階に該当しないと判断した理由は「安全設備に不備がある」と認めたためだ。11月12日付の裁決書によると、1階の出口となる駐車場のスロープは、地上へ通じる出入り口としての要件を満たしているとみていた。
一方、「階段に代わる傾斜路であれば、傾斜路の幅が3mを超える場合には中間部に手すりが必要となる。証拠書類では手すりが確認できず、車路という性格上、中間部に手すりを設けることはあり得ない。人の通行に供する傾斜路としての条件を満たさない」と判断した。
10年以上前から近隣住民が計画に反対
実は、問題のマンションが建築確認を取り消されたのは今回が初めてではない。05年6月にも都審査会が「自動車車庫出入り口に面する道路(堀坂)幅員が6mに満たない」などの理由で確認取り消している。 
マンション建設地はもとは富士銀行の社宅で、4階建ての社員寮2棟が建っていた。01年に都市基盤整備公団(現・都市再生機構)が購入し、03年10月に競争入札でNIPPOと神鋼不動産が共同購入した。建築主の申請に対し、文京区長が開発許可を出すたびに、近隣住民が反対の声を上げるという構図が10年にわたって続いている。

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問題のマンションに関する主な経緯
元は銀行の社宅で低層の社員寮が2棟建っていた。10年以上にわたって近隣住民からマンション建築計画は反対されてきた(資料:取材をもとに日経アーキテクチュアが作成)
今年6月には近隣住民が建築確認の取り消し審査の請求とともに執行停止を申し立てていた。9月には執行停止が決まり、工事はストップしている。今後、建築主が取り得る行動は3つある。
1つは都審査会の裁決に不満があるとして、30日以内に国土交通省に再審査を請求することだ。UHECは「11月14日に裁決書を受理した」と話しており、遅くとも12月半ばまでに請求する必要がある。
裁判に訴える方法もある。都審査会の判断が誤っていると6カ月以内に訴訟を起こし、裁判所に「建築確認取り消しの裁決」の取り消しを求めるのだ。しかし「判決が出るまでに時間が掛かるため、一般的に裁判に訴えるやり方はあまり現実的とはいえない」(日置弁護士)という。
建築主が都審査会の裁決を受け入れる場合は、指摘された不備を修正して建築確認を受け直すことになる。ここで新たな問題が浮上する。文京区が14年3月にマンション敷地周辺の高さ制限を22mに抑えたのだ。同マンションの建築確認はこの前だったため、高さは27mある。新しく建築確認を受けるとすれば、上層階の減築は避けられないとみられる。
神鋼不動産では「予想外とはいえ、お客さまに対して多大な迷惑をかける結果となり、売り主として大変申し訳なく思っている。審査会の裁決に対する対応については、裁決書の内容を精査した上で慎重に検討したい」(総務部)としている。

建築審査会が強権を発動した背景
国内では年間に100件ほど建築確認の審査請求がなされているという。「うち約1割ほどが建築確認を取り消されているが、ほぼ躯体が出来上がって簡単に直せない建物の建築確認の取り消しはレアケース」と日置弁護士は指摘する。強権発動とも取れる都審査会の裁決の背景には、行政不服審査法の改正が影響したとの見方もできる。
これまで建築確認などに不服がある審査請求人は、建築審査会に審査請求をしたうえで、その裁決を待って裁判所へ訴訟を起こした。14年6月の改正(2年以内に施行)を受けて、不服のある者は建築審査会を通さなくても裁判所に提訴できるようになる。専門知識を持つことで存在感を保っていた建築審査会の存在意義が問われることになりそうだ。

図面作成は営業活動」と設計料の請求を認めず
2015/01/26

ある中堅設計事務所の代表から、契約書締結の重要性を痛感させられる話を聞いた。契約書を交わしていなかったために既存ホテルの改修と増築の基本設計料、約2000万円を受領できなかったというのだ。設計事務所の代表によると、発注者に契約書の交付はしていた。しかし発注者は捺印を先延ばしにしたのだという。
その設計事務所は2008年10月、発注者であるホテル運営会社に基本設計料の支払いを求めて宇都宮地裁に提訴した。地裁が請求を棄却したので、設計事務所は控訴したが東京高裁でも請求を棄却された。結局、設計報酬を回収できなかった。

改正建基法施行直前で設計を急ぐ
判決文によると、首都圏にあるホテル運営会社が、既存ホテルの改修と増築の計画をその設計事務所に依頼したのは03年2月。客室数は150室。宴会場のあるアッパービジネスクラスという条件で計画案の提示を求めた。設計事務所は06年12月から07年6月にかけて、ホテル運営会社に全体平面図や居室プラン、宴会場レイアウト図、概算工事費、中高層近隣説明範囲図など様々な資料を提出。ホテル運営会社の要望に応じて変更を加え、設計を進めた。
設計事務所がホテル運営会社に提出した図面などの一覧
2006年12月6日平面図、全体工程表、客室数を示す資料、概算工事費、設計料見積書および業務範囲など
2007年2月14日全体平面図、居室プラン、立面図、断面図、指定確認検査機関との事前協議結果一覧表
5月10日 全体平面図、宴会場レイアウト図、地下駐車場別案、客室一覧、中高層近隣説明範囲図
宇都宮地裁は判決のなかで、設計事務所がホテル運営会社との打ち合わせでこれらの資料を提出し、ホテル運営会社が異議を唱えなかったことを認めている(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)
契約書を締結していなかったにもかかわらず、設計事務所が作業を急いだのには理由があった。07年6月20日改正建築基準法施行前に、確認申請をする必要があると判断したからだ。施行後は特定行政庁らの確認業務が混乱し、計画が大幅に遅れることが懸念された。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20150123/689831/
契約書の捺印を先送りし続けた発注者
設計事務所の代表によると、契約書を交付していたにもかかわらず、発注者は「来月には捺印する」と繰り返し、契約書の締結を先送りし続けた。判決文によると、ホテル運営会社に対する銀行の融資が確定していなかったことがその理由だ。
最終的にホテル運営会社は07年5月、設計事務所に「金融機関の決裁を得ていない段階で建築確認申請の事前手続きを行うことはできない。改正建基法施行前に確認申請できなくてもやむを得ない」と告げた。そこで設計事務所は、その時点までに完了していた基本設計料の支払いを求めたが、ホテル運営会社が支払いを拒否したため、提訴に至った。
地裁が設計事務所の請求を棄却したのは、設計業務委託契約が成立しておらず、設計事務所の作成した基本設計は最終案ではなく、企画段階だったと判断したからだ。
地裁は、設計事務所が各種計画案や図面を作成してホテル運営会社に提示し、「相応の労力・経費をかけていた」ことや、ホテル運営会社が設計事務所の提示した計画案に異議を述べなかったことを認めている。しかし、設計事務所の計画案が「後日修正がされるなど、最終的な計画案であったとは認められない」ことを重視。計画案が確定しなければ銀行との融資に関する協議を進められないので、ホテル運営会社が銀行と融資の具体的協議を進めなかったことは不誠実な対応ではないとした。
設計報酬額は最終計画案の規模や工事金額などによって左右されるから、最終計画案が確定していなければ契約が締結されたと推認できない。また契約書に捺印もされていなかったのだから、「設計・監理の業務委託契約が明示的にも黙示的にも成立したと認めることはできない」と結論付けた。

高裁も「各種図面の作成は営業活動」と判断
地裁はもう1つ興味深い見解を示している。まず、「建築工事の設計・監理業務を営む者は、民間の建築工事の企画段階で作業を終える場合には報酬を請求せず、また、企画とその後の設計との区別が困難な場合がある」と判断。そのうえで、ホテル運営会社が設計事務所と打ち合わせを重ね、図面を受け取り、07年6月までに確認申請を予定していると認識していても、ホテル運営会社側に「信義誠実に反する行為があったとまでは認められない」と述べた。
東京高裁も10年10月6日の控訴審で、同様の判断を示している。高裁はまず、建築設計会社が、建築設計業務を受託する可能性のある顧客に対し、その建築希望を聞いて、大まかな予算、規模、工程などの事業方針、設計条件などを検討整理し、図面などを作成して、希望に沿う建築物のプランを提案し、これを建築するよう勧誘することが行われるが、これは建築設計会社の営業活動の1つと考えられる」との見解を示した。
また、「営業行為の報酬を求めることはなく、また、建築物の建築にまで至らなかったり、ほかの建築設計会社の提案が受け入れられたりして、建築設計業務委託契約の締結にまで至らなかった場合は、建築設計会社は顧客に対し、営業行為の報酬請求を行わないのが通例」と断じた。
そのうえで設計業務委託契約書が作成されておらず、設計事務所が提案したプランを実行する予算の裏付けがなく、収支予想を含む事業計画が作成されていない点を指摘。「各種の図面を作成し、これらを被控訴人に提示しているが、これは営業活動として行われたものであって、これを超えるものとは言えない」として、設計事務所設計報酬の請求を棄却した。

小規模建築でも契約書締結は必須
この設計事務所は現在、基本設計に入る前に必ず契約書を締結するようにしている。
「いきなり設計料を提示して契約書締結を求めることは、受注しかけた仕事をみすみす逃しかねないという不安がある」と話す建築設計者も多い。しかし、上記判決のように裁判所は「契約書がなければ、事情がどうあれ、どれだけ図面を作成しても営業活動」と読める判断を下している。

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国土交通省のウェブサイト。延べ面積300m2超の建築物で書面による契約締結を義務付けた改正建築士法の施行日は2015年6月25日だ(資料:国土交通省)
2015年6月に施行される改正建築士法で、延べ面積300m2超の建築物について、契約書の締結が義務化される。延べ面積300m2未満の建築物は義務化の対象外だが、設計業務に入る前に契約書を締結するようにすべきではないだろうか。

図面作成は営業活動? 弁護士の見解
2015/05/29

「図面作成は営業活動」──。このように判断した宇都宮地方裁判所2010年3月4日判決と、東京高等裁判所10年10月6日判決を取り上げた1月26日付の記事「『図面作成は営業活動』と設計料の請求を認めず」は大きな反響を得た。これらの判決に対して、建築紛争に詳しい弁護士の福田晴政氏は、「契約書が作成されなくても、申し込みと承諾があれば契約は成立する」という原則に基づき、「計画案作成についての申し込みと承諾があったのであり、計画案作成は営業活動ではなく、設計契約の内容になったと考えるべきだ」との見解を示す。契約はどのようなときに成立するのか。契約時はどのような点に注意すべきなのか。福田弁護士の見解をもとに解説する。(日経アーキテクチュア)
1月26日に「ケンセツ的視点」で公開した「『図面作成は営業活動』と設計料の請求を認めず」は、読者から非常に大きな反響を得た。契約書をかわしていなかったとはいえ、設計事務所がホテルの平面図や断面図、居室プランなど多数の図面を作成したことを、無償の営業活動と判断した判決の衝撃は大きかった。
ひとまずここで、判決文をもとに事件の経緯を振り返りたい。

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基本設計料1980万円の支払いを拒否したホテル運営会社
既存ホテルの改修・増築を計画したのは、首都圏のホテル運営会社だ。融資を受けるため銀行に相談したところ、改修・増築計画案の提出を求められた。そこでホテル運営会社は03年2月7日、X設計事務所に融資を受けるための計画案の作成を依頼した。
事件の構図。一審の宇都宮地方裁判所、二審の東京高等裁判所とも、原告の請求を棄却した(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)
同社は複数の計画案を作成し、ホテル運営会社に提示した。06年12月6日には最終プランとしてA案を提出。それに基づく各階平面図や全体工程表、概算工事費なども提出した。両者は何度も打ち合わせを重ね、X設計事務所は宴会場レイアウト図など様々な資料を提出した。
事態が急変したのは07年5月19日のことだ。X設計事務所はこの日、改正建築基準法の施行前に建築確認を申請する方針をホテル運営会社に伝えた。するとホテル側は「銀行の決済を得ていない段階で建築確認申請の事前手続きはできない」と回答した。X設計事務所は「基本設計は完了している」と主張。基本設計料を支払うよう求めたが、ホテル運営会社はこれを拒否した。
そこでX設計事務所は、「遅くとも最終案を提出した06年12月6日までには設計・監理業務委託契約を黙示的に締結した」として、「基本設計料」約1980万円の支払いを求めて、宇都宮地方裁判所に提訴した。
融資決まらなければ設計・監理契約の締結はあり得ない
地裁が重視したのは、ホテル運営会社が銀行の融資に頼っていた点だ。多額の投資が必要なホテルの改修・増築計画は、銀行の融資が決まらなければ確定できない。
ところが06年12月6日時点では、ホテル運営会社と銀行との間で融資に関する協議は行われていなかった。融資が決まっていない段階に提出されたA案は、最終案として確定されたものとは認められないと地裁は判断。最終案と認められないA案に基づいて、設計・監理業務委託契約を結ぶことはあり得ないと結論付けた。
宇都宮地裁は判決文で、設計事務所がホテル運営会社との打ち合わせでこれらの資料を提出し、ホテル運営会社が異議を唱えなかったことを認めている(資料:判決文をもとに日経アーキテクチュアが作成)

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しかもこの時点で、原告と被告は契約書を作成していなかった。こうした状況をトータルで考え、「06年12月6日までに契約が成立したとは認められない」として、X設計事務所の請求を退けた。
X設計事務所は東京高等裁判所に控訴したが、高裁も一審の宇都宮地裁とほとんど同じ理由で退けている。

計画案の報酬は請求できた
判決文から福田弁護士は、「依頼されていたことが明らかな計画案作成について報酬を請求すれば、支払いが認められた可能性は高い」との見解を示した。ただし、「設計・監理契約が黙示的に成立しているというX設計事務所の主張を、裁判所が否定したことは当然だ」という。どういうことか。
福田弁護士はまず、「契約書がなくても、顧客が業務を申し込み、設計者がその申し込みを承諾すれば、民法上の契約は成立する」という大原則を指摘する。そのうえで、X設計事務所とホテル運営会社は契約書を交わしていなかったが、判決文の内容からホテル運営会社が計画案作成を依頼していたことは明らかだという。ホテル運営会社の目的は銀行に融資の検討をしてもらうこと。従って、銀行から融資を得るための計画案の作成を、X設計事務所に依頼したことは間違いない。
ホテル運営会社の申し込みと、X設計事務所の承諾があったことが明らかな計画案の作成について報酬を請求すれば、「支払いが認められた可能性は高い」と福田弁護士は推察する。
しかし、融資を得られるかが不明確な状況下では、融資を得るための計画案を超えて、ホテル運営会社が設計・監理までの契約を締結するはずがない。従って、改修・増築工事の全設計と、工事監理の契約までが黙示的に成立したという主張には無理がある」と福田弁護士は結論付ける。
福田弁護士は建築設計者に、次のようにアドバイスする。
建築設計者には受発注の記録を残すことを勧める。数ページに及ぶ契約書でなくても構わない。A4用紙1枚でもいいから業務開始前には、有償で業務を依頼されたことが分かる書面に、依頼者の署名と押印をしてもらうことだ。発注者が有償で業務を申し込み、建築設計者がその申し込みを承諾していることが分かれば契約は成立し、報酬を請求できる」
なお6月25日から延べ面積300m2超の建築物の設計と工事監理については、書面による契約締結が義務付けられる。これを機に、300m2以下の建築物でも契約書の締結を検討してはどうだろうか。

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設計施工分離の発想のない日本!
皆さんは、上記の設計監理報酬請求訴訟の棄却判決、どのような感想を持たれるでしょうか?私は46年設計監理業界を生業としてきたものですが、この判決はこの国の設計監理に対する理解の不足によるものだと感じざるおえません。つまり、この国では建設会社等が法的にも設計の監理も行えるが故に、上記のような裁判官の判断となっていると考えますが、設計者は他社の懐具合を推し量ることは出来ません!その融資の可否を根拠として契約書が無いからと言って、棄却されたのでは設計事務所の経営は成り立ちません!私は、声を大にして言いたい「設計・施工は分離すべきだと!」今回の、杭データ改ざん事件の件も、全ては設計施工分離されていないが故、且つ、余りにもデベロッパーに権力が集中したことによる弊害だと!!!

文責 釈迦牟尼仏(ミクルベ) 建太

次回に続く(杭データ改ざん事件151221

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